環境影響評価審査会開催結果(安佐南工場建替事業 第3回:平成18年10月30日)

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ページ番号1024015  更新日 2025年4月4日

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広島市環境影響評価条例に基づき、安佐南工場建替事業に係る環境影響評価準備書についての審査を行うため、広島市環境影響評価審査会を開催しました。

1 開催日時

平成18年10月30日(月曜日)10時00分~12時00分

2 開催場所

市役所本庁舎14階 第7会議室

3 出席者

1. 審査会委員(五十音順、敬称略)

天野實(会長)、安藤忠男、今岡務、於保幸正、下中奈美、関太郎、中川紀壽、中島正博、フンク・カロリン、水田国康、宮田賢二、矢野泉、吉國洋(副会長) 以上13名出席

2. 事業者

広島市環境局施設部 壱岐施設課長、吉田工務課長、福田専門員 他6名

3. 事務局

毛利環境アセスメント担当課長、坂本課長補佐 他3名

4. 傍聴者

2名

4 会議概要

  1. 審査会は公開で行いました。
  2. 事業者から環境影響評価準備書の概要について説明を受けた後、準備書について審議しました。

5 審議結果概要

  1. 環境影響評価準備書の内容等について、各委員から意見が出されました。
  2. 次回の会議は、11月下旬又は12月に開催することとなりました。

6 会議資料

  • 資料1 安佐南工場建替事業に係る環境影響評価準備書
  • 資料2 安佐南工場建替事業に係る環境影響評価準備書(要約書)
  • 資料3 環境影響を受ける範囲であると認められる地域の選定書
  • 資料4 ごみ焼却方式の概要

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審議結果

坂本課長補佐
ただいまから、平成18年度第4回環境影響評価審査会を開会いたします。
本日は、安佐南工場建替事業に係る環境影響評価準備書について審査いただくこととしております。
開会に当たり、環境局次長の亀井よりご挨拶申し上げます。

亀井環境局次長
委員の皆様方には、お忙しい中、ご出席いただき誠にありがとうございます。
本日は、本年度第4回目の審査会で、安佐南工場建替事業に係る環境影響評価準備書についてご審議いただきます。
本市では、平成16年7月に「ゼロ・エミッションシティ広島を目指す減量プログラム」を策定し、市民、事業者、行政が一体となってごみ減量プログラムを推進しているところですが、この事業は、減量、リサイクルした後に排出される一般廃棄物を適正処理するため、現在の安佐南工場を更新整備しようとするものです。
清掃工場の整備は、市民の関心も高く、また、市が行う事業ということでもありますので、慎重なご審査をお願いしたいと思います。
それでは、審議に先立ち、市長から諮問させていただきます。
(諮問書を天野会長に手交)

坂本課長補佐
それでは、これからの議事進行は天野会長にお願いいたします。

天野会長
みなさん、おはようございます。
ただいま、秋葉市長から、「安佐南工場建替事業に係る環境影響評価準備書」について、審査会の意見を求める諮問を受けました。委員の皆さんのご協力をよろしくお願いいたします。
それでは、まず初めに、本事業のこれまでの経緯について、事務局から説明してください。

毛利環境アセスメント担当課長
本事業の経緯についてご説明させていただきます。
本事業は、昭和58年から稼動している安佐南工場を、施設規模で日量200tから400tに建替え整備しようとするものです。
アセスの実施計画書は、昨年の6月に提出され、本審査会のご審議を経て、本年1月に実施計画書に対する市長意見を述べております。
その後、環境影響の調査、予測が行われ、本年9月11日に準備書が提出されて、9月15日から1か月間、公告、縦覧を行いました。
縦覧期間内に、環境影響を及ぼす範囲であると認められる地域の住民は、市長に対し、公聴会の開催を要望することができますが、公聴会開催の要望はありませんでした。
準備書に対する市民等からの意見書の提出期限は本日までとなっており、今後、その市民等の意見の概要とそれについての事業者の見解を記載した書類が、事業者から市長に提出されてから90日以内に、市長は、審査会のご意見をお聴きした上で、準備書について事業者に意見を述べることになります。
事業の経緯とアセスの手続きについては以上です。

会長
ありがとうございました。
本日の審査会には、事業者である環境局施設課からご出席いただいておりますので、引き続き、事業者から、環境影響評価準備書の内容について説明をお願いします。

事業者(福田専門員)
安佐南工場建替事業の準備書について、ご説明させていただきます。
〔以下、スライドにより環境影響評価準備書の概要を説明〕

会長
ありがとうございました。例えば、今の説明の最後の棒グラフで、7%と4%では確かに少し差はあるけれど、統計的には差はほとんどないのではないかと私たちは見るのですが、一般の人はそうは見ないこともあり得るので、図などはもう少しわかりやすくお作りになった方がいいのではないかと感じました。
さて、今の説明について、ご意見、ご質問があればお願いします。

