2025年5月14日記者会見「第11回NPT再検討会議第3回準備委員会への出席等について(帰国報告)」外5件
- 日時 令和7年(2025年)5月14日(水曜日)午前10時15分~午前10時55分
- 場所 市役所本庁舎11階第1会議室
市からの発表案件
第11回NPT再検討会議第3回準備委員会への出席等について(帰国報告)
市長
この度、第11回NPT再検討会議第3回準備委員会への出席などを目的として、4月27日から5月2日までの6日間の日程で、米国・ニューヨーク市を訪問いたしました。そのポイントについて話したいと思いますので、詳しくはお手元にあります資料を後ほど御覧いただければというふうに思います。
来年度開催が予定されています、第11回再検討会議に向けた最後の準備委員会となる今回の会議は、議長の開会挨拶に続きまして、中満(なかみつ)国連事務次長(兼軍縮担当上級代表)が演説を行いまして、その中で「近年の国際情勢は、ただ困難というだけではなくて、むしろ後退と分断の印象が強まっており、長年にわたる課題に進展が見られず、各国の間には深い不満と不信が広がっているが、来年の再検討会議の成功のためには、他者の視点に立ち、短期的な国益を超えて考えることが求められる」といった各国代表への呼び掛けがありました。
準備委員会の3日目のNGOセッションでは、参加した20団体の3番目に、長崎市の鈴木市長と共に平和首長会議の代表としてスピーチを行いました。スピーチでは、被爆から80周年を迎えた現在も地球上には1万2,000発を超える核兵器が存在し、NPT(核兵器不拡散条約)の原則に背く核シェアリングなどが有効であるという考え方が広がっていることは、NPTの原則のみならず第二次世界大戦後に目指した平和構築体制である国際連合そのものを揺るがしかねない事態であると懸念を表明した上で、平和首長会議は、市民社会の平和意識の醸成と「平和文化」に満ちた世界の創造に向けて全力で取り組んでいく決意であるといったことを表明し、各国政府代表者に対して核軍縮・核不拡散措置を確実かつ誠実に実行するように訴えたところであります。
滞在期間中には、核保有国であるフランス、米国、英国の政府代表と面会することができました。面会の際には、平和首長会議原爆ポスターを用いながら、被爆の実相と核兵器の非人道性を伝えるとともに、NPT第6条に基づき誠実に核軍縮交渉を行うよう要請いたしました。併せて、核兵器のない世界の実現に向けて、被爆地及び平和首長会議に期待する役割について意見交換を行って、平和首長会議の取組に対する理解そして協力といったことを求めました。
さらに、日本政府代表とも面会を行った他に、核兵器廃絶に向けた国際的な取組を牽引するオーストリアの政府代表とも面会を行い、今後さらに連携を深めていくということで一致をいたしました。加えて、グテーレス国連事務総長と面会し意見交換を行った他、同準備委員会のアジュマン議長とも面会して、今回の準備委員会に対する期待を伝えるとともに、議長の出身国でありますガーナにおける平和首長会議メンバーへの加盟拡大、この協力を依頼いたしました。
準備委員会の会場内では、「原爆平和展」及び「こどもたちによる“平和なまち”絵画展」を開催するとともに、ヒロシマの原爆被害等を疑似体験できるVRゴーグルのブースを設置して、100名を超える会議出席者や国連(国際連合)関係者に体験をいただき、被爆の実相や核兵器の非人道性についての理解を深めてもらえるようにいたしました。
また、今回の準備委員会においても、広島県内で平和活動に取り組む高校生8名を「平和首長会議ユース」として派遣いたしました。私も現地で多くの日程をユースと共にいたしまして、中満国連事務次長との面会の際には、約3万4千筆の「『核兵器禁止条約』の早期締結を求める署名」を手交してもらった他に、山﨑国連日本政府代表部特命全権大使主催の「ユース交流レセプション」に出席いたしまして、様々な関係者との交流を深めることができました。
また、ユースと共に国連国際学校マンハッタン校を訪問いたしまして、在校生に対して鈴木長崎市長と共に講演を行いました。講演では、スライドを用いながら被爆の実相や平和首長会議についての英語での説明を行い、核兵器のない世界の実現に向けた平和首長会議の取組に参加して、共にその道を歩んでほしいという呼び掛けを行いました。講演後には、小グループに分かれてディスカッションを実施いたしまして、平和首長会議ユースの代表2名が、自身の活動あるいは平和への思い、これを発表した後に、生徒たちとの意見交換を行って相互理解、交流を深めるという貴重な機会となりました。
