2025年4月11日記者会見「平和記念式典における各国代表への参列要請について」外2件
- 日時 令和7年(2025年)4月11日(金曜日)午後1時15分~午後2時00分
- 場所 市役所本庁舎11階第1会議室
市からの発表案件
平和記念式典における各国代表への参列要請について
市長
平和記念式典での各国代表への参列要請の方法について、テレビ等で情報が流れていて皆さんの関心事だと思いますので、急きょ、現時点におきます検討状況を私の方から説明をさせていただこうかと思います。
本市におきましては、毎年、広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式を開催しておりまして、この式典の目的は、原爆死没者を慰霊する。そういったことともに、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向けた「ヒロシマの心」。これを発信することにあるというふうに思っています。
この「ヒロシマの心」というのは、被爆者が過去の悲しみに耐えて、憎しみを乗り越えて紡ぎ出しました「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」という、全人類の共存と繁栄を願うものでありまして、本市としてもこの願いを世界中に広めていきたいと考えているところであります。
こうしたことから、各国首脳や駐日大使への参列についての取り扱いは、どういうふうに編成しているか少し御紹介しておきたいと思いますが、こういった招待をするということを、このきっかけは平成10年のインド・パキスタンの核実験、これが契機になっております。それ以前は、こういった形でお呼びするというようなことはやっておりませんでした。平成10年にインド・パキスタンが核実験を行ったことを機に、この広島の願いをより明確に伝えるのにどうしようかといったことで、当時の核保有国の駐日大使、これに参列要請を開始いたしました。そして平成17年には被爆60周年という年を機に、EUなどの核軍縮推進国、この構成国の首脳への参列要請を追加いたしました。さらに翌、平成18年には駐日大使への参列要請を行うことといたしまして、日本政府が国家として承認している全ての国、その国の駐日大使へも来てくださいと、こういう拡大をしたという経過がありました。そうした中でやってきておりまして、令和3年及び令和4年、コロナ禍にありましたので、各国首脳、外国から来てくださいという参列要請は全面的に停止いたしました。そして令和5年には、令和3年に核兵器禁止条約が成立いたしましたので、それまで行っていた首脳への参列要請に関しては、EUなどの核軍縮を推進する国の構成国への招待から、核兵器禁止条約の非署名・非加入国、これにまだ同意していない国、こちらを呼ぶというふうな切り替えをして、やってきているところであります。今言った経緯からもお分かりのように、本市としては、各国が紛争地になっているかどうか、どっちが正しいかどうかという、そんなことを考えてやってきているわけではなくて、外交政策上、どのような立場をとっているかということに着目して、我が市のこの思いをいかに伝えるかということで参列要請を行ってきたところであります。そして令和4年、先ほど言ったようにコロナ禍で、各国首脳への要請は無理だろうということで令和3年よりは大使にお願いをしていく中で、ロシアについては、お話をしている中で、式典の円滑な挙行に支障が生じる可能性があるというふうに判断いたしましたので、見送ることにして、令和5年、令和6年も事態の動きがないもんですから、同様な扱いをしてきたというのが一連の経過であります。こうした中で令和6年に至って、ダブルスタンドダードではないかというふうな議論が様々起こりましたので、もう一遍、式典をちゃんと整理して要請方法を改める、すなわち、式典の原点に立ち返るということをやろうと考えたわけであります。その際、式典への参列は当然、被爆者に慰霊というのがあるんですけど、それと同時に、もう一つ「ヒロシマの心」への理解を深めるという視点もあるということでありますから、これよりをより明確にするべく、見直しをしてきているというのが現状であります。そういたしますと、ロシア・ベラルーシ、イスラエル・パレスチナ、こういったところの対応についても、今申し上げた視点での見直しの中で、おのずと整理できるものというふうに考えているところです。
