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広環保第250号
平成18年8月17日
広島市長 秋葉 忠利 様(環境局施設部施設課)
広島市長 秋葉 忠利(環境局環境保全課)
このことについて、広島市環境影響評価条例第18条第1項の規定により、別紙のとおり環境の保全の見地からの検討を行った結果に基づく意見を述べます。
本事業は、平成2年に埋め立てを開始した玖谷埋立地を残余容量の減少に伴って拡張整備し、日々の市民生活から排出される不燃ごみなどを埋立処分しようとするものであり、また、広島市及び周辺の多くの市町が主要な水源としている太田川流域に立地することから市民生活との関わりが極めて深いものである。
このため、事業の実施にあたっては、広島市が進めているゼロエミッションシティの実現に向けて、更なる埋立量の抑制に努めるとともに、市民の関心が最も高い、埋立に伴う地下水汚染の対策など万全の環境保全措置が求められる。
また、拡張整備に伴い生じる長大な法面等の継続した調査や集中豪雨等による自然災害を未然に防止するための十分な対策など、徹底した施設の安全管理も不可欠である。
これらを踏まえ、今後とも、事業に関する情報の積極的な公開に努め、市民の疑問や意見には誠意を持って対応するとともに、適切な環境保全措置が実施され、環境への影響が可能な限り低減されたものとなるよう、市民の意見と広島市環境影響評価審査会の答申を最大限尊重し、環境保全の見地から市長意見を述べる。
(1) 遮水工の施工にあたっては、万一の遮水シートの破損等による浸出水の漏出を早期に検知するため、現在計画している周辺井戸の水質調査に加え、最新の技術を用いた漏水検知システムを導入することとし、その概要を評価書にわかりやすく記載すること。
また、遮水シートの直下で集められた水と地中に存する地下水を、両者とも「地下水」と表記しているが、それらの性質は異なることから、用語を使い分け、わかりやすく記載すること。
(2) 玖谷埋立地では、これまで、浸出水が地下水に影響を与えるリスクをできるだけ低減するため、プラスチック類等の不燃物と焼却灰の区画を分けて埋め立てているが、最終処分場の適正管理のためには、この手法が有効であることから、拡張後も継続することとし、その内容を評価書に記載すること。
また、最終処分場の適正管理のため、食物残渣の混入防止措置として、これまでも排出事業者に対する指導、埋立地での搬入管理等が行われているが、十分とはいえないので、さらに徹底するための効果的な方策について検討すること。
主たる搬入ルートである県道177号の道路沿道において、現況調査結果、予測値とも騒音の環境基準値よりも高い値を示していることから、廃棄物搬入車両の走行による騒音を低減するためのより具体的な対策について検討し、その内容を評価書に記載すること。
(1) 地下水の流れやそれが埋立により受ける影響については、把握することが非常に困難であるため、予測結果の記載に当たっては、ボーリング調査により得られた客観的な事実と、調査結果から推測される事項とを明確に区分して記述すること。
また、推測される事項については、結論に至った理由をわかりやすく記載すること。
(2) 地下水汚染の評価において、事業実施後も玖谷埋立地内の浸出水は、すべて埋立区域の最下流部に設置した末端堰堤に向かうため、事業計画地周辺への影響は極めて小さいとしているが、準備書には浸出水が向かうとされた既存の埋立地での浸出水の挙動に関する記述が見られない。
このため、既存の埋立場所を含む玖谷埋立地全体が、地下水に与える影響について予測、評価を行い、その結果を評価書にわかりやすく記載すること。
(3) 地下水に係る事後調査として、地下水の水位及び水質の継続的な調査を行うこととしているが、その調査地点を評価書に明記すること。
生態系に係る環境保全措置として、サンヨウアオイの移植及びギフチョウの生息場の創出を目指すこととしているが、その手法については十分に確立されていないことから、専門家の意見を聞きながら、サンヨウアオイの移植等を行うとともに、事後調査を適切に行うこと。
また、その旨を評価書に記載すること。