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環境影響評価審査会開催結果(総合環境アセスメント制度のあり方について 第5回:平成15年3月11日)

ページ番号:0000013769 更新日:2019年10月21日更新 印刷ページ表示

 広島市環境影響評価条例に基づき、広島市総合環境アセスメント基本構想(仮称)についての審議を行うため、5回目の広島市環境影響評価審査会を開催しました。

1 開催日時 平成15年3月11日(火曜日) 10時00分から12時05分
2 開催場所 広島市役所14階第7会議室
3 出席者
 1. 審査会委員(五十音順、敬称略)
   天野 實(会長)、安藤忠男、大森豊裕、関 太郎、中島正博、フンク・カロリン、
   水田国康、宮田賢二、矢野 泉、吉國 洋(副会長)以上10名出席
 2. 事務局
   中本環境局参事、砂田環境アセスメント担当課長他4名
 3. 傍聴者
   なし
4 会議概要
 1. 審議は公開で行った。
 2. 総合環境アセスメント制度のあり方について(答申)(案)について審議した。
5 審議結果概要
 1. 広島市総合環境アセスメント基本構想(案)に対する市民意見及び庁内意見をもとに、一部修正を加えて調製した、答申(案)について審議がなされた。
 2. 新しい制度の名称について審議したが、結論には至らなかった。
 3. 最終的な答申の文案及び名称については、会長一任とする。
6 会議資料
 ・総合環境アセスメント基本構想(案)への市民意見等(45KB)(PDF文書)
 ・総合環境アセスメント基本構想(案)への庁内意見等(23KB)(PDF文書)
 ・総合環境アセスメント基本構想(案)本文・資料の対照表(8KB)(PDF文書)
 ・制度の名称について(8KB)(PDF文書)
 ・総合環境アセスメント制度のあり方について(答申)(案)(77KB)(PDF文書)
 ・総合環境アセスメント制度のあり方について(答申)(案)への委員意見等(12KB)(PDF文書)

 

審議結果

末田課長補佐
 ただいまから、広島市環境影響評価審査会を開会します。
 初めに、環境局参事の中本からごあいさつ申し上げます。

中本環境局参事(以下中本参事)
 3月に入り、大変お忙しいところお集まりいただき、誠にありがとうございます。
 総合環境アセスメントについては、前回説明したとおり、基本構想の最終案について、2月1日付の広報紙「市民と市政」に記事を掲載し、2月28日までの1か月間、2回目の市民意見を募集しました。また、市役所の関係課等にも意見照会して、意見をもらっております。
 後ほどその概要等について説明いたしますが、本日はこれらの意見等を踏まえて、最終的な審査会からの答申案を取りまとめていただければと考えております。十分ご議論をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

末田課長補佐
 それでは、これ以降の議事進行は天野会長にお願いいたします。

天野会長
 今回で5回目になりますが、今日を最終回として答申をまとめたいと考えておりますので、どうかご協力のほどよろしくお願いいたします。
 それでは、今日の資料について、事務局から説明してください。

砂田アセスメント担当課長(以下担当課長)
 環境アセスメント担当課長の砂田でございます。
 まず、資料1で、基本構想(案)について、2月1日から28日までの間に、広報紙「市民と市政」、環境局ホームページ、さらにパンフレットの配布などにより意見を募集するとともに、環境NGOの代表者や環境サポーターの方々にはパンフレットを直接郵送しました。
 その結果、12名の方から意見が寄せられ、そのうちの大部分は日頃から感じておられる環境問題に対する幅広いご意見、さらには市政全般に対するご提案でした。
 基本構想(案)に対する直接のご意見については、その右側に対応方針として事務局の考え方を示しておりますが、本文を修正する部分として、6ページの対応方針の3つ目の○で、累積的・複合的影響の部分が「累積的・複合的影響の予測・評価」となっており、これに「調査」を加えてはどうかという意見がございましたので、「調査」を加えたいと考えております。
 続きまして、資料2は、市民意見とほぼ同時期に、市役所内の都市計画を担当する計画調整課、あるいは道路計画を担当する道路計画課といった関係部局に意見照会し、8課から25件の意見が出されています。意見の概要としては、語句に関するものや制度化に当たり協議調整を求めるものが多く、本文に対する意見としては、例えば、定量的な目標がない、普通にできることだけやっていては効果はあがらないのではないかといった意見が出されており、これらに対しても、右欄に事務局としての対応方針(案)を示しています。
 この中で、本文及び資料編を修正する部分は、1ページの2つ目の意見で、基本構想最終案の「はじめに」の中の事業展開の部分で、単に「この基本構想に基づいて試行ガイドラインを策定する」としていたものを、予算の関係もあり、廃棄物分野のガイドラインを策定するという事を明確に書くこととします。また、原案では「運用実績を積み重ねることにより、その問題点や課題を抽出・検討したうえで、できるだけ早い時期に、本格的な制度化を図りたい」としていましたが、そこに「他の分野における実施など」を加えてほしいという意見もありました。これも意見のとおり修正したいと考えております。
 その他、1ページの一番下、2ページの一番上、4ページの上から2つ目、5ページの下から3つ目と下から2つ目、以上、本編4カ所、資料編2カ所を修正したいと考えております。
 続いて資料6には、事前に各委員から書面により頂いたご意見をまとめております。このうち最初の3つを宮田委員からいただいておりますが、本文にも関わりますので、まず、意見提出の趣旨等をご説明いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

