令和6年第14回教育委員会議(10月定例会)議事録
令和6年第14回 広島市教育委員会議議事録
令和6年10月29日(火曜日)、令和6年第14回広島市教育委員会議(定例会)を教育委員室において開催した。
1 開会及び閉会に関する事項
- 開会 午前9時30分
- 閉会 正午
2 教育長及び委員の出席者
教育長 松井 勝憲
委員 秋田 智佳子
委員 伊藤 圭子
委員 西 敦子
委員 一橋 信之
委員 砂橋 昌義
3 事務局等の出席者
- 教育次長 木村 滋宏
- 総務部長 石橋 正啓
- 学校教育部長 宅見 雄二
- 指導担当部長 星野 和敏
- 教育センター所長 川口 潤
- 総務課長 田尾 雅之
- 教職員課長 森田 健嗣
- 教職員課服務・健康管理担当課長 中田 晋介
- 指導第一課長 高田 尚志
- 指導第二課長 長屋 吉輝
- 市民局文化振興課長 尾高 直浩
4 傍聴者等
4人
5 議事日程
議題1 令和6年度全国学力・学習状況調査の結果について(報告)
議題2 広島市こども文化科学館リニューアル基本計画の策定について(報告)
議題3 教職員の人事について(代決報告)【非公開】
6 議事の大要
松井教育長
ただ今から、令和6年第14回広島市教育委員会議定例会を開会いたします。
本日は、傍聴の方もお見えになっておられますが、お手元にお渡ししております注意事項をよくお読みいただき、静粛に傍聴していただきますようお願いいたします。
今回から、井内委員に代わり、新たに砂橋委員に御出席をいただいておりますので、御紹介します。
砂橋委員
砂橋でございます。よろしくお願いいたします。
松井教育長
また、議事に入ります前に、教育長職務代行者の指名について報告をいたします。
地方教育行政の組織及び運営に関する法律第13条第2項では、教育長に事故がある場合などに事務に支障を来すことがないよう、あらかじめ委員の中から教育長の職務を代行する者を指名することとされております。
この規定に基づきまして、井内委員に代わり、10月4日付けで、秋田智佳子委員を職務代行者に指名いたしましたので、御報告をいたします。
秋田委員
よろしくお願いします。
松井教育長
本日の議事録署名者は、秋田委員と一橋委員にお願いをいたします。
それでは、これから日程に入ります。
本日の議題は、お手元の議事日程のとおりであります。
なお、本日審議予定の議題3につきましては、広島市教育委員会会議規則第5条第1項第4号「事務局及び教育機関の職員の分限及び懲戒に関すること」に該当することから、会議を非公開といたしたいと思いますが、御異議ございませんでしょうか。
(異議なし)
異議なしと認め、議題3につきましては非公開として審議することに決定をいたしました。
ここから議題に入ります。発言者は、できるだけ簡潔明瞭に、全員に聞こえるような声で発言をお願いいたします。
議題1の「令和6年度全国学力・学習状況調査の結果について」を議題とします。本件は報告案件です。内容について、指導第二課長から説明をお願いいたします。
指導第二課長
議題1「令和6年度全国学力・学習状況調査の結果について」報告させていただきます。
資料の2ページを御覧ください。1の調査の概要については、(1)の調査の目的にのっとり、実施いたしました。(2)の調査対象は、小学校第6学年は140校、実施人数は10,103人で、中学校第3学年は64校、実施人数は8,636人です。(3)の調査期日は、令和6年4月18日木曜日です。(4)の調査内容の丸1、児童生徒に対する調査のア、教科に関する調査について、今年度は、国語・算数数学を実施しました。
続いて、次のページを御覧ください。2、調査結果の概要について説明します。(1)の各教科の平均正答率について、7月にも速報でお伝えしておりますが、この度、新たに砂橋委員が就任されておられますので、改めて伝えさせていただきます。
各都道府県教育委員会及び各指定都市の結果については、整数で公表されています。また、表中の広島県の数値は、広島市を含む数値となっております。
まず、小学校について、太線で囲んでいる令和6年度のところを御覧ください。本市の調査対象校の状況について、太字で示しておりますように、平均正答率は国語が69%、算数が64%であり、いずれも国の平均正答率よりやや高く、県の平均正答率とほぼ同じとなっております。
次に、中学校について、太線で囲んでいる令和6年度のところを御覧ください。平均正答率は、国語が57%、数学が51%でした。国語、数学ともに国、県の平均正答率よりやや低い結果でした。
また、表を御覧いただきますと、昨年度の平均正答率の差が大きい教科もあります。具体的には中学校の国語になりますが、文部科学省において、各年度の問題の難易度を厳密に調整する設計とはしておらず、年度によって出題内容も異なることから、過年度の結果と単純に比較することは適当ではないとしていますので、補足させていただきます。
続いて、(2)正答数の分布状況について説明します。別紙1を御覧ください。上段の表が小学校調査で、下段の表が中学校調査の正答数の分布状況を示しています。それぞれグラフ中にある二つの棒線は、おおむね学習内容が定着していると判断される正答率60%と、課題の目安である30%を示しており、四角囲みで、本市と全国の、30%未満、60%以上それぞれの児童生徒の割合を示しております。
本市としましては、学力向上に向けて、正答率30%未満の児童生徒の割合を減らしていくことを目指しております。特徴の欄の黒丸は、課題が見られる点を示しております。
それでは、まず、上の表の小学校について説明いたします。各教科、全国平均と同様の分布の形になっております。また、正答率30%未満の児童の割合は、国語、算数ともに全国平均より低くなっています。
続いて、下の表の中学校の正答数の分布状況を御覧ください。各教科、全国平均と同様の分布の形になっています。また、正答率30%未満の生徒の割合について、国語、数学ともに全国平均よりやや高くなっており、課題が見られます。これらの状況をもう少し詳しく御説明いたしますので、次のページを御覧ください。
別紙2は、各教科の調査結果及び課題のある設問についてです。資料の見方としては、上段の左側が小学校の国語、右側が算数、下段の左側が中学校の国語、右側が数学となっています。これら各教科について、1、集計結果に学習指導要領の内容・領域や評価の観点別に平均正答率を示しています。また、2、課題のある設問として、各教科平均正答率が60%未満の問題の中で、全国平均に比べて正答率が低い問題や無回答率が高い問題、継続的に課題になっている内容など、指導の改善や工夫が必要であると考えられる問題を示しています。中学校については、国語、数学とも全国平均を下回っていることから、課題となる設問を二つ掲載しております。
