環境影響評価審査会開催結果(出島埋立地区廃棄物処分場設置事業 第5回:平成13年9月13日)

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ページ番号1024047  更新日 2025年4月4日

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広島市環境影響評価条例に基づき、出島埋立地区廃棄物処分場設置に係る環境影響評価準備書についての審査を行うため、広島市環境影響評価審査会を開催しました。

1 開催日時

平成13年9月13日(木曜日)15時00分~17時00分

2 開催場所

広島市役所14階 第7会議室

3 出席者

1. 審査会委員(五十音順、敬称略)

天野實(会長)、安藤忠男、今岡務、大森豊裕、窪田幸子、下中奈美、関太郎、谷口泉、中島正博、深田成子、水田国康、宮田賢二、吉國洋(副会長)以上13名出席

2. 事務局

斎藤環境局長、中本環境局参事、国富環境アセスメント担当課長 他4名

3. 傍聴者

15名(他に報道関係8社)

4 会議概要

  1. 会議は公開で行われた。
  2. 出島埋立地区廃棄物処分場設置についての審査会としては、通算5回目、準備書については3回目である。
  3. 前回までの審査会における審議結果に基づいて作成した「出島埋立地区廃棄物処分場設置に係る環境影響評価準備書について(答申)」(案)について審議した。

5 審議結果概要

  1. 「環境影響評価準備書について(答申)」(案)については、ほぼ原案どおり了承され、今回の審査会の審議結果に基づいて細部の修正を行い、答申とすることについては会長一任となった。
  2. 出島埋立地区廃棄物処分場設置に係る審査会での審議は今回で終了する。

審議結果

会長 これまで、色々審議してきたところであるが、審査会委員の方々や市民の方々の意見を踏まえ、答申案等を非常に細かく事務局が作ってくれており、その労苦に感謝したい。
私としては、出島地区は21世紀プロジェクトとして行われているわけであるが、本当にうまくいくのだろうかとの思いもある。
先日、第一工区の話が新聞に載っていたが、財政難の折、実現に向けて動き出したのでほっとしている。
本日の審査会は、予め配布された答申案に沿って審議したいのでよろしくお願いしたい。
資料1の答申案の「前文」の3行目に、委員の意見を取り入れ、「当初計画」を挿入し、明確な表現としている。
総論の、「このことから-すべて公開し、-協議会などの設置を検討するよう要望する。」は、協議会の構成メンバーを具体的にどのようにするかということについてはいろいろ考え方があるが、趣旨としては良いのではないか。

委員 あまり、このような住民との関りがあるような事例はあまり知らないが、環境保全対策等の実現性が危ぶまれるおそれがあると思うので、協議会の設置は実効性のある形でお願いしたい。
会長 私も同じように考えている。
こういう協議会の設置というような手法を取り入れることによって、事業者と住民との理解を深めることが大事だと思う。
委員は、東広島市でのゴルフ場建設などでご経験があるということをお聞きしているが、トラブルが発生した場合、このような協議会の場でみんなが知恵を出して解決策を見出すということが可能であろうと思われる。

委員 協議会に第三者を入れるという話はどうなったのか。

事務局 広島市の清掃工場の例で申し上げますと、4つの清掃工場で、運営協議会を設置している。これは、地元代表、学識経験者、住民代表としての市会議員から成る10~15人程度、多いところで20人程度で構成された組織である。このような形になろうかと思っている。

会長 是非、このような協議会を広島県で考えていただきたい。

委員 千田下水処理場での運営協議会において、学識経験者ということで委員をさせていただいている経験では、住民の方々も加わり、いい風囲気で運営されている。
このような協議会を作り、住民の方々の理解を得、円滑な事業の運営となるよう期待したい。

委員 私もこのような協議会が設けられることを提案したひとりですが、私は学識経験者というか、第三者的な立場で、賀茂環境センター等2つの協議会のメンバーとなっており、こういった協議会は必要と思う。
住民の方々と事業者の方々との利害は対立する場合があり、この間に客観的な評価を下しうる人が入ることは必要であろうと考えます。
私が関係している協議会では2つとも成功している。
大事なことは、定期的に会合をもつことであり、事業情報をすべて公開することである。住民と事業者が対等の立場で協議し、問題の解決に当たることにより、事業着手前は対立的であった関係が、事業着手後は協調と信頼関係が生まれてきている。

