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手足口病は、その名が示すとおり、手のひら、足の裏、口の中の粘膜などに水疱性の発しんができるウイルス性の疾患で、コクサッキーウイルスA16型やエンテロウイルス71型などのエンテロウイルスによっておこります。幼児を中心に主に夏に流行がみられる疾患です。
せき、くしゃみなどをとおして咽頭から排泄されるウイルスによる飛末感染や、便に排出されたウイルスによる経口感染などが考えられます。
潜伏期間は3~5日で、手のひら、足の裏、口の中の粘膜などに2~3mmの水疱性の発しんができるのが特徴です。発熱は3分の1程度にみられますが、38℃以下のことがほとんどです。
基本的には予後良好な疾患ですが、まれに髄膜炎や脳炎など中枢神経系の合併症を起こすことがあります
例年6~8月にかけて流行しますが、秋から冬にかけて多少の発生がみられることがあります。数年おきに比較的大きな流行を繰り返す傾向にあります。
【参考】
乳幼児を中心とした疾患ですが、学童でも流行する場合があります。
治療方法は対症療法が中心となりますが、特別な治療をしなくても1週間程度で回復する場合がほとんどです。口の中の水疱が破れると食べ物がしみて食欲が落ちますので、柔らかくて刺激の少ない食べ物をとるようにします。また、スポーツドリンクを飲むなどして水分が不足しないよう注意します。
頭痛、嘔吐、高熱を伴ったり、発熱が続くようであれば、髄膜炎や脳炎へ進行することも考えられますので、このような症状が現れたらすみやかに医師に相談してください。
手洗い・うがいの励行が大切です。この疾患は、回復して症状がなくなっても、長期間にわたって便などにウイルスが排泄されることがあるので、注意が必要です。なお、現時点では手足口病に対するワクチンは開発されていません。
学校保健法では、学校で予防すべき伝染病第一~三種に指定されておらず、登校(登園)するかどうかは、患者本人の状態によって判断すべきであると考えられます。