別紙2の説明に入る前に、次のページから、別紙3-1から別紙3-6がございます。これは、各教科の課題のある設問について、実際の設問とその設問を活用して系統的に指導の改善や工夫ができるよう指導のポイント等を示したもので、毎年、これらをまとめて冊子に掲載し、各学校に配布するとともに、校長会や教員の研修の機会などで指導主事が指導、助言する際に活用しております。
それでは、別紙2にお戻りください。左上にあります小学校の国語の調査結果、1、集計結果を御覧ください。まず、表の見方を説明します。学習指導要領の内容、評価の観点、問題形式の三つの分類により、全14問をそれぞれ分類しております。例えば、学習指導要領の内容の知識及び技能の(1)言葉の特徴や使い方に関する事項に関する問題が14問中4問あり、その4問の平均正答率が本市で65.1%となっています。数学では、学習指導要領の領域となっていますが、同様に見ていただければと思います。小学校の国語では、どの区分もおおむね平均正答率が全国平均を上回っていますが、学習指導要領の内容においては、知識及び技能の(3)我が国の言語文化に関する事項に関する問題の平均正答率が全国と比較してやや低くなっています。
次に、2、課題のある設問を御覧ください。平均正答率が60%未満であった、目的や意図に応じて、事実と感想、意見とを区別して書くなど、自分の考えが伝わるように書き表し方を工夫することについて課題が見られました。
続いて、右上の方の小学校算数の調査結果についてです。1、集計結果ですが、国語同様にどの区分もおおむね平均正答率が全国平均を上回っていますが、学習指導要領の領域において、C、変化と関係の領域の平均正答率が他の領域と比較して低く、全国と比較してもやや低くなっています。
2、課題のある設問を御覧ください。平均正答率が特に低かった、球の直径の長さと立方体の一辺の長さの関係を捉え、立方体の体積の求め方を式に表すことに課題が見られました。
続いて左下、中学校の国語の調査結果になります。1、集計結果ですが、学習指導要領の内容において、知識及び技能の(3)我が国の言語文化に関する事項以外の領域で、平均正答率が全国平均をやや下回る結果になりました。
2、課題のある設問です。平均正答率が60%未満であり、国との差が大きかった、必要に応じて質問しながら話の内容を捉えること、文章と図とを結びつけ、その関係を踏まえて内容を解釈することができることに課題が見られました。
続いて、右下の中学校数学の調査結果についてです。1、集計結果ですが、学習指導要領の領域において、全ての領域で平均正答率が国と比較して低くなっております。2、課題のある設問です。平均正答率が60%未満であり、国の平均正答率との差が大きかった、複数の集団のデータの分布の傾向を比較して読み取り、判断の理由を数学的な表現を用いて説明すること、事象を数学的に解釈し、問題解決の方法を数学的に説明することができることに課題が見られました。
続いて、別紙3-1から別紙3-6を御覧ください。先ほどの各教科の課題のある設問に対して、改善方法を示しております。左側では、課題のあった問題と学習指導要領における領域・内容、正答及び正答率、主な誤答とその要因を示しています。右側では、内容の系統と指導のポイント及び活用の手順を示しています。
本日は、時間の関係上、小学校算数、中学校数学について御説明させていただきます。
別紙3-2を御覧ください。小学校算数の課題は、球の直径の長さと立方体の一辺の長さの関係を捉え、立方体の体積の求め方を式に表すことでした。対象の問題は、直径22センチのボールがピッタリと入る立方体の箱の体積を求める式を答えるというものです。正答は、22×22×22と解答しているものですが、円周率の3.14を用いた式を解答した児童が16.3%ございました。
右側になりますが、改善に向けて、小学校3年生で、ボールなどの直径を調べる活動により球の直径について知り、5年生で、身の回りにある立方体の体積を求める活動により、体積の計算による求め方について理解することができるようにし、また、5年生で、身の回りの形から図形を捉え、図形が長方形と円でできているなど図形を構成する要素を見出し、課題を解決するために必要な情報を自ら選び出すことができるようにすることが指導のポイントであると考えております。
次に、11ページになります、別紙3-6を御覧ください。中学校の数学の課題は、複数の集団のデータの分布の傾向を比較して読み取り、判断の理由を数学的な表現を用いて説明することと、事象を数学的に解釈し、問題解決の方法を数学的に説明することができることの二つが挙げられますが、この度は、後者について、関数の領域で、本市の生徒の継続的な課題であることから、こちらの課題を取り上げて御説明いたします。
対象の問題が、18リットルの灯油が入ったストーブについて、x時間経過した時の灯油の残量をyリットルとしたとき、「強」の設定の場合と「弱」の設定の場合をそれぞれ表した式やグラフから18リットルの灯油を使い切るまでの「強」と「弱」の場合の使用時間の違いがおよそ何時間になるかを求める方法を説明するものです。正答は、それぞれの式にy=0を代入し、xの値の差を求めるや、それぞれのグラフのyの値が0の時の二点間の距離を読み取るなどですが、グラフのyの値が0の時に着目する記述がなかったり、グラフを用いることのみの記述にとどまっていたりするなど、グラフを使った求め方を数学的に表現できなかった生徒が21.2%でした。
右側になります。改善に向けて、小学校6年生でグラフから数量の関係を読み取り、児童自身の言葉で説明できるようにし、中学校1年生で比例・反比例、中学校2年生で一次関数を用いて具体的な事象を捉え、問題解決の方法をグラフなどを使って数学的に説明できるようにすることが指導のポイントであると考えております。
続きまして、別紙4-1を御覧ください。こちらは、児童・生徒質問紙調査と学校質問紙調査の結果についてまとめたものです。表の中央から右に向けて、それぞれの項目の結果を、調査が実施されなかった令和2年度を除き、平成31年度から令和6年度まで掲載しております。
表の一番下に凡例として示していますとおり、表中の網掛けは全国平均を上回っている項目を、横線は質問項目がその年度にはなかったことを、令和6年度の括弧は全国平均を示しております。また、学力との相関の欄に丸がついた項目については、令和6年度の国の報告書において、学力との間に一定の関係が見られるとされた項目です。なお、回答が特定の選択肢に偏っている項目については、正答率との相関関係が表れにくくなっており、同じ項目でも回答状況によって相関関係が見られる年度と見られない年度がございます。
まず、児童・生徒質問紙における(1)学習意欲に関する項目についてです。国語・算数・数学の勉強が好きという質問に対して、小・中ともに肯定的回答をした児童生徒の割合は、全国平均と比較しても、中学校数学は同程度、その他は低い状況です。
