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感染症情報/ノロウイルスによる感染性胃腸炎

ページ番号:0000000251 更新日:2024年8月9日更新 印刷ページ表示

感染性胃腸炎とは(届出基準と届出様式:感染性胃腸炎感染性胃腸炎(ロタウイルス)

 感染性胃腸炎とは、細菌、ウイルス、寄生虫などによって引き起こされる胃腸炎のことです。このうちウイルス性の感染性胃腸炎には、ノロウイルス、ロタウイルスによるものが多く、ほかにアデノウイルス、アストロウイルス、サポウイルスなどによるものがあります。

 ノロウイルスは人から人へ感染する場合と、食品から感染する場合があります。また、感染力が強く、少量のウイルスでも感染しますので、福祉施設・保育園・学校などでは集団感染を引き起こしやすいといわれており注意が必要です。

広島市の流行状況

【参考】

ノロウイルスとは

 ノロウイルスは胃酸の中でも生き延び、アルコールや逆性石けん(塩化ベンザルコニウム等)などの薬剤にも抵抗力があります。また、他のウイルスと比べて、環境中や食品中で比較的長く存在することができますが、増殖することはありません。増殖するのは人間の腸管の中のみです。

 ノロウイルスの感染力は非常に強く、わずか10~100個のウイルスでも感染することがあるといわれています。

 このようなノロウイルスの薬剤や環境中での抵抗力の強さ、人への感染力の強さに加え、感染経路の多様性が、予防対策を困難なものにしています。

 ノロウイルスによる感染性胃腸炎は、晩秋から冬季にかけて多くなりますが、それ以外の季節でもみられます。

症状

 潜伏期間は1~2日で、下痢と嘔吐が主な症状で、そのほか、発熱、吐き気、腹痛、頭痛などの症状がみられます。発熱はあまり高くならないことが一般的です。また、小児では嘔吐が多く、成人では下痢が多いことも特徴の一つです。

 一般的には数日で軽快し、後遺症もありませんが、免疫力が弱い乳幼児や高齢者は、脱水症状を起こして重症化する場合がありますので注意が必要です。

 また、特に高齢者の場合は合併症や体力の低下などから症状が悪化したり、吐物がのどに詰まったために、窒息したり肺炎などの二次感染を起こす場合がありますので、慎重な経過観察が必要です。

感染経路

 ノロウイルスに感染した人の便や吐物には、多量のノロウイルスが含まれています。感染経路は、基本的にはノロウイルスが口から入り、消化器に達して主に腸管で増殖して感染します。ノロウイルスが口に達する経路は様々で、次のような感染様式があると考えられています。

  1. 患者の便や吐物から人の手などを介して二次感染した場合
  2. ヒトからヒトへ飛沫感染等直接感染する場合
  3. 調理を行う者が感染しており、その者を介して汚染した食品を食べた場合
  4. 汚染されていた二枚貝を、生あるいは十分に加熱調理しないで食べた場合
  5. ノロウイルスに汚染された井戸水や簡易水道を消毒不十分で摂取した場合

 また、12日以上前にノロウイルスに汚染されたカーペットを通じて、感染が起きた事例も知られています。これらの感染経路を理解することが予防する上で大切です。

治療方法

 現在、ウイルスの増殖を抑える薬はありませんので、対症療法になります。

 下痢や嘔吐がひどい場合、脱水症状を起こすことがありますので、水分補給につとめるとともに、早めに医療機関を受診してください。(特に乳幼児や高齢者)

予防方法

1.手洗いの励行

 最も基本的なことは、手洗いの励行です。(特にトイレの後、便や吐物を処理した後、調理の前、食事の前など)手洗いは石けんを使用し、しっかりと流水で洗い流してください。(注1)

2.食品の十分な加熱

 ウイルスが含まれている可能性のある食品は、中心部までよく加熱してください。(注2)

3.消毒

 ノロウイルスに対しては、熱湯または次亜塩素酸ナトリウムによる消毒(注3)が有効です。

4.患者の便、吐物の処理

 患者の便、吐物には多量のウイルスが含まれていますので、扱いには十分注意してください。

5.その他

 症状がある間は、食品の調理をできるだけ控えてください。やむをえず調理する場合は素手で食品を触らずに、手袋や箸を使用してください。また、症状がなくなっても通常では1週間程度、長いときには1ヶ月程度ウイルスが排出される場合がありますので注意が必要です。
 ノロウイルスは、感染していても症状を示さない不顕性感染も認められています。日頃から調理の前はよく手を洗うことが大切です。

(注1)石けん自体にはノロウイルスを直接死滅させる効果はありませんが、手の脂肪等の汚れを落とすことにより、ウイルスを手指からはがれやすくする効果があります。手のひらだけでなく、指の間や指先、爪の間もしっかりと洗います。手拭用のタオルは共用しません。

(注2)中心部が85~90℃で90秒間以上の加熱が必要とされています。

(注3)次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が有効です。ただし、皮膚に対する刺激作用がありますので手洗いには使用できません。次亜塩素酸ナトリウムは消毒する対象に応じて、適切な濃度に希釈して(薄めて)使います。消毒液の作り方(薄め方)と使用上の注意事項については、消毒液の作り方と使用上の注意(次亜塩素酸ナトリウム)を参考にしてください。

参考

広島市における感染性胃腸炎の流行状況(過去シーズンのまとめ)

 図1のシーズン別報告数の推移をみると、2003/04シーズンをピークに2020/21シーズンまで横ばいから減少傾向で推移してきました。しかし、2021/22シーズン以降は、やや増加に転じました。

 図2の月別報告数の推移をみると、11月頃から増加し、12~6月に高い水準で推移した後、夏季にかけて減少しています。

*感染性胃腸炎の1シーズンは9月から翌年の8月までとします。

【図1】シーズン別報告数の推移
シーズン別報告数の推移グラフ

【図2】月別報告数の推移
月別報告数の推移グラフ