そういった中での現時点での検討状況を申し上げますと、これまでは、駐日大使などの相手方を指定して、いきなり来てくださいと言いますか、招待するという形で文書を送付しておりましたが、今後は全ての国・地域に対しまして、式典を開催いたしますという通知文書をまず送ると。その送付する文書において、この式典が「ヒロシマの心」を広めるためのものでもあるということをしっかり理解し受け止めた上で参列申し込みをしてくださいといったことをしっかり要請するようなものにしたいと考えているところであります。そういう意味では象徴的に「招待」から「通知」への変更といったことになろうかと思いますが、その狙いは、今言った、一連の結果のお分かりいただけるかと思いますが、それぞれの国・地域において、「ヒロシマの心」への理解度をどうなっているかということをまず主体的に判断していただいて、この式典の参加を考えていただくという、皆さんに御案内するけれども、判断は各国にお任せするとこういった扱いにしたいと考えているところであります。
この通知文については、そういう意味で、全ての駐日の外国公館(駐日大使館及びその他代表部)、設置国、それから、地域さらには国連代表部設置国を対象とするということになりますので、195か国・地域に送付することになると思っています。5月下旬ごろには発送する予定で考えています。
いずれにしても、本件を含む今年の式典の概要については、5月中旬ごろに皆様にお伝えできるようになると考えているところであります。以上です。
記者
今の変更、検討状況ということで、正式には5月下旬ということなんですけれども、現時点では、招待というのを通知というふうに改めるという説明が今ありました。市長が、原点に立ち返るというふうにおっしゃいましたけれども、この変更の理由というのか、一番の変えられた理由はどういったところになるんでしょうか。
市長
今申し上げたつもりですけれども、呼ぶということについて、何かの価値を決めていて、ダブルスタンダードで呼んでいるんじゃないかなということを皆さん言われる。そうではないということを言ったつもりですけれども、いつまでたっても理解していただけないから、招待のやり方を考えますと申し上げました。そのお約束を果たしたということであります。
記者
「ヒロシマの心」とおっしゃいましたけれども、例えば、被爆の惨禍であったりとか、平和の尊さであったりとか、そういったことをより幅広く、いろいろな国々、地域に発信したいということはあるんでしょうか。
市長
もう一度申し上げますと「ヒロシマの心」とは、被爆者が過去の悲しみに耐え、憎しみを乗り越えて紡ぎ出した、「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」という、全人類の共存と繁栄を願うものであるというふうに思っています。これをしっかりと受け止めてください。
記者
先ほど、195か国・地域に送られるということだったんですけれども、今回この方式をとられることで、これまで送ってこなかった地域について、ちょっと改めてどのような地域が挙げられるかを教えていただけませんでしょうか。
市職員
昨年まで送っていなくて、今回対象になるのが、ちょっとあまり聞いたことがない国が多いかと思うんですが、何か国か申し上げますが、アンドラ公国とか、エスワティニ王国とか、カーボベルデ共和国などなど38ほどの国が対象、追加になると。
記者
そのような地域には、これ通知っていうのは、どこ宛に送られるんでしょうか。
市職員
これは、それぞれの日本にはない、今、例を挙げた国でいいますと、中国やインドの方にそういう領事館、大使館があって、日本をも管轄しているという兼轄という状況になっていまして、そちらの方に送ると、そういう所在地がありますので、そちらへ送るような形になります。
記者
ありがとうございます。
記者
先ほど、市長おっしゃったように、これまでの判断、この3年間、特にウクライナ情勢があってから、そのつどかなり外交情勢というか国際情勢を見ながら、難しい判断だと思うんですけれども、改めて、このウクライナ戦争が起きてから3年間の市としての判断、ロシア、ベラルーシを呼ばなかったということとか、昨年のイスラエルとパレスチナの判断、この辺りについて、改めて市の対応として最善だったのかお考えをお聞かせください。
市長