さらに、準備委員会のサイドイベントとして、ユースフォーラムを開催して、平和首長会議ユースや世界各国で平和活動に取り組む若者11組が、自身の取組の発表や若者の役割についての意見交換を行いました。参加したユースからは、核兵器に関する問題や社会問題に対し、主体性そして当事者意識をもって取り組むことの重要性を改めて認識した、今回の経験を生かして平和教育への新しいアプローチを考えていきたい、といったような意見があり、次代を担う若者たちの今後の活動につながる有意義なフォーラムになったのではないかと考えています。
こうしたユースを主体とした活動を通じて、平和首長会議の原点である被爆者の平和への願いを確実に次世代へと継承していくため、次代を担う若者が国際社会の一員として主体的に学び、貢献できる機会を創出していくことも平和首長会議の重要な使命であるということを実感いたしました。また、国連が推進する軍縮教育の分野で市民に一番近い自治体で構成される平和首長会議が果たす役割の大きさといったものを改めて実感する機会にもなりました。
今回の出張では、多くの国連・各国代表者等に核兵器の非人道性や核兵器のない世界の実現を願う被爆者の思いとともに、平和首長会議としては、市民社会の立場から平和文化の振興を推進し、世界中の首長と共にボトムアップで国レベルの平和への取組を支えていきたいという思いをしっかり伝えることができました。また、グテーレス国連事務総長をはじめとする多くの方々に、都市による平和構築の重要性と平和首長会議の活動に対する期待の声をいただきまして、改めましてその意義を認識することができました。こうした声を力に変えていく、そして今後の活動の展開につなげると、そういうふうにしたいと考えています。
今年は、被爆80周年を迎えて、8月には長崎市で第11回平和首長会議総会を開催いたします。総会では、国連や幅広い市民社会のパートナーと協働して、平和文化に満ちた世界の構築といったことに向けて、加盟都市と共に議論を深めていきたいと考えています。現下の厳しい国際情勢においては、核兵器廃絶という理想を追求することは容易ではありません。
しかし、こうした状況であるからこそ、平和首長会議としては、世界約8,500の平和を願う都市の力を結集して、核兵器のない世界の実現に向けた歩みを着実に進めていきたいというふうに考えているところです。以上です。
記者
市長のいろいろ訴えっていうのは非常に今分かりました。
その上でなんですけれども、今回の準備委員会でも、勧告案っていうのは採択されずに、要は何の成果文書もまとまらないという事態になりました。
NPTっていうのも、最近そういったことがすごい続いておりまして、まさに本当に厳しい情勢ということだと思うんですけれども、そのことに対しての率直な受け止めをお願いします。
市長
率直な受け止め。そうですね。誰しも、理想というものとして、核兵器のない世界ということを理解することは容易ですしね。G7(広島)サミットでも分かったように、芳名録なんかを見たら、どの各国の首脳も核兵器のない平和な世界ということを願うというか、それを追求すべきものだということは、明確におっしゃっていますけれども、今回の会議なんかの局面で、各国の代表と個別に話していくと、非常に分かりやすい説明に例えますと、自分たちはそう思っているんだと。だけれども、いわゆる相手国というか問題となる、問題を議論するべき相手国が十分理解していないというか、そういう意味で、疑心暗鬼といいますか、自分たちはやる気があるんだけど、向こうの対応が十分じゃないために、国家が我が国を守るということが重要であるから、どうしても今のような対応をせざるを得ないという、そういう言い訳っていいますか、言い訳って言ったらおかしいけれど、そういう理屈で説明をされる局面が多いんですね。だから、それを乗り越えるための工夫というか、あの人がこうこうこうやっているから信じられないというのであれば、それこそ対話というか、そのことを直接相手にぶつけて、ここを乗り越えるために工夫の余地はないのかという、そういうことができないんだろうかというのを感じるんですね。
そして、国連という場は、そういう意味で、そういうことをするための会議を設定しているわけですから、こういう場に来て、直接そういったことをやる。
そして、現場でのそういった考え方を本国に伝えて、本国もその議論に参加するっていうことを、もっともっと頻繁にやってもらえれば、どうなんだろうかというふうに思ったんですよね。私なんかは、国の代表ではないけれども、市民の代表という意味で皆さんのやりとりを市民としては、こういうふうに見ていますよと、こういう立場からどうですかという言い方で、ずっと聞いているんですけどね。
そうすると、今言ったように、いや、自分たちはやれるだけのことはやっていると思うんだけれども、こうなるんですね。そこが一番問題なんですね。