次に、(2)自尊意識に関する項目についてです。丸1の「自分にはよいところがある」という質問については、前年度までに引き続いて、肯定的回答をした児童生徒の割合が、小・中ともに全国平均と比較して高い状況です。また、丸4「地域や社会をよくするために何かしてみたいと思う」という質問については、肯定的回答をした児童生徒の割合が、小学校では全国平均と比較して1.4ポイント高く、小・中ともに前年度を大きく上回っております。
続いて、(3)主体的・対話的で深い学びに関する項目についてです。丸1の「課題解決に向けて、自分で考え、自分から取り組んだ」という質問については、肯定的回答をした児童生徒の割合が、全国平均と比較して小学校は同程度、中学校は0.6ポイント低い状況です。丸2の「自分の考えを発表する機会では、自分の考えがうまく伝わるよう、資料や文章、話の組立てなどを工夫した」という質問について、肯定的回答をした児童生徒の割合が、小・中ともに全国平均と比較して低い状況です。
一方で、前年度と比較すると、丸1の質問の中学校以外は前年度より2ポイント以上上回っており、主体的・対話的で深い学びに向けた授業改善が進んでいると考えられます。なお、丸1、丸2の項目については、学力との相関があることを踏まえて、各学校への指導助言や指定校の取組等に生かしてまいります。
続いて、(4)学習・生活習慣についてです。丸1の学校の授業以外の普段1日当たりの勉強時間については、30分以上していると回答した児童生徒が小・中ともに全国平均と比較して低く、丸2の普段1日当たり携帯電話やスマートフォンでSNSや動画視聴などをする時間が1時間以上であると回答した生徒が、全国平均と比較して中学校では高い状況です。
SNSや動画視聴などをする時間は、令和4年度と比較すると、小学校は2.3ポイント、中学校は4.3ポイント上回っています。これらを改善するためには家庭との連携が不可欠であることから、現在行っている10オフ運動等の機会を活用しながら、家庭と連携した取組をより一層進めていきたいと考えております。
続いて、学校質問紙における(5)指導方法に関する項目についてです。丸1の「学習指導において、児童生徒一人一人に応じて、学習課題や活動を工夫した」という、個に応じた指導に関わる質問について、肯定的回答をした学校の割合は、小・中ともに全国平均と比較して低い状況で、特に中学校においては全国より16ポイント低く、前年度を25ポイント下回っています。
このことについて、具体的な状況を知るために、何校かの中学校校長に聞き取ったところ、生徒指導上の課題があり、前年度に比べると個に応じた指導が十分にできていなかったという意見が一部ありましたが、主な理由としましては、前年度との指導に大きな変化はないものの、校長会の研修等を通して、もっと一人一人の実態に応じた指導を工夫していかなければならないという課題意識を持ったことから、個に応じた指導ができていないという認識の回答としたとのことでした。
こうしたことを踏まえ、学校訪問等を通して学校長が感じている課題をしっかりと聞き取り、ICTの活用も含め、個別最適な学びをより一層推進できるよう支援していきたいと考えております。
また、丸3の「算数・数学の授業において、実生活における事象との関連を図った授業を行った」の質問について、肯定的回答をした学校の割合は、小・中とも全国平均と比較して低い状況です。こちらも、特に中学校においては全国より11.9ポイント低く、前年度を9.4ポイント下回っています。
このことについて、これも、あまり行っていないと回答した学校の数学の教員に話を聞いたところ、昨年度の2年生に対して、基礎学力の定着に力を入れたため、前年度より実生活と関連のある課題をあまり扱えなかったという回答がございました。今年度、数学の指定校の公開研究会や市内の中学校教育研究会等で、実生活と関連のある課題を扱った授業を公開したり、指導・助言の際に好事例を紹介したりするなど、授業改善を現在進めているところです。
最後に、別紙4-2を御覧ください。こちらはICTを活用した学習状況について、児童・生徒質問紙調査と学校質問紙調査の結果をまとめたものです。児童・生徒質問紙、学校質問紙ともに肯定的回答が全国平均と比較して低い項目があるものの、前年度と比較すると、ほとんどの項目で前年度を上回っており、特に児童生徒の一人一人に配布されたタブレット端末の活用については伸びてきていると考えられます。
国の報告では、ICTを活用した学習状況について、個々の項目と学力の相関があることは示されておりませんが、課題解決に取り組む学習活動を行っている学校ほど、考えをまとめ、発表・表現する場面でICTを活用しており、その両方に取り組んだ学校の児童生徒は正答率が高い傾向があることが示されています。
別紙4-2の下部の参考を御覧ください。このグラフは、本市において、授業で生徒自ら課題を設定し、その解決に向けて話し合い、まとめを表現するなどの学習活動を取り入れたという項目と、自分の考えをまとめ、発表・表現する場面でタブレットなどのICT機器を週3回以上使用させたの二つの質問項目に対する各学校の回答を、「当てはまる」、「当てはまらない」で4グループに分類し、グループの学校の平均正答率を集計した結果です。
A、B共に当てはまるグループとA、B共に当てはまらないグループでは、各教科の学力に5ポイント以上の差が見られます。学習におけるICTの活用については、ただ使う頻度が増えれば学力が向上するというものではないと考えられることから、今後、課題解決の学習で自分の考えをまとめたり表現したりする場面で活用するなど、より効果的な活用方法を指定校で研究し、好事例を周知していきたいと考えております。
なお、本調査で出てきた課題については、各学校に配布する報告書で周知するとともに、課題への対応策の好事例を収集し紹介するなどして改善を図っていきたいと考えております。
以上、「令和6年度全国学力・学習状況調査の結果について」報告させていただきました。
松井教育長
ありがとうございました。
ただ今の説明につきまして、御質問等がありましたらお願いいたします。
伊藤委員
全体的に、特に中学校の場合、全国また県よりも点数が下がっていることが、憂慮するところかと思います。 別紙4-2において、ICTの使用について、丸5で「ICT機器を、児童生徒が自分の考えをまとめ、発表、表現する場面に週一回以上活用した」というところでは、ICTの使用に関して、前年度との差が、特に丸4のところでは中学校で12.5%、丸5では小学校で12.6%と、小・中ともに、ICTを使用、活用して授業するという取組が進んでいるということで、喜ばしいことだと思います。
一方、別紙4-1の学校質問紙の(5)の(1)の指導方法に関して、「学習指導において、児童生徒一人一人に応じて、学習課題や活動を工夫した」というところの、特に中学校で、マイナス25というふうになっていて、昨年に比べてかなり減少しております。先ほど御説明がありましたけれども、ICTが活用されれば、個に応じた指導がより充実してくるのかなと思っていましたが、その反対のような結果が出てきており、これはどうしてかと思いました。