国対国の対応について私がどうこうするというのは、市長としての仕事を果たしていく上で直接の関係はなかったというふうに思っています。その点に関しては、先ほども申し上げたように、(令和)4年に招待状をロシアに出さない、ベラルーシに出さないということを巡って、当時はなかったけど、あとになってダブルスタンダードうんぬんの議論になったときに、市長はどう考えたかと、こう言われたときに、当然そういった状況をどう判断すべきかということで、担当部局で外務省の方に聞いて、どうなりますかとかっていうのは、やり取りしています。外務省はどう考えているかということも当然聞いています。
そして、その中で事務的にこうなると外務省はどう思うんですかっていうのはやり取りやっていますけれども、私にとっては、あくまでそれは参考でありまして、自分が、先ほど申し上げたように(平和記念)式典を開催していく上で国がどう受け止めるだろうか、そういったことを考えながら自分たちのやってきた考え方をどう通すかということで、処理の方針を決めて、それについては、最終的に外務省は「広島の判断でいいです」と、「そうですね」ということを確認しながらやっております。
そして(令和)4年でやり、5年6年のときもやったんですけれども、これはロシアの方の、先ほど言ったようにコロナ禍ですから、首脳に来ていただくっていうのは国内に呼べないですから、大使を呼ぶということで、主に大使のところに話をして、そういったやり取りの中で、ロシアの大使とのやり取りの中で、これはちょっとロシアはね、先ほど申し上げたヒロシマの心、これを理解していただくようにお話をするんですけれども、私が一番難しいなと思ったのは、ヒロシマの心の中で、「被爆者が過去の悲しみさえ、憎しみを乗り越えて、やりたいとお願いしているんだ」と言うんですけれども、「なんで原爆を落とした国をやっつけないで、俺のところに言いに来るのか」ということを繰り返されるんですよ。それをしっかりやってくれなきゃ困るみたいなことを言われるから、(平和記念)式典でそういうことを言う話じゃないでしょうということを申し上げて、自分で判断したということなんです。この心を理解していただきたいということは本心なんですよと、分かっていただけませんかと言うけれども通じませんでした、当時は。その方がおり、またそのあと、どうなったかがフォローできていませんから、こういった扱いにしているということでございます。
記者
外務省の意見も踏まえて、いろいろ判断をされてきたと思いますけれども、市長としては外務省からはなかなか難しいという返事があったときに、悔しさというか、本当は呼びたいんだけれどみたいな、じくじたる思いというか、その辺りはあったんでしょうか。
市長
それは、むしろ、じくじたる思いは核兵器禁止条約(締約国会議)のオブザーバー参加の方が大きいです。これは申し上げているように、核抑止力という考え方は破綻しているんではないでしょうかということを申し上げているし、これによって政策転換というのは、理想を目指す上で決してプラスにならないと。だから、橋渡しをするんであれば、そういった状況を見るということでオブザーバー参加していただきながら、理想を目指すということをやっていただきたいということを申し上げて、そちらの方がもっと理想に近づく対応ということを、現下の状況の中でますます重要になっていると思うんですよ。そんな思いであります。
記者
オブザーバー参加に関しては、繰り返し市長も政府の方に働きかけていると思います。今回のロシア・ベラルーシの過去3年間も、外務省は仮に難しいと言っても、そこをなんとか呼ぼうとか、そういう説得っていうのはなかなか難しかったでしょうか。
市長
申し上げますけれども、過去の憎しみを乗り越えてやるという、この広島の立場は皆さんなかなか理解していただけないんです。「原爆を落とした相手となんで決着つけないんだ」と、「詫びを入れさせないんだ」と、「それをしないで、なんでやるんだ」ということ、それができない中で平和を追求するために、憎しみを乗り越えてと、それを設定しながらもいかに仲良くするかということをやりたいと申し上げるんですけれども、今のロシアとアメリカの状況では、ロシアは「アメリカにそういうことをさせもしないのに、なんで自分たちの方に要求するんだ」といった論調を強調されるから、広島はそういうふうに思っていますと、皆さんにお願いをするんですということを言い続けています。
記者