宮田委員
 環境面と社会・経済面への影響を関連づけるということはそんなに問題だと思っていなかったのですが、だんだん考えるうちに、実際に可能だろうかと疑問に思うようになりました。前回、担当課長から今後十分検討するという回答があったのですが、やはりこれは難しいのではないか、あるいは環境アセスメントの立場としては、社会・経済面への影響を考えるのは出過ぎたことではないかと今は思っています。しかし、それは議論が必要なので、せめて今後十分検討するということを書いていただきたいということです。対応方針を見ると、そのように書いてあるので、一応、今の時点では私自身はいいのではないかと思っています。
 それから、2番目のゼロ案については、非常に素朴な疑問で、そんなことがあり得るのかなと思ったのですが、何故ゼロ案を考えなければいけないのか、今でもわかりません。
 3番目は第6章の図ですが、アセスメントは計画が提起されて始まるので、対応方針の考え方あると思いますが、やはり一番上に計画の策定者を置いた方がわかりやすいと思います。

担当課長
 ありがとうございます。それぞれのご意見に対応方針(案)を記しておりますが、1番目については、前回お答えしたように、やはりなかなか難しい部分があるので、関連手法等については今後十分検討していきたい旨を記述したいと考えております。
 次に、ゼロ案については、現在の施策を継続し、何もしないという案を含む複数案を比較検討することにより、例えば計画等の必要性や環境面での改善効果がより明らかに比較できるということで、計画等によって、ゼロ案を含む複数案の比較検討が必要と考えております。
 また、第6章の図について、アセスメント自体は、当然、計画の策定者が主体的に行うものですが、この制度の一つの特徴が、市民や環境NGO・NPOの積極的な参加、情報提供あるいは協働での調査といったものを目指していますので、やはりこれを一番上に置くべきものと考えて、対応方針(案)を示しております。
 それから、中島委員から、前回も問題となったフィードバックについて意見が出されていますが、それについては、答申案の「はじめに」の中に記述するという対応方針(案)をお示ししておりますので、後ほどご審議いただきたいと思います。また、今岡委員のご意見についても、後ほど名称についてのご審議いただく際にご紹介させていただきます。

天野会長
 ありがとうございました。まず、宮田委員の一番目のご意見は、答申(案)10ページの下から3行目で、環境面と社会・経済面、この辺の関係をどうするかということですが、これは対応方針(案)のように修正すればいいと思いますがいかがでしょうか。

宮田委員
 結構です。

天野会長
 2番目の、ゼロ案というのは考えてみると、少し変にも思いますが、いろいろ考えてみて、やはり何もしないのがいいということも場合によってはあるのではないでしょうか。

宮田委員
 それは単に現状というだけのことで、わざわざ案という言い方をするのはおかしいのではないかという意味です。

安藤委員
 これはいわゆるゼロ・オプションといわれるもので、通常、一つの事業あるいは計画があって、それについてアセスメントするという形があるわけですが、それに対して何もしないということも一つの選択肢とする考え方です。ゼロ・オプションという考え方は十分成立するので、このままでいいと思います。

天野会長
 中島委員、いかがですか。

中島委員
 選択肢の一つとして、それも案だと言ってもいいと思います。

天野会長
 だんだんと定着してくれば、これも一つの案と呼んでいいのではないでしょうか。
 さて、3番目は、答申(案)12ページの図6の一番上と左下を入れ替えてはどうかというご意見ですが、事務局はやはり市民等を上に置きたいということです。ご意見ございませんか。

宮田委員
 つまり、事を起こした人とそれに対して意見を言う人が、このままでは非常にあいまいでわかりにくいように思います。市民を大切にしているということはわかります。

天野会長
 この3つは全て双方的に矢印があるので、私はこのままでもいいように思いました。他の方はいかがですか。

フンク委員
 三者それぞれの立場が平等であることを表すと同時に、事業は市民のために行うということを考えると、やはり市民が上に来るのがいいと思います。

天野会長
 そういうご意見もあります。宮田委員、これはいいですね。
 次に中島委員の事業アセスメントとの関係でフィードバックを入れるというところですが、この対応方針では、まだ納得いかないのではないでしょうか。

中島委員
 環境アセスメント制度は、意思決定プロセスそのものではないということですが、意思決定側に情報を提供して、それに影響を与えようとしているわけで、環境アセスメントも意思決定プロセスの範囲の中にあると思います。
 それから、フィードバックについては、事業アセスメント制度の中で明記すべきものと書いてありますが、そうであれば、前書きに書いたところで、総合環境アセスメント制度の中では反映されないことになってしまいます。また、何故、総合環境アセスメントの中でフィードバックの可能性を明記できないのかについても納得できません。

安藤委員
 私もできるだけフィードバックのパスについて明記しておいた方がいいと思います。それで、資料6の対応方針では、答申の「はじめに」の中に留意事項として記載するということですが、留意事項の2を修正するということですか、それともこの原案でどうかということなのですか。