そもそも、児童生徒一人一人に応じてというところに関して、インクルーシブな授業を行おうとする意識が強くなって、そこに課題意識を持っていらっしゃる先生方が、そこまで達していないという意識があって、このような回答になったとも考えられますけれども、その点はいかがでしょうか。
指導第二課長
ICTの活用について、例えば、別紙4-2の丸5の質問事項につきましては、中学校では上がってはきているものの、まだ全国平均と比べると10ポイント以上差があります。学校の中で一部でもICTを活用していれば使っていることになりますので、結果は70.3%になっていますが、その中で、個に応じたという指導にICTを活用しているかどうかというところが、それぞれの学校の中でもまちまちなところもありまして、学習支援システムの中で、ドリルパークというものがあり、そういったものを活用してICTを活用した指導を行うことができる環境を整えてはいますが、またそこが十分に使い切れていないという現状もあります。
ICTの活用の有無だけで、直接的に、別紙4-1の「学習指導において、児童一人一人に応じて、学習課題や活動を工夫した」という質問事項の数値が下がったというよりは、個に応じた指導がどういったものなのかというところをしっかりと校長会等で研修をされた結果、今やっている指導がまだ不十分ではないかという認識を持つ学校が多くありまして、そういった影響で数字が大きく下がっている状況です。今後は、しっかりとそういった課題を聞き取りまして、先ほど委員がおっしゃったICTの活用も含めて、個別最適な学びを一層推進できるようにしていきたいというふうに思っております。
伊藤委員
もう一点の、児童生徒一人一人に応じてというところが、インクルーシブな授業を行おうとする先生方の意識が強くなり、もっとできるという気持ちが、昨年に比べて今年は回答率が低くなった要因であるということは考えられないでしょうか。
指導第二課長
はい。委員がおっしゃるとおりで、研修の中で、そういった児童一人一人に応じた指導がどういったものなのかということについて改めて再認識したところもございまして、そこの部分についてしっかりと研修等も含めて周知してまいりたいと思っています。
一橋委員
個別の問題ではなくて、大まかなことを一、二点お伺いしたいと思います。
一つは、この調査が、「義務教育の機会均等の維持向上の観点から」というふうに書いてあります。今回に限らず昨年度までもそうですが、自治体間、例えば本市と全国を比べるとか、それから、ここにはありませんが、これらの数字が教育委員会別に出ているのだとしたら、本市と広島県の他の教育委員会との比較をして、本市の良いところと悪いところを分析するのは分かります。機会均等という意味では、このテストはどういう狙いをしているのでしょうか。いわゆる競争テストという意味合いでしょうか。
指導第二課長
競争テストではなく、学習指導要領の内容がどれぐらい定着しているかという意味合いのテストであると認識しています。
文部科学省において、学習指導要領に沿って、こういった問題ができるようになってほしいというところを問題として作成されており、個々の身につけてほしい力がしっかりとつくような、学力向上に向けた視点が分かることと、その指導を教員がどのようにしていくかということの授業改善にもつなげていくために、この調査を活用しています。
一橋委員
そうすると、例えば、へき地などの地域による差や学校規模の大小によって、教育の提供が均等に行われていないなどということは、この調査では分からないということですか。
指導第一課長
学力の結果で、全国的にへき地と都市部で差があるかどうかといったことは、明確には分析しておりませんが、ただ、政令市どうしで比較をするとか、例えば、県内でも、山間部とその他の地域を比較することなど、意図的にこちらがしようと思えばできる部分はあります。
体力テストは、文部科学省がへき地と都市部での結果の差などの分析をしていますが、学力に関してはそういう視点では分析はなされていません。
広島市内で言うと、教育委員会は全ての学校の結果が入手できるので、それを踏まえて、山間部であるとか、島しょ部であるとか、教育委員会の中でそれぞれの学校に違った働きかけをしているところではあります。
一橋委員
地域に応じた差はありますか。
指導第一課長
場所というよりも、学級規模、1クラスの学校と3クラスの学校とを比較すると、母数が大きい方が数値として安定してくるので、人数が少ないところは、その年その年の状況によって大きく変動していくという傾向はございます。その変動の幅が広いので、結果として、ちょっと結果が思わしくないということが多いというところがあります。
一橋委員
なるほど。よく分かりました。
もう一つは、正答率をずっとお話されていますけれども、正答率というのは、学校間の競争に活用したり、全国の平均と比べたりするという意味では良いと思います。しかし、教育が機会均等で、全ての境遇のこどもに均等に渡っているかどうかということを調査するのであれば、正答率ではなくて、例えば、ばらつきを活用した分析はされないのでしょうか。正答率が30%未満の児童生徒を少なくするというのは本市の一つ目標だというふうなことをおっしゃいました。正答率が30%未満の児童生徒の分布が、ものすごく広がっているような状態なのか、あるいは同じ正答率でも割とできるこどもとできないこどもの差が少ないのかなどといった分析はされないんですか。
指導第二課長
その部分につきましては、標準学力調査とは趣旨が違っておりますので、先ほどもお伝えしたように、学習指導要領の趣旨を問うものを示しているということで、本市教育委員会事務局としては、先ほどからお伝えさせていただいていますとおり、特に正答率30%未満のこどもたちが、どういう分布になろうとも学力が定着していないと位置づけて重要視しておりまして、そこに対しする改善の手がかりとしてのこのテストを位置付け、分析をしているところです。
一橋委員
それと、先ほど伊藤委員が聞かれたタブレットやPCを使った学習についてですが、今は学校で児童生徒一人あたりタブレットを一台配られるわけですよね。そのタブレットは家庭に持って帰れるものですか。
指導第二課長
はい。持ち帰りは可能です。
一橋委員
では、学校だけではなく、家庭でそれを使って勉強することはできるんですか。
指導第二課長
はい。学校だけではなく、家庭に持ち帰って勉強していただくことも可能で、学校で状況に応じて対応してもらっています。
一橋委員
分かりました。ありがとうございます。
西委員
この調査につきまして細かく分析をいただき、また、改善のための指導のポイントについて丁寧にお示しくださっていることを大変ありがたく思っております。