会長 何回も話合いの場を作るというのが大事なことである。
答申案の前文と「1 総論」は良く練られていると考えるので、次に、答申案の「2 事業計画」について意見をお伺いしたい。
例えば、(5)は、港湾計画全体を含む土木的専門意見であり、委員が提案されたものですが、土木の専門家として具体的に説明していただきたい。

委員 処分場の周りに護岸で囲いができて十数年で埋められると思うが、この間に、処分場の周囲が既に埋め立てられているのか、そうでないのかによって様子が違ってくる。そこで、どういう状況を想定して判断すればよいのかという観点から、廃棄物処分場と港湾整備事業との相互の工事工程等の関係を知っておきたい。

委員 市がやっと第一工区を購入することになり、21世紀プロジェクトの実施に向けて動き出したところだが、景気の衰退により、この部分(第一工区)は予定より遅れる可能性があっても、廃棄物処分場は計画どおり進めるのか、素朴な疑問がある。

会長 今の問題は、この審査会で何回か議論されたが、廃棄物を入れたら出来るだけ早く覆土、芝張りを行い、委員から指摘があったランドスケープ・景観の面からも植栽してほしい。
冒頭、21世紀プロジェクトの件でほっとしたと言ったが、廃棄物処分場周辺の埋立計画の進み具合、一方、市民のごみ減量努力などによる五日市地処分場の延命化による廃棄物処分場の埋立計画の進み具合など双方の事業にそれぞれ不確定要素があり、住民の不安も多い。
また、廃棄物処分場周辺が、計画どおり埋め立てられ、21世紀プロジェクトの実現により街を活性化してほしいという住民の思いもある。
実際には、本事業がスタートしてから、協議会の中で、事業の進捗状況を情報公開し、住民の方々の理解を得るようにすべきであろう。

委員 答申案の2-(3)オの「受入基準-判断基準の見直し」とは、具体的にはどういうことか、事務局にお聞きしたい。
「受入基準不適合であるという判定基準の見直し」か「抜打ち試験を行う廃棄物を判断する基準の見直し」か。

事務局 基準そのものを見直すということではなく、廃棄物搬入チェック体制の強化ということである。

委員 今、言われた表現の方が分かりやすいと思う。

会長 例えば、ダイオキシン等の法令基準の強化が将来あった場合、これに合わせ厳しくするといった意味と解釈したが。

委員 今の会長の言われた意味なら、抜き打ち検査を厳しくする意図の表現だと思うので、「判定基準」の方が良いのではないかと思う。

会長 五日市の搬入受入施設においてチェックすれば、出島処分場へ搬入する途中チェックがない。だから、五日市で厳しくチェックしてほしいとの意味だと思うが。

委員 この文章では、意地悪な見方をすれば、「抜き打ち検査の対象とする廃棄物のみの判断基準の見直し」とも読める。

事務局 現在、五日市処分場でも抜打ち検査を行っているが、1日200台搬入される車両をすべて化学検査するのは、現実問題としてできない。
五日市処分場では、恒常的に搬入されているものや製造過程が変わらないものに比べ、新規に搬入されるものは重点的にチェックする体制をとっている。出島処分場においては、これを、もうすこし厳密に考え、判定基準を見直したらどうかという意味である。

委員 現状の五日市処分場のチェック方法では、住民の方々は満足していませんよということだからチェック方法の見直しという意味をはっきりするよう、表現を正確にした方がいい。

会長 「見直し」という表現なら、緩くするとは思えず、「より厳しく」するという風に解される言葉であるので、この表現でいいのではないか。

事務局 現在の五日市処分場のチェック体制が不十分ということではなく、住民の皆さんの信頼を得るために、現在の五日市処分場における受入基準の遵守状況を踏まえ、出島処分場の供用時にはチェック方法の検討をしてほしいという意味である。