担当課長
 資料5の「はじめに」の2のように記載したいという意味です。

安藤委員
 そうであれば、少し文言を改めた方がいいと思います。いわゆる戦略的環境アセスメントの実際の取り組み例はまだ少なくて、これから制度や具体的な手順について詰めなければならない状況です。もう制度としてでき上がっていて、誰もが同じようにできるのであれば、必ずしもフィードバックパスを考慮しなくてもいいのかもしれませんが、そうではないので、いろいろ試行錯誤しながら進めていく、原点に戻って物事を考えるという姿勢や、そういう可能性をはっきりさせておいた方がよいと思います。
 ですから、「はじめに」の留意事項の2のところは、「再度、計画等の策定プロセスに遡ることになるよう検討すること」ではなくて、「遡るよう検討する」の方がいいと思います。

天野会長
 私は「遡ることになるよう検討する」ということで、フィードバックの可能性が書いてあると読んだのですが、確かに、日本語の解釈は難しいと感じています。おそらく制度化するときには、現行の事業アセスのように手続きのフローを作られると思います。これを見れば、現行の制度にもフィードバックがあるということがきちんとわかります。今審議している案では、安藤委員ご提案のように、「遡るよう検討する」と言った方がはっきりしますね。

担当課長
 フィードバックについては、これまで、何度も熱心にご議論いただいております。
 そもそもこの議論が始まった原因の一つは、新しい制度が、その仮称「総合環境アセスメント」によって、現行の事業アセスと新たなアセスをくっつけた制度として受け取られ、その結果、事業アセスから新しいアセスへのフィードバックについて記載すべきではないかいう意見に終結していったように感じています。
繰り返しになりますが、総合環境アセスメントは現行の事業アセスメントとは別の制度で、合体したものではないと考えたときに、事業アセスから新しい制度へのフィードバックは、現行の事業アセスメント制度の見直しの中で記載するべきというのが私どもの考え方です。

宮田委員
 非常に俗な言い方をすれば、先送りというか、今後の検討課題だと。しかしながら、それは重要な課題だとして「はじめに」のところに書いておくということですか。

天野会長
 余りこだわらないで、「遡るよう検討すること」という安藤委員のご意見でいいかと思いますが、いかがですか。このままの方がいいと思われる方はいらっしゃいませんね。

中島委員
 そうすると、フィードバックは事業アセスメント制度を再検討するときに検討するということで、この総合環境アセスメント制度の中では検討しないということでしょうか。

天野会長
 課長は、この制度と事業アセスとは別のものだということを強調されたのであって、少なくとも「はじめに」のところで「問題点が明らかになった場合には」間違いなく「再度、計画等の策定プロセスに遡るよう検討すること」と書いてあるのだから、この中だけでもフィードバックしようというご意見と理解しましたが、そうではありませんか。

中島委員
 もちろん、総合環境アセスの中でそういう仕組みを作るべきだと思いますが、この対応案では、事業アセスメント制度の中で明記すべきものとなっているので納得できません。

安藤委員
 もし戦略的環境アセスと事業アセスがそれぞれ独立したもので、事業アセスの結果は戦略アセスにフィードバックされないという前提であれば、「はじめに」の留意事項2は意味をなさないというか、まるで違う意味になります。事業アセスの段階で、戦略アセス段階ではわからなかったいろいろな事柄が出るということは非常に多いのですが、その時に計画の段階に遡って、もう一度検討するというのは正しいやり方で、だからこそ長野県ではダム建設の計画があってもその段階でストップをしてしまうという政策判断が成り立ってくるわけです。
 ですから、やはり、その可能性を残しておいて、課長の先ほどの説明は撤回していただき、この文章のとおりであるとしていただきたいと思います。

担当課長
 今回、基本構想を作り、その後試行ガイドライン等を作って、運用実績を積み重ねながら、将来制度化する方針ですが、その際には、現行制度との関係を明確にするため、現行のアセス制度の変更が当然必要になってきます。それに併せて、例えば事業アセス段階で重要な問題点が明らかとなった場合には、計画等の策定プロセスに戻るといったアセス条例改正の必要もあるという意味で、フィードバックについては現行の事業アセス制度の中で明記すべきものと記載したわけです。

安藤委員
 そうすると、精神はこの「はじめに」に書いてあるとおりで、制度整備上の手続としては、現行のアセス条例を改定するときに2の趣旨を取り込むと理解してよろしいですね。

宮田委員
 資料6の「事業アセスメント制度の中で明記すべきものと考えられます」という表現は、そこに限定されて、総合環境アセスメントの方が宙に浮いてしまうような感じがあるので、事業アセスでも無論基本的な方針として打ち出すが、総合環境アセスでも何らかの形で対処しなければいけないといったように書けばいいのではないかと思ったのですが。

中島委員
 というか、総合環境アセスメントの中においても明記する。両方に書けばいいのではないかと思うのですが、事務局は、それはできないとずっと主張していらっしゃる。

天野会長
 安藤委員のご意見は、事業アセス制度の中で結果的に明記するというこの対応方針で理解はできるということだと思います。宮田委員がおっしゃるのは、事業アセスの方も変えるけれども、またもう一つ上位ものにもきちんと書いてほしいということだと思います。

宮田委員
 上位については、「はじめに」のこの記述でいいと思いますが、対応方針の文章がそれに沿ってないと感じているだけです。「事業アセスメントの中でも明記すべき」ということであればよくわかるのですが。

担当課長
 表現については考えさせていただきますが、基本的に、そういう考え方で基本構想を取りまとめたいという趣旨について賛同いただければと思うのですが、いかがでしょうか。