当時は、2022年から2024年間というのは、2024年というのは岸田(文雄)さんが地元の総理(大臣)でもありました。(G7)サミットという大事な時期もあったと思います、この3年間。この辺りで、そういう政権への影響とか日本政府のスタンスに影響を与えてはいけないとか、そういう判断というのは、この3年間の広島市の方であったんでしょうか。
市長
今申し上げたやり方は、私が市長になる以前から広島市固有の立場として国際平和文化都市を目指す広島としての判断で、一切の揺るぎはないと思っています。それを前提に日本国家は外交をしているし、政治運営していると思いますので、迷惑うんぬんという話じゃないと思いますけれども。
記者
昨年の平和記念式典では、広島市と長崎市でイスラエルの招待のスタンスが違いました。各国の思惑とか対立が式典に持ち込まれたというような状況もあったと思います。その辺りに関して、市長として改めてどんな思いなんでしょうか。
市長
今言われたように、各国の思惑が持ち込まれたと思いますというのは、あくまで皆さん方の評価でありまして、私は先ほど言ったように持ち込んでおりません。長崎までは分かりません。持ち込んだわけではなくて、今までの広島のやり方を通すために当時はロシアの大使とやった中で、ヒロシマの思いが届かないなということで決断したということであります。
記者
確認しますと、あまり外務省とか、そういう意向とは関係なく。
市長
関係なくはない。参考にしています。どういうふうになっているかということをよく自分なりに見た上で、いろいろな意見、右も左もいろいろな意見あります。それを見た上で広島としての考え方を貫く処置として、どうすべきかという判断をしたということを御理解いただきたいと思います。
記者
最後に、昨年イスラエルを広島市としては招待しませんでしたけど、改めて、そのイスラエルを招待しなかった理由についてお聞かせください。
市長
え?どうして?長崎じゃないですよ。広島ですよ。
記者
そうですね。すいません。イスラエルを呼んだ理由ですね、除外しなかった理由について。
市長
今までどおりやっていると申し上げているじゃないですか。変えてないと。
記者
質問じゃなくてリクエストなんですが、事務的な。先ほどおっしゃられた195の国と地域がどこになるのかというのと、今回から対象になるところがどこなのかという、そういった資料、これを記者クラブ宛てに提供いただければ助かります。
市長
先ほど申し上げたように、詳しくは5月中旬にお伝えするつもりで準備していますけれども、取り上げられたので急きょ、途中段階だということで、まず御理解ください。やっていないわけでありません。やります。
記者
195という数字が定まっているわけですので、この段階で提供いただければ大変助かりますんでよろしくお願いします。
記者
今回、ロシア・ベラルーシ含めて全ての国へ通知をされるということで、多くの国が来てくれるのはいいことだと思うんですけれども。
市長
私はもう一遍言いますけれども、言ったことを押さえてください。自分の意見を押しつけて聞くのではなくて、言っていることをまず理解してください。ヒロシマの心を理解していただくところを増やしたくてやっているということを申し上げているつもりです。その心は何かというと、原爆を落とした相手を憎むとかそういったことを超えて、すごく理想的なことなんですけれども、理想を目指すということを共にやっていただく、そういう気持ちを込めて慰霊していただきたいということだということなんです。増えるかどうかというのは二の次で、まず賛成かどうか分からないんだけど、いっぱい来て、にぎやかして、そういうことでもないし。そして、ここに来ることで広島が調停役になって、戦争するな、しないとかいうことを判定するということをやろうとしているわけでもないんです。ヒロシマの心を分かっていただくために、どういうふうにして来ていただこうかという考えでやっているということを御理解いただけますか。
記者
もちろんなんですけれども。
市長
その質問になかなか。それで。それを前提に聞いてください。それなら答えます。
記者
それを前提の上で、2021年からロシアとベラルーシを呼んでなかったときは、支障が出るっていうことが説明あったと思うんですけど、それは今回、来られても支障はないという。
市長
