令和6年第7回教育委員会議(4月定例会)議事録
令和6年第7回 広島市教育委員会議議事録
令和6年4月23日(火曜日)、令和6年第7回広島市教育委員会議(定例会)を教育委員室において開催した。
1 開会及び閉会に関する事項
- 開会 午後1時30分
- 閉会 午後2時25分
2 教育長及び委員の出席者
- 教育長 松井 勝憲
- 委員 井内 康輝
- 委員 秋田 智佳子
- 委員 伊藤 圭子
- 委員 西 敦子
- 委員 一橋 信之
3 事務局等の出席者
- 教育次長 木村 滋宏
- 学校教育部長 宅見 雄二
- 指導担当部長 星野 和敏
- 総務課長 田尾 雅之
- 生徒指導課いじめ対策推進担当課長 伊藤 謙一
- 生徒指導課課長補佐 末本 学
4 傍聴者等
3人
5 議事日程
議題1 広島市におけるいじめ防止対策等の主な取組について(報告)
6 議事の大要
松井教育長
ただ今から令和6年第7回広島市教育委員会議定例会を開会いたします。
本日は、傍聴の方もお見えになっておられますが、お手元にお渡ししております注意事項をよくお読みの上、静粛に傍聴していただきますようお願い申し上げます。
本日の議事録署名者は、井内委員と一橋委員にお願いいたします。
これから日程に入ります。
本日の議題は、お手元の議事日程のとおりです。
それでは、議題1の「広島市におけるいじめ防止対策等の主な取組について」を議題といたします。
本件は報告案件です。内容について、生徒指導課いじめ対策推進担当課長から説明をお願いいたします。
生徒指導課いじめ対策推進担当課長
それでは、「広島市におけるいじめ防止対策等の主な取組について」御報告させていただきます。
資料の2ページ、議題1を御覧ください。
まず、1、令和5年度の成果と課題について説明します。
(1)支持的風土の醸成された学級づくりに係る取組の推進です。
令和4年3月に作成、配布した、「-認め支え合う学級の実現に向けて-支持的風土の醸成された学級づくりのためのハンドブック」と、令和5年3月に作成、配布した別冊「学校実践編」の内容を各学校の生徒指導主事や教育相談・支援主任を対象とする研修で扱いました。
また、11月に開催した生徒指導協議会において、支持的風土を醸成する上で重要な視点を説明するとともに、本市のいじめの実例を基にした研修資料を使い、いじめの未然防止の視点で、支持的風土の醸成された学級づくりに向けた取組について、各学校の実践を交流・協議することができました。
さらに、支持的風土の醸成された学級づくりに向けた取組においては、保護者や地域の理解や協力が不可欠であることから、いじめ問題対策連絡協議会において啓発動画「子どもの笑顔のために いじめとはどんなもの?」を作成し、8月に広島市公式Youtubeチャンネルで公開しました。
そして、年度末にはハンドブック別冊「学校実践編2.」を新たに作成し、4月2日に学校へ周知しました。この二つの内容は、別冊で資料としてお配りしております。
別冊の資料の方を御覧ください。まず、別添資料1です。広島市公式Youtubeチャンネルで公開した内容を印刷したもので、23ページまであります。動画については約17分で視聴できますので、委員の皆さんも、もしお時間がありましたら御覧いただければ幸いです。
次に、同じ別冊資料の23ページの後ろに、別添資料2として、ハンドブック別冊「学校実践編2.」をつけていますので、そちらを御覧ください。簡単に内容を御紹介しますと、まず1ページに令和4年度までの本市のいじめの認知件数及び暴力行為発生件数の推移の考察を掲載し、そこから3ページにかけては、「児童会・生徒会活動」における取組の重要性や各学校の取組状況を掲載しています。
4ページ以降は、各学校の児童会・生徒会活動の具体的な実践事例を掲載しており、4ページには高南小学校の「いじめ防止宣言」の実践、5ページには井口小学校の「いじめ防止カルタ」の実践、6ページには可部南小学校の「縦割り図画制作『みんなで旅行!』の実践」、7ページには宇品中学校の「いじめをなくすための授業」の実践、8ページには庚午中学校の「Big Heartプロジェクト」の実践、そして9ページには落合中学校の「校則の見直しについて」の実践を紹介しています。
それでは、元の資料の2ページの中ほどへお戻りください。
今後の課題としまして、いじめの被害を受けた児童生徒の中には、いじめ行為が止んだ後も心の回復ができず、休みがちになったり、転出したりする児童生徒が少なくないことから、より一層支持的風土の醸成された学級づくりに係る取組とMlb教育の充実が必要であると考えています。加えて、学校として適切な対応をしていたとしても、保護者が学校の対応に関して不信感を持つケースが一定数あることから、先ほど御紹介した啓発動画の活用を進めるなど、学校のいじめ防止に向けた取組を、地域や家庭に積極的に発信するなどの取組も必要と考えています。