中島委員
 この総合環境アセスメント制度の中で、フィードバックあるいは積極的に再検討する用意があるというか、そういう可能性を明記しなければ賛同できません。
 「はじめに」の内容は、事務局の説明を聞くと、事業アセスメントの条例改定のときにフィードバックを検討するということであって、あくまで、総合環境アセスメント制度の中ではフィードバックの可能性を明記しませんとおっしゃっているわけです。

宮田委員
 しかし、「はじめに」を素直に読めば、フィードバックしますという文章ですよ。

中島委員
 この「はじめに」というのは総合環境アセスの中身ではありませんし、あくまで配慮するということで、かつ、事業アセスメントの改定の中で配慮はするが、総合環境アセスメント制度の中では明記しないとおっしゃっています。それには賛同できないということです。

フンク委員
 個人的な考えですが、基本的に、アセスのフローを考えるとき、どの段階でもどこまででも遡れるようなプロセスでないと意味がありません。ですから、中島委員がおっしゃるように、「はじめに」言葉でそれが十分反映されていないならば、私も問題だと思います。

安藤委員
 私は、「はじめに」の中にフィードバックパスが明記され、今後、具体的な制度設計の中でその精神を生かすということであれば、市の担当者はやってくれると信じています。
 実際に答申の中に、フィードバックは明記されていませんが、逆にフィードバックパスを入れないということも書かれてないので、この精神に沿って検討いただければいいと思います。
例えば、市全体での累積的・複合的影響という側面から見た場合、やはり重要な環境保全上の問題を生じる可能性があるという時に、フィードバックパスが起こるのですが、その手法の確立が大変重要です。そういったアセスメントの段階で、事業ごとのアセスの成果をうまく組み入れるような手法が将来開発されてくれば、フィードバックパスを制度的に取り込むことも十分可能だと思っていますし、是非そういう方向でご努力いただきたいと思います。そういうことで、私は市の姿勢を信頼して、原案に賛成します。

宮田委員
 私も原案に賛成したいと思います。中島委員は、第2章にもそういう文章を入れてほしいということだと思うのですが、例えば、囲みの中の「この新たな制度と現行の事業実施段階の環境アセスメントの連携により」という非常に苦心した表現で、見方によってはフィードバックも考えていると読めますし、事業アセスメントの中にこの総合アセスメントをどう位置づけるかといった議論をしないで、こちらで勝手にやっても制度が動かないといったことも起こり得ますので、私は現段階では、市の対応でいいのではないかと思います。

天野会長
 お二人のような理解をして、「はじめに」のところでいかがでしょうか。

中島委員
 連携というのは、計画アセスの結果をうまく引き継いで事業アセスをやるというような連携だろうと思うのです。手戻りといったことをすごく嫌っていて、他の部局の賛成も得られないだろうということがやはり基本にあると思うのです。やはり、人間の決定は常に完全ではないということを前提にした内容、制度でなければいけないと思います。

担当課長
 若干補足したいのですが、例えば現行の事業アセスの結果、重大な環境保全上の欠陥が見つかり、事業者はその事業をやめて、別の案にするということは当然現行でもあり得ると思います。この総合アセスが制度化された場合、総合アセスの結果、事業者が一つの案に決めると、次に事業アセスの段階に入ります。その段階で初めて重大な欠陥が見つかった場合には、当然事業者は現在と同様にその計画をやめて、また別の計画を練ると思います。その新たな計画を練る段階でそれが新しい制度の対象であれば、当然総合アセスを再度やっていただくということになります。
 ですから、将来制度化されれば、あえてフィードバックすることを明記しなくても、対象事業であれば、明記するまでもなく遡らざるを得ないという状況になります。そういった意味で、それは事業アセス制度の中で明らかにされるし、今回の総合アセスの基本構想の中で敢えて述べるまでもないという考え方で、こういう文章になったということです。

フンク委員
 第2章の「連携」という言葉には遡ることも含めているというような、ちょっとした言葉を入れることは不可能ですか。

関委員
 私も、フンク委員の意見に賛成です。

宮田委員
 もし、可能であっても、囲みの中には入れない方がいいと思います。そういう方向性はここではっきり出していいと思いますが、事業アセスメントとの関係があって、今は結論づけられないので、もし入れるのなら、解説に入れればいいのではないかと思います。

矢野委員
 2章で難しければ、4章の「柔軟な手続きの設定」のところはどうでしょうか。2章は制度自体の大枠の話なので、実際の手続きの話であれば4章の方がいいと思います。

宮田委員
 4章は制度の中身の話ですし、図との関係もあるので、やはり2章だと思います。

担当課長
 先ほども説明しましたが、これはあくまでも現行の事業アセスとは別の、新しい制度の基本的なあり方を示すものです。ですから、確かに2章に現行のアセスとの連携ということを書いていますが、これはあくまでも計画策定段階から事業実施段階までの環境への配慮についての連携という意味で、フィードバックパスの話まで盛り込んだものではありません。
 それから、4章も、あくまでも新しいアセス制度の手続を定めたものなので、この中で事業アセスからフィードバックするといった事業アセス制度の中身について触れるものではないと考えております。

矢野委員
 この新しいアセスメントと現行の事業アセスメントの連携やその間の調整を、いつどこで具体的に検討するのでしょうか。それぞれの別の制度を検討していくことも重要だと思いますが、やはりその間の調整を図る必要があると思います。

