病原大腸菌
1.特徴
ヒトや動物の腸内、自然環境に広く存在し、通常病原性はありません。しかしいくつかの大腸菌はヒトに病原性をもっています。これらを総称して病原大腸菌(又は下痢原性大腸菌)と呼ばれています。
病原大腸菌(又は下痢原性大腸菌)は、下記の5種類に分類され、症状なども異なります。
- 腸管毒素原性大腸菌(ETEC)
- 腸管侵入性大腸菌(EIEC)
- 腸管病原性大腸菌(EPEC)
- 腸管出血性大腸菌(EHEC)
- 腸管凝集接着性大腸菌(Eaec)

大腸菌には多くの種類があるため、菌体(O抗原)や鞭毛(H抗原)などの種類により番号で型別に分類します。
この型別を血清型別と呼びます。例えば大腸菌O157は、157番タイプのO抗原をもつ大腸菌ということになります。
(1)腸管毒素原性大腸菌(ETEC)
毒素を産生し、コレラ様の激しい下痢を起こします。
毒素には以下の2種類があります。
- 易熱性毒素(LT)
- 60℃、30分の加熱で失活する(なくなる)
- 耐熱性毒素(ST)
- 100℃、15分の加熱でも失活しない(なくならない)
- 主な症状
- 潜伏期間12~72時間。腹痛、下痢(主に水様性)。
(2)腸管侵入性大腸菌(EIEC)
赤痢菌のように、腸粘膜に侵入して下痢を起こします。
食中毒の他にヒトからヒトへ感染することもあります。
- 主な症状
- 潜伏期間1~5日。下痢(主に水様性ですが、重症では粘液や血液が混じることがあります)、腹痛、発熱。
(3)腸管病原性大腸菌(EPEC)
乳幼児の胃腸炎の原因菌として知られていますが、成人にも腸炎を起こすことがあります。
- 主な症状
- 潜伏期間12~72時間。下痢、腹痛。
(4)腸管出血性大腸菌(EHEC)
大腸の粘膜内に付着して、増殖する際にベロ毒素(VT)を産生します。
この毒素が腸粘膜の出血や浮腫、壊死等を引き起し腸炎となります。
強い感染力を有し、少量の菌でも感染することがあります。
食中毒の他にヒトからヒトへ感染することもあります。
- 主な血清型
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O157、O26、O111など。
(これ以外の血清型でも検出事例があります。詳細は「国立感染症研究所感染症情報センターホームページ」の「病原微生物検出情報(IASR)」の細菌検出情報をご覧ください。)
- 主な症状
- 潜伏期間2~8日。下痢(血便)、腹痛。重症では溶血性尿毒症症候群(HUS)による腎障害を引き起し死亡することもあります。
(5)腸管凝集接着性大腸菌(Eaec、EAggEC)
2週間以上続く下痢の原因菌として分離されることが多く、病原因子など不明な点が多い菌です。
- 主な症状
- 潜伏期間1~5日。持続性の下痢、腹痛。
2.原因食品
- 食肉(特に牛肉)を使用した料理で、以下のような生食肉や加熱不十分な食肉。
- レバ刺し(生レバー)(注1)
- ユッケ(牛刺し)等(注2)
- 動物の糞便により汚染された井戸や川の水。
- 動物の糞便により汚染された土壌で栽培した野菜
(注1)平成24年7月1日から、牛のレバーを安全に生食するための有効な予防対策が見いだせるまで、牛レバーを生食用として提供または販売できません。
(注2)平成23年10月1日から、ユッケ等の生食用牛肉(内臓を除く)の規格基準に適合しないものは、提供または販売できません。
3.予防方法
肉類は生や半生で食べず、十分に加熱しましょう(75℃、1分間以上)。
- 生肉を扱った後、トイレの後はしっかり手を洗いましょう。
- 生肉を扱った後の調理器具(包丁やまな板など)は、洗浄、消毒をしましょう。生肉専用の調理器具を使用するとさらに安全です。
- 焼肉やバーベキューをするときは、肉を焼く「はし」と食べる「はし」を使い分けましょう。
- 冷蔵庫内などで、肉汁が他の食品に付着しないよう注意しましょう。
- 生水(井戸水や湧き水など)は煮沸など殺菌してから飲みましょう。
- ペット等動物に触った後には、しっかり手を洗いましょう。動物との接触により感染した事例があります。
4.外部リンク
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腸管出血性大腸菌O157等による食中毒(厚生労働省)(外部リンク)
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食品等事業者の衛生管理に関する情報(厚生労働省)(外部リンク)
「(4)食品中の食中毒菌汚染実態調査の結果」を参照 -
病原微生物検出情報(国立感染症研究所感染症疫学)(外部リンク)
関連情報
ダウンロード
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腸管出血性大腸菌にご注意を! (PDF 328.5KB)
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肉の生食・加熱不足に注意!(消費者用) (PDF 279.5KB)
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肉の生食・加熱不足に注意!(事業者用) (PDF 279.9KB)
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焼肉店での食中毒予防ポイント! (PDF 203.6KB)
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焼鳥・居酒屋店での食中毒予防ポイント! (PDF 221.0KB)
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結着などの加工処理をした食肉を提供する際の注意点 (PDF 841.5KB)
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このページに関するお問い合わせ
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