いわゆる、信頼関係の醸成といいますか、今までの過去の歴史がありますから、過去こういうことをやったから信用できないんだとかいうことが必ず出てくるんで、その過去の歴史も踏まえた上で、未来志向で乗り越えるための議論をするということが、今、極めて重要になっているんじゃないかと思うんですけどね。
記者
もう一点、関連して伺います。フランスと米国とイギリスですね。政府代表者とも面会されたということで、まさに、今、核保有国と非(核)保有国との分断もあるんですけど、核保有国中の分断というのも非常に深まっていまして、まさにおっしゃった、疑心暗鬼だとかそういったところだと思うんですけど、それをおっしゃったように、乗り越えて合意を見ていくっていうのをNPTの意義だと思うんですけれども、そういったところ何か、被爆地の市長ですから、松井市長にしかできない訴えっていうのがあると思うんですよね。
で、それで、そういった面で非常に厳しい状況なんですけれども、今後どういったこと、今回もたくさんいろいろやられていると思うんですが、どういったことを訴えていかれるお考えかっていうのをお聞かせください。
市長
私自身は、そういう方とずっと話してきて、(平和)首長会議の会長という立場で、ずっとやらせていただいているんですけれども、各国代表として、いろいろ仕事をする中での立ち位置も分かりますから、言われることも理解すると。私自身は、そういう方々に、こうすべきだ、こういう議論があるから、そうやるべきだということを言うんじゃなくて、そういう議論があるっていうことを承知しているんだけれども、皆さん、どう思いますかと。
そういうふうに質問するのは、私自身は、実際に原爆を使用して、被害を受けた人間が、そういったいろいろなことがあろうけれども、そういったことを乗り越えてほしいと、自分のような存在を二度とつくらないでくれと言っている、その立場で言うんですよと、こういう説明をして、どなたもうなずかれるんですよね。市長の言うことは分かると、あなたの言っていることは理解はできると、ここまではいいんです。
その理解した上で、次の行動をといったときに、今言ったように自分たちはやろうとするんだけれども、相手国がそういう対応をしていないし、過去の歴史を見るとうまくいっていないと、こういう説明に入るんですね。
核保有国同士がそういうことをやるから、核を持っていない国は保有国同士でそういう議論をして、わざとまとまらないようにして、第6条の義務、核軍縮・核不拡散をきっとサボろうとしているに違いないと。
で、こちらもまた、さらに疑心暗鬼になって、皆がいわば疑心暗鬼のビシャスサイクルというか、悪循環を起こしています。だから、どなたかがそうじゃないんだと、一歩踏み出すということをやっていただきたいんですね。
その際にいつも思うのは、今一番、世界中の1万2,000発を超えるといわれる核弾頭の9割近くを持っている国、2つありますよね。ここがまず、範を示すということが重要なんじゃないかと思うんです。で、それは以前、(東西)冷戦体制が終わる、終わらないっていうようなころに、やったことがあるんですよね。(ロナルド・)レーガン、(ミハイル・)ゴルバチョフという指導者がいて、大幅に核兵器が減ったじゃないですか、できなくはないんですよ。
だから、そういういい歴史の部分もあるんですけれども、そういうのがありませんと言いながら、改めて私の立場とすれば、増やしていくこと、そして、抑止力という脅しによって、相手をコントロールするという考え方は、脅しというものは、相手が自分に危害が加わるか分からないから、言うこと聞いた方がいいというふうにして、人の行為態様をコントロールするんですけれども、長続きしないんですよね。やり続けなきゃいかんし、より強固にやろうと思うと、脅しの力を拡大していかなきゃいかん。それが、軍備の拡大なんですよね。
それで言うことを聞くっていうのは、誰でも知っているんですけれども、信頼関係に基づく関係を続ければ、長く続くんですけれども、脅しによるコントロールっていうのは、非常に時間限定的だし、どんどん、どんどんエスカレートしないといかんという。人間、分かっているわけですからね。その辺のことを踏まえた対応っていうのを国際政治でもやって、そのために国連をつくったはずなんですけれども、今の情勢を見ると、例えば、国連への拠出金を出すのを制約して、言うことを聞かせようと。ある意味で脅しですよね。
だから、国連自体、向こうへ行って聞いていると、職員体制を減らさないと運営できないから、解雇を検討しなきゃいかんとかいう話やら、国連本部の、ケニアかな、移すために今のニューヨーク(国際連合)本部を何とかしなきゃいかんというような議論も起こっていますとか。もう大変なことになっているわけですよね。