担当課長
 その点についても、前回、将来的なスケジュールを含めてお話ししましたが、当面、今年度この基本構想を取りまとめて、次年度は廃棄物分野でのガイドラインをつくり、実際に運用していろいろな問題点等を探る。それから、廃棄物分野以外の道路計画や都市計画といった分野のガイドラインもつくり、いろいろと運用実績を積み重ねる中で問題点を抽出して制度化を検討するということで、具体的に何年度からということではないのですが、当面実施してみることが重要ということで、試行を繰り返して制度化を目指すことを考えています。
 そして、制度化の段階で一体とした方がいいということになれば、現行の条例を全面改正して、SEAと事業アセスを一体とした本当の総合アセスができるのかなと考えております。

水田委員
 他の問題でもいいですか。私は庁内意見等の2、3ページに非常に共感するところがあるのですが、対応方針を見ると、上位計画等に適用範囲を拡大するというのは、具体的にどういうことなのかよくわかりません。具体的に言うと、上位計画で、例えば「里山の生態系が重要である」と書いてあるので、里山の生態系を保全するような事業が既になされてもいいはずですがなされていません。過去の例で、ギフチョウはそこで滅びてもまた再入植してくるということで、委員会は終わりました。私はそれに非常に疑問を呈したのですが、事業アセスは、どうしても対象が個々の事業になるわけです。
 しかし、基本計画や施政方針等が、生態系を保全するように作られるとは思いません。滅びてしまえば改めて復元することは不可能ですが、そういう保障が本当になされるのかどうか。そのためには、上位計画をもう少しよりどころとなるようなものにしてほしいと思います。
 私の言っていることがよくわかりませんか。それでは、上位計画等に適用範囲を拡大するということがあちこちに書いてあるのですが、これはどういうことですか。

担当課長
 本編にありますように、この新しい制度は政策、計画あるいはプログラムに適用するものですが、当面の適用範囲として、広島市が行う個別事業の上位計画の計画策定段階に適用しようという構想です。将来的には、上位計画等も含む政策や計画も対象にしていきたいというのが基本構想の中身です。それを対応方針として示しているということです。

水田委員
 フィードバックが具体的にわからなかったのですが、例えば、上位計画にまでフィードバックできるのでしょうか。

宮田委員
 6ページの図のことだと思うのですが、今までの議論では、水田委員がおっしゃったようなことを余り考えていなかったところもあるのですが、特に問題はないと思います。

天野会長
 水田委員がおっしゃったように、私自身も、事業アセスだけではいろいろと問題があると思います。ですから、もう一つ、この総合アセスを考えようということだと思います。

水田委員
 生き物の場合、滅びてしまうとおしまいで、今までそれを繰り返して来ていて、取り返しがつかないことになると思うのです。それをこの際、保障したいと思うのです。

宮田委員
 ですから、今回の新しいアセスメントができれば、水田委員が心配されているような、大きな計画についてもチェックできるということで、非常に大きな進歩だと思います。

天野会長
 矢野委員の質問に課長が答えられたように、制度化するステップが一番大事なので、その前に試行錯誤しながら、問題点を抽出して制度化するということでいかがですか。
 先ほどからの議論は、「はじめに」を安藤委員のご意見のように「再度、計画等の策定プロセスに遡るよう検討すること」として、実際に制度化するときにはその趣旨を尊重する。そして、事業アセスの側の文言も、変えるべきところは変えるということでいかがですか。

(「いいと思います」の声)

天野会長
 それでは次に、1つ残っている名称の議論に入りたいと思います。

関委員
 「戦略的」というのは、英語のストラテジー(strategy)から来ていますが、ストラテジーとタクティクス(tactics)は対になって英語圏ではよく使われているように思います。私はよく知りませんが、原語上は、ワー(war)やバトル(battle)という意味合いはなくて、英語圏の人はそんなに神経質にはならないのかもしれませんが、日本語に訳した時に戦略、戦術という戦争の「戦」の字が入ったために、非常にイメージが悪くなったのだと思います。
 広島県民はやはり非常に戦争ということに対して意識が鋭いので、広島市の一つの案として、戦略的という言葉は使わない方がよろしいと思います。

矢野委員
 私も、個人的には戦略という言葉は使わない方がいいと思います。本文中でも市民が主体ということを強調されていますので、やはり余り適した言葉ではないと思います。
 制度の名称について、いろいろな意見が出ておりますが、将来、もっと総合的な環境アセスメントに移行することを考えると、今検討している制度は、「計画環境アセスメント」とか「環境計画アセスメント」とういった名称がわかりやすいのではないかと思います。

中島委員
 私も、「戦略」という言葉よりも「計画」というような言葉を使った方がいいと思います。SEAのもともとの発想を大事にして、かつ余りたくさんいろんな言葉を作って混乱させるのもよくないので、「計画」という言葉を使うといいと思います。

大森委員
 私も「戦略」という言葉は避けた方がいいと思いますが、仮称の「総合」も、何かこれで総合かなと少し誤解を招く部分があるので、「計画段階」という言葉がいいと思います。

水田委員
 私は、それでは今までは計画はなかったのかと受け取られることを危惧します。おそらく、「戦略的」というのは損失と利益を総合的に判断するということだと思うので、「総合的」でいいと思います。将来もっと立派な総合になるとしても、やはり損失と利益を考慮するもので、「戦略的」がまずいのならば「総合的」という方がいいと思います。

