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広エ環第142号
平成23年5月11日
広島電鉄株式会社 代表取締役社長 越智 秀信 様
広島市長 松井 一實(環境局エネルギー・温暖化対策部環境保全課)
このことについて、広島市環境影響評価条例第18条第1項の規定により、意見を述べます。
本事業は、広島市北西部のひろしま西風新都の南端に位置する都心近傍の丘陵地を、住宅、商業及び業務系の用地として造成し、大規模な商業施設や流通施設等を誘致するものである。
この事業に係る環境の保全について、事業者から提出された環境影響評価準備書(以下、「準備書」という。)に対して、広島市環境影響評価条例第18条第1項の規定に基づき、次のとおり市長意見を述べる。
準備書において、事業者は環境保全措置として商業施設等の設置者に緑化基準以上の緑化や省エネシステムの導入等を要請することとしている。これら保全措置を、設置者との契約条件とするなど、確実に実施させるための方策を講じること。
騒音及び振動の事後調査については、店舗施設Ⅰが稼働した時点だけでなく、店舗施設Ⅱや業務施設の稼働時など、事業用地内の発生交通量が大きく変化する時点においても行い、必要に応じて関係機関と十分な協議の上、渋滞緩和対策等の適切な環境保全措置を実施すること。
事業実施に伴う周辺井戸等の地下水への影響については、水位の把握に加えて水質についても定期的に測定し、必要に応じて適切な環境保全措置を実施すること。
ア 事業地内の雨水側溝への小型動物の転落防止策及び脱出のためのより効果的な方策について実施すること。
イ 移植による環境保全措置を行うとしているサンヨウアオイ、クロバイ、ヘラシダ等については、工事着手前に専門家の助言を受けながら、計画地域内の移植に限定せず幅広い環境保全措置を実施すること。
特に、ギフチョウの食草であるサンヨウアオイについては、複数個体での移植を行うなど、ギフチョウの生息環境への影響をできる限り低減するための適切な措置を実施すること。
ウ 事業地内では、イノシシ等の野生動物が生息し、周辺地域の住宅地への出没も報告されていることから、残存林地との緩衝帯や防護柵の設置などの後背地の管理等、適切な環境保全措置を実施すること。
エ 準備書に記載のある環境保全措置については、他の実施事例を引用するなどして、その効果を説明すること。
建築物、屋外広告物及び屋外照明の形状、色彩及び明るさについては、四季を通じて周辺の自然環境との調和を図ったものとなるよう、環境保全措置を実施すること。
(1) 環境法令の遵守はもとより、準備書に記載された環境保全措置を確実に実施するとともに、事後調査の結果、環境保全のために追加の措置を行う必要が生じた場合は速やかに実施すること。
(2) 現段階では予想し得ない事業に伴う環境影響等の問題が生じた場合には、原因究明を図り、適切な措置を講じること。
(3) 関係地域の住民等からの環境に関する情報提供や苦情については、対応窓口を設置するとともに、誠意をもって対応すること。