委員 「抜打ち検査体制の強化」という意味を正確に表すため、「受入廃棄物の検査体制及び違反業者に対するペナルティの強化等を検討すること」に改める方がいい。
この処分場は遮断型でなく管理型であるので、特に、不適合廃棄物が搬入された場合、後の処置が困難であり、十分なチェック体制を講じることは非常に大切である。

事務局 文言については、会長と協議して修正する。

委員 海面での管理型処分場はあまり事例がないと思うので、答申案2-(4)については十分配慮してほしい。

会長 委員発言の趣旨は重要なことなので、答申として取り入れている。
答申案の2-(1)は簡単のようだけど、「市民の方々に分かりやすいもの」を作るのは、実際には案外難しい。
同2-(2)は情報公開として重要である。
同2-(3)のア、イは具体的に表現してほしいということである
次に、答申案の「3 環境影響評価の項目並びに調査、予測及び評価の手法等」について意見はないか。

委員 事後調査とはどういう意味か。埋立事業の開始後という意味か。

事務局 工事開始以降での調査ということであり、アセス条例に規定されている。

委員 生物のことだが、旧環境庁も生態系を重要視しているが、調査事例は少なく、どこも困っている。生態系の調査方法は難しい。当準備書においても、表層、中間層、底層の生物を調査するようになっているが、抽象的な表現になっている。
資料2の委員意見等28は、当然の指摘だが、相互作用等どのように評価すればいいのか非常に難しい。
同27については、以前にも指摘させてもらったが、元宇品の森林に対して全く触れていない。資料3の別途要望の中にもはっきり触れていない。元宇品の動植物は貴重なものであるから、この中で明確に表現してほしい。

会長 この前も委員からも言われており、非常に大切なことと認識している。
以前からの委員のご指摘も重要なことと思っている。
アセス条例の審査対象は、廃棄物処分場の設置に対してであり、委員の言われた内容は別途要望の形で意見を提出すると言うことで理解してもらいたい。
資料3の別途要望の下記3での「宇品港周辺海域」という表現により、元宇品も入っているということで生態系の相互関連などの影響について要望したいと考えているが、どうか。

委員 元宇品地区は動植物の貴重な生態系を残しており、地元の要望も強いことから、是非、別途要望の下記3の「宇品周辺海域」のところへ、「元宇品地区」を加えていただきたい。

会長 委員の提案どおり修正したい。

委員 岩国基地の沖出しの埋立工事で監視委員会ができており、ここで監視項目をきめている。例えば、生物の問題として、鳥類、クロロフィルa、潮間帯生物などを調査し、委員会の中でチェックしている。防衛庁が事業主であり、構成員は山口県、岩国市である。年1回、きちっとした報告書が出ている。
本審査会は、処分場設置が対象であるが、この範囲で生態系の問題を捉えても意味はない。生態系の問題は港湾事業計画の一環として考えるべきこととして、要望を出すということで意味がある。

会長 委員の指摘は重要なことで、別途要望として、市長から県知事に伝えてもらうということにしたい。

委員 資料8の「風向・風速中間報告」を頂いているが、この調査目的は何か。

事務局 広島県の用いた風向・風速データは、住民の方々から生活実態と合わないとの指摘があり、これを踏まえて、1ヶ月と短期間ではあるが、現地の風向・風速の状況を把握する必要性から実施した。
この結果を基に、広島県の実施した風向・風速データの是非を問うものではなく、広島県に対して万全の粉じん飛散対策を求めるために実施したものである。廃掃法では、埋立地からの廃棄物は飛散させてはならないと定められており、強風日には作業を行わないなど、現在、広島県が考えている粉じん対策に加え、更なる対策を取るよう要請するためのものである。
また、本審査会の委員の方々からの意見もあり、実施した。
なお、中間報告は、精査されていないデータであり、測定期間についても15日間のものを取りまとめている。