だから、今言ったように平和の思いといいますか、ヒロシマの心を理解した上で来てくださいねと、あらかじめ注文をつけて、理解したというふうにして出ていただけるものというふうに処理したいと思っているわけですよ。だから、自らの判断で、ヒロシマの心を理解して来るということをしていただく。強制できませんしね。来ていただくのならばヒロシマの心を、つまり、もう一遍言いますよ。過去の悲しみに耐えて、憎しみを乗り越えて、「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」という、全人類の共存と繁栄を願うというその式典に、この気持ちを理解して出ていただけるなら申し込んでくださいと、そんな言い方をしたいと思っています。だから、来ると申し込みをされるときにはヒロシマの心について理解をしたということで返事をいただけるものというふうに考えたいと思っているんです。
市政記者クラブからの代表質問
4期目前半の振り返り等について
記者
まず一点目なんですけれども、本日、4期目を市長折り返されると思うんですけれども、4期目の就任からG7のサミットであるとか、サッカースタジアム、先日の(広島)駅の新駅ビルの開業など、市長の取り組んでこられた施策が形になって表れる出来事がありました。この2年を振り返っての受け止めを教えていただきたいというのがまず一点と、そして、現時点で5期目を立候補される意向があるのかどうかというのをお聞きします。よろしくお願いします。
市長
まず最初の方の点ですけれども、私は市長就任の4期目、ここでは、第6次の広島市基本計画に沿って、広島のまちを世界に誇れるまちにするということを目指すことにいたしまして、やっぱりこの2年間、この目的に向かって全身全霊打ち込んできたというふうに考えています。具体的には、皆さんもご存じかと思いますけれども、例えば「200万人広島都市圏構想」と、それから「地域コミュニティの活性化」、こういったことの実現に加えまして、もう一つ「平和文化の振興」、これを市政運営の中軸に据えました。そこで、「持続」ということと「循環」ということを意識した施策展開をやっていく中で、「共助」「協調」ということを基調とする地域社会の形成をすると。そのためにハード・ソフト、両面で取組を進めるということをやったという思いであります。
また別の角度で、まちづくりに関して3つの柱ということを立てていますので、それで見てまいりますと、まず「世界に輝く平和のまち」と、こういったくくりで見ますと、一昨年の5月に本市でG7広島サミットが開催されました。世界の主要な国々の首脳が、この広島に結集したということで、本市が「ヒロシマの心」を共有してもらうために進めてきた「迎える平和」の取組の一里塚になったんじゃないかと受け止めています。また、サミットを契機にいたしまして知名度を上げた平和首長会議、これに加盟する国内外の都市と一緒になって平和文化を振興することで、平和を願う市民社会の総意、これが世界中の為政者の心に届くような環境づくりに貢献してきていると考えています。現在、この平和首長会議の及んだ加盟都市は8,477かな。8,500、一応1万都市をまだ目指すということで、日々加盟都市が増えていると、こんな状況にあります。
次に、「国際的に開かれた活力あるまち」ということに関しましては、昨年、広島の新たなシンボルとなります「エディオンピースウィング広島」、これを含めた広島が、いわば日本で初めての都心交流型のスタジアムパーク、これが完成しました。「ひろしまスタジアムパーク」ということであります。また今年に入っては、広島駅の新駅ビルのホテル、それから商業施設「ミナモア」が開業いたしまして、夏ごろには路面電車が新駅ビルの2階に乗り入れるようになりましょう。また、紙屋町・八丁堀地区の活性化の方では、リーディングプロジェクトとして第6次の広島市基本計画に位置付けております、基町相生通地区市街地再開発事業、これに関しまして、令和9年度の竣工を目指す高層棟の建設工事、これが本格化いたしました。このように「楕円形の都心」の東西の核を中心に「都心の大改造」が着実に進んでおりまして、さらなる活力、にぎわいの創出につなげていきたい、あるいは、つながるというふうに考えています。
最後に「文化が息づき豊かな人間性を育むまち」ということに関しましては、国の指定地域共同活動団体制度、これを活用いたしまして、広島型の地域運営組織「ひろしまLMO(エルモ)」への支援を一層充実させていくために、3月議会で、「広島市指定地域共同活動団体の指定等に関する条例」、これを策定いたしました。7月施行を目指してこれらに必要な準備作業を進めておりまして、今後は、指定地域共同活動団体となってまいりますLMO、これを基盤といたしました市民主体のまちづくりをさらに進めるということにしようと思っています。現在、60を超える地域でLMOが設立されておりまして、将来的には140ある小学校区の全てで設立するということを目指しております。これは、共助の精神に基づく持続可能な地域コミュニティの実現を目指すための土台でありまして、整いつつあるという受け止めです。