質問を四点ほどさせていただきます。昨年もこういった調査結果を拝見しましたが、昨年もやはり小学校は平均よりポイントが高く、中学校が下がっていく傾向があって、この傾向が続いているように思います。この傾向を打破していきたいと思っていますが、中学校になるとポイントが下がってくる理由や原因の予想やお考えはありますか。学習時間が少なくなっているといったことは調査の中では出てきていますけれども、それだけではなく、例えば、なぜ中学生になったら学習時間が急に下がってくるのかといったところまでの分析などはされていますか。
それから、二つ目は、別紙4-1にあります、学習意欲とか、自尊感情ですとか、そういうことの調査に対する回答の結果につきましては、数値は低いですけれども、前年と比べると多くの項目がアップしていて、指導の成果が出ているというふうに先ほど考察をいただきましたが、このことと学習の得点のポイントのアップは関係ないのかどうかということについてです。成果が出ているのであれば、それが点数の方に影響してきても良いのかなと思うんですけれども、そのことがうまく得点には反映されていないというところをどう解決すればいいのかということが二点目です。
三点目は、同じ別紙4-1の指導方法のところで、先ほどから、「児童生徒一人一人に応じて」や「実生活における事象との関連」と何度も出ておりますが、「児童生徒一人一人に応じて」というのは具体的にどういうことを指すのかというふうな、調査をするときの具体例みたいなことは示されているのかどうかということについてです。先生たちの感覚だけではなくて、こういうことをしていればこれは実生活における事象と関連付けたというふうに判断できるよというふうな、そういう具体例はあるのかどうかということが三点目です。
最後ですけれども、到達度が30%以下の学校につきましては、研究指定校のような形で、特に、例えば算数・数学の学力がアップするような指導の体制や放課後の支援ですとか、そういうことに取り組んでいらっしゃる状況を今までの学校訪問等で拝見したのですが、今回の調査の結果で、研究指定校として力を入れてきた学校の児童生徒の結果はアップしているのかどうかということをもし調査されているのであれば教えていただきたいと思います。
指導第二課長
はい。それでは、まず、一つ目の小学校から中学校に上がって、中学校のポイントが下がってくる理由についてですけれども、こちらの方は、令和3年度から家庭学習の時間が年々下がってきているのは全国的にも一緒で、小学校も中学校も下がってきております。中でも中学校の方は、かなり家庭学習の時間の下がり方というか、全国との差も広がっている状況もあります。土日にしっかり家庭学習をしている生徒の方が学力の得点率が高いという相関関係もありますので、そういった部分で言うと、やはり家庭学習の時間の差が大きな原因となります。まだ家庭学習が下がってきているということは正確な分析ではないんですけれども、別紙4-1の(4)の丸2にあるスマートフォンなどでゲームをする時間が中学校の方が増えてきています。それ以外にもスマートフォンやパソコンなどでゲームしたりする時間はスクリーンタイムという言葉で、体育の体力のところでも出てきましたが、そのスクリーンタイムが結構増えてきておりまして、そういった部分での習慣が関わって家庭学習の時間も減ってきているといったところとの関係も含めてあるのではないかなと思っています。もちろん学習内容も、小学校から中学校、中学校の中でも、1年生、2年生、3年生と上がっていくにつれて、その内容はやはり難しくなっていくというところもあるので、系統性があるところを繰り返し学習するように指導をしながら進めていくということも大切ではないかなと思っています。
指導第一課長
二つ目の学習意欲や自尊心感情のところは、表に示してあるとおり、学力と相関があるのは「算数・数学の勉強が好き」というところだけで、これが高ければ正解率が高いということなので、単純に言うと、こどもたちが好きだと思えるような授業改善をするということが重要です。その他では、「学校に行くのが楽しい」「自分にはよいところがある」という項目については、ちょっと複雑になりますが、それぞれ一人ずつに応じた学習をしているということと、友達と協力して学習しているという、この三つでの相関が出ています。ただ、学力との相関はそこには見られないので、どちらかというと、そういう学習の意欲のようなところは、学習形態によって高まるということが分析上は分かっています。あとは、そこと学力をどう関連付けるかということで、それを続けていくしかないのかなというふうには思います。ただ、おっしゃるとおりで、そういう学力が上がるための要素というのをこちらで分析をしながら、その項目をそれぞれ一つずつ見ていかないといけないというふうに思っています。
三つ目の「児童生徒一人一人に応じて」や「実生活における事象との関連」に該当する具体例は、この質問をするときには示していません。では、どうやってそれを示しているかというと、授業研究指定校の公開研をするときに、「一人一人に応じて」というのは、令和3年に出された令和の日本型学校の答申に書いてあるような、個別最適などのキーワードを使って、具体的には授業の中でこういう姿が個別最適というのを示したものですということを周知しながら、意識をしていただいているという状況です。
四つ目が、現在指定校になっている学校の全国学力・学習状況調査の令和6年度の結果を見ると、決して思わしい結果が出ているわけではなく、未だ全国平均に届かない学校がほとんどです。
ただ、その指定校が何も変わっていないということではなく、個別最適とか協働的な学習に取り組んできた中で、指定校には、年度始めと年度終わりに二回、標準テストを実施していまして、その標準テストでは成果が見られています。
また、こどもたちにアンケートをした結果、算数が好きであるとか、授業がよく分かるとかという項目では、少しずつ、良い数値が出ています。一番は、教員がこの研究に対して、意識をどれぐらい持っているかということに対しては、ほとんどの先生方が、今の学習指導要領の趣旨を理解して授業改善に取り組んでいる、取り組もうとしているという割合に関しては、すごく高い数値になっているので、まずはそういう準備ができていて、そこから、こどもたちの学力にどう影響してくるかというところだと思っています。引き続いて、学校と一緒に取り組んでいこうと考えております。
西委員
ありがとうございました。一点目について、中学校でポイントが下がっていくというのは、やはり生活習慣上の問題が大きいのではないかというお答えだったと思います。少し漠然としていますけれど、中学校になったらポイントが下がるのは、中学校の生活習慣も大きく関与している一方で、もしかしたら、小学校でやってきたことが、小学校ではできていても、内容が難しくなってくると思考する場面が増えてきて、数学脳というか、そういうものがうまく発達していっていないのかなと思いました。必ずしも中学校だけが問題ではなくて、算数や数学の系統性といった思考のステップみたいなものが、線としてうまく繋がっていないのかもしれないと思ったので質問させていただきました。