会長 答申案の3-(1)に、大気質の問題として、粉じん、窒素酸化物にも言及してある。
同3-(2)に、浸出水漏洩のモニターのことが触れてある。遮水シートの100%の安全性は難しいが、これも年々改良されており、実際の施工に当たっては信頼できるものにしてほしい。
同3-(4)において、地盤沈下の問題も、精一杯の表現がしてあると思う。

委員 前回の審査会での事務局からの説明では、廃棄物を陸上部分には埋め立てないで、薄層散布船で海中に投入するのだから、この時は粉じんは飛散しないとのことだった。陸上部分に廃棄物を埋め立てないということを確認しておきたい。水中施工と説明されているが、我々もあまり耳慣れない言葉であり、きちんとこのとおり施工してもらわなくてはならない。

事務局 廃棄物の埋立方法については、今、委員の言われたとおりである。海面埋立については2方式、つまり陸上から片押しで埋め立てる方式、今回広島県が行おうとしている薄層散布方式がある。この薄層散布は、少なくとも埋立開始から数年間行われる予定で、廃棄物が水面下に見えてくるまで行われる。廃棄物が水面すれすれの状態になると覆土の必要性も出てくる。また、五日市処分場と同様に、浮くものは埋め立てないということである。

委員 埋立地は10mくらい水深があるので、現実に廃棄物が水面より出てくる時期はかなり先になるだろう。その頃に、答申案の2-(5)にある、「廃棄物処分場と港湾整備事業との事業工程の関連」で、処分場周囲の状況がどのようになっているのかが一番問題だろうと思う。
今までの想像では、この時、廃棄物処分場の周囲は、まだ海があると思っていたが、埋め立てられていることもあるのではないか。

委員 前回審査会の説明では、一部陸上でも廃棄物が埋め立てられる感じだったが。

事務局 前回審査会での模型等による説明は分かりやすさを主に考えて行ったことから、委員指摘のような印象を与えたかもしれないが、実際は陸上で廃棄物が埋め立てられることはない。
薄層散布船による海面埋立は、船の吃水関係から水深3mまでが限界である。その後の海面埋立は、陸上に道を作り、陸側から片押しにより海中に投入していくことになる。この場合も、廃棄物は水面すれすれまでしか埋め立てない。陸上からの片押しの際に、瞬間的には陸上部分に廃棄物が存在することはあるが、基本的には、廃棄物は海の中へ埋め立てるということである。

事務局 これについては、先日、広島県に確認している。五日市処分場は一部陸上埋立があったが、安全性をより向上させるため、出島処分場では海面下に埋め立てる方式に改めるとのことである。
この方式では埋め立てられる廃棄物量が五日市処分場での埋立方式と比較して減るので、広島県は埋め立てた廃棄物の圧縮による沈下を想定して、できるだけ埋立廃棄物量を減さないよう、水面下ぎりぎりまで埋め立てるよう考えている。

委員 薄層散布船によって、海中に廃棄物を散布するという方法は理解できるが、このようにして出来た地盤は、非常に軟らかく沈下しやすい。だから既に埋立が完了した箇所の上に2~3m土砂を載せて陸地を作り、この陸地から陸上片押しで埋め立てようとすると、軟弱地盤に対する技術的な工夫がいると考えられる。この埋立方法には不安がある。
実際にこの片押しによる埋立を行うには、技術者が以上の点を考えて行うと思うが、慎重にやって欲しい。工事費との兼ね合いもあるが、埋立完了箇所の片方ばかりに荷重を載せると、反対側が盛り上がる状況が生まれる。このような状況にならないよう、着実に施工してほしい。

会長 廃棄物の上に覆土を2.5m盛るとの説明を受けたが、その重量によって沈んだ分、さらに追加して土を入れるだろうから、覆土が結果として厚くなることによって懸念の点はある程度緩和される。しかし、その辺のことをきちんと広島県に指摘しておかなくてはいけないかなと思う。

委員 目的は、廃棄物を埋め立てることであり、表土を入れるのが目的ではないため、広島県はできるだけ埋め立てる廃棄物の量を多くしたいと思っている。だから、廃棄物を埋め立てた状態で、時間をおいて沈下させ、その上にまた廃棄物を埋め立てるという方法で、最後の表土はできるだけ少なくしようとするだろう。できるだけ、上に土を載せないで、下(埋立廃棄物)が縮む方法を考えるだろうから、先ほど言った点をしっかりやって欲しい。