もう一回言いますけれども、そういったことをやることで、核兵器を使ってしまって、被害者を出すということ、出してしまうとどんなことになるかということをよく分かってもらえれば、もう少し冷静な議論、信頼関係をつくるというための議論ができるんじゃないかと。疑心暗鬼を突破するための理性をもっともっと働かせるということが必要なんじゃないかと申し上げます。
この話は各国の方々に伝えると分かるとは言っていただけます。分かっていると。だけど、それが難しいんだと言われるから、それを乗り越えてくださいという繰り返しなんですけどね。そんな状況です。
市政記者クラブからの代表質問
G7広島サミットから2年を迎えることについて
記者
2023年5月のG7広島サミットから、まもなく2年を迎えます。サミットでは核軍縮に関する広島ビジョンが取りまとめられました。一方で、その後も厳しい世界情勢は続いており、直近では核保有国であるインドとパキスタンの間でも緊張感が高まっています。こうした動きの中で、サミットから2年を迎えるにあたっての市長の思いをお聞かせください。
市長
今申し上げた話と重なることになると思うんですけれども、まず、ロシアによるウクライナ侵攻が長期化していることとか、不安定な中東情勢、さらにはインド・パキスタンによる軍事衝突。これなんかはインドがイギリスから独立するときに宗教の違いがあって、一つの独立国として植民地解放ができなくて、宗教ごとに分かれたためにインド・パキスタン問題がずっと続いている。それが今回、軍事衝突でまた問題を起こしたし、そもそも平和記念式典に広島が各国を呼ぶようになったのが、このインド・パキスタンが核実験をお互いに競ってやったから、これはいかんということで、ぜひヒロシマの心を分かっていただくためにということで呼び始めた、そういった契機があるんですけれども。
そういうのが続いているということは、私自身はG7広島サミットで、核保有国を含む世界の国々の首脳が、先ほど言ったように芳名録で記帳されて、核兵器廃絶への思いというものをそれぞれ記帳されたけれども、本当にそれから遠ざかっているなというふうに思わざるを得ません。まずこれがファクトファインディング、事実ですね。ですから、この問題をどうするかというふうに考えたときに、まず問題意識として核兵器をまず持っている国が戦争を仕掛けるというようなことを言う事実があるんだからということを押さえて。そういうふうに言った国は言わざるを得ないようにされたからと、また言っているんですけれどもね。先ほど言ったようにお互いに人のせいにしてやっていると。そして、国の安全保障を巡っては、だから軍事力強化ということをやらざるを得ないんです、それが現実の対応なんだという説明を多くの市民・国民に向けてやる。そして、さらには相手国が戦争を仕掛けない、動機付けをさせないために、この軍事力を使わんと世の中生きていけんじゃないかと、そうだろと。こういうことを言って、為政者としてそうせざるを得ないと、こういう言い方をして、皆さんもそうかなと、そんなもんかなというふうに同意し思っているという、このこと事態が深刻な事態だというふうに受け止めたいと思っています。
それから、先ほど申し上げたように、そういうふうに人を脅して人間をコントロールするというやり方、これが有効であるというふうな言い方もしますけれども、この有効性は犯罪のときなどもそうですけど、人質をとって言うことを聞かすと似たようなことでありまして、脅しというものの効果は一過性であるというふうに思いたいです。そして、これをうまく使いきろうとすれば、だんだん強く脅していく。それを続けてやっていかなきゃいかん。そのためのコストとか、いろいろ考えたときに経済的には、とても採算の取れるものではないはずなんですね。それを分かったから、第一次世界大戦をしたあとは国際連盟を作り、第二次世界大戦でまた国連をつくったんですね。そういう意味では、人類としては今言ったようなことを十分に学んでいるはずだと私は思っています。
だけど、それができない現実があるということは、また事実なものですから、理想に向けてこういった対応をするということは、道は険しいんですけれども、繰り返しになりますけれども、相手との対話で、脅しではなくて信頼関係を作り上げるための努力をやるほかないと。これをやることで、理性を発揮しながら人類として地球上で今後も存在し続けるためのいろいろな基盤を作っていく。そういうやり方こそが現実的な対応だと信じていますし、多くの人がそういう方向に向けて考え方を整理して、そして、市民社会の総意にできないかなと思っているんです。
今申し上げたような考えに基づいて、まさに市民社会の総意としての平和への願いが、為政者に届くようにと。その流れの中で、今やっている政策転換をちょっとでもやってもらう動機付けをということで、平和首長会議のメンバー都市、今8,500になっていますけど、これをさらに増やして、今言ったことを多くの人が、そうだなと言っていただけるような環境をこれからもしっかり作ると。その手段として平和文化というものを振興するということを今やっているつもりです。以上です。
