広島サッカースタジアムでのフラッグ用吊りバトンの落下について(調査結果報告)
Press Release 報道資料 広島市 The City of HIROSHIMA
令和6年(2024年)5月31日(金曜)
都市整備局スタジアム建設部
スタジアム工務担当課長:綱木
電話:504-2859
内線:3080
1 事故の概要
令和6年5月11日(土曜)、広島サッカースタジアムで開催されたサンフレッチェ広島レジーナ対大宮アルディージャVENTUS戦の試合中、フラッグを掲出する吊りバトンの落下が発生しました。
- 発生日時
令和6年5月11日(土曜)15時7分頃 - 場所
広島サッカースタジアム(広島市中区基町15番2-1号) - 事故の状況
フラッグを掲出していた吊りバトン(全長約15メートル、重さ約70キロ、ステンレス製)が、1階東側スタンドの上に落下。その際、スタンド席に観客はおらず、負傷者はなし。
2 これまでの対応状況
- 5月11日(土曜)
- 本市担当者を現場に派遣
- 5月12日(日曜)
- 本市担当者、指定管理者(サンフレッチェ広島)及び施工業者が安全点検及び原因調査を実施
- 5月13日(月曜)
- 観客席の上に設置している設備機器(照明など)の安全点検を実施
3 吊りバトンの落下の調査結果について
令和6年5月11日(土曜)に発生した、フラッグを掲出する吊りバトンの落下事故について、本市、施工業者及び指定管理者において、現場確認や監視カメラ映像等による事故発生に至る経緯を調査し、これらの得られた情報を基にした原因の検証を行いましたのでお知らせします。
(1) 調査期間
令和6年5月12日(日曜)から令和6年5月24日(金曜)
(2) 落下の経緯(別紙1参照)
- 上空約40mの位置の吊りバトンに掲揚したフラッグが、風に煽られてバトンに巻き付いた。ハーフタイム中にフラッグを直すため、興行主であるサンフレッチェ広島の運営スタッフが、手元のリモコンを操作し、吊りバトンを電動式巻上機で最下部まで下降させた。
- フラッグを直した後、リモコンの上昇ボタンを押して電動式巻上機で吊りバトンを上昇させたところ、吊りバトンは揺れながら上昇した。このため、瞬間的に突風が吹いていたことが推定される。
吊りバトンが揺れている状況であったため、ワイヤーに弛みが生じ、乱巻き(電動式巻上機でワイヤーをドラムで巻き上げる際にドラムに適切に巻かれていない状態)が発生した。 - ワイヤーが正常に巻かれなかったため、ドラムと連動して作動する制御スイッチが誤作動を起こし、吊りバトンが上限に到達した後も電動式巻上機が稼働し続け、過巻き(上限を超えてもワイヤーを巻き上げ続ける状態)が生じた。
- 過巻き状態が継続したため、吊りバトン昇降装置に想定を上回る負荷がかかる状態となり、ワイヤーを巻いているドラムとモーターとの接続箇所が破断した。
- ワイヤーを巻いているドラムとモーターとの接続箇所が破断したため、ドラムとモーターの連動が失われ、ドラムはモーターで制御できない状態(空回りの状態)となった。これにより、ワイヤーが巻き上げられない状態となり、ワイヤーと吊りバトンの自重で吊りバトンが落下を始め、吊りバトンはスタンドの床面まで落下した。
- 落下発生時にはワイヤーは破断しておらず、吊りバトンの落下に伴い、ワイヤーがすべて送り出され、落下時の衝撃でドラムに固定されたワイヤーの接続部に力が加わり、ワイヤーの端部が欠損したものと推定される。
(3) 落下の原因
調査の結果、以下の複数の原因が作用し、この度の事故発生に至ったと考えられます。
- 吊りバトン昇降装置に影響が生じる可能性のある突風が同装置の稼働中に発生した。
- 乱巻きの原因となった突風を把握するための風速計等が現地に設置されていなかったため、運営スタッフが風速状況を把握できなかった。
- 乱巻き及び過巻きが生じた場合に、モーターの駆動を停止する機構を備えていなかった。
- ドラムとモーターを接続する箇所の強度が、想定を上回る負荷に対して不足していた。
4 今後の対応について
今回の事故を受け、観客席上部に設置する既存の吊りバトン装置は撤去する予定です。
今後のフラッグ掲出場所については、スタジアム南東部(別紙2参照)に設置することとします。
なお、設置時期については令和6年夏頃となる見込みです。それまでは、施設利用者と協議のうえ暫定的なフラッグ掲出となります。
PDFファイルをご覧いただくには、「Adobe(R) Reader(R)」が必要です。お持ちでない方はアドビシステムズ社のサイト(新しいウィンドウ)からダウンロード(無料)してください。
Press Release 報道資料 広島市 The City of HIROSHIMA