包括外部監査の意見に対する対応結果の公表(令和7年8月7日公表)

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広島市監査公表第28号
令和7年8月7日

広島市監査委員 古川 智之
同 井戸 陽子
同 川村 真治
同 平岡 優一

広島市長から監査の意見に対する対応結果について通知があったので、当該通知に係る事項を次のとおり公表する。

令和4年度包括外部監査の意見に対する対応結果の公表(財政局)

1 監査意見公表年月日

令和5年2月2日(広島市監査公表第3号)

2 包括外部監査人

松本 京子

3 監査意見に対する対応結果通知年月日

令和7年8月1日(広財管第29号)

4 監査のテーマ

財産に関する事務の執行及び管理について

5 監査の意見及び対応の内容

(1) 行政財産の用途の変更又は廃止並びに所属替え及び所管換えに関する事務を速やかに実施することについて
 (所管課:財政局管財課)

監査の意見

 地方財政法第8条は、「地方公共団体の財産は、常に良好な状態においてこれを管理し、その所有の目的に応じて最も効率的にこれを運用しなければならない」と定めている。行政財産の用途変更・用途廃止・所属替え・所管換えが予定される場合、あるいはその実態を有するに至った場合には、速やかに該当する手続をとることで、公有財産の現状を常に把握することができるため、公有財産の効率的な運用が可能になる。
 ところが、広島市においては、後記「(9) 現地視察等」で詳述するとおり、所管課が他の課に使用承認を繰り返し、所管課による現地管理が及んでいない物件が見受けられた(「雲出スポーツ公園予定地」「旧広島農政事務所等敷地」など)。
 公有財産の「使用承認」は、あくまで一時的な使用を認めるものであり、その使用が長期間にわたる場合には、わずかな部分を使用させるもので当該部分を所属替え等することが困難又は不適当であるときを除き、原則として所属替え又は所管換えの手続をとる必要がある(「公有財産管理事務の手引」67頁)。
 したがって、公有財産の管理・運用の実態に即し、行政財産の用途変更・用途廃止・所属替え・所管換えが予定される場合、あるいはその実態を有するに至った場合には、速やかに行政財産の用途変更・用途廃止・所属替え・所管換えを実施することが望ましく、管財課も所管課に対し、その方針を周知徹底することが望ましい。

対応の内容

 監査の意見を受けて、行政財産の用途変更・用途廃止・所属替え・所管換えをする場合やその実態を有するに至った場合には、直ちに必要な事務手続を行うよう、公有財産管理事務の手引(追録)に記載するとともに、令和7年6月25日付けで、その旨を各課に通知した。

 

(2) 財産台帳の附属資料について
 (所管課:財政局管財課)

監査の意見

 監査対象課において、広島市財産規則第18条第2項に定める財産台帳に記載される公有財産に必要な図面その他の資料の附属(以下「附属資料」という。)についてヒアリング及び確認したところ、該当の附属資料を複数冊のファイルから探し出していた。また公有財産管理システムから出力された土地台帳及び建物台帳の境界態様、公図、実測図、測量方法欄には、一の対象課を除き、何ら記載がなかった。
 公有財産管理システムのメニュー「イメージ登録」において、財産の平面図や登記簿の写しなどの参考資料をシステムに登録できる仕様になっていることから、右メニューを活用することが望ましい。もっとも、データにすることが難しい図面等については、同システムに保管場所を入力する等の工夫により、保管場所を明らかにすることが望ましい。

対応の内容

 監査の意見を受けて、次のとおり対応した。
ア 令和6年度の対応について
 改めて各所管課に、公有財産管理システムの「イメージ登録」の活用を促すとともに、同機能の容量制限(2メガバイト)を超えるため「イメージ登録」をすることが難しい図面等については、同システム上のメモ欄に附属資料の保存場所を入力することで事務の合理化・効率化を図るよう、所管課に対し周知徹底した。
イ 令和7年度以降の対応について
 現行の公有財産管理システムの「イメージ登録」機能の容量制限の拡張は改修経費が高額であり、早期に対応することは困難である。
 このため、前記アの運用を継続しつつ、令和7年度に、次期公有財産管理システムの仕様を策定(基本設計)する中で、比較的容量の大きな附属資料の登録ができるよう機能改善を図ることを検討する。

 

(3) 公有財産の異動報告等における運用手法について
 (所管課:財政局管財課)

