安佐南工場建替事業に係る環境影響評価実施計画書に対する市長意見
広環保第3号
平成18年1月10日
広島市長 秋葉 忠利 様(環境局施設部施設課)
広島市長 秋葉 忠利(環境局環境保全課)
安佐南工場建替事業に係る環境影響評価実施計画書について(通知)
このことについて、広島市環境影響評価条例第10条第1項の規定により、別紙のとおり環境の保全の見地からの検討を行った結果に基づく意見を述べます。
安佐南工場建替事業に係る環境影響評価実施計画書について(市長意見)
本事業は、現在、本市の北西部地区で稼動している安佐南工場、安佐北工場及び佐伯工場の3工場が平成20年代前半に更新時期を迎えることから、これらの3工場の機能を集約した施設として、安佐南工場を現工場の敷地内に建替えようとするものである。
今回の計画では、今後、広島市が、ゼロエミッションシティへ転換するために策定した減量プログラムに基づいて、将来の焼却能力が見直され、新しい安佐南工場の焼却能力は縮小されたが、本実施計画書に寄せられた市民の方々の意見等を見るに、現工場の解体工事や事業系プラスチックの焼却に伴うダイオキシン類への対応など、万全の環境保全対策が求められている。
また、事業実施予定地の周辺は、多くの自然が残されている一方で、西風新都の開発事業が進められており、住宅地の造成等による市街化が進行している。
このようなことから、環境影響評価の実施に当たっては、これまでの操業に伴う環境調査のデータ等を考慮するとともに、徹底した情報公開・住民参加のもとに、周辺の生活環境・自然環境に対する影響の回避・低減が図られるべきである。
以上の認識に基づき、今後、環境影響評価を適切に実施し、その結果を環境保全措置をはじめとした本事業の内容に適切に反映させるため、市民からの意見、広島市環境影響評価審査会からの答申を最大限に尊重し、市長意見を述べる。
1 基本的事項
(1)情報公開と住民参加
- ア 環境影響評価の実施に当たっては、住民の合意のもとに着手し、着手後においても、住民の疑問、意見には誠意をもって対応すること。
- イ 環境影響評価をはじめとした事業に係るあらゆる情報を公開すること。
- ウ 住民の意見に配慮した柔軟な対応を行うため、住民と事業者に加え、学識経験者等の第三者を主たる構成メンバーとする協議会等の設置を提案する。
(2)上位計画との整合性
事業計画については、広島市の環境の保全及び創造に関する総合的な計画である「広島市環境基本計画」等の広島市の施策に係る上位計画との整合を図ること。
2 環境影響評価
(1)共通的事項
- ア これまでの焼却処理の実績と将来の広島市全体の焼却見込み量及び施設整備計画を示すことなどにより、今回整備しようとする安佐南工場の規模を400t/日に設定した根拠について、市民に分かりやすい表現を用いて明らかにすること。
また、ごみ搬入車両台数の設定根拠も明らかにすること。 - イ 現工場の解体工事については、厚生労働省通達(平成13年4月25日付け基発第401号の2)に基づき実施することとしているが、ダイオキシン類の飛散等が懸念されることから、工事の方法についてイラストを用いるなど具体的な作業内容がイメージできる手法により分かりやすく説明すること。
- ウ 造成の規模、建設機械や資材運搬車両の種類、台数等造成工事の内容について明らかにすること。
- エ 施設の内容については、処理の基本的な流れが示され、個々の設備については環境影響評価実施後に決定することとしているが、想定している排ガス処理装置の諸元や既存の類似施設の状況を示すことなどにより、煙突排出ガス条件の設定の根拠を明らかにすること。
- オ 説明は、市民に分かりやすい用語、表現を用いることとし、やむを得ず専門用語を用いる場合には、用語の解説を添付すること。
- カ 調査、予測、評価については、その方法、地点の設定根拠等を明らかにすること。
(2)個別的事項
ア 環境の自然的構成要素の良好な状態の保持
- (ア)事業実施予定区域周辺は複雑な地形をしていることから、調査、予測、評価に当たっては、現地の自然条件を十分考慮した上で行うこと。
特に、ダイオキシン類等の大気汚染物質の飛散に起因する土壌汚染及び大気環境に関する調査、予測、評価に当たっては、局地気象についての十分な配慮を行うこと。
予測方法は、現行の施設の排出源データ、周辺環境データ等により再現性を検証した上で選択し、選択した予測方法の信頼性、妥当性を明らかにすること。 - (イ)評価に当たっては、予測値を法令に基づく基準値等に対比して論ずるだけでなく、地域特性、生活様式等も考慮に入れて、住民の視点に立った検討を行うこと。
- (ウ)現行の安佐南工場の運営に当たって測定した、排出ガス及び周辺環境等についてのダイオキシン類その他のデータをすべて明らかにすること。
イ 生物の多様性の確保及び自然環境の体系的保全
- (ア)現況調査においては、既存資料によるだけでなく、現地における聞き取りや踏査等を併せて行うことにより、貴重生物等の現況把握を十分に行うこと。
- (イ)土地の改変による生息、生育地の消滅等に伴う直接的影響だけでなく、事業実施予定区域周辺における生息、生育環境の変化について、ごみ搬入車両の影響も含めて予測、評価を行うこと。
- (ウ)単一の種の消長だけでなく、生態系への影響についても予測、評価を行うこと。
3 環境保全措置等
(1)環境保全措置の検討に当たっては、次に掲げる事柄に留意すること。
- ア 本事業は、「ひろしま西風新都建設実施計画」の一環として実施される事業であることから、同実施計画の基本理念との整合を図ること。
- イ 環境影響評価実施計画書に対して提出された意見を尊重すること。
- ウ 事業計画の基本的諸元については、見直しを含む幅広い視点で複数案を比較することにより、実行可能な最善の技術を導入するよう検討を行い、その検討経過を明らかにすること。
(2)事業着手後の環境への影響を十分把握できるよう事後調査の内容を検討すること。
PDFファイルをご覧いただくには、「Adobe(R) Reader(R)」が必要です。お持ちでない方はアドビシステムズ社のサイト(新しいウィンドウ)からダウンロード(無料)してください。
このページに関するお問い合わせ
環境局環境保全課 環境管理係
〒730-8586 広島市中区国泰寺町一丁目6番34号
電話:082-504-2097(環境管理係)
ファクス:082-504-2229
[email protected]