それから、調査の質問紙についてですけれども、先生方はやはり自分に厳しく、より課題を感じてくださっているので、調査結果としては数字が低く出ているのだと推察します。数値一つ一つを見て、上がったとか下がったとかいうことの判断が重要ではないと思いますけれども、自分がやっていることは一人一人に応じた指導の一つの方法だと自信を持って取り組んでいけば、自ずとここの数値は上がってくるのかなと思いました。
そして、研究指定校の取組ですけれども、他の調査ではちゃんと成果が出てきているということをお聞きしましたので、この取組をさらに進めていただくことを期待しております。よろしくお願いいたします。
秋田委員
私は毎年この案件で同じこと申し上げているんですけれども、やはり、無回答とか、誤答の生徒に確実に学力を身につけさせるために、同じ問題でもより簡単な問題でも良いんですけれど、時期をずらして、秋口とかちょっと落ち着いた頃に、それを分かっている子には、ちょっと答え言わずに黙っててねとかいう形で、着実に分からない子たちに身につけさせるために、一緒に考える場というのを作ってもらったらなと思います。その子が嫌な気持ちにならないように、楽しく、少しでもやる気がでるような工夫はしたら良いと思うんですけれど、全員が正答できるように、ヒントをたくさんいただきながらでも正答に導けるような場というのを作ったら良いなと思います。
SNSなどで偽情報を拡散してしまったりするなどの危険性のある時代に生きていますので、特に6ページの別紙3-1にありますように事実と感想、意見とを区別して書くなどの力を身につけさせるという意味でも非常に重要な問題だと思います。これを確実に身につけるために、時期をずらしてでも、あるいは問題を変えてでも、区別をするということを理解してもらうことがとても重要だと思います。
それから、12ページの別紙4-1で、左下に「算数・数学の授業において、実生活における事象との関連を図った授業を行った」という質問事項がありますけれど、やはり、家庭科でも理科でも算数でもどんな授業でも良いんですけれど、特に発達障害のこどもなどは、抽象的な物事の理解が難しく、具体的な物事で説明をすれば理解がしやすいということがありますので、そういった他の授業との関連も授業改善、教材改善などで工夫していっていただきたいなと思います。
スマートフォンとかゲームの問題も先ほど出ましたけれど、私は、こどもを今の放課後児童クラブにずっと行かせていました。そこの何が良かったかというと、そこに行っている間はそういったスマートフォンなどのメディアに触れることが一切できないので、迎えに行くときにこどもたちの様子を見ますと、学校から放課後児童クラブに着くや否や、こどもたちは全員、カバンからその日出された宿題のプリントとかノートとかを並べてやっていました。もちろん遊んだりもするんですけれど、夏休みもそういう規則正しい生活をさせてもらうので、そういう場は、いわば無料の塾と言えます。
やはり定員などの問題があって、なかなか全員が行けるわけではないので、教育の絆プロジェクトの放課後学習支援といった取組もありますが、教室などで先生が教えるという形でなくても、見守る形の人がついて、スタディサプリや英語ではキクタンなど、音が出るものであれば、ヘッドフォンを使うなどして、そういった学習教材などをこどもたちが選んで、自分で宿題をやるなり、無料で使える、落ち着ける場はこどもの居場所という意味でも大事です。
中学校の学習内容は今見ても本当に難しいと思いますし、勉強についていけないことは不登校の原因の大きな原因になっていると思いますので、その日に学校で分からなかったこと、ついていけなかったことを復習する場であったり、無料で、スマートフォンなどのメディアから隔離した状態で学べる場というのがあると良いのかなと思います。
砂橋委員
この資料を私は初めて今拝見させていただいたんですけれども、アンケートにおいて、異常な数値については追跡調査をして原因を明確に示していらっしゃるということで、素晴らしいなと思いました。それから、別紙3-3で、各教科の誤ったところについて、ここが間違っているよ、学び方については、指導のポイントで、時系列で学びが書いてあるということなので、このことについても素晴らしいと思いました。
学校に対してこの指導のポイントや授業の好事例も周知していらっしゃるということで、これは毎年されてらっしゃるわけですよね。このように、指示・通達したものが実際に動いているのかということは、お調べしていらっしゃるのか、もしあればお聞かせいただきたいと思います。上手く稼働しているのであれば、当然、学力が定着して、ポイントが上がっていくということが大きなパワーだと思っています。なので、教育委員会の方で作成されているすごくいい資料が、いかに現場で機能しているのか、分かれば教えていただきたいと思います。
指導第二課長
指導主事等が学校訪問という形で、学校の授業などを見に行ったりしています。そういった場を、こういった示したものがどういうふうに活用されているかというようなところを見る機会としておりまして、あまりよく活用されてないような場合でしたら、そこでこういった活用例もあるよということも周知している状況でございます。
ただ、学校の数が多いため、学校訪問の回数が限定され、ここができていなかったというところを明確に判断することができるような場面をちゃんと見ることができるかというところもあるので、その辺りは反省点ではあります。
今は、学力の向上を目指して学校が成果や課題を分析して改善計画を立てていますので、どのように取組をしているかということを、指導主事が訪問した際に指導・助言をしていっておりますので、そういったところを繰り返し丁寧にやっていくことで力をつけていくということを取り組んでいきたい、学校の教員の授業改善と個々の生徒の学力向上を図ってまいりたいと思っております。
砂橋委員
感覚的には、良いものが現場に入っているのにうまく回っているかどうかというところを疑問に思いましたので、今後は、是非ともこの取組がうまくいくことを願っております。
松井教育長
特に中学校の方が課題もあるということだとは思いますので、全体の底上げにつながるような教育につきまして、引き続き、様々な取組をしていただきますようお願いをいたしたいと思います。
では、本件につきましてはこの程度にさせていただきます。
続きまして、議題2「広島市こども文化科学館リニューアル基本計画の策定について」を議題といたします。
本件は報告案件です。内容につきまして、文化振興課長から説明をお願いいたします。
市民局文化振興課長
はい。それでは、広島市こども文化科学館のリニューアル基本計画の策定について、着席にて説明させていただきます。