監査の意見

 公有財産の各所管課では、公有財産の異動があった場合、公有財産管理システムに各所管課が入力処理を行い、その後、管財課が確定処理を行うことになっている。しかしながら、所管課において公有財産の異動報告が当該事業年度内にされていないものが散見された。(「JR可部線廃線敷(佐伯区地域整備課所管)」、「事業用代替地(海老園二丁目)」)。管財課においても、公有財産異動報告書のファイルを確認したところ、添付資料がないものもあり、確定入力に当たってチェック機能が働いていない。
 課長はその所管に属する公有財産について、(1)その年における現在高(2)前年の4月1日からその年の3月31日までの間における使用許可及び貸付けの状況を毎年4月30日までに管財課長に通知しなければならないこと及び会計管理者に当該年度の上半期・下半期に係る状況を通知する必要があることから、管財課においては、例年、3月と10月に発出する公有財産の異動報告についての依頼文の中で、適宜の異動報告を周知するとともに、財務会計システムから出力した「現在高調書」のPDFファイルを確認するよう所管課に依頼している(以下「報告・確認依頼」という。)。ところが、所管課においては公有財産管理システムに入力するのみで通知は行っていなかった。
 公有財産の異動報告及び現在高通知等は、議会に提出される法定の決算関係資料の基礎となるものであり、財産所管課長においては、公有財産台帳とよく照合する等チェックの徹底を図り、報告漏れ等のないよう細心の注意を払って対応しなければならない(「公有財産管理事務の手引」74 頁)。
 このような公有財産の異動報告及び現在高通知等の役割に照らせば、所管課は当該事業年度内に漏れなく資料を添付した上で異動報告を行い、管財課は報告・確認依頼だけでなく、依頼に対する回答を要請するとともに、システムの確定処理の際、その資料を十分チェックすることが望ましい。
 また、現在高等通知書については、管財課から各所管課に通知書の提出を働きかけるなどの運用をすることが望ましい。

対応の内容

 監査の意見を受けて、次のように対応することとした。
ア 各所管課に対する周知について
 公有財産の異動報告の遅延を防止するため、令和5年2月、各所管課に対し、公有財産の異動報告を直ちに行うよう周知した。また、毎年度2月に、周知を図っている。
イ システムの確定処理に係るチェックについて
 各所管課から、公有財産の異動報告があった際、管財課において、異動報告書、附属資料及びシステム入力項目の確認・照合作業の徹底を図るため、チェックリストを作成するとともにダブルチェックを行うよう事務処理を改善した。
 また、各所管課への現在高調書の確認依頼に当たっては、現在高調書に変更又は該当がなくても回答するよう依頼文を見直すことにより、公有財産の異動報告のある部署による確認結果の報告を受けるだけでなく、全ての部署において異動の報告漏れがないことを確認することとした。

 

(4) 固定資産台帳と公有財産管理システムの不一致について
 (所管課:財政局管財課)

監査の意見

 後記「(9) 現地視察等」で詳述するとおり、固定資産台帳と公有財産管理システムの同一項目につき、不一致が生じている項目が複数あった。また、固定資産台帳の数量(面積)の端数処理が統一されていなかった。
 固定資産は、地方公共団体の財産の極めて大きな割合を占めるため、地方公共団体の財産状況を正しく把握するためには、正確な固定資産に係る情報が不可欠である(「統一的な基準による地方公会計マニュアル」125頁)。
 したがって、広島市においても、少なくとも同一項目に関しては、固定資産台帳と公有財産管理システムの情報を一致させることが望ましい。また、固定資産台帳の数量(面積)についても端数処理を統一させることが望ましい。
 広島市では、固定資産台帳の作成はなされていることから、今後は固定資産台帳の活用を念頭において、一層の整備を促進すべきである。
 具体的には、将来的には一体的な管理を行うようにすることが効率的な資産管理という観点からも望ましいため、既存の各種台帳から可能な限りデータを取得した上で、将来的な一元化を見据えた固定資産台帳として整備することを検討することが望ましい(「統一的な基準による地方公会計マニュアル」126頁)。

対応の内容

 監査の意見を受けて、固定資産台帳と公有財産管理システムとの個別管理による情報の不一致を解消するため、令和7年度にローコードツールを用いた固定資産台帳システムを導入し、公有財産管理システムとデータ連携させることで、一体的な管理を行うこととしている。
 これにより、上記台帳と公有財産管理システムとのデータ突合作業が容易となり、同一項目の情報を端数処理も含めて一致させることができる見込みである。
 また、将来的には、情報の不一致の抜本的解消と効率的な事務の推進のため、次期公有財産管理システムを構築する際、同システムと固定資産台帳システムの一元化を検討する。

(5) 所管課の市有地の現状把握について(雲出スポーツ公園予定地)
 (所管課:財政局管財課)

監査の意見

 広島市財産規則第16条で、課長は、その所管に属する公有財産の管理について、常に現状を把握することを求めている。当該市有地の所管は管財課であるが、平成30年6月以降、佐伯区地域起こし推進課へ使用承認させて、何ら報告を求めていない。使用承認書の条件の一つは、「使用承認物件にかかる苦情等問題が発生した場合は、佐伯区市民部地域起こし推進課において対処すること。」とされ、それらについても報告を求めていないため、常に現況を把握できているとはいい難い。使用承認させる場合も使用状況や苦情等問題については、報告させることが望ましい。