その他の質問
平和記念式典について
記者
平和記念式典の件について伺いたいんですけれども、先日、長崎市さんの方も式典に関して、基本的に全ての国を、長崎市さんに関しては招待するというふうな方針ですけれども、基本的に同じような方針をとられることを発表されました。そのことについての受け止めについて教えていただけませんでしょうか。
市長
結論としては、長崎市も広島市も狙いというか思いは共通していると思います。つまり、この式典を開く意義は被爆者の思いといったものを伝える場、当然慰霊しながらですね。そのために、どういった形で式典に来ていただいて理解を深めていただくかと、こういうことだということなんですね。去年、一昨年と問題になって質問された、どうなっているんだと、政治的な配慮があるんじゃないかとか言われますけれども、もちろん事務的に外務省がどう考えているか、政治的にどう影響するかということを全然無視してやっているわけじゃなくて、それはある意味で情報収集ということで聞いたりはしていますけれども、最終判断は、やっぱり式典をちゃんとしたものにしたいという判断のもとで、広島の場合、ヒロシマの心というものを伝えるためにふさわしい環境設定をどうするかということでやって、より参加する方々にヒロシマの心を受け止める準備をしていただいた上で出席していただくようにするためにはということで案内文を出して考えていただくということにしたんですけれども、長崎の方も同じ問題意識の中で、そこまでやらなくてもいいかなということで多くの方に引き続き招待をする。その代わり、前回の問題を踏まえて、皆さんに招待状を出すと、こういうふうにされたと理解しています。そこは、それぞれの市のやり方であると。ただ、狙いは共通しているなというふうな思いを持っています。
記者
被爆者の思いを慰霊しながら伝えるという共通認識のもと、また前回の問題も踏まえて、今回の対応をとられたと御理解されているということでよろしいでしょうか。
市長
はい、そうです。
記者
先ほどの質問に関連してですけれども、前回、長崎市がイスラエルを招待しないことになったときは、事前に長崎市長から電話でその旨は説明を受けたということを、去年、会見でおっしゃっていたかと思いますけれども、今回の対応に関しては何か長崎市長とのやりとりというのは何かあったんでしょうか。
市長
私が案内状を出すというようなことを新聞発表したあとで、実は自分たちは、いろいろ考えたけれども、みんなに招待するというやり方で発表しますというふうなことがありましたので、今申し上げたように狙いは一緒ですねということを確認したら、そうだというふうなことでやりとりは1回ありました。
ノーベル委員会フリードネス委員長の広島訪問検討について
記者
一部報道でノーベル委員会のフリードネス委員長が、広島・長崎の訪問を検討しているという報道があったのですが、市長は何か聞かれていますでしょうか。
市長
私は聞いていない。どうぞ。
市職員
先日の報道で広島・長崎を訪問されるということを検討しているということは聞きましたけれども、事務的には広島市の方にはそういった話はまだ入ってきておりません。
記者
今からあるのかどうかなんですが、もし実現した場合とか、そういった思いを持っていらっしゃることについて市長の受け止めをお願いします。
市長
先ほどからずっと申し上げていますように、ノーベル平和賞というものは、先ほど申し上げた、ある意味で疑心暗鬼なんかを持たない、平和というものを追求する上で対話を通じて、いい関係を作り出すための努力をした方を、そのノーベル平和賞で顕彰することで、そういったものをみんな推奨しましょうよと。認知度を高めて推奨しましょうよと、そういう働きをされているというふうに自分は思っていますのでね。来られるのであればそういうことを確認して、お互いにあるべき世界像を共有して、いろいろなところで協力できるとか、したいですねみたいな話をしたいと思いますのでね。来られるのはウェルカムですよ。どんどん来てくださいというふうに思いますけどね。
自民党・西田昌司参議院議員の発言について
記者
西田議員、沖縄戦を巡る発言を説明した記者会見の中で、広島市の原爆死没者慰霊碑の碑文についても言及していまして、「違和感がある」と。「誰が誰に言っている言葉なのか取り方によって全然違う」「そこの話が明らかにされないまま、とにかくみんな拝んでいる」とか、「広島・沖縄の展示が『東京裁判史観』にて表記されている」だとか、というふうに語っておられまして、後日揶揄する意図はないみたいに説明もしているようなんですけれども、これについて市長、率直な受け止めをお願いできますでしょうか。