事務局 準備書146頁を基に、廃棄物は平均水深まで埋め立てる計画であることを説明

委員 廃棄物を埋め立てる工法については、最終地盤が安定するような工法をとる必要があるが、これは、監視項目となるべきものであり、例えば、監視協議会の中で決めていくことでもあろう。最後に被せた土が平均水深より2~3m下でもいいかというと、広島県は税金を使って行う事業だから、おそらく、できるだけ廃棄物を多く埋めようとする。廃棄物ばかりで埋め立てようとすると無理があるだろうが、できるだけ平均水深まで廃棄物を埋めようと考えるだろう。

会長 そうすると、委員の指摘は、答申案の「4 環境保全措置」か「3 環境影響評価の項目並びに調査、予測及び評価の手法等」に意見としていれるべきか。

委員 答申案では、「4-(3)埋立地の表層を即時に土で覆う」、「4-(4)速やかに芝張りをする」、「3-(6)速やかに植栽を行う」となっているが、本事業は港湾全体の広大な造成計画の中の一部だから、「緑の基本計画」等との整合性を図るなど、行き当たりばったりではなく長期的な視野を持って行って欲しい。例えば、埋立地に植栽を行う際には、元宇品のような常緑広葉樹林がいいのではないか。

委員 港湾計画の埋立全体の話ではあるが、供用中の景観対策をどこかで要望できないか。

会長 答申案3-(6)の「人と自然の豊かなふれあい」へ、ランドスケープ的な配慮を入れることでどうか。

事務局 そのようにさせていただく。

会長 次に、答申案の「4 環境保全措置」について意見はないか。

委員 移動式上屋の必要性が、前回の審査会で指摘されていたが、今回の資料2の「委員意見取扱案12」に反映されていないのはどうしてか。

委員 移動式上屋は、廃棄物の飛散防止対策や景観対策になるので、提案させていただいた。その後、広島県や市で検討していただいたが、上屋型処分場はあるもののいずれも小規模なものであることが分かった。今回の埋立地は埋立面積18haと大規模であり、また、海面埋立なので地盤軟弱のため技術的に支柱が立てられないということが分かった。アイデアとしては出したが、今回のケースでは無理であると考えられる。
埋立地に上屋を設けることができない場合、廃棄物の飛散・流出のおそれがあるが、海中に薄層散布する間は問題ないと考えられる。また、陸上部で埋立作業を行う場合には、答申案の4-(1)の「廃棄物受入施設等を屋内型等とすること」、及び同4-(3)の「埋立終了後は直ちに覆土や芝張り等をして土壌の飛散を防ぐ」という環境保全措置を講じることで対応可能と考えられる。
これらのことから、私が提案した移動式上屋を必ずしも設けなくても、廃棄物の飛散に対しては、現在では対応可能と判断している。
移動式上屋が答申案に入っていないことについて、異論を申し上げる気持ちはない。

委員 廃棄物が水面下3mに達するまでの薄層散布船による埋立期間と、廃棄物が水面近くに達した後の陸上からの埋立期間との2つに分けて考えなくてはいけないが、いずれにせよ、薄層散布船やダンプトラックに積み込む施設が必要である。粉じん飛散防止のためには、これを上屋構造にする必要があり、これは答申案にも盛り込まれており、広島県も考えていると思う。
答申案の4-(1)に、「悪臭の発生を防止するため」とあるが、悪臭は、海中へ埋め立てる場合でも、消え難いものだから、悪臭のあるものは搬入させないということにしないといけない。