次に、(2)いじめの積極的な認知に向けた教育相談の充実です。
いじめの積極的な認知に向けて、1人1台端末を活用するなどアンケートの実施方法を工夫したり、アンケートと教育相談を組み合わせて計画的に実施したりするなどの好事例を生徒指導課の指導主事やいじめ対策推進教諭が学校訪問などで収集したり、周知したりしました。また、教育相談をより一層充実させるため、教育相談・支援主任を対象とする研修や各学校における校内研修を行うことによって、教育相談に係る教員の資質向上のための取組を推進しました。
今後の課題としては、児童生徒全員への面談時間の確保が困難であると感じる学校もあることから、引き続き、教育相談の充実に向けた各学校の工夫を収集、周知する必要があると考えています。
次に、(3)ライフスキル教育・Mlb教育の充実についてです。
ライフスキル教育については、これまで系統性が持てていない学校があるという課題がありましたが、いじめ対策推進教諭が定期的に学校訪問をしたり、生徒指導課の指導主事が教育相談・支援主任を対象とする研修を行ったりする中で、これまでに蓄積した実践事例を周知することによって、学校全体で年間計画を作成し、計画的に実施した学校が増えました。
Mlb教育、これは「Sosの出し方に関する教育」のことで、スクールカウンセラーと一緒に授業を行うものです。これについては、昨年度、全小・中学校で実施しました。また、高等学校については、今年度からの全校実施に向けて指導案を作成しました。
今後の課題としては、引き続き、各学校のライフスキル教育の実践事例を収集、周知するとともに、Mlb教育については、今年度の全校実施によって明らかになった課題等を踏まえ、指導案を見直す必要があると考えています。
次に、(4)学年間・学校間の情報引継ぎの定着についてです。
各学校では、例えば、児童生徒間トラブルなどの生徒指導に関する課題や家庭状況等の環境に関する課題など、教職員が対応する際に配慮を要する児童生徒について、学校ごとに基準を定めて引継ぎ資料を作成しています。この資料を有効に活用している学校の事例をいじめ対策推進教諭が全校を訪問して周知したほか、保幼小連携においては小学校が主体となった引継ぎが概ね定着し、小中高連携においては、年度変わりの引継ぎだけでなく、日頃から情報共有する際に、引継ぎシートの項目を意識したコミュニケーションが取れるようになってきています。課題としては、引継ぎ資料の保管の仕方や、記載内容の確認体制の構築等があり、引き続き、各学校の工夫を収集・周知する必要があると考えています。
次に、(5)児童生徒による主体的ないじめ防止に向けた取組の充実についてです。
各学校の取組について情報収集を行いました。先ほど御紹介しました「学校実践編2.」にある取組が主なものですが、その中で、庚午中学校の「Big Heartプロジェクト」については、ポスター発表という形で、文部科学省主催の「全国いじめ問題子供サミット」において代表生徒2名が発表してきました。また、広島市PTA協議会主催の「いじめ問題子どもサミット『つなげる心』」に中学生125名が参加し、「発見しづらいいじめについて、クラスメイトの自分たちはどうしたらいいのか?」というテーマで意見交流し、深く話し合うことができました。
課題としては、各学校の児童生徒による主体的ないじめ防止の取組をより一層充実させるため、引き続き各学校の好事例を収集・周知する必要があると考えています。
続きまして、2、令和6年度の取組の方向性についてです。
まず、大きく変更した点について御説明します。大きな変更点は、取組の柱です。これまでの取組は、5本の柱に沿って行ってきましたが、三つ目の柱、ライフスキル教育・Mlb教育の充実につきましては、各学校で実践が進み、定着が図られてきていることから、立ち上げ期から充実期と段階が進んだと捉えています。そこで、内容的には未然防止に係る取組に位置づけられると考えまして、(1)の支持的風土の醸成された学級づくりに係る取組の推進、この中に含め、3ページから4ページまでにあるとおり、柱を4本とさせていただきました。
また、もう1点、昨年度までは各柱に継続や新規など方向性を示していましたが、いずれも充実させていきたいと考えていますので、この分類は廃止といたしました。
では、柱の(1)から(4)までを説明させていただきますので、3ページにお戻りください。
まず、(1)支持的風土の醸成された学級づくりに係る取組の推進についてです。
