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水痘帯状疱疹ウイルスによって起こる疾患で、発熱と発疹を主な症状とします。その感染力は極めて強く、麻しんよりは弱いが、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)や風しんよりは強いとされています。
感染症法の五類感染症(定点把握感染症)に定められています。また、入院例については、五類感染症(全数把握対象)に定められています。
患者の咳やくしゃみによって放出されたウイルスを吸い込むことによって感染します(飛まつ感染・空気感染)。また、水疱の内容物に接触することで感染します(接触感染)。
潜伏期間は2週間程度(10~21日)で、主な症状は38℃前後の発熱と発疹です。発疹は紅斑(皮膚の表面が赤くなること)から始まり、水疱、膿疱(粘度のある液体が含まれる水疱)を経て痂皮化(かさぶたになること)して治癒します。急性期には、全身にこれらの発しんが混在するのが特徴で、かゆみを伴います。
小児に好発し、一般的に軽症ですが、皮膚の二次性細菌感染、肺炎、髄膜炎、脳炎などの合併症を起こす場合があります。また、成人になってから水痘に感染すると、重症化するリスクが高いと言われています。
年間を通して発生がみられます。特に12月~1月にかけて多く発生し、2~3月はやや少なくなりますが、4~5月に再び増加する傾向にあります。
乳幼児の占める割合が高く、2009年~2013年の広島市の感染症発生動向調査では、5歳以下の患者が占める割合は87%でした。その後、2014年に水痘ワクチンの定期接種(対象年齢:生後12か月から36か月に至るまで)が始まり、接種を終えた年齢層の患者が顕著に減少しています。
抗ウイルス薬の使用と対症療法です。
2014年10月1日から、水痘ワクチンが子どもの定期接種になりました。水痘ワクチンの接種により、発症や重症化を予防できると考えられています。
水痘と同じウイルスによって起こる疾患です。水痘に一度感染すると、治った後もウイルスが体内の神経節に潜伏し、加齢や免疫低下に伴う再活性化により発症することがあります。主な症状は、水泡を伴う一側性(片側)の発赤疹で、神経に沿った皮膚領域に帯状に出現し、激しい痛みを伴います。また、皮膚症状が治った後も、帯状疱疹後神経痛(PHN)により長期に痛みが残ることがあります。
50歳を境に発症率が急激に上昇する傾向があり、近年では20~40代の患者も増加傾向との報告があります。
予防としては、できるだけ健康的な生活習慣を保つことが大切です。また、50歳以上の方については、帯状疱疹ワクチンを接種することで、発症予防、重症化予防が期待できるとされています。
接種を希望される場合は、任意接種となり全額自己負担での実施となりますので、各医療機関までお問合せをお願いいたします。
また、帯状疱疹ワクチンの予防接種は任意接種のため、万が一健康被害が生じた場合は独立行政法人医薬品医療機器総合機構法による救済の対象となります。申請に必要となる手続き等については、独立行政法人医薬品医療機器総合機構・救済制度<外部リンク>をご覧ください。