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感染症情報/無菌性髄膜炎

ページ番号:0000000274 更新日:2018年6月6日更新 印刷ページ表示

無菌性髄膜炎とは(届出基準と届出様式

 髄膜炎は、髄膜(脳や脊髄を保護している膜)が炎症を起こす病気で、このうち髄液(脳や脊髄と髄膜の間を満たしている液体)の中に細菌が認められないものを無菌性髄膜炎といいます。

 髄液の中に細菌が認められる場合は、細菌性髄膜炎といいますが、一般的に無菌性髄膜炎は細菌性髄膜炎と比較して症状が軽いとされています。

病原体

 ほとんどはウイルスが原因で、特にエンテロウイルス(注)が全体の約85%を占めています。そのほか、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)の原因であるムンプスウイルスも、よく無菌性髄膜炎を引き起こします。

(注)エンテロウイルスとは
 エンテロウイルスとは、ピコルナウイルス科に属する多数のRNAウイルスの総称であり、A群コクサッキーウイルス、B群コクサッキーウイルス、エコーウイルス、エンテロウイルス(68~71型)のほか、予防接種でおなじみのポリオウイルスなど多くの種類があります。
 RNAウイルスは、遺伝子情報をDNAではなくRNAに持っているウイルスで、インフルエンザウイルスやノロウイルスなどもRNAウイルスです。比較的単純な構造をしていますが、構造が変化しやすいため、同じ型のウイルスでも、感染を繰り返すものがあります。
 エンテロウイルスの一部は、手足口病やヘルパンギーナなどの原因にもなります。

感染経路

 感染した人のせきやくしゃみによって、唾液などの飛沫とともに放出されたウイルスを、吸い込むことによって感染します(飛末感染)。また、便に排出されたウイルスによる経口感染などが考えられます。

症状・流行時期・好発年齢

症状

 主な症状は、発熱・頭痛・嘔吐の3つです。
 また、項部硬直といって、首の後ろが硬くなり、前に曲げにくくなります。

 そのほか、原因ウイルスによっては、のどの痛み、腹痛、下痢を伴ったり、発しんがみられる場合があります。

 しかし、生後数ヶ月の乳児の場合は、無菌性髄膜炎の特徴的な症状がみられず、元気がなかったり、不機嫌であったり、あるいは興奮しやすかったりということしかみられない場合があります。

流行時期

 エンテロウイルスを原因とする、手足口病ヘルパンギーナは夏季を中心に流行しますが、同様にエンテロウイルスを原因とする無菌性髄膜炎も、夏季に多くなる傾向にあります。また、流行性耳下腺炎が流行しているときは、ムンプスウイルスを原因とする無菌性髄膜炎が多くなる傾向にあります。

広島市の報告状況

【参考】

好発年齢

 幼児から学童にかけての年齢層が多くなっています。

治療方法

 発熱・頭痛・嘔吐の症状がある場合は、早めに医師の診察を受けることが大切です。

 ウイルスが原因の場合は対症療法が中心で、嘔吐などがひどく脱水症状がみられる場合は、輸液療法(点滴)が必要になります。多くの場合、入院治療が必要ですが、通常は予後良好で、安静にしていれば、合併症や後遺症もなく1~2週間程度で回復します。しかし、生後数ヶ月の乳児の場合は、初期に特徴的な症状がみられないことも多く、発達の遅れなどの後遺症が残る場合がありますので注意が必要です。

予防方法

 手洗い・うがいの励行が大切です。エンテロウイルスは主に腸内で増殖し、回復して症状がなくなっても、長期間にわたって便などにウイルスが排泄されますので、注意が必要です。

登校登園について

 学校保健安全法では、学校で予防すべき感染症第一~三種に明確には規定されていません。この病気は入院治療となる場合が多く、登校(登園)するかどうかは、患者本人の状態によって判断すべきであると考えられます。

参考