教職員のさらなる資質向上と各学校における組織的な取組の推進を図るため、初めに御説明したハンドブックと、別冊「学校実践編」「学校実践編2.」を、生徒指導主事や教育相談・支援主任の先生方を対象とする研修や、各学校の校内研修などで活用していきたいと考えています。
また、各学校の学級づくりに係る取組状況につきまして、さらに好事例を収集し、令和7年度に向けてハンドブックの別冊「学校実践編3.」を作成していくことを考えています。
さらに、啓発動画「子どもの笑顔のために」の効果的な活用や、保護者、地域への学校のいじめ防止の取組などの発信について、好事例を収集し、各学校に周知したいと考えています。
ライフスキル教育につきましても、これまでに蓄積した効果的な実践事例やこれから収集できる実践事例をいじめ対策推進教諭の定期訪問や教育相談・支援主任を対象とする集中研修などにおいて周知していきたいと考えています。
また、Mlb教育につきましては、高等学校における全校実施を着実に進めることに加え、小・中学校で実施している指導案の改訂を行いたいと考えています。
次に、(2)いじめの積極的な認知に向けた教育相談の充実についてです。
教育相談が一層充実するよう、1人1台端末を活用したアンケートの工夫や教育相談の年間計画の作成など、各学校の実践事例をいじめ対策推進教諭や生徒指導課の指導主事による学校訪問の際に収集し、その好事例を様々な研修などの機会に共有できるようにしていきたいと考えています。
次に、(3)学年間・学校間の情報引継ぎの定着についてです。
「切れ目のない情報引継ぎ」は今後も一層定着させていきたいと考えており、そのために、引継ぎの実施状況を継続して把握し、必要に応じて改善を行いながら、園長会・校長会などで注意点などを周知していきたいと考えています。
また、学校間はもとより、学年間や異動のあった管理職・教職員などの関係教職員間での引継ぎ資料の活用について、その保管方法なども含めて好事例を収集し、周知していきたいと考えています。
次に、(4)児童生徒による主体的ないじめ防止に向けた取組の充実についてです。こちらは、開催が予想される文部科学省主催の「全国いじめ問題子供サミット」や本市PTA協議会主催の「広島市いじめ問題子どもサミット」への積極的な参加を呼びかけるとともに、引き続き、各学校の児童会・生徒会の取組について情報収集し、好事例について周知を図っていきたいと考えています。
最後に、参考として、4ページの下から5ページまで、いじめ防止対策に係る学校の取組状況をまとめていますので、お時間がある時に御覧ください。
なお、この資料に記載はありませんが、先ほど御覧いただいた別冊資料の一番最後のページに別添資料3として、「いじめ問題24時間電話相談窓口」カード及びポスターを御紹介しています。カードやポスター自体は以前からあったものですが、子どもたちにとってより身近なものとなるよう、昨年度初めて基町高等学校の生徒にデザイン制作を依頼したもので、令和5年7月に広島市内の各学校に配布しました。
松井教育長
ありがとうございました。
ただ今の説明につきまして、御質問等がありましたらお願いいたします。
井内委員
いくつかお尋ねしたいことがあります。まず、Mlb教育というのは何の略ですか。この中身についてあまりこの場で議論したことがないような気がするので、教えてください。
生徒指導課いじめ対策推進担当課長
Mlb教育は、Sosの出し方に関する教育のことで、広島市がオリジナルでネーミングをしたものになります。このMlbというのは、Making Life Betterという言葉の略で、より良く生活を送るという意味が含まれています。
小学校の5、6年生、中学校1、2年生、高等学校の1、2年生で、それぞれ年間1時間ずつ行う学習で、スクールカウンセラーと一緒に行います。
内容としましては、例えば、「絶対に誰にも言わないで」というふうに前置きされて、深刻な相談をされた時、どうすべきかを学んだり、怒りを感じた時にどうコントロールするか考えたりするような学習をしています。
井内委員
これは先生が行うということですか。
生徒指導課いじめ対策推進担当課長
教員とスクールカウンセラーが2人で、それぞれの対象の児童生徒にこの学習を行っています。
井内委員
マンツーマンでやるんですか。
生徒指導課いじめ対策推進担当課長
クラスでの一斉授業で行います。
井内委員
一斉授業でやるんですか。そうすると、スクールカンセラーの先生と担任の先生が掛け合いをするようなかたちで、いろいろなことを児童生徒に感じてもらうようなやり方をしているのですね。
生徒指導課いじめ対策推進担当課長
はい。
井内委員
どのぐらいの頻度でやっているんですか。
生徒指導課いじめ対策推進担当課長
