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感染症情報/定点当たりとは

ページ番号:0000000265 更新日:2023年9月28日更新 印刷ページ表示

定点当たり報告数について

 インフルエンザや流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)などの流行状況を評価するときに、「定点当たり報告数」という言葉を使います。
 「”定点当たり”、”定点当り”、”定点あたり”の意味がわからない。」という質問をよく受けるので、このことについて説明します。

全数把握と定点把握

 感染症法に基づいて報告される感染症は、病気の重篤度、感染のしやすさ、感染経路などにより、一類から五類、新型インフルエンザ等感染症等に分類されています。

 このうち、一類から四類までのすべてと五類の一部、新型インフルエンザ等感染症は全数把握対象疾患といい、すべての医療機関に報告義務がありますが、五類感染症のうちインフルエンザや流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)などの感染症は、定点把握対象疾患といい、医療機関の中から選定し、協力していただいている定点医療機関からのみ報告されます。

定点医療機関の決め方

 定点医療機関の選定方法は、国が定めた「感染症発生動向調査事業実施要綱 [PDFファイル/270KB]」の中で、以下のように規定されています。

  • 関係医師会等の協力を得て、医療機関の中から可能な限り無作為に選定する。
  • 人口及び医療機関の分布等を勘案して、できるだけ該当都道府県全体の感染症の発生状況を把握できるよう考慮すること。

 また、要綱には、基幹定点以外は定点の種類ごとに、保健所管内の人口に比例したおよその定点数の計算式が参考として示されており、広島市もほぼこの計算式に基づいて定点数を決めています。(基幹定点については、2次医療圏域毎に1か所以上)

 このようにして決められた、広島市の定点医療機関の数を表に示しました。

【表】 広島市における定点医療機関数
  インフルエンザ/COVID-19定点 小児科定点 眼科定点 性感染症定点 基幹定点
定点数 中区 5 3 1 1 4
東区 4 3 1 1 1
南区 5 3 2 1 1
西区 5 3 1 2 0
安佐南区 6 4 1 1 0
安佐北区 5 3 1 1 1
安芸区 3 2 0 0 0
佐伯区 4 3 1 2 0
広島市計 37 24 8 9 7
対象疾患
(週単位報告)

インフルエンザ
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)

RSウイルス感染症
咽頭結膜熱
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎
感染性胃腸炎
水痘
手足口病
伝染性紅斑
突発性発しん
ヘルパンギーナ
流行性耳下腺炎

急性出血性結膜炎
流行性角結膜炎

 

細菌性髄膜炎
無菌性髄膜炎
マイコプラズマ肺炎
クラミジア肺炎
感染性胃腸炎(病原体がロタウイルスであるものに限る。)
インフルエンザ[入院患者]
​新型コロナウイルス感染症(COVID-19)[入院患者]

対象疾患
(月単位報告)
     

性器クラミジア感染症
性器ヘルペスウイルス感染症
尖圭コンジローマ
淋菌感染症

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症
ペニシリン耐性肺炎球菌感染症
薬剤耐性緑膿菌感染症

定点当たり報告数とは

 定点当たり報告数とは、対象となる感染症について、すべての定点医療機関からの報告数を定点数で割った値のことで、言いかえると1医療機関当たりの平均報告数のことです。

例1 感染性胃腸炎

 表の中で、感染性胃腸炎は小児科定点が対象であり、広島市には24定点あります。
 ある週の報告数が200人であったとすると、定点当たり報告数は、200人÷24=8.33人」となります。

例2 マイコプラズマ肺炎

 マイコプラズマ肺炎は基幹定点が対象で、広島市に7定点ありますので、
 10人の報告数であったとすると、定点当たり報告数は、10人÷7=1.43人」となります。

なぜ「定点当たり」を使うのか

 「報告数のほうがわかりやすいのに、なぜ、わかりにくい定点当たり報告数を使うのか。」という質問をよく受けます。

【例】 次の人数は、2005年第7週の流行性耳下腺炎の報告数です。さて、次の地域の中で、どこが一番流行しているでしょう。

 広島市:44人、広島県:117人、山口県:48人、兵庫県:68人、全国:2,979人

 報告数は多い順に、「全国>広島県>兵庫県>山口県>広島市」となっていますが、それぞれの地域の定点数が違いますから、これではわかりません。

 そこで、それぞれ報告数を定点数(小児科定点)で割って、定点当たり報告数、すなわち1医療機関当たりの報告数に直してみます。

 それぞれの地域の定点数は、広島市:24、広島県:75、山口県:49、兵庫県:128、全国:3,051ですので、

 定点当たり報告数は、広島市:1.83人、広島県:1.56人、山口県:0.98人、兵庫県:0.53人、全国:0.98人となり、この値が大きいほど流行が大きいといえます。

 したがって、流行性耳下腺炎は流行の大きい順に「広島市>広島県>山口県=全国>兵庫県」となり、広島市や広島県は全国の中でも流行の大きい地域であることがわかります。(図参照)

 このように定点当たり報告数は、ほかの地域や全国レベルで流行状況を比較する場合などに有効です

 また、感染症発生動向調査が始まってから、法改正があったときなどに定点数が変更になった場合がありますので、同じ地域でも過去のデータと比較する場合は、定点当たり報告数を用いる必要があります。

【図】 報告数と定点当たり報告数の比較例
[流行性耳下腺炎(おたふくかぜ) 2005年第7週の場合)]

報告数と定点当り報告数を比較したグラフ

定点当たり報告数の問題点

 定点当たり報告数を用いると、広島市で各区別の感染症の流行状況を比較することができます。しかし、各区の定点数は、たとえば小児科定点で2~4定点、眼科定点で0~2定点と、各区の流行状況を評価するために十分な数とはいえません。

 また、各医療機関の規模や診療科目の違い(同じ小児科定点でも小児科のみを掲げているのか、ほかに内科や外科も掲げているのか)などによって、患者数や患者の年齢構成がかなり異なっていると考えられます。

 したがって、各区ごとに定点当たり報告数を比較することには多少問題があると考えられますが、同じ区の中で、定点当たり報告数の時系列の変動を調べて、流行の推移をみることは有効と考えられます。

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