大森委員
 「総合」があまりよくないと思ったのは、先ほどから議論になった事業アセスとの関係で、それも含んでいるような誤解が生じるおそれがあるということで申し上げました。

天野会長
 資料4について、事務局からの説明も聞きましょうか。

担当課長
 資料4を説明させていただきます。まず、1番目に、市民、庁内からの提案を、それから2番目に委員の皆様からこれまでご提案のあった名称を列記しております。
 3番目に、なぜ仮称を「総合環境アセスメント」にしたかということですが、広島市がこの新しいアセス制度の検討を始めた、平成11年にアセス条例ができた直後ぐらいで、その時に名称も問題となりました。当時、国のアセス法案の附帯決議の中で「戦略的環境影響評価」という言葉が使われており、それから、本市に先駆けて検討を始めていた東京都、埼玉県では「総合環境アセスメント」という名称を使っていました。さらに、委員からもご意見のあるように、平和都市ひろしまには「戦略」という言葉はふさわしくないのではないかといった諸々の条件が重なって、仮称として「総合環境アセスメント」という名称で検討を重ね、審査会にもこの名称で諮問させていただきました。
 現段階で、全国的にはどうかというと、埼玉県は当初の「総合アセス」という名称を、県民意見等を勘案して「戦略的環境アセスメント」という名称に変えました。埼玉県が目指しているのは、政策レベルからのアセスですので、「戦略的」という名称がふさわしいと判断されたものと思います。それから、東京都は、とりあえず政策、プログラムを除いた計画段階を対象とするということで、「計画段階アセスメント」という名称に変わりました。
 また、国は、平成12年12月の「環境基本計画」、平成13年7月の、総理が主宰する「21世紀『環(わ)の国』づくり会議」の報告書の中でも、全て「戦略的環境アセスメント」という名称を用いております。さらに、環境省の提案により、SEAに関心のある自治体を中心とする「戦略的環境アセスメント地方連絡会」といった組織もつくられ、この中で、環境省や他の自治体等も全て「戦略的環境アセスメント」という名称を用いており、全国的に見れば、この「戦略的環境アセスメント」という名称がほぼ定着し、一般化していると言えると思います。
 今後、例えば国において将来の法制化も検討されていますが、おそらく「戦略的環境アセスメント」という言葉が使われていくのだろうという状況があります。
 そうした中で、広島市として、今回の基本構想の中身は、当面、計画段階に適用するものですが、将来的には上位計画あるいは政策までも含みたいという趣旨ですので、全国的に「戦略的アセスメント」と呼ばれているものに、広島市独自に名前をつけるのもいかがかと考えます。一方で、やはり平和都市ひろしまのイメージもあるので、非常に悩んでいますが、全国的な流れの中で、目指すものが同じであれば同じ名称を使うべきではないかということで、「戦略的環境アセスメント」という名称を提案させていただきました。

安藤委員
 私は「戦略的環境アセスメント」という名称にすべきではないと思います。戦争を連想させるということは、広島市として当然考慮すべきですが、既に一般的な言葉として使われていて、私はあまり抵抗はないのですが、ただ、この名称が全国的に一般化してきているので、広島独自の名前はいかがかという考え方そのものは逆に問題だと思いました。広島市は例えばごみの分別収集等環境面において、かつてはかなり先進的な取り組みをしてきましたが、この数年、環境施策の面では、他県市追随型の方向にある。むしろ広島は被爆ということもあり、新たな環境を創っていかなければいけないという切実な市民の思いもあるのですから、全国の流れにかかわらず、やはり一番ふさわしい名前をつけるべきだと思います。
 また、資料6の2ページに、環境庁の戦略的環境アセスメント総合研究会報告書の内容が引用されていますが、これにも、「戦略的」という言葉に必ずしもとらわれるべきではなく、制度が現実になってきた場合にはそれにふさわしい名称が考慮されてしかるべきということがあえて書かれているわけです。私は、広島市の新しい、体系的なアセスメントを具体化していこうという意気込みを込めると、他で使われている名前はやめて、例えば「環境計画アセスメント」、「環境管理アセスメント」、あるいはもっと積極的に「環境創造アセスメント」とか、何かもっとふさわしい名前があってしかるべきではないかと考えています。

宮田委員
 アセスメントという言葉は、法律的には環境影響評価という言い方をして、正式には環境アセスメントと言っていませんが、この場合はどうなるのですか。今後、アセスメントという片仮名用語はずっと正式な名称になるのか、どこかで環境影響評価という漢字が使われるようになるのか。その辺の区別はどんなふうに考えておられますか。

担当課長
 現行の条例では環境影響評価という言葉を使っています。今回も、本文中では「環境アセスメント(環境影響評価)」と括弧書きで漢字を使っており、タイトルには「総合環境アセスメント」、あるいは「戦略的環境アセスメント」といった言葉を使っております。
 ですから、将来、要綱や条例で制度化する場合に、どちらの言葉を使うのか決めなければいけませんが、今のところどちらを使うかというはっきりした方針があるわけではありません。