4期目の後半、今申し上げたようなまちづくりの総仕上げになってまいります。ハード・ソフト両面から取組を加速して、市民をはじめ民間企業、大学、地域活動団体などと認識の共有を図って、共助の精神に基づく連携の下で、それぞれの役割をしっかりと認識、それに応じて、地域総出のまちづくりに取り組んでいきたいと考えています。
もう一つ、5期目の話ですけれども、5期目の立候補に関しましては、現時点においては白紙であります。あえて言うならば、現在の任期中のしかるべき時期において、私の「ミリョク」と市政上の「タヨウセイ」、そういったこと次第かと考えています。ちなみに私のミリョクというのは、知力、気力、体力、この3つの力次第ということと、市政上のタヨウセイというのは、必要性であるとか、不要性であるとか、有用性であるとか、無用性であるとか、あるいは重要性、そういったことの兼ね合い次第と思っています。
アストラムラインの延伸について
記者
アストラムラインの延伸についてお聞きします。アストラムラインの延伸について、改めて整備の意義を教えていただきたいということと、地域住民の方からはルート案の見直しを求める声であったり、採算性を心配されるという声も聞こえてくるんですけれども、そういった方々に対して、どのように理解を求めていかれますでしょうか。
市長
まずアストラムライン、これについての基本認識を御紹介しておきたいと思います。アストラムライン、新交通でありますけれども、これは、西風新都とデルタ地、市街地の都心を結ぶ「西風新都・デルタ間の循環」、これを創出するための公共交通機関として設置したという認識であります。そして、これが他の公共交通機関と接続することで、私の代に入って、広島広域都市圏の各市町との結びつきを深める広域的なネットワークの形成のベースになる、そういうものだというふうに捉えています。これが一つですね。
そして、もう一つ、アストラムラインのある西風新都に関してでありますけれども、ご存じのように、西風新都はいまだ完成しているものではありません。元々は県が開発しかけて、途中から市が引き受けて、それをいわゆる第二の副都心にするということで計画を立ててやっておりまして、市長になったときに、その動向を今後どうするかということがありましたので、その全体像を「活力創造都市ひろしま西風新都推進計画2013」ということで、私は、2011年に市長になりましたので、2年かけて2013年にそこで明らかにしました。当初の計画を多少修正いたしまして、まず、居住人口に関しましては、2030年には、6万7,000人台にして、さらに、21世紀中ごろには、8万人になるということを目指す。そんな西風新都づくりをやるということを明らかにしています。
アストラムラインの延伸事業は、今申し上げたような西風新都まちづくりの中で、これを着実に進めていくために不可欠な基盤整備事業であるというふうに私は考えています。また、これによりまして、こういったことをできるのが、西風新都内ですでに開発されてきております。例えば、五月が丘団地、こういった住宅団地ありますね。さらには、石内東地区、産業団地もあります。こういったところに住まわれている方、あるいは通勤している方々の利便性の向上を図っていくということ、それは当然だと思いますし、さらには、企業立地の促進であるとか新たな住宅団地等の立地、こういったことも誘導いたしまして、様々な波及効果で関係人口も増加していくというふうに思います。そういう意味で、2030年に6万7,000(人)、21世紀中ごろに8万(人)という、こういった人口減少なんですけれども、部分的にはそういった機能強化で人口を増やすための取組の一環というふうに思うわけであります。
したがいまして、様々な御意見あるんですけれども、まずは、地域住民の一部の方々、ルートの見直し案等々、あるいは、採算性を心配するということは承知しておりますけれども、これについては、今申し上げたアストラムライン延伸の意義を理解していただけるように機会を捉えて、丁寧に説明をするということをまずやりたいと思います。