対応の内容

 監査の意見を受けて、使用承認期間中に使用承認物件に係る苦情等問題が発生した場合や、使用状況に変更が生じる場合などについては、管財課に報告するよう使用承認書に明記した。

 

(6) 放置されている簡易トイレについて(雲出スポーツ公園予定地)
 (所管課:財政局管財課)

監査の意見

 当該市有地利用のために、令和2年度に企画総務局地域活性推進課の補助金により地元団体がトイレを新設している。その後利用されなくなった簡易トイレが処分されず、放置されている状況である。不法投棄や衛生上の問題に発展する可能性もあることから、管理協定先である地元団体に、適切に処分又は管理をするよう指導することが望ましい。

対応の内容

 監査の意見を受けて、令和5年4月18日に、地元団体に対し当該簡易トイレの撤去を申し入れ、同年7月3日、撤去されたことを確認した。

 

(7) 未利用地の有効活用や売却等の検討について(旧博物館山田町収蔵地)
 (所管課:財政局管財課)

監査の意見

 現在は、当該市有地のうち、大部分の4,393.70平方メートルが未利用地である。この土地は、平成10年9月1日以降未利用地のまま放置されている。長らく放置されている状況は、最善の注意を払い、経済的かつ効率的に使用されるようにしているとはいい難い(広島市財産規則第16条)。以上から、4,393.70平方メートルの部分についても売却を含む有効活用を検討することが望ましい。

対応の内容

 当該未利用地は市街化調整区域内の山林であり、直ちに有効な活用策を見いだすことは困難であるため、市ホームページに、「今後売出しを検討している物件」として新たに情報を掲載したところであり、引き続き、売却等に向けて取り組んでいく。

 

(8) 有償貸付中である普通財産の売却処分の検討について(旧博物館山田町収蔵地)
 (所管課:財政局管財課)

監査の意見

 当該市有地5,255平方メートルのうち861.30平方メートルを駐車場敷地として有償貸付中である。平成18年7月から1年ごとに土地一時賃貸借契約が締結されている。約20年以上にわたり同一の貸付先である。当該市有地は平成20年12月に当貸付先から購入を検討している旨の申入れを受けているにもかかわらず売却に至っていない。平成20年12月以降、広島市は何ら同社に対して購入の意思確認をしておらず、また同社以外への売却可能性を検討していない。普通財産(不動産)の貸付事務要領の第1基本方針の2に「現に継続貸付け中の普通財産は、将来市において必要と認められるものその他特別の事情があるものを除き、その売却処分を積極的に推進するものとする。」とあるにもかかわらず、その売却処分を積極的に推進している状況とはいえない。広島市のホームページに売却が可能な物件として掲載するなど早期売却も検討することが望ましい。

対応の内容

 当該市有地は、未利用地となっている山林を含めて一画地(一筆)の土地であるところ、山林と分割して当該市有地のみを売却すると、この山林は無道路地となり、売却できないまま市が管理し続けることになる蓋然性が高いことから、分割せず一画地で売却することが合理的であると考えている。
 こうした考えの下、令和5年2月に借受人に対し、山林を含む一画地での購入の意思を確認したものの、その意思はない旨の回答があった。こうした状況を踏まえ、また、監査の意見を受け、市ホームページに、「今後売出しを検討している物件」として新たに情報を掲載したところであり、引き続き、売却等に向けて取り組んで行く。

 

(9) 放置されている洗濯槽について(旧広島農政事務所等敷地)
 (所管課:財政局管財課)

監査の意見

 こども未来局こども・家庭支援課(現:こども青少年支援部)に対し使用承認している敷地上の仮設施設東側に令和4年8月23日実地監査時に洗濯槽のゴミの不法投棄が認められた。広島市財産規則第16条において現状を把握し適切な管理を求める注意義務が定められている。ゴミの不法投棄常態化を防ぐためにも定期的な見回りを実施することが望ましい。

対応の内容

 監査の実施を受けて、令和4年9月に現地を確認したところ、当該洗濯槽は既に撤去されていた。今後は、定期的に現地の見回りを行うなど、適切に維持管理を行うこととする。

 

(10) 売却上の課題解決について(元事業用代替地 庚午中四丁目)
 (所管課:財政局管財課)

監査の意見

 本物件は、今後の具体的な利用計画はなく、長期間未利用であるため、売却を予定しているようであるが、売却上の課題解決作業が中断しているため、売却等が促進されていない。このことは、「広島市行政経営改革推進プラン」の「未利用地等の売却や市有財産の有効活用の促進」に沿っているとはいえず、財産の処分の検討・活用が図られていないため、課題解決に向けた作業を継続的に行い、売却等を促進することが望まれる。

対応の内容

 本物件は、隣接地との境界が確定していないため、売却が困難となっている。隣接地所有者とは、境界確定に向けて粘り強く交渉を続けているところであり、境界確定後に売却することとしている。

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監査事務局監査第二課
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