説明資料ですが、議題2の資料のほか、資料1としてA3横の基本計画の概要版、資料2として、A4縦の基本計画の本編と別冊、資料編をお配りさせていただいております。本日の説明は、議題2の資料と資料1の概要版で御説明をさせていただきたいと思っております。
それでは、本編の資料の14ページをお開きください。まず、1の概要です。こども文化科学館は、開館から40年以上が経過しまして、施設の老朽化が進んでいることに加え、耐震化も未実施であること、また、常設展示の展示内容は20年以上大規模な更新がされていないということから、施設の耐震及び長寿命化の改修と合わせて展示内容のリニューアルを行うこととしまして、昨年5月、展示リニューアルの方向性等を内容とする「広島市こども文化科館展示リニューアル基本構想」を策定しました。この基本構想につきましては、昨年の教育委員会会議におきましても御報告させていただいたところです。
この基本構想を踏まえまして検討を行った新たな展示内容とともに、建物内のゾーニングなどについて、パネル展示及びアンケート調査を行った上で、このたび、各展示ホールの展開や新しい展示内容のイメージなどを内容とする基本計画を策定したものです。
2、広島市こども文化科学館リニューアル基本計画ですが、こちらの内容につきましては、資料1、計画の概要版にて御説明させていただきたいと思います。
資料1の概要版を御覧ください。まず、1はじめにですが、こちらは先ほどの概要説明の内容と一致しますので、2のリニューアルの内容から説明させていただきます。
まず(1)常設展示等です。常設展示の基本的な考え方ですが、来館者の興味の深度に合わせた3つの“楽しい!”を感じられる展示体験を提供いたします。
下の図を御覧ください。三つ赤丸がございます。左の赤い部分の「びっくりして楽しい!」ですが、こちらにつきましては、気軽にできる遊びや展示体験を通じて、科学の不思議に「ドキドキ」「ワクワク」する楽しさを提供し、科学の楽しさに気づくきっかけを作るという内容の展示です。
真ん中の青丸の部分、こちらは「わかって楽しい!」ということで、身のまわりの事物・現象を科学の視点で学び、理解する体験を通じて、知らなかったことを知る楽しさを提供し、科学を楽しむための知識を広げるといった狙いがございます。
一番右側のオレンジの部分ですが、これは「チャレンジして楽しい!」で、結果が決まっていない問いに取り組む体験、あるいは最先端技術に触れる体験を通じまして、未知なるものに挑戦・創造する楽しさを提供し、科学との向き合い方・楽しみ方を見出すという狙いとなっております。今回のリニューアルにおきましては、この三つの“楽しい!”を感じられる展示体験を提供しまして、「もっと探求したくなる科学館」を目指していきます。
次に、展示ホールの構成ですが、今回、建物は1階の一部と2階におきまして、今御説明しました三つの“楽しい!”を意識した展示ホールの構成を予定しております。なお、各展示ホールのレイアウトですが、こちらでお示ししておりますが、現段階でのイメージということで、今後実施する基本設計・実施設計におきまして詳細を検討していきます。
まず、(ア)展示ホールA、これは先ほどの図の赤丸に対応するということであります、ふしぎを感じよう!をテーマに、サイエンスショーですとか、遊び体験を通して、驚き、楽しみながら科学の不思議を体感できるエリアとします。
次に、展示ホールB・C・D、これは先ほどの青丸の部分と対応します。学んで知ろう!をテーマに、「科学の原理体験ゾーン」と「宇宙探究ゾーン」で構成するエリアとしています。
最後に、展示ホールE、これはオレンジ色の部分と対応しています。考えてやってみよう!をテーマに、科学の応用を考えていただける、「テクノロジーゾーン」と「観察ゾーン」で構成するエリアとしております。
2枚目をお開きください。丸2、プラネタリウム事業です。なお、本施設は4階建ての建物となっておりまして、プラネタリウムが4階部分となります。プラネタリウムでは、学習投影だけではなくて、プラネタリウム空間を活用したイベントなどの展開を予定しております。なお、映像装置や椅子といったものは順次更新をしておりますが、スクリーンにつきまして、開館以来更新していないということなので、今回のリニューアルで、新たなスクリーンを設置する予定としております。
丸3、その他展示等ですが、展示ホールだけではなくて、屋外の壁面や通路、トイレ等の共用スペースなどに科学の要素を散りばめることで、館全体の空間作りを行っていきたいと思います。
次に(2)ソフト事業です。丸1、企画展示について、リニューアル後は、科学技術に関する最新の研究成果やスポーツ科学、広島発のテクノロジーといった、より幅広いテーマを題材とした展示を行っていく予定です。
丸2、教育普及事業につきまして、こちらは主に現在の施設の3階にある各教室で実施しておりますが、まずア、出会う事業、こちらにつきましては、来館者とスタッフとのコミュニケーションをより重視した科学実験などを館内のサイエンスショー・交流スペース、あるいは館外といったところでも少し広げて実施をしていきたいと思っております。
次に、イの深める事業、こちらにつきましては、こどもから大人まで幅広い世代を対象に様々な内容の教室に加えまして、プログラムの開発・実施ですとか、科学教育の指導力の向上研修など、学校現場に必要とされる理科学習支援活動の充実にも取り組んでいきたいと思っております。
最後に、ウのふれあう事業として、こちらは現在、施設の2階に設置しております中規模ホール、アポロホールをより多目的活用できるよう、一部の施設を更新しつつ、こども図書館や青少年センターとの連携事業といった様々な事業活動の展開を予定しております。
次に、(3)企業等との連携です。こちらは、ものづくり産業を始めとする地元企業や大学等が有する多様な最新技術等に触れることができる機会を提供するもので、広島ならではの魅力を発信するとともに、未来を担うこどもたちが、ものづくりに対する興味・憧れを抱き、将来の職業等を考えるきっかけとしていきたいと考えております。企業等との連携は現在実施しているところではありますが、リニューアル後はソフト、ハードの両面においてより連携を深めることで、広島ならではの強みを活かしていきたいと考えております。
次に、(4)案内サインの工夫等です。こちらは、3施設の複合化ということで、それぞれの利用者にとって分かりやすい案内サインが必要ということ、多言語対応のルール作りを行うこと、デザイン等への配慮を行うといったことを考えております。こちらについて少し補足しますと、今回、現在の建物がこども文化科学館、こども図書館の併設施設ですが、一部青少年センターの機能が入るということで、3施設の複合化ということになります。