その上で、例えば、五月が丘団地について御意見を踏まえながら、沿線住民の中からの意見からすれば、利用者の利便性を考慮してほしいとか、ルートのあり方、駅の位置、数、いろいろございますので、やるといった前提の中で御意見も参考にしながら、ものを決定していくというやり方で改修していきたいと思っております。
また、採算性。これに関しましては、今でも、アストラムライン、今の現状で完成形ではありませんので、必ずしも、運用がうまくいっていない、大変だと。そこに、建設費などをのせてしまうと大変だと、おっしゃるとおりであります。したがいまして、アストラムラインの延伸事業につきましては、本市のまちづくりにとって不可欠であろうと考えております。広島型の公共交通システム構築というものを同時並行でやりますので、むしろ、それと一体のものとして取り込むという考え方に達しまして、この延伸事業の建設費は本市が負担する。つまり、企業体として負担するのではなくて、本市負担でやれるように考えるというふうに今しておりますので、この延伸事業は、広島高速交通株式会社の採算性に、建設費用に関しては影響を及ぼすということのないようにしていきたいと考えているところであります。以上です。
記者
建設費は、アストラムラインではなくて、本市負担というのは、これまでは一度も、アストラムラインが負担するということになっていて、今回初めてこのようなこと…。
市長
どこが負担するかは明確にはしておりませんでした。どうするかと。公共交通を社会インフラとして考えるということを打ち出しておりまして、今バスの公共交通事業体制を立ち上げて動きだしましたので、こういったところができたということで、皆さんに認知いただけますので、例えば、そういったものを事業展開の中で考えるというところが示せたと思います。そちらの方にシフトしていければと思っています。
その他の質問
県市トップ会談及び市長と市議会の関係性について
記者
すいません。2点あるんですけれども、先ほど、4期目の折り返しの話が出たんですが、これに関連して、広島県との関係ですね。最近、湯﨑知事とのトップ会談というのがしばらく開かれていないかと思うんですけれども、県と市が一緒に取り組む課題というのもあるかと思うんですけれども、そういったトップ会談の再開の予定があるかどうかというのが1点目になります。
もう一点が、市議会との関係なんですけれども、まちづくりが順調に進んでいるのは、議会との関係が良好だからというのも言えるかと思うんですが、一方で、市長与党で安定しているために、なれ合いになっているのではないかというような心配をする声も市民の間にあるんですが、この点に関して、市長のお考えを聞かせていただきたいと思っています。よろしくお願いします。
市長
最初の方の、県と市が連携して取り組む必要がある課題というふうな点に関しましては、むしろ、うまくいっているというふうに御理解いただいて結構だと私は思っています。例えば、まちづくりと産業政策に係るもので、今の話の中で言いましたけれども、基町相生通地区市街地再開発事業がありますね。ここの新しいビル建設は、県に加えて、商工会議所も一緒になって30階建ての建物を造るということで着実に進んでいますけれども、それをやるために、知事と私が直接話をしなければ進まないという状況ではなくて、基本合意取れて、事務的に動いています。それから、医療政策に関して、例えば、大きな課題になっています、県の新病院の計画がありますでしょう。これについても、県に加えて、医療関係機関等とも関係しながら、市の方では、舟入(市民)病院の小児をどうするかっていうようなことも、実務的に連携を取って動いているというふうに私は思っています。そういう意味で、トップ会談を再開するうんぬんではなくて、これは、案件に応じて両者で調整する、トップ会談をする方が効果的だというものがあれば、やるようにする構えはずっと持っておりますので、時期を定めて定期的にやるとかいうのではなくて、効果的な…、(案件が)あるかどうかとそういった視点で、その都度、実施調整をしたいというふうに思っているところです。
それから、市政運営に関わる市議会との関係性。広島市が、一部なれ合いと言われるか分かりませんけれども、私からすると、まだ県議会の方が数からしたら、全然なれ合いも何もなくて、圧倒的多数ですよね。私の場合は、複数の会派の方とそれぞれ政策の方をきちっとやりながらやらせていただいているというのが基本でありまして。ただ、これも法令上からいくと、市議会とは、まさに議会というものは、二元代表制で、緊張関係にあるということが前提で、いろいろなシステムは構築されているのは重々承知しておりますけれども、今言われたように、私自身が市政の方針を皆さんに十分説明できる機会を与えていただいて、それについての判断の下に賛同し、一定の協力を得られていること、私自身、大変心強く思っています。