フンク委員
 「戦略」という言葉は、やはり広島では使いにくいと思います。「戦略」の意味は、何か目的があって、それにたどり着くために全体的な見方をして、その中で一番いい方法を選ぶということだと思います。そうすると「総合的」という言葉では、全体的な見方は入っていますが、目的は何かということが入ってきません。ですから、目的を目指し、全体的に一番いい方法を選んでいるということを表す、他の言葉があればベストだと思います。
 もう一つは、現在の事業アセスメントがあって、将来的に全体的なシステムに含める可能性もあることを考えると、今の段階で「総合的」という言葉はまだ使わない方がいいので、そうなると、少し長いのですが「環境計画・政策アセスメント」という名称はどうかと思います。

吉國副会長
 私は、名前は人の好みの問題だと思うのですが、4ページ下側の新しい制度のフローチャートの中で、一番大きなものは政策で、右に行くに従って、計画、事業と小さくなります。そういうことから、この中で一番大きな、政策の評価というのが課題だと思います。そういう意味で、委員からの提案の5と6を一緒にして、「政策総合アセスメント」というのがいいのではないかと思います。「環境」という言葉が入っていないのですが、政策アセスメントの一部に環境もあるということで、いかがでしょうか。

フンク委員
 確かに、政策の中に計画があり事業があることから考えると、「環境政策アセスメント」がいいと思います。「環境」は目的なので、入れた方が明確だと思います。

宮田委員
 このフローチャートを見ると確かにおっしゃるとおりですが、一般的に「政策」というと、もっと広い概念を含むので、一般の人は違うイメージを持つ可能性があって、どうかと思います。私は市民意見の「計画環境アセスメント」がいいと思います。

水田委員
 ストラテジー、戦略として今まで使ってきたのは、ちょっと極端な言い方かもしれませんが、お金がどれだけ動いたか、経済的効果はどれだけあるかということだけやってきたと思うのです。しかし、そうではなくて、お金に換算するとしても、生態系を形成するような要素、生物の損失なども全部含めて総合的に判断するというのが「戦略」だと思います。
 したがって、そういう意味での「戦略」を生かすためには、「戦略」を使えないのであればやはり「総合」がいいと思います。害虫防除の関係で、インテグレイテッド・ペスト・コントロール(integrated pest control)、あるいはマネジメントという言葉があって、「総合防除」あるいは「総合管理」と訳されていますが、この「インテグレイテッド」の中にはまさにそういうことが入っているわけです。害虫を絶滅させるのではなく、経済的な損失のない一定のレベルまで落とすということですから、まさに戦争に勝つのと同じような意味ですが、やはり「総合」というのが、私はなじみやすいと思います。

関委員
 私は、矢野委員ご提案の「計画段階アセス」というのが、ずばり簡単でわかりやすいと思います。確かに、「総合」もありますが、ちょっと漠然とした感じを伴うので、ずばり「計画段階アセス」がいいと思います。「環境」を入れるのもいいのですが、アセスメントを環境影響評価とすると「環境環境」になるから、「環境」はつけなくてもいいと思います。

天野会長
 今までのご意見ですと、やはり「戦略的」というのは、どうも皆さん好きではないようですね。全国的には「ストラテジック・エンバイロメンタル・アセスメント(SEA)」がだんだん定着してくるだろうと思うので、そうだとすれば、広島市の制度はこれだということがすぐわかる方がいいかと思いますが、広島市として、やはり独自のいいものを創っていくという姿勢を出す方がよいと言われると、全くそうだなあと思います。いかがでしょうか。

担当課長
 数多くの案をいただき非常にありがとうございます。もし、この場で意見がまとまらないようであれば、名称の部分は除いて答申をいただくということで決着していただき、具体的な名称については、再度事務局の方で皆様方の意見も含めて十分検討して、基本構想の本体を公表する時に決めさせていただくということにさせていただきたいと思います。
 それから、もう一点、今回は当面の適用範囲を広島市が行う事業の計画段階に限っていて、将来的に政策もという意味合いもあるのですが、一方で民間事業にも広げることを考えた時に、政策に相当するのは、民間では企業の基本方針とか、経営方針といったものになると思います。その際に、政策という言葉はなじまないかなという気持ちは持っております。

天野会長
 今までの意見を整理してみます。「戦略的」はやはり余り好ましくないとすると、いろいろ出た中で「計画段階アセスメント」でしょうか。「環境」という言葉が入っていなくても、少なくともアセスメントと言えば、いい環境をつくるときに必要な仕事であるということは皆さんに広く定着しているので、環境という言葉も別に入れる必要はないのかなと思います。
 それから、「総合」は、私は好きですけれども、確かに何か漠然としていてよくないかという感じもします。次の、「政策」は、民間も対象とする場合にはよくないとすれば「計画段階」あるいは「計画アセスメント」という感じになるかと思います。この中で、どれか一番いいものに決まれば、審査会としてもいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

中島委員
 アセスメントには、ソーシャルアセスメントやテクノロジーアセスメントといったいろいろなアセスメントがあるので、やはり私は「環境」を入れた方がいいと思います。
 最大公約数は、ちょっと我田引水的に言うと「環境計画アセスメント」かと思います。

水田委員
 私は「計画」には反対です。今まで計画がなかったことになり、やはり意味が分かりません。この作業のプロセスを重視するのなら「計画」でもいいと思うのですが、むしろ、一番先に立つのは考え方、思想だと思うわけです。そうすると、やはり生態系あるいは人間の情緒、感情も含めて、全部損得勘定をして判断するのがこのアセスメントであり、ストラテジーだと思うわけです。したがって、「戦略」がまずいのであれば「総合」に固執します。

