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咽頭結膜熱はアデノウイルス(主に3型)によるウイルス性の感染症で、発熱・咽頭炎(のどの痛み)・結膜炎が主な症状です。プールで感染することも多いことから、「プール熱」とも呼ばれています。
アデノウイルスは、患者の鼻汁、目やに、唾液、便などに含まれています。その感染力は強く、基本的には、ウイルスが口・鼻・のどの粘膜や目の結膜から体内に入って感染します。
具体的には、次の感染経路が考えられます。
5~7日間の潜伏期間の後、発熱で発症し、38度以上の高熱が続くとともに、咽頭炎によるのどの痛みが現れます。また、結膜炎に伴って、目が充血し、目やにが出たり、目の痛み、かゆみ、涙目を訴えたりします。そのほか、首のリンパ節が腫れたり、頭痛、食欲不振、全身倦怠感などを伴います。これらの症状は3日から1週間程度続きます。
基本的には予後の良い良性の疾患ですが、まれに肺炎など重症化する場合があり、特にアデノウイルス7型が原因の場合、心肺機能低下などの基礎疾患があると重症化する危険性が高いといわれています。
通常は6~8月の夏季に流行しますが、最近では冬季にも流行がみられ、特に2003年からその傾向が顕著になっています。
幼児から学童にかけてかかりやすい疾患です。
特効薬はありませんので、対症療法が中心となります。
のどが痛くて食事が食べにくい場合は、やわらかくて刺激の少ない物を食べるようにします。熱が高い場合は、脱水症状を起こさないように、水分を十分に取るように気をつけます。また、目の症状が強い場合は、点眼薬の処方など、眼科的な治療が必要になります。
感染経路を理解し、伝播を断つことで予防できます。
(注)プールの遊離残留塩素濃度の水質基準
学校のプールについては、「学校環境衛生の基準」によって、また、それ以外の遊泳用プール(スポーツセンターのプールなど)については、「遊泳用プールの衛生基準」によって、0.4ppm以上(1.0ppm以下であることが望ましい)とされています。
塩素は水の汚れや日光によって消費されますので、測定キットを使って濃度をチェックし、塩素が不足するようであれば補給が必要です。
学校保健安全法では、第二種感染症に指定されていて、主な症状がなくなってから2日経過するまでは出席停止となります。(ただし、医師によって病状により感染のおそれがないと認められた場合はこの限りではありません。)