ですから、今の自分はこんなことやりたいんだと、理解していただく、それについての反対意見があれば、それに対して、もちろん意見は聞きますけれども、自分として採用できることできないことは、明確にお答えした上で、どういった方法を取るかということは、しっかりと伝えて、最終的に議会の判断をいただくと、このやり方は変えることなくやりたいと、そういう意味では、今後とも市政運営にあたっては、まず、自分の言ったことを理解していただけるようにしっかりと言う。
そして、緊張感を持って、議会対応するということをやり続けたいと思っています。
記者
分かりました。ありがとうございます。
平和記念式典における各国代表への参列要請の方法の検討状況について
記者
式典についてなんですけれども、案内を受け取られる国と地域っていうのは、もちろん、趣旨を理解された上で参列をされると思うんですが、例えば、ロシアとウクライナであったり、戦争状態にある国同士の駐日大使や代表者が来られるという可能性ももちろん考えられると思いますが、式典の挙行に、どういった影響があるのか、市長のお考えと、それを踏まえて、式典の警備上・運用上、何か変更点があるのか、今の時点で決まったことがあれば伺えますでしょうか。
市長
全体の式典は、先ほど言ったように、5月の下旬発表ですけれども、私の整理とちょっとどうも違った視点での質問なので、うまく伝わるかどうか分かりませんけれども、記念式典に各国大使とか、代表が来ていただくという、その手続きに関しましては、市とすれば、各国の外交姿勢というか、そういったものがあって、ヒロシマの心を理解していただける余地があるのかどうか、そちらの方が重きがあるということを一生懸命言っているんですね。それに尽きるんです。で、そこからなかなか、皆さんの、語弊か分からないんですけれども、心というのを強調するのは、一番の問題は、戦争して被害者と加害者がいて、被害者の立場の広島が平和を論ずるときに、加害者にちゃんと謝らせるとか、そこを屈服しもしないで、みんなに平和の気持ちというのは、加害者に迎合していい加減なことをやっているんじゃないかとか、あえて言えばですよ。で、アジアの近辺の国は、日本に被害を受けながら、日本が謝りもしないで、日本と仲良くできるかといったような論調で、みんな議論するでしょ。
だから、私はそういった国と国じゃなくて、被害を受けた国民市民という立場で、そういったことが起こらないようにしてくれ、そのために国、考えてくださいねということで、しっかり考えていただくというメッセージを広島が出したいと。だから、国の中で、まず、広島の立場は分かりました、じゃあ、それで話を聞きましょうというところを来ていただきたいという中で、君、その謝るということをしもしないのに、そういったところとお付き合いしてどうするんだと。あるいは、紛争している国について、どっちを呼ぶ呼ばないと、そんな次元で広島を見られるのが迷惑だといいますか、そうじゃないんだということをお伝えしたいんですよ。そういうことを越えて、理想的な世界をやるために、皆さん考えてくださいねと。そのために式典なり、迎える平和、被爆の実相を見ていただいていると。それに尽きるんです。
そして、あと、平和の式典、挙行といったときの規制は、もう一つ、そういった会合をやる中で、式典をやる中でやる表現の自由、思想の自由ということ、その式典と直接関係ないけれども、来ているお客さんなどに向けて、自分たちの思いをチャンスと捉えて、発表したいと言われる方がおる一方で、式典は静粛な雰囲気の中でやるべきだと、これ、議会での決議も了解も得てやっている。この調和をどうするかということをモットーでやっています。その範囲をどういうふうに設定するかも、いろいろな意見も聞きながらやっています。私にとっては、別々の方を課題でありまして、それらを一体として、皆さんに今後どういうふうにするかということをお示しするのが、5月下旬ということ、そういうふうに理解していただけないでしょうか。
※( )は注釈を加えたものです。
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