これは年間各学級1時間ずつ時間を取ってやっています。
井内委員
ちょっと少ないような気がしますね。もう少し時間を取っても良いような気がしますね。
その中身をよく分かっていないから、どんな効果があるかということについて、見てみたいという感じがしますね。
生徒指導課いじめ対策推進担当課長
はい。ありがとうございます。
井内委員
はい。分かりました。
2点目の質問は、いじめ対策推進教諭という言葉が出てきますが、これは何人ぐらいいらっしゃるのでしょうか。おそらくいつかの学校をまとめて回っておられるだろうと思いますが、このシステムを教えてください。
生徒指導課いじめ対策推進担当課長
いじめ対策推進教諭は広島市内に8名おります。この8名がそれぞれ各区の拠点校に籍を置いておりまして、それぞれ中学校区の単位でいくつか学校の区を担当しております。拠点校を中心にして、それぞれ担当する学校を定期訪問するようにしております。8名で市内の全小・中・高等学校を定期的に回る中で、好事例を収集したり、各学校の困り事の相談に乗ったりしております。
井内委員
8名では、全中学校区に1人ずつというわけではなく、いくつかの中学校区をまとめてということになりますね。
生徒指導課いじめ対策推進担当課長
そうです。
井内委員
そうすると、その下に小学校がぶら下がっているとすると、各学校に回れる頻度はあまり高くはないないですね。
生徒指導課いじめ対策推進担当課長
そうです。ただ、いじめ対策推進教諭だけでなく、生徒指導課の指導主事なども各学校を回っておりますし、それ以外にも様々な形で学校に関わる職員がおりますので、情報共有をしながら、各学校のフォローにあたっているところです。
井内委員
では、このいじめ対策推進教諭は、先生たちを集めて、いろいろなワークショップみたいなことをやって啓発活動をしているという理解で良いですか。
生徒指導課いじめ対策推進担当課長
主には、訪問した学校で校長先生と話をする中で、学校の困り事であるとか、学校の実態の確認をしているということになります。
井内委員
いじめ問題について、日頃の悩みを校長先生から聞いて、それに対する解決のアドバイスをしていくというような形を主な業務とされているのですね。
生徒指導課いじめ対策推進担当課長
はい。併せて、それぞれの学校の好事例もその場で収集しますので、校長先生のお悩みに応じて、この学校ではこんな取組をしていたというアドバイス等もできます。また、それを生徒指導課に情報提供するように伝えております。その中で、先ほど御紹介しました学校の実践編のような形で、各学校に好事例を周知していきたいというふうに考えています。
井内委員
好事例を収集するという機能から言えば、それは大変良い形になっているでしょうね。
生徒指導課いじめ対策推進担当課長
はい。おっしゃるとおりです。
井内委員
はい。分かりました。
3点目は、情報引継ぎの充実について、具体的にはどういう改善をされたかということを教えてください。
生徒指導課いじめ対策推進担当課長
まず、引継ぎシートの作成を各学校には徹底をしているところです。各学校に渡しているものでは、例えば、家庭環境の課題であるとか、生徒間同士の課題であるとか、発育、発達段階に関わる課題であるとか、そういった詳細を書くシートを用意しています。それぞれの学年での交友関係等もそこに書き込めるようにしておりますので、まずはこの引継ぎシートをしっかり記入していただいて、それぞれの学年で必要なことを確実に伝達していくことを徹底しております。
それだけではなく、日頃の教職員のコミュニケーションも必要であると考えております。各学校の生徒指導部や校務の運営委員会等を中心に連携しておりますので、こちらとしても、様々な学校の工夫や好事例をしっかり捉えて、それぞれの学校に周知をしていきたいと考えております。
井内委員
引継ぎシートの内容は、漏らさずちゃんと引継ぎ項目を挙げることができるよう改善はされているのですね。
生徒指導課いじめ対策推進担当課長
はい。
井内委員
全体の教職員会議みたいなところで引継ぎについて話されるのも結構ですが、例えば、悩みなどを抱えている子どもが中学一年生から中学二年生に上がった時に、その担任の先生同士の引継ぎを中心に細かく情報伝達されるべきであると感じています。
先生同士の間の理解で解決できる問題があるならば、一緒に取り組んでいくみたいな姿勢を、是非、作ってもらいたいなというふうに思っています。
こういう報告書だけではどこまでやられているかという中身がよく分からないのですが、先生たちが見逃さないためにはやはり情報をしっかり持っているということが大切だと思うので、そこを一番徹底していただきたいと思いました。
生徒指導課いじめ対策推進担当課長