市長
今の自民党の西田昌司参議院議員の慰霊碑の碑文についての「違和感がある」との発言は、私自身は直接聞いたわけではなくて、報道を通じて知ったところでありまして。その報道なんかを読むと、「誰が誰に言っている言葉なのか、話が明らかにされていない」とかね。明らかにされていないなんていう、事実関係だけ申し上げると、そういった点は私としては誤解されているなというふうに思います。
なぜかと申しますと、この碑文の解釈については、私が市長になってからずっと、もう十何年間も同じことを言っているんですけれども、この本市における碑文の解釈は、まずもってそういうことを言う動機付けは、その碑文を作るころの市政の中で様々な御意見があって、当時の市長がきっちりと説明された上であり、でもそれでも納得いかないからということで、あの碑文にペンキをかけたりとか、傷をつけるというようなことがあって。それは、あそこに書いてあることが屈辱的なものだからとかいう事件が起こっていることは間違いありませんけれども、説明が明らかになっていないということはないと、明らかにしています。すなわち、今言ったようなことも踏まえながら、全ての人々が原爆犠牲者の冥福を祈って、戦争という過ちを再び繰り返さないことを誓う言葉であると。「全ての人々が」ということで、日本語では書いてないからとありますから、英語なんかでは、本当に「We」、「我々が」とこういうふうなことをやっていますよと。それで、戦争という過ちを再び繰り返さないことを誓う言葉であるという説明をしておりますから、明らかにしている、そしてそれを周知してきているというふうに思っています。
私自身は、この解釈は広く市民の間、あるいは訪れている方に説明している範囲ではしっかりと定着してきていると受け止めています。ですから、西田議員のような御発言は、ある意味でそういう解釈をしている方がいるということを裏付けられているような発言かも分かりませんけれども、むしろ私自身とすれば、こういったことに対する対応は、今年の1月にも自民党で、というか自民党だけじゃなくて各政党かな。政党代表者に対しまして、核兵器禁止条約に関しての国会での議論をお願いしますということで、1月に国会を回ったんですけどね。そのときに国会議員の方に、ぜひ被爆の実相を知ってもらうというようなことも重要だから、被爆地訪問をしてくださいと、こういうようなことを申し上げています。こういうことを言われる西田議員には、ぜひ本市に来ていただいて、被爆の実相に触れていただく。そして、必要であればそこの碑文の趣旨、しっかりと説明いたしますので、理解を深めていただきたいというふうに思います。
記者
今の質問に関連してなんですけれども、碑文の説明をしますという御発言があったんですが、これはもし西田議員が希望すれば、市長自ら案内し、説明をするお考えがあるという、そういう理解でいいでしょうか。
市長
どうしても聞きたいというのであれば、言いますよ。必要であれば資料を送ってもいいですし。こんなにいっぱい説明していますけど、明らかにされていないという事実はございません。しています。
インド・パキスタンの衝突についての米国の外交評価について
記者
G7の質問のときにもあったんですけれども、この度のインド・パキスタンの衝突に関して、核保有国同士の衝突ということで非常に地域情勢にも国際情勢にも大きな危機感というものがあったと思うんですけれども、それについてアメリカの外交的役割ということで停戦が早期に、実際作業が行われたというところで、そのアメリカの外交に対して、評価と期待という市長の率直な受け止めをお聞かせください。
市長
双方がいわゆる紛争を収めるという事態になったということは、結果として歓迎すべきことだと思いますしね。ただ問題は、両方とも国力というか、国の規模とか経済力が違うんだけれども、ほぼ同じ核弾頭を持っているというふうな状況は変わっていないわけでありますから、先ほど申し上げたように、1万2,000発以上の核弾頭の9割方を占める国、そこがこういった国に対して、そういうことをやっちゃいかんよという調整力があるのであれば、併せて持っている核兵器の数を減らすと。しかもこの2か国は、NPTに入っていないんですよ。だから、こういうことができるのであれば、第6条の義務を果たすべき立場にある米国が、加盟していないような国についても核軍縮、不拡散を徹底するだけの影響力を発揮してもらえればありがたいと。できなくはないということを証明したのであれば、それをもっと突き進めてもらいたいというふうに思います。
※( )は注釈を加えたものです。
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