本文
流行性角結膜炎は、季節や年齢を問わず眼にヒトアデノウイルスが感染し、角結膜炎、流涙、充血、眼脂、眼瞼浮腫などの眼症状を呈する疾患です。また、耳前リンパ節の腫脹を伴うこともあります。流行性角結膜炎の原因ウイルスは主にヒトアデノウイルス8、19、37型とされていますが、近年53、54、56型などの新しい型の検出、流行も報告されています。
流行性角結膜炎患者から排出されるウイルスとの接触により感染します。ウイルスにより汚染されたティッシュペーパー、タオル、洗面器などに触れた手指等を介して感染します。
ヒトアデノウイルスを検出する検査法は細胞培養法、イムノクロマト法、PCR法などがあります。
細胞培養法ではA549細胞などを用いて、細胞変性効果を観察します(参考:写真1、2)。
イムノクロマト法は専用のキットを用いて検出バンドの有無を読み取ります(参考:写真3)。
PCR法ではアデノウイルス遺伝子を増幅する検査を行います。
【写真1】正常なA549細胞
【写真2】ウイルスにより細胞変性効果を生じたA549細胞
【写真3】イムノクロマト法の例
ヒトアデノウイルスには特異的な治療法はありません。したがって、抗炎症剤や抗ステロイド剤の点眼など対症療法での治療を行います。
感染を防ぐためには、手洗いを徹底する、患者と同じタオルを使わないなどの接触感染予防策を講じることが重要です。