おっしゃられたように、学校の中での引継ぎを徹底していくということは大変大事なことだと思っております。教職員、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーも含め、チーム学校として取り組んでいけるよう、この内容については、様々な機会を捉えて学校長の方にも周知をしていきたいと思っております。
井内委員
人員を増やすと同時にきちんとしたチーム学校としての組織建てができつつあるというふうに思うので、上手くそれを機能させて、一人一人の子どもの、周りにたくさんの方がいるという形を作れるような、きめの細かさというのを是非、お願いしたいというふうに思います。
生徒指導課いじめ対策推進担当課長
はい。承知しました。
ありがとうございました。
西委員
3点ほどお願いいたします。
まず、Mlb教育についてなんですけれども、3ページの5行目に、「全校実施により明らかになった課題を踏まえ、指導案を見直す」と書いてあり、また、令和6年度の取組でも指導案の改訂を行うというふうにお示しくださっているんですが、具体的に明らかになった課題とはどういうものなのか、教えてください。
それから2点目は、学校間の引継ぎのことなんですけれども、これについても、引継ぎが概ね定着したというふうにお示しいただいて、このことは大変喜ばしいことと思いますが、これにつきましても、令和6年度の取組の方向性のところでは、必要な改善を行うと記載していただいています。成果や課題を踏まえた必要な改善というのは、どんなことだというふうに捉えていらっしゃるのか、教えてください。
3点目は、広島市PTA協議会主催の「いじめ問題子どもサミット」に関することですが、125名が実際に参加し、そこで意見交流をされているということまでは素晴らしいと思うんですが、その意見交流した中身やそこから出てきた課題といったものを、この後どういう形でそれぞれ学校に持ち帰って、どのような手だてで参加者以外の生徒や学校に広めていくのか、分かれば教えていただきたいと思います。
生徒指導課いじめ対策推進担当課長
まず1点目、Mlb教育の課題についてですが、各学校で実施したところ、様々な意見をいただいております。例えば、学校に示している指導案の時間設定は1時間ですが、実際行うと2時間かかってしまったため、1時間の内容で収まるような指導案があると良いといった意見や、各学年の指導案が同じような内容になってしまうので、もう少しバリエーションを増やしてほしいといった課題が出てきておりますので、それぞれの学校の実態に応じた形で実施できるような指導案を考えていきたいと思っています。
2点目の引継ぎについてですが、例えば、3ページの(4)の「課題としては、」の部分に、引継ぎ資料の保管の仕方、それから記載内容の確認体制の構築というところがあります。保管の仕方で言いますと、データで管理をしている学校と紙ベースで管理をしている学校があります。紙ベースで管理している学校については、当然、個人情報にあたりますので鍵のかかるところにしまうように言っています。しかし、その保管場所が校長室にあると、来客中等、教職員が引継ぎシートを見られないということが課題として出ています。データの保管場所や記載内容の確認体制について、それぞれの学校の生徒指導部や校務運営委員会などで中身を確認しているところですが、確実な引継ぎができるような確認体制の好事例を集めていくことで、課題を抱えている学校への助けになるようにしたいと考えております。
生徒指導課課長補佐
3点目の広島市PTA協議会主催の「いじめ問題子どもサミット『つなげる心』」の所に書かせていただいている今後の課題ですが、PTA協議会主催のものだけでなく、その上の段にある本市の取組も含め、総括して書かせていただいています。
PTA協議会主催の「いじめ問題子どもサミット」での一番の成果は、子どもたちがそれぞれ我が学校のことをしっかり交流できたというところにあったと思います。これは子どもたちの間でも、やはり他の学校がどのような取組を行っているかが非常に大きな原動力になってまいりまして、それを伝える側にとっても、自分たちの取組が素晴らしいと感じることで自尊感情が高まり、自信につながるということがありますので、こういう機会を通して、本市全体の学校が情報収集するとともに達成感、自己評価を高めていくということで気運が非常に高まっていくということが成果として挙げられます。実際、文部科学省の「いじめ問題子供サミット」の方では、広島市内でたった1校の学校が東京まで行き、全国から集まった学校の同じような生徒会の代表たちの前でポスターセッションをして、ものすごく貴重な経験をしていて、これを自分の学校に戻って報告することで、学校全体の中で自分たちがやっていることについての価値付けが行われますし、その子たちがまた来年、PTA協議会主催のこういったサミットがあった時に、その情報を生の声で発信していけるのではないかと考えておりますので、私たちがしっかりと仲介役になって、各学校に情報共有させていくことが重要であると考えております。
