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広環保第6号
平成20年1月17日
広島駅南口Bブロック市街地再開発組合 理事長 前岡 眞仁 様
広島市長 秋葉 忠利(環境局環境保全課)
このことについて、広島市環境影響評価条例第18条第1項の規定により、別紙のとおり環境の保全の見地からの検討を行った結果に基づく意見を述べます。
本事業は、多数の市民や来訪者が利用する広域交通の結節点である広島駅の南口において、ランドマーク性を備えた超高層複合建築物を整備するとともに、にぎわいのある都市空間を形成することにより、広島市の陸の玄関口にふさわしい地区に再生しようとするものであり、市民の関心も非常に高い。
また、広島駅周辺地域では、本事業以外にも新幹線口及び貨物ヤード跡地等、複数の再開発事業が相次いで動き始めており、事業の実施に伴う周辺住民への環境保全上の配慮が求められる。
こうしたことから、今後、事業者により適切な環境保全措置が実施され、事業の実施に伴う環境への影響が可能な限り低減されたものとなるよう、広島市環境影響評価審査会の答申を最大限に尊重し、市長意見を述べる。
(1) 事業の実施にあたっては、事業に係る環境情報は積極的に公表するとともに、市民の疑問や意見に対して誠実に対応するための体制を整備すること。
(2) 工事期間中における環境法令の遵守はもとより、環境影響評価準備書に記載された環境保全措置や事後調査を確実に実施し、事業の実施に伴う環境への影響を可能な限り低減すること。
(3) 工事にあたっては、工事前、工事中及び工事後の地下水位の状況を把握するため、建築物の建設に伴う影響を十分に把握できる地点を選定して計測を行い、建築物の適切な施工管理を行うこと。
工事の実施に伴う大気質への影響については、建設機械の稼働に伴う大気汚染物質の負荷量に周辺道路交通に伴う負荷量も加えて予測、評価し、その結果を環境影響評価書に記載すること。
建築物の存在に伴う風環境への影響については、強風の出現頻度に基づく風環境評価基準によりランク別に示されているが、風向・風速比ベクトル図も併記するなど、建設前後の風環境への影響をより分かりやすく環境影響評価書に記載すること。
(1) 今後、建築物の詳細な設計にあたっては、建築物外壁の色彩やデザイン等について関係機関と協議し、広島市の陸の玄関口にふさわしい都市景観の形成という観点からも十分な検討を行うこと。
(2) 建築物の存在に伴う景観への影響の予測、評価において、事業計画地周辺の複数のフォトモンタージュでは建築物の全景が表わされていないことから、可能な限り建築物の全景が把握できるフォトモンタージュを用いて予測、評価し、その結果を環境影響評価書に記載すること。
既存建物の解体工事にあたっては、建設資材の種類ごとの排出量や再資源化施設の状況を踏まえ、再資源化や再利用等が可能なものについては分別解体を実施し、廃棄物発生量の削減に努めること。
今後、建築物の詳細な設計にあたっては、建築物の断熱や空調効率の向上などによる省エネルギーの推進、再生資源の利用、耐久性の高い材料やリサイクル可能な材料の使用など、可能な限り温室効果ガスの排出量削減に配慮すること。