最後に、3、リニューアルのスケジュールです。提示内容のリニューアル、耐震、長寿命化改修のいずれも今年度と来年度で設計を行い、令和8年度から10年度まで3年弱かけて工事を実施しまして、10年度中のリニューアルオープンを目指すといったスケジュールとしております。なお、工事中施設は休館予定となりますので、その間は学校や地域等での出前講座や出張展示、サイエンスショーの実施といったアウトリーチ型のプログラムに取り組むこととしております。以上で広島市こども文化科学館リニューアルの基本計画の策定について説明を終わります。
秋田委員
サイエンスショーなどの企業との連携は現状でもされているのでしょうか。しばらく行っていないので、現状を知りたいです。
市民局文化振興課長
企業との連携といった観点につきましては、現状も取組は行っておりまして、例えば、(3)の丸1のソフト面での連携の一つ目のところですが、「青少年のための科学の祭典」はちょうど先週末に開催したところです。そういったところでは、企業が有する科学技術と関連したテーマなどの出展をしていただいていたり、現在も取組は行っております。
ただ、やはり広島ものづくりの産業というのが売りですので、もう少しそこを一歩進めた、例えば展示物の共同制作ですとか、館内の展示への御協力といったところをお願いしながら、うまく企業さんのPRとも絡めながら連携できたらなというふうに思っております。
砂橋委員
この、「みる、ふれる、ためす、つくる、たしかめる」は、とても分かりやすいことです。
資料1のはじめにのところの、黒枠で囲ってある基本構想の四つの視点がある中で、「社会的な課題に対する学びの充実」とありますけれども、この社会的な課題には例えばどんなものが入るのでしょうか。
市民局文化振興課長
具体的なところとしましては、主に企画展示等といったところでやっていくことになっていくと思うんですが、その都度、やはりそういった課題は変わっていきますので、例えば、現在であれば、温暖化対策ですとか、エネルギー問題といったところの具体的な課題を企画展示で行うなどといったところで考えております。展示物については、御説明したとおり、常設展示と企画展示という分けがございまして、企画展示は期間限定という展示となってまいります。今、委員おっしゃるような部分については、どちらかというと、やはりその時世時世を捉えながら展示を変えていくという部分なので、企画展示での展開というところがメインになってこようかと思っております。
砂橋委員
例えば、企画展示、一企画当たりどのぐらいの展示期間というイメージなんですか。例えば、そういう大事な地球環境などの問題を扱う時に、短いと見れる機会も少なくなります。せっかく展示しても来られなかったら意味がないので、例えば、こどもたちが行きやすい時期にやるとか、行けるような雰囲気を作るとかという意味では何かお考えですか。
市民局文化振興課長
現在も企画展示は実施しておりまして、期間について、例えば、絶対に何週間じゃないといけないとか、そういった定めはございません。それから、やはり連携をする相手方の御事情もあるので、今、委員おっしゃったようなところも踏まえながら、柔軟に期間の設定等も考えていきたいと思っております。
砂橋委員
もう一つお願いします。実は、私もいろいろな団体でこちらを利用させていただいたんですけれど、こどもたちは体験コーナーというと触りに行きます。
この資料の16ページのソフト事業の丸2の教育普及事業ということで、出会う事業とあります。ふと思ったのが、図書館ならそれが分かりやすく利用できるような司書などのスタッフもいますが、ここは、展示物があるだけで、実は何もないんですよね。ということは、こどもたちが飽きてしまって、せっかく意図ある展示物をもう自分でバーっと触っていってしまいます。それでは展示物も活きてこないので、やはりそこは人を介して丁寧に説明するとかいうことがあった方が良いんじゃないかという気はしています。例えば、教員の方や特技・能力があるそういった熱のある方がいらっしゃれば、お金のかかることもあるとは思うんですけれど、ボランティアの方などにも協力していただくなど、楽しくする演出をうまく活用されることによって、より施設で活きてくるのかなというような気がいたします。
伊藤委員
要望をさせていただきたいことが二つありまして、一つ目は、以前、外国のテレビで、キッチン用具を使って雲を作ったり、虹を作ったりするような番組がありました。先ほどの学力調査も実生活との関わりという内容がありましたけれども、日常生活の中で起こっていることが科学で実証されるということが分かるとすごく印象的な学びになると思いますので、そういう科学と実生活を繋げるような企画を取り入れていただければということが一つ目の要望です。
二つ目としては、よく博物館で、使用言語別の解説のヘッドフォンなどがありますけれども、そういう使用言語別のヘッドフォンと、年齢別で、小さいお子さん用の説明、ちょっと年配の方々の説明というふうに、興味関心ごとに説明内容が違っていると、同じような企画を見ても、それぞれの年代によって興味関心が湧いてくるんじゃないかと思いますので、そういうヘッドフォンの解説の活用も取り入れていただきたいと思います。
市民文化振興課長
ありがとうございます。少し補足をさせていただきます。まず一点目についてですが、今回の概要版によりますと、青い部分の「わかって楽しい!」というところが、まさに委員がおっしゃっていただいたように、身近な生活とリンクした展示をするというところで、こういうものが、こういったところにもあるんだなというのを楽しむという展示内容です。そこは我々も意識しながらこれからリニューアルをしていきたいと思っているところです。
二点目のヘッドフォンでというところで、御主旨としましては、手法としてヘッドフォンという形はどうかということで、そこも検討させていただきますが、例えばこの基本計画で言いますと、2ページ目の(2)の丸2の教育普及事業の出会う事業というところは、スタッフとのコミュニケーションを重視した事業の内容です。やはり一方向だけの説明ですと、そういった対象がなかなか合わせられないというところがあります。ただ、スタッフとコミュニケーションするということの中では、理解や年代に合わせた御説明ができると思うので、そういったところの可能性も探りながら検討していきたいなと思います。
伊藤委員
よろしくお願いいたします。
松井教育長
本件につきましては、昨年、リニューアル基本構想を御報告いただいておりまして、それに沿って今回計画を作られているということでございますので、本日出た意見を参考にしていただきながら、より良いものにしていただければと思っております。
それでは、本件についてはこの程度にさせていただきます。
議題3につきましては、冒頭でお諮りいたしましたとおり、非公開となりましたので、傍聴の方は退席をしていただきますようお願いいたします。
(非公開部分省略)
松井教育長
以上で本日の議題はすべて終了しました。
これをもって、令和6年第14回広島市教育委員会議定例会を閉会いたします。
7 議決事項
なし
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