西委員
ありがとうございました。
発表した子どもたち、あるいは討論に参加した子どもたちの自尊心や自信などが非常に高まったというのはよく分かります。それを、先ほどおっしゃっていただいたように、学校に帰って報告するということがやはり大事だと思っています。
報告する場面を教員がどのように設定するか、簡単なやり方だと、放送で流すとか、全校で集まった時に代表者が発表するとかいろいろあると思いますけれども、例えば学級に持ち帰ってそのことをテーマにさらに話し合うとか、様々な報告の機会の設け方があると思いますので、できるだけ幅広く定着するような工夫を各学校でしていただきたいと思っております。
資料を見ますと、集中研修とか校内研修とか、それから保護者に向けての啓発資料とか、いろいろなことを工夫していただいているので、非常にありがたく思っておりますし、これが定着していってほしいと心から思っております。よろしくお願いいたします。
伊藤委員
先ほどの引継ぎのところですけれども、「課題としては、」ということで、記載内容の確認体制の構築ということの御説明がありました。
その記載内容の確認という部分について、例えば、小学校の引継ぎシートが中学校の方に引き継がれて、そこで担任がその引継ぎシートを確認し、また、それが1学年から2学年、3学年と学級が変わるごとに担任に引き継がれていくものかなというふうに思っていたんですけれども、先ほどの説明では生徒指導部で確認するという言葉がありました。確認するのは生徒指導部なのでしょうか。
生徒指導課いじめ対策推進担当課長
それぞれの学校で、生徒指導部であったり校務運営委員であったり、確認する教職員は決めていますが、委員がおっしゃられたように、小学校から中学校への引継ぎというのも当然ございます。学校間の引継ぎにおける課題として、小学校から上がってきた引継ぎシートが、中学校が必要な内容とは異なっていたということもありました。これについては、学校間で普段から引継ぎシートを意識した連携をすることで、例えば中学校は、こんな情報が欲しい、もっとこういうことを知りたい等、必要な情報がなにかということを連携する中で話し合い、それぞれ学校間で引継ぎができるように体制が整いつつあるという状況です。
伊藤委員
中学校の欲しい項目、内容があるならば、小中または中高の間で引継ぎシートの内容を修正していく、バージョンアップしていくということがやはり必要ですよね。
生徒指導課いじめ対策推進担当課長
はい。おっしゃる通りだと思います。
伊藤委員
必要な内容と異なる情報が引き継がれるということでは、役に立たない。その改善を今、行っているということですね。
その引継ぎシートの内容は実際に担任が必要とするものかと思っていたんですけれど、担任だけでなく、生徒指導部などそういう担当の方々も組織的に確認するということになるのですか。
生徒指導課いじめ対策推進担当課
何か生徒指導上の課題があった時には、チーム学校として、必要に応じて、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、生徒指導主事等、様々な教職員で検討会議を開くなどの対応をしておりますので、担任1人の目で見るものではなくて、複数の目から見て必要な情報が入っているかどうかというのを確認するのは非常に大切なことだと思っております。
伊藤委員
生徒指導部等が確認した上で、担任等とチームを組んで対応して、記載したものが引継ぎシートだということですね。
生徒指導課いじめ対策推進担当課長
そうです。
伊藤委員
分かりました。ありがとうございます。
一橋委員
いじめの問題で、このような幅広い取組をされているのは、改めて感心をさせていただいたんですが、一点だけ質問があります。
5年度の総括と6年度の取組ということですから、まず、5年度の総括をしなければならないと思うんですけれども、先ほど御紹介いただいた2番目の資料の1ページの上の方に、グラフがあります。まず一つは、この認知件数はどのようにして集めるのでしょうか。
生徒指導課いじめ対策推進担当課長
いじめの認知件数については、各学校で子どもやその保護者から、いじめの被害にあったという連絡が学校にある場合や、学校の教職員が現認する場合等があります。その上で、被害・加害両方から聞き取りを行い、事実であると確認したものを認知件数としております。
