原爆体験者等健康意識調査報告書第3-1

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ページ番号1022258  更新日 2025年2月16日

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第3 調査結果

1 解析の内容と対象

(1)主な内容

  1. 現在の心身の影響(精神的健康状況、身体的健康状況、抑うつ症状、不安症状、差別・偏見体験、PTSD症状)と、体験の内容別比較、その要因
  2. PTSD現在有病率及び生涯有病率
  3. 身体的影響(自覚的な急性症状の有無、治療等を行っている病気の状況)
  4. 原爆体験後の気持ちのポジテイプな変化
  5. 黒い雨の体験状況

(2)情報の取り扱い

1.既存情報との連結

回答結果の正確性を期するため、市(県)が保有する住民基本台帳情報、被爆者健康手帳情報、介護保険情報と連結し、それらを解析に用いた。なお、その際は匿名化して作業を行った。

2.原爆体験内容の区分

直接被爆後に入市したように原爆体験が重複しているケースや、現在に至るまで彼爆者健康手帳を申請・所持していないケースも考えられるが、今回の解析にあたっては調査時点における被爆者健康手帳、健康診断受診者証の有無や手帳に記載してある内容(被暴区分)に基づいて整理を行った。

(3)解析対象となる体験区分と対象者数

1.解析対象区分
ア 基本調査
  1. 平成20年(2008年)11月末までに回収した調査票(有効回答分)を対象とした。
  2. 解析対象は、下表のとおり被爆群及び黒い雨関係群とした。
    理由:当初、比較対照群として原爆非体験群を想定していたが、分類上、この群に含まれる者の回答内容には欠損項目が多く、群としての位置づけが曖昧になることから、これに代えて、黒い雨関係群のうちの非体験群を比較対照群とした。(より群間差が表れにくい設定となった。)
    また、転人群については、当初、原爆体験や原爆の影響が無い群(原爆体験者全体の対照)として設定していたが、実際には合併前の周辺町からの転入者が多かったためか、回答者に何らかの原爆体験を持つと回答した者が多く、原爆体験が無い者としての代表性を欠くと考えられたため、解析対象から除外した。
  3. 年齢は71歳以上の者とした。
    理由:個別調査で、被爆当時の出来事を十分に語れるほどの記憶を有するものとして、71歳以上を調査対象者の下限年齢としており、これに準じて基本調査の解析年齢を設定した。ただし、「現在治療等を行っている病気について」は現在の状況に関する解析であるため、71歳未満についても頻度を確認した。
イ 個別調査

対象者の認知機能を評価するため、長谷川式簡易知能評価スケールより日付と曜日、3語復唱と遅延再生、計算について検査した。合計15点満点のうち7点以下の者は認知機能に障害ありと判断し解析対象から除外した。(面談実施者891人のうち、解析対象から除外した者は22人であった。)

2.区分の定義と解析対象者数

体験区分

定義

解析対象者数

基本調査

解析対象者数

個別調査

被爆群 (1)直接被爆群
被爆者健康手帳所持者で、被爆区分が1号(直爆)の者
7,538人
(11,301人)
326人
被爆群 (2)入市被爆群
同被爆区分が2号(入市)の者
2,816人
(3,438人)
123人
被爆群 (3)救護・看護被爆群
同被爆区分が3号(救護・看護被爆等)の者(ただし健康診断受診者証から切替の者は除く)
790人
(879人)
37人
黒い雨関係群 (4)指定地域群(宇田大雨地域)
被爆者健康手帳所持者で、被爆区分が3号(健康診断受診者証からの切替の者のみ)又は健康診断受診者証所持者
470人
(743人)
63人
黒い雨関係群 (5)未指定地域群(宇田小雨地域ほか)
被爆者健康手帳非所持者及び健康診断受診者証非所持者で、黒い雨にあっていると回答し、かつ体験場所も宇田大雨地域以外の宇田小雨及び周辺地域を回答している者
559人
(845人)
159人
黒い雨関係群 (6)非体験群→比較対照群
被爆者健康手帳非所持者で黒い雨体験が無い者(その他の原爆体験やその影響について、いずれか一つでも「有り」と回答した者(本人又は家族に何らかの原爆体験又はその影響がある者))
2,200人
(2,927人)
161人
原爆非体験群 被爆者健康手帳非所持者で黒い雨体験が無い者(その他の原爆本験やその影響について、全て「無い」、あるいは「わからない」と回答した者(本人又は家族に全く原爆体験が全く無い者)) (対象外) (対象外)
その他 上記区分に分類できないもの (対象外) (対象外)
転入群 昭和25年から27年までに市内に転入してきた非被爆者 (対象外) (対象外)

  • 解析対象者数 基本調査:14,373人(20,133人)
  • 解析対象者数 個別調査:869人

(注)()内は71歳未満を含む人数
個別調査対象者:被爆群=基本調査結果で被爆区分と性別、年齢、IES-R得点とで層化し無作為に抽出した者で、調査(面談)に協力すると回答した者。(4)指定地域群及び(5)未指定地域群=調査に協力すると回答した者全員。比較対照群=調査に協力すると回答した者が指定地域群、未指定地域群よりも多かったため、指定地域群より調査協力者の人数が多い未指定地域群の対象者と性別・年齢層分布をマッチングさせ無作為抽出した者。

このページに関するお問い合わせ

健康福祉局原爆被害対策部 調査課
〒730-8586 広島市中区国泰寺町一丁目6番34号
電話:082-504-2191 ファクス:082-504-2257
[email protected]