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「はじめよう!口腔ケアで介護予防」
はじめよう!口腔(こうくう)ケアで介護予防
いつまでもおいしく食べるために!
介護予防・健康づくりの3本柱
運動・栄養・「口腔」
「フレイル」をご存知ですか?
- 「フレイル」とは、年齢とともに体や心の機能(働き)が低下し、要介護状態に陥る危険性が高まっている状態のことてす。
- フレイルは、加齢により生じる身体の変化だけでなく、うつや認知機能の低下などの「精神的な面」、家に閉じこもりがちになるなどの「社会的な面」など、さまざまな要因が重なって引き起こされるといわれています。
- 歯やロの状態の悪化は、「オーラルフレイル」といい、フレイルを引き起こす原因になりやすいことが分かっています。
「歯と口の働き」が弱くなると・・・?
歯周病などで歯が抜けて噛めない状態が続いたり、唾液の分泌が悪くなってくると、食べにくくなり、食欲や体力も低下してしまいます。
歯周病などにより「噛めない」、「口が渇く」、「むせる」、「飲み込みにくい」といった状態をオーラルフレイルといい、この状態が続くと、「食欲不振」、「体力低下」などの虚弱状態(フレイル)につながります。さらに肺炎(誤嚥性肺炎)を起こして寝たきり(要介護状態)になってしまうこともあります。
虚弱状態(フレイル)は予防することが可能です。逆に、虚弱状態(フレイル)であっても健康な状態に改善することができます。
歯を大切にして体も健康に
介護予防・健康づくりの3本柱
(1)口腔の機能(噛む・飲み込む)
- 食べる機能の低下は、栄養状態に影響
- 体重減少により、義歯(入れ歯)が合わなくなる
(2)身体の栄養状態
- 栄養不足による筋力・体力が低下
- 栄養状態の悪化は、転倒・骨折・寝たきりの原因に
- 活動量低下による食欲不振
(3)運動器の機能
- 奥歯がないとくいしばれず、力が出ない
- 筋力・体力低下で、噛む力も低下
※(1)から(3)に付属している症状(リストの項目)については、隣り合った番号に対し、内容が共通しています。
大切な口腔の機能
1.歯と口の病気を防ぐ
噛むことで唾液が分泌され、むし歯や歯周病を防ぎます。
2.転倒の予防
奥歯があると、食いしばることができ、転倒を防いだり、力を出すことができます。
3.栄養の吸収がよくなる
噛むことで唾液が分泌され、食べ物の消化を助けたり、栄養の吸収がよくなります。
4.認知症の予防
良く噛むと、脳細胞が活性化され、認知症の予防につながります。
5.表情が豊かになる
ロのまわりの筋肉をよく動かすと表情が豊かになり、若々しくなります。
6.はっきり発音できる
歯がそろい、舌、唇、頬などの筋肉が正常に動くことで、はっきり発音でき、会話が楽しくなります。
コラム
糖尿病の人が歯周病にかかると、血糖値が下がりにくくなり、 糖尿病を悪化させる一方で、歯周病の治療を行うと、 糖尿病が改善されることが分かっています。
あなたのお口の状態は?
お口の状態をチェックしてみましょう!
- 固いものが食べにくい。
食べにくい物はなんですか? - お茶や汁物でむせることがある。
- ロの渇きが気になる。
- 歯がグラグラしている。
- 食事に時間がかかるようになった。
- 食へこぼすことがある。
- 食べ物や薬が飲み込みにくいことがある。
- しゃべりにくいと感じる。
- ロ臭が気になる。
- 舌が白くなっている(舌苔)。
「1~3」のうち2つ以上該当
歯科医院での「短期集中通所ロ腔ケアサービス」を利用しましよう。
「1」または「4」に該当
必ず歯科医院を受診しましよう。
「1,4以外」のいずれかに該当
顔面体操、舌のトレーニング、唾液腺マッサージを行いましよう。
「9」または「10」に該当
※歯(または入れ歯)や舌を清潔に保ちましよう。
※舌体操、唾液腺マッサージを行いましよう。
※唾液は、食べかすを洗い流してロの中を清潔にしたり、常に潤いを保つことでロ臭を抑制します。
口腔ケアで歯を大切に
「ロ腔ケア」には、歯科医院で行う『専門的ロ腔ケア』と、毎日、自分で行う『セルフケア』があります。
歯科医院で行う口腔ケア
- 歯周病やむし歯、入れ歯の状態をチェックしてもらいましょう。
※入れ歯を使っている場合は、違和感 がなくても3~6ヶ月おきの定期的なチェックが必要です。 - 歯や入れ歯の調子が悪いときは、治療や入れ歯の調整をしてもらいましょう。
- 歯のクリーニングや歯石除去により、口腔内を清潔に保ちましょう。
- 自分に合った歯の磨き方や入れ歯の手入れの方法を教えてもらいましょう。
- 対象となる方(要支援者 または事業対象者の方のみ)は、通所口腔ケアサービスを受けましょう。
自分で行う口腔ケア
- 毎日、丁寧に歯みがきをしましょう。
- 歯ブラシだけでなく、歯の隙間の大きさに合った歯間ブラシなどを使いましょう。
- 食後に入れ歯を洗いましょう。夜寝る前には、入れ歯をはずして洗浄剤の入った水につけておきましょう。
※夜間、義歯を装着した方がよい場合もありますので、歯科医院で指導を受けましょう。 - お口の体操を続けましょう。
注意点
- 「ビスフォスフォネート製剤」 という種類の骨粗しょう症のお薬を飲まれている方は、歯科治療に影響することがあります。治療前に担当医に必ず御確認ください。
- 加齢や服用薬の影響で、唾液が減少し、口の自浄作用が低下することでむし歯や歯周病にかかりやすくなります。定期的な健診と、日々の口腔ケアを丁寧に行いましょう。