教育委員会は、今お話ししたいじめや暴力、不登校といったような諸課題の報告が毎月、各学校からあるので、それで認知件数を確認しております。
一橋委員
ということは、これは学校がいじめだと認知をしたものということですね。
生徒指導課いじめ対策推進担当課長
はい。
一橋委員
なるほど。あまり詳しいグラフではないのでその詳しい件数は分かりかねますが、全国が黒い折れ線で、政令指定都市はさらにその上をいっていますから、都会は多いんだなという感じは普通にしますね。
それに対して広島市は下の方にあるので少ないということになっているわけですけれども、その理由はどういうふうに総括されたのでしょうか。
それから、下に今度は暴力件数とありまして、これは広島の方が高くなっております。これについてはどういうふうに総括をされたのかお聞きしたいと思います。
生徒指導課いじめ対策推進担当課長
いじめの認知件数と暴力行為の発生件数、それぞれ1,000人あたりの平均値ということになっています。これは全国の平均との比較にはなっていますが、そこよりも件数自体が増えてきているということに注目をしているところです。
理由としては、一つは、学校として、ささいないじめ行為や暴力行為を見逃さないようになったということがあると思っております。
もう一つ、大きな課題は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、マスクをする、ソーシャルディスタンスを取る等、制約が多くありました。このような制約が、子どものコミュニケーション能力の発達に影響を与えているのはないかと考えております。その中で、子ども同士のトラブルが増えてきているのではないかと考えているところです。
一橋委員
おっしゃるとおりの理由が大きいとは思いますけれども、一つは、小さいものまで報告をしてもらうことによって、いじめに対する姿勢の厳しさを表すことによって件数が増えたというのもあると思いますが、それだけの総括というのはちょっと気になります。もう少し丁寧に分析をしてもらいたいというのが一つ要望であります。
それから新型コロナウイルスの問題も、もちろん、社会的な問題なので、影響は大きいと思いますけれども、それ以外に自分たちの学校や広島市の全体の傾向でも、そういうものの固有の原因はないのかというところをやはり分析していただいた方が良いと思います。すべて社会が悪いといったことではなく、社会全体の影響も大きいとは思いますけれども、その辺りをもう少し丁寧に総括をいただきたいと思います。
それから、総括というと我々はとにかくデータを見ます。言葉ももちろん大事ですが、そういう意味では、例えば小中高の区分ごとのもう少し詳細なデータは無いのでしょうか。
生徒指導課いじめ対策推進担当課長
はい。これはあくまで学校の実践編ということで作成をしておりますので、細かいデータは載せていませんが、事務事業点検等に詳しい情報がございます。
一橋委員
それは公開されているものですか。
生徒指導課いじめ対策推進担当課長
はい。
一橋委員
そういったデータが公開されているということを教えていただければ、後で確認をさせていただきます。
松井教育長
5年度分の数字については、今はデータの取りまとめ中ではないですか。
指導担当部長
文部科学省が全国の調査をしているのですが、令和5年度については今取りまとめ中です。
一橋委員
このデータは4年度ということですか。
指導担当部長
4年度です。
5年度のデータは文部科学省が今とりまとめています。秋頃に、国が発表し、その後、市が発表します。そのときには、1,000人あたりのデータを出して、また教育委員会議の方に報告をさせていただくという形でございます。
一橋委員
分かりました。
秋田委員
3ページの引継ぎ資料の保管のことで、紙ベースでない場合は、データ上パスワードを入力してアクセスして運営するという方法になりますか。
生徒指導課いじめ対策推進担当課長
はい。学校の中のネットワーク環境は、その学校の管理系という、学校の中だけで完結をする外部とは接触しないシステムがありますので、その中で管理をするようにしています。
秋田委員
その場合、その引継ぎ資料への記入権限は、例えばスクールカウンセラーや生徒指導の先生や担任の先生など、いろいろな人が書き込むことができますか。
生徒指導課いじめ対策推進担当課長
それぞれの担任が責任を持って書き込むこととしています。
秋田委員
もちろん担任がメインだとは思うんですけれど、例えばその子が通級指導を受けている場合に、通級指導の先生の方が発達課題についてはより詳しいと、その先生の記入もあった方が良いのかなと思いましたが、それはできないということですか。
生徒指導課いじめ対策推進担当課長