会長 悪臭は、五日市処分場では問題にならなかったのではないか。

事務局 搬入物は無機性のものであるが、悪臭は主観的なものでもあり、全く臭いの無いものだけ搬入させるということは、現実的に難しい。

委員 ミチゲーションとは、回避、代替、低減措置等を指すが、資料3の別途要望の下記1の「ミチゲーション」とは具体的に何を意味するのか。

事務局 「アマモの管理を適切に行う」との意味である。

委員 あいまいな言葉は使わない方がいいと思う。

会長 「ミチゲーション」という言葉を消していいですね。

事務局 適切な言葉に替えさせていただきたい。

委員 大竹市の山から、土砂をカバー付きコンベアーで搬送している例では、粉じんは飛散していないが、騒音の影響は結構ある。今回も、騒音の懸念があると思われるので、騒音を保全措置の項目として入れたらどうか。

会長 騒音を一言入れましょうか。例えば、「粉じん・悪臭・騒音の発生を防止する」とか。

事務局 承知した。

委員 前回の審査会で説明のあった模型は、答申案の環境保全措置を考慮したものなのか。ビニールシートのようなもので覆われた簡単な屋内型施設のように感じたが。

事務局 上屋は、廃棄物が搬入される五日市の受入施設と、そこから転送した廃棄物を出島処分場に受け入れる施設の両方にしっかりした構造のものを設置するよう計画している。

委員 答申案の1の「総論」では、「設置を検討するよう提案する」となっているが、「検討するよう」を削除したらどうか。そうしないと、協議会の設置があいまいなものになる。

会長 「設置を提案する」といったはっきりした表現に改める。

委員 答申案の4-(3)で「埋立作業が終了したら、すぐに覆土をして、表面散水をする」となっているが、できるだけ間を空けず、種子吹付け等を裸地が出るたびに繰り返しやってほしい。
多分、土を盛るよりも安価ではないか。答申案の4—(3)では、一度実行したらおしまいという印象を受けるし、現実に合わないという気がする。

委員 覆土はどこから持ってくるのか。木は切っても、山は切り崩してほしくない。付近の山で土砂が採取できる山は殆ど無いのではないか。

事務局 公共残土として出る土は、覆土用に使えるものも出る。大部分このような土を使い、最後覆土厚50cmを購入土を使用すると、広島県から聞いている。やみくもに、自然を破壊し、山土を切り出そうとしているのでない。

会長 他に、意見はありませんか。

委員 環境基本計画とアセス条例の関連はどうなっているのか。広域にわたる開発、具体的には西風新都などだが、アセス条例では一部の動物(オオタカ、ギフチョウ)の保全には限界があり、有効に機能していない。今の環境基本計画は、この目的をカバーできるものなのか。

事務局 環境基本計画は答申のまとめの最終段階に入っており、順調にいけば、10月の始めに、環境審議会から答申をもらう予定である。
アセス条例との関係ということだが、委員申し出の部分については、具体的な明文化は無く、一般的な表現になっていると記憶している。とはいえ、自然保護の観点から、種の保存、生態系の保存等について言及しており、環境基本計画に基づき、この下位計画において、具体的に考えてまいりたい。

委員 今からでも、市民の意見は受け付けてもらえるのか。
是非とも、こういった問題はマスタープランを作ってもらいたい。

事務局 委員の言われるとおりであるが、環境基本計画そのものは、最後のまとめに入っており、もし、ご意見を頂けるなら、下位に当たる実施計画を決める際にお願いしたい。

委員 アセス条例制定委員会でアセス条例を策定した時に、並行して地域として保全すべき場所の案を作った。各区のデータを集めて、区の中で、例えば景観として保全すべき場所、生物として保全すべき場所や問題点などは既にできており、環境基本計画に組み入れられていると思う。今、委員の言われた内容は、不満足ではあるが出来上がっている。

委員 実効性に疑問を感じている。

委員 それは、市の問題ですね。

会長 議論は出尽くしたようであるが、真剣な審議が行われ、大変感謝している。
本日の審議結果を踏まえ、答申を作成したいと思う。今後の答申策定作業については、私、会長に一任していただきたい。修正箇所等については、委員の方にお送りしながら答申を作成したい。
本案件の審議を通じて感じたことだが、環境問題は、私達の環境影響評価審査会だけの問題というものばかりではない。広島県の環境影響評価審査会や市の環境審議会などとの交流の場があるといいと思う。市の方で設定していただければありがたいと思う。

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