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お魚(クジラ、イルカを含む)は、優良な栄養を多く含み、健康的な食生活を送る上で重要な食材です。
ところが、お魚には、食物連鎖(注1)によって自然界に存在する水銀が取り込まれています。
平均的な日本人の水銀摂取量は健康に影響を与えるようなレベルではありませんが、お魚を極端にたくさん食べるなど、偏った食べ方をすることでこの水銀が取り込まれ、おなかの中の赤ちゃんに影響を与える可能性があることがこれまでの研究から指摘されています。(注2)
そのため、次のとおり注意が必要なお魚の種類や食べる量についての目安が示されています。
健やかな妊娠・出産のために、この目安を参考にして、バランスの良い食事を心がけてください。
(注1) 食物連鎖:ある生物が他の生物に食べられていく関係が複雑につながっている状況
(注2) 胎児への影響は、例えば音を聞いた場合の反応が1/1,000秒以下のレベルで遅れるようになるようなもので、あるとしても将来の社会生活に支障があるような重篤なものではありません。
日本人が平均1食に食べるお魚の量は、刺身1人前、切身1切れ、それぞれ約80gです。
下の図では、1人前(約80g)を単位として、それぞれに含まれる水銀量を●で表しています。
おなかの中の赤ちゃんに影響を与えない水銀量は、1週間に●1個までが目安です。
刺身1人前、切り身1切れ |
魚の名前 |
食べる量の目安 |
---|---|---|
半個 |
キダイ、マカジキ、ユメカサゴ、ミナミマグロ、ヨシキリザメ、イシイルカ、クロムツ |
1回80gとして、週に2回まで |
● 1個 |
キンメダイ、メカジキ、クロマグロ(本マグロ)、メバチ(メバチマグロ)、エッチュウバイガイ、ツチクジラ、マッコウクジラ |
1回80gとして、週に1回まで |
●● 2個 |
コビレゴンドウ |
1回80gとして、2週間に1回まで |
●●●● ●●●● 8個 |
バンドウイルカ |
1回80gとして、2ヶ月に1回まで |
キハダ、ビンナガ、メジマグロ、ツナ缶、サケ、アジ、サバ、イワシ、サンマ、タイ、ブリ、カツオ など
注意が必要なお魚を組み合わせて食べる時には、それぞれに含まれる水銀量から、1週間の水銀量を合計し、1週間で●1個までになるようにしてください。
たとえば、「キダイの焼物」1切れ()、「ミナミマグロの刺身」1人前()を食べるのであれば、その他のお魚は、注意が必要なお魚ではなく、ツナやサバなど特に注意が必要でないものを食べましょう。
<例>
例えば、ある週に「キンメダイの焼物」を1切れ(●)、「ミナミマグロの刺身」1人前()を食べたならば(合計●+=1個半)、翌週には「マカジキの刺身」1人前()など、水銀量を半分()に控えましょう。
<例>
A. お魚の中に含まれる水銀の量がある一定以上になったときにおなかの中の赤ちゃんに影響を与える可能性が指摘されています。それは、おなかの中の赤ちゃんは、お母さんのからだの中から取り込んだ水銀をからだの外に出すことができないからです。
A. 今回注意しなければならないお魚を、食べる量の目安よりもとても多く食べ続けた場合に限りますが、例えば生まれてから、音を聞いた場合の反応が1/1000秒以下のレベルで遅れる可能性があることが言われています。
A. 私たちが普段の食事でからだに取り込んでいる水銀の量は、健康に影響を与えないと考えられる最大量の57%です。また、からだの中に取り込まれた水銀は、徐々に体の外に出ていきます(2か月で取り込んだ量の半分になります)。そのため、平均的な食生活をしている限り、水銀が過剰にからだの中にたまっていくことはなく、健康への影響を心配するようなものではありません。
A. 小さいお魚がそれよりも大きいお魚へ、そしてもっと大きいお魚へ食べられていくことが食物連鎖です。そして、大きいお魚はそれぞれが食べたものを取り込むことになります。お魚それぞれに水銀が含まれていますから、一般的には、大きいお魚は小さいお魚に比べて自然に多くの水銀を取りこむことになります。今回注意が必要とされたお魚は、おもにこのような大きいお魚(クジラ・イルカを含む)で、その中でも水銀の量が比較的多いお魚となっています。
A. 赤ちゃんは胎盤を通して水銀を取り込みますが、この胎盤は一般的に妊娠4か月でできます。胎盤ができる時期には、それ以前にからだの中に取り込まれた水銀の量は減少しています。そのため、妊娠に気付いた時から注意することで対応できると考えています。
健康福祉局 保健部 食品保健課
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