基本的には、引継ぎシートの中というよりは、通級の担任と学校の担任との情報共有をしながら、必要な情報については書き加えていくという形をとっています。
秋田委員
では、翌年の担任の先生はその前の担任が書かれたものにアクセスできるということですか。
生徒指導課いじめ対策推進担当課長
はい。そのとおりです。
秋田委員
例えば、あまりないかもしれないですけれど、いじめを受けて他の学校に転校する場合は、先ほどの情報は学校だけのネットワークとおっしゃったので、プリントアウトをして紙ベースにして別の学校に提供するということですか。
生徒指導課いじめ対策推進担当課長
はい。個人情報には充分配慮をした上で、転校先の学校へ情報提供を行っております。
指導担当部長
学校のサーバーには教員しか入れませんので、通級の先生等の情報は他の学校から紙ベースで来たものを打ち込んでいくという形になります。同じ学校であれば同じベースに入れるので、生徒指導主事が通級でいただいたデータを打ち込んでも良いですし、担任が打ち込んでも良いですし、学年主任が打ち込んでも良いです。
引継ぎについて、基本的に今は紙ベースで行っています。将来的にはデータ化されていきますが、そこにはアクセス権があったり、個人情報の問題があったりするので、今は教員しか入れないという形の中で、情報セキュリティを徹底しているところです。
秋田委員
通級の先生も教員だと思いますが、同じ学校に通級のクラスがある場合はサーバーに入れるということですか。
指導担当部長
はい。違う学校からは入れませんが、同じ学校内だと入れます。
秋田委員
それと、先ほどのMlb教育についての説明で、「絶対言わないで」ということとアンガーマネジメントのことの二点がありましたが、「絶対言わないで」ということで思い浮かべるのは、一橋のロースクールでLgbtqの相談を受けた子がアウティングをして、アウティングされた方が自殺なさった件がありました。参考の中で「広島修道大学の河口教授を招聘し、学校教育におけるLgbtqに係る対応について研修した。」とありますけれども、Lgbtqに関しても、「絶対言わないで」ということが大きく関わってくるのではないかなと思いながらお話を聞きました。
また、いじめに関していろいろ法律相談を受ける立場としては、教員も冗談の雰囲気の中でお葬式ごっこに参加した形になり、生徒が自殺した事件がありました。つい流れで、雰囲気で乗ってしまうということが人間あるものですから、やはり教員としては是認につながる言動に気をつけないと、学校の先生も一緒になっていじめたと捉えられて子どもがSosを出さなくなってしまうかもしれないということは、何度も繰り返し研修などで言い続けなければならないと思っています。
あと、いじめというのは、加害者と被害者が次々と変わっていくことがあるので、前回の行動では加害者だった子が1週間後には被害者になっているということがあります。あるいは、いろいろと他の子どもたちとハレーションを起こしてしまいがちな子どもに対して、またこの子かというレッテル貼りみたいなものを持ってしまうと、その子の被害が見えにくくなるという点がありますので、加害者になった児童ほどよく言い分を聞くということを、現場の先生方、日々やってらっしゃるのはよく分かっているんですけれども、繰り返し言い続けていただきたいと思っています。
生徒指導課いじめ対策推進担当課長
ありがとうございます。
委員おっしゃられるように、現行では、子どもが嫌な思いをした出来事を全部いじめと定義しています。いじめがあったから、加害者が悪いということではなく、いじめをそれ以上拡大させないということ、それから、加害側・被害側、どちらも人間関係で問題を抱えている場合もあります。学校は、それぞれの子どもから丁寧に話を聞き、気持ちに寄り添う必要があります。そのためにも積極的な認知をしていくということが大切だと思っておりますので、そのような取組を一層進めていきたいと思います。
それと、先ほど御質問がありました、いじめの認知件数の詳細な数字についてですが、令和4年度は、小学校が2,922件、中学校が978件、高等学校が23件、合計で3,923件です。
一橋委員
これを1,000人あたり直すと資料のとおりになるということですね。
生徒指導課いじめ対策推進担当課長
はい。そうです。
一橋委員
はい。ありがとうございます。
松井教育長
本件については、この程度にさせていただきたいと思います。
以上で本日の議題は終了いたしました。
これをもちまして、令和6年第7回広島市教育委員会議定例会を閉会いたします。
7 議決事項
なし
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