中島委員
 計画をアセスしようということで、計画がなかったということではありません。

宮田委員
 私はそれをひっくり返して「計画環境アセスメント」がいいと思います。

天野会長
 「計画環境」、「環境」は「アセスメント」にかかるということですね。

フンク委員
 順番は、日本語としてどちらが正しいのかよくわかりませんが、私もこの案に賛成です。「総合」は、今後、現在の事業アセスと新しいアセスのシステムを統一させて、一つの制度とする見通しがあるのであれば、今のところは置いておいた方がいいと思います。

大森委員
 計画の環境ではなく、環境の計画のアセスですね。環境計画のアセスという意味で、中島委員の意見に賛成です。

安藤委員
 私も「環境計画アセスメント」でいいと思いますが、最終的には事務局の判断に任せてもいいかと思います。事務局は「戦略的アセスメント」を提案されていますが、委員は誰も賛成していないので、「戦略的」以外の言葉の中から、一番今後の計画にふさわしいものを選ぶということで、お任せしてもいいかなと思います。

天野会長
 「環境計画アセスメント」と「計画環境アセスメント」の2つの案だとすれば、日本語としてどちらがいいですか。

安藤委員
 私は、アセスメントという言葉が一つあって、そのアセスの対象が環境に関する計画や、それに関する政策あるいは具体的な計画であったりするので、「環境計画アセスメント」がいいのではないかと思います。
 また、一般の人が見たときに、「計画環境アセスメント」では、ちょっと説明しないとわかりにくいのですが、「環境計画アセスメント」であれば比較的理解しやすいかと思います。

吉國副会長
 私はどちらでもいいのですが、できることなら、漠として、説明が必要な方がいいかと思いました。具体的に書くと、逆に身動きならなくなることもあるのではないかと思います。そういう意味で、「総合」というのは、後でどんなにでも化けられると思うのです。

矢野委員
 「計画環境」だと、安藤委員ご指摘のようにわかりにくいので、「計画段階環境アセスメント」の方がまだいいかと思いますが、そうなると、吉國委員ご指摘のようにかなり具体的に限られた範囲になってしまうので、「環境計画アセスメント」がいいと思います。

天野会長
 委員の皆さん、いろいろとこだわりの強い方だということがよくわかりますが、安藤委員ご提案のようなことでちょっと考えてもらうことにいたしましょうか。まあ、今のいろいろなご意見だと、やはり「環境計画アセスメント」というのが非常に入りがいいですね。

中本参事
 いろいろとご意見が出ておりますが、環境計画という言葉は、環境基本計画といったように、他の環境部門でいろいろ使っているので、ちょっと問題があります。また、今回のアセスはそういう環境面だけではなく、社会・経済面まで見て、非常に幅広く捉えているという観点から、環境計画とすると、その広がりが余り出てこなくなるのかなという感じがしますので、その辺りをまた検討してみたいと思います。

天野会長
 ご意見としては理解しますが、「環境計画」と言えば、そういった狭い範囲ではなく、社会・経済や文化の面まで入ってくるということは、だんだん定着してきているのではないでしょうか。

関委員
 どうしても「戦略的」を使いたいのであれば、妥協案として、一応「何とかアセスメント制度のあり方について」と書いて、そこにダッシュを引っ張って、「—いわゆる戦略的アセスメントについて」と副題をつけるあたりで私は妥協します。

宮田委員
 名称ではないのですが、この構想の第4章や第5章は、内容的には現行のアセスメントにほぼ近いものになっています。これまでそういう議論が全くなくて、急に言うのもなんですが、現行のアセスメントそのものが、いいのかというと決してそうではないと思います。
 だから、そういう問題を持っているものをそのまま引き継ぐのはよくないので、そういう問題について絶えず見直すといったことはやはり必要だと思います。いろいろな面で現行のアセスメントの不備や問題点がたくさんあるわけで、何かそういうことも、別にどこかに書いてくださいということではありませんが、やはり忘れないようにしておく必要があると思います。

天野会長
 現行のいわゆる事業アセスの中でもまだいろいろ不備な点もあるので、できればこの審査会でそういうことも議題に出して、将来やっていきたいというふうに理解したいと思いますが、それはよろしいですね。

担当課長
 はい、結構です。第1章で現行の事業アセスの限界や課題等については既に言及しており、そういった問題点を解消するため、手続においても例えば累積的・複合的影響の調査・予測・評価を行うとか、社会・経済面への影響を関連させて評価するというように述べているつもりです。

天野会長
 そろそろ時間も参りましたので。事務局から何か連絡事項がありましたらどうぞ。

事務局
 ありがとうございました。一応、今日頂いた意見を踏まえて、名称以外のところは事務を進めさせていただきたいと思うのですが、その取り扱いはどのようにいたしましょうか。
天野会長
 一応、私に一任していただきたいと思いますが。よろしいですね。

(異議なしの声)

事務局
 ありがとうございました。それでは、最後に参事の方からごあいさつ申し上げます。

中本参事
 本日まで1年間いろいろご審議いただき、本当にありがとうございました。最終的に、名称の点について、なかなか結論が出なかったのですが、これについては今日皆さんから頂いたご意見をもとに、再度検討させていただき、また最終的な案について、天野会長さんとも相談させていただき、皆様の納得のいく形で仕上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。どうも本当にありがとうございました。

天野会長
 それでは、本日は終了いたします。どうもありがとうございました。

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