原爆体験者等健康意識調査報告書 第2-1及び2(1)
第2 調査方法
1 構成
原爆体験者等健康意識調査は、郵送自記式質問紙調査による基本調査と、基本調査結果を検証するための個別(面談)調査により構成した。
また、個別調査は、PTSD診断や原爆体験後の心境の変化の検証等も目的として実施した。
2 調査内容
(1)基本調査(郵送による自記式質問紙調査)
1.対象者
- ア平成20年(2008年)6月現在の広島市内又は県域の一部上付きに、昭和20年(1945年)の原爆投下前から居住し続けている者上付き
- イ平成20年(2008年)6月現在の広島市内又は県域の一部に、昭和25年(1950年)1月1日から昭和27年(1952年)12月31日までに転入し、居住し続けていると思われる者で、かつ、昭和20年(1945年)8月5日以前に生まれた被爆者以外の者
- ※1 県域の一部とは、広島市の周辺2町(現在の安芸太田町及び北広島町の一部)であり、広島県と2町が調査を実施した。
- ※2 住民基本台帳及び外国人登録原票の情報により把握できる者全員を対象とした。
2.調査期間
平成20年(2008年)6月30日~11月30日
(県域分は8月に発送)
3.調査項目
- 性別、生年月日
- 生活状況(現在の居住状況、収入、介護度)
- 原爆体験の有無、内容、その影響について
- 原爆以外の戦争体験、その他の災害体験の有無
- 黒い雨体験の有無、体験内容
- 健康関連QOL尺度:SF-8上付き(MOSShort-Form8-ItemHealthSurvey)上付き
- PTSD症状評価尺度:IES-R(lmpactofEventScaIe-Revised)上付き
- 心理的ストレス評価尺度:K6(Kessler'sPsychologicalDistressScale)上付き
- 現在治療中の病気
- 面談調査への協力の可否(面談協力同意者のみ住所・氏名・連絡先を記人する選択記名式)
- その他(自由記載欄)
全16問、A4版12頁(転入者用は上記の抜粋版10問、A4版6頁)
(評価 尺度の説明)
※1 SF-8上付き
健康関連QOL(HealthRelatedQualityofLife:HRQOL)尺度として広く使用されているSF-36上付きと同じ8つの健康概念((1)身体機能、(2)日常役割機能(身体)、(3)体の痛み、(4)全体的健康感、(5)活力、(6)社会生活機能、(7)日常役割機能(精神)、(8)心の健康)をより簡便に測定する尺度として開発された、8項目の自記式質問票。国勢調査のような大規模調査や、サンプル数の大きい集団レベルでの比較調査において有用であることが実証されている。日本語版は福原ら(2004)により作成・標準化されている。スコアリングでは、対応する項目の回答カテゴリー(5~6件法)に日本一般住民から得られたSF-36上付き下位尺度得点の平均を割り当てる。そして、さらに各項目得点を重み付けして加算し、身体的健康状態を測定する「身体的サマリースコア(PCS-8)」と精神的健康状態を測定する「精神的サマリースコア(MCS-8)」を計算する。なお、重み付けの係数と定数は、2002年日本一般住民のサマリースコア平均が50点となるようになっている。
※2 IES-R
1997年にWeissらが、PTSD(心的外傷後ストレス障害)関連症状を評価する目的で、旧版の改訂版として開発した自記式質問票。PTSDの3症状クラスターに対応して、侵入(再体験)症状8項目、回避症状8項目、過覚醒症状6項目の計22項目により構成される。各症状がどの程度の強さで存在したかの回答を求め、得点の合計により症状評価を行う。回答は5件法からなり、合計得点は0~88点である。日本語版は、飛鳥井ら(2002)により標準化されており、現在国内における各種の被災者・被害者調査で広く使用されている。心理検査として保険診療報酬適用を認可された。
※3 K6
精神疾患(うつ病性障害および不安障害)を効率よくスクリーニングするための尺度として、2002年に米国のKesslerらが提案した6項目の自記式質問票。不安、抑うつ症状の頻度を5件法で求め、合計得点6~30点で症状評価を行う。別に10項目からなるK10もある。K6/K10は既存の18個のスクリーニング尺度から得られた質問文を候補とし、項目反応理論によって選ばれた項目である。従来の標準的な尺度よりも鋭敏とされ、北米やオーストラリアでの大規模疫学調査で使用されている。日本語版は、古川ら(2003)によって尺度特性を検証され、調査票として確立されている。
4.回答状況
区分 |
発送数 |
回答数 |
有効回答率 |
備考 |
---|---|---|---|---|
広島市域分 | 35,377件 | 26,469件 | 74.8% | 前回調査の有効回答率は52.1% |
広島県域分 | 1,237件 | 678件 | 54.8% | 周辺2町分 |
計 | 36,614件 | 27,147件 | 74.1% |
(注)
発送数には、あて先不明で返戻されたものは含まない。
回答数には、回答が白紙又は記載内容が不備の者、回答不能と電話連絡があった者は含まない。
回答率向上のため、広島市域分については、未回答者に対し葉書による協力依頼等を行った。
区分 | 性 | 発送数 | 回答数 | 有効回答率 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
原爆投下前からの居住者 | 男 | 14,419件 | 11,111件 | 77.1% | 上記2(1)1のア |
原爆投下前からの居住者 | 女 | 17,179件 | 12,669件 | 73.7% | 上記2(1)1のア |
原爆投下前からの居住者 | 計 | 31,598件 | 23,780件 | 75.3% | 上記2(1)1のア |
内訳被爆者 | 男 | 8,203件 | 6,666件 | 81.3% | 被爆者健康手帳所持者及び健康診断受診者証所持者 |
内訳被爆者 | 女 | 12,742件 | 9,695件 | 76.1% | 被爆者健康手帳所持者及び健康診断受診者証所持者 |
内訳被爆者 | 計 | 20,945件 | 16,361件 | 78.1% | 被爆者健康手帳所持者及び健康診断受診者証所持者 |
内訳被爆者以外 | 男 | 6,216件 | 4,445件 | 71.5% | |
内訳被爆者以外 | 女 | 4,437件 | 2,974件 | 67.0% | |
内訳被爆者以外 | 計 | 10,653件 | 7,419件 | 69.6% | |
昭和25~27年転入者 | 男 | 1,791件 | 1,175件 | 65.6% | 上記2(1)1のイ(全て被爆者以外) |
昭和25~27年転入者 | 女 | 3,225件 | 2,072件 | 64.2% | 上記2(1)1のイ(全て被爆者以外) |
昭和25~27年転入者 | 不明 | - | 120件 | - | 上記2(1)1のイ(全て被爆者以外) |
昭和25~27年転入者 | 計 | 5,016件 | 3,367件 | 67.1% | 上記2(1)1のイ(全て被爆者以外) |
計 | 男 | 16,210件 | 12,286件 | 75.8% | |
計 | 女 | 20,404件 | 14,741件 | 72.2% | |
計 | 不明 | - | 120件 | - | |
計 | 36,614件 | 27,147件 | 74.1% |
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