関委員
基本的なところで、事業の目的のところに「可燃ごみについては今後も全量焼却体制を維持していく必要があり」と記述されていますが、例えば、廿日市市で実施されているRDF化について、広島市ではどのようにお考えでしょうか。

壱岐施設課長
広島市では、可燃ごみは基本的に焼却処理ということにしております。まず、可燃ごみを減量しましょうということで、紙ごみのようにリサイクル可能なものはリサイクルし、また、生ごみについては、どのような形でリサイクルできるか検討していますが、RDFについては、現在、特に検討しておりません。

関委員
その理由は経済的な問題ですか。何か他の理由でしょうか。

壱岐課長
RDFについて、いくつかの自治体で実施されていますが、全国的に広まってきたのは最近のことで、広島市として細かく検討はしていないので、こういう理由で導入しないというものはありません。将来的にはそういう選択肢もあるかと思いますが、いまのところ、広島市ではRDFについて深くは検討していないというのが実情です。

宮田委員
建替えの前後で、処理する廃棄物の内容にはどのような変化がありますか。

壱岐課長
建替え後には、事業系の廃プラスチックを新たに処理対象とします。それ以外は、建替えの前後で変わりません。

宮田委員
準備書で、薬品やスラグが搬入されるようになっていましたが、それらは現状でも入っているのですか。

吉田工務課長
薬品等搬入車両というのは、工場で使用する薬品を搬入する車両です。処理の過程で使用するもので、焼却ごみとして入れるものではありません。

宮田委員
運転に必要なもので、ごみではないのですね。2-24ページの表2.4.6-8のスラグ等というのはどういうことですか。

吉田課長
焼却灰を溶融してできたスラグ等を搬出する車両の台数が書いてあります。

水田委員
準備書の8章に他事業との複合影響について書かれていますが、動植物、生態系のところで取り上げられたハイタカやギフチョウについて見ると、これらの生物の生活は、この事業の事業予定地だけで完結しないのは明らかで、例えば、アイエス開発事業などが実施されると影響を受けるのは明らかです。しかし第8章では生物への影響が取り上げられていません。なぜ大気汚染の項目だけが取り上げられるのか、複合影響の考え方がわかりません。

福田専門員
複合影響を予測、評価する項目として、まず、安佐南工場がどういった環境影響を与えるかということから選定しています。7章までの結果で、安佐南工場が環境に影響を与えると考えるのは、大気、騒音、振動が主なものであり、悪臭や水質、土壌汚染、また、動植物、生態系について、安佐南工場の影響はほとんどないだろうと考え、安佐南工場ができることによって影響があるものについて複合影響を考えています。ですから、他の事業のみで環境影響があるものについては、今回の複合影響には挙げていないということです。

水田委員
ハイタカなどは行動範囲からいっても周辺を全部使っているわけですから、安佐南工場についても影響がないとはいえないと思います。その近隣が開発されると、それがまさに複合影響だと理解したのですが、そういう考え方はおかしいのでしょうか。

福田専門員
私どもとしては、工場が稼動することによって、動植物、生態系には影響が無いと考えており、今回、複合影響を予測、評価する項目からは外しております。当然、アイエスの開発が行われれば自然環境の破壊ということもあると思いますが、本事業を行うことによって起こるわけではないので、切り離して考えています。

水田委員
わかりました。私がいつも指摘することなのですが、この審査会の対象となるのは事業実施場所だけ、環境アセスメントの対象がその範囲だけということがいつもネックになっています。そのことはみなさんに理解しておいていただきたいと思います。西風新都全体を考えないと生物の問題はまっとうできないと思います。

矢野委員
7.4.1-3ページで、解体時に出る廃棄物の中に石綿成形板が8tありました。先ほどの説明では、解体工事の工程で主な汚染物質として想定されているのがダイオキシン類と一般粉じんであると理解しているのですが、解体工程、搬出作業、処理に関して、アスベスト汚染についてはどのような配慮がなされているのでしょうか。

吉田課長
アスベストについては昨年調査を実施し、その結果、問題となっている飛散性のアスベストはないという結果になっており、一方、Pタイルや天井材に使われている非飛散性のものは使用されていて、表7.4.1-4はそのことをいっています。
プラントの解体で主に問題になるのはダイオキシン類ということで詳しく書いていますが、併せて石綿関係についても飛散させないということで進めていくことになります。また、基準が厳しくなっていますので、もう一度調査が必要になるのではないかと思います。もし石綿があるということになると、建物の解体のところで別の作業が入ってくることになりますが、現時点では飛散性のアスベストは無いということなので、ここには記載しておりません。

中川委員
騒音のことをお伺します。7.1.2-52ページに環境保全措置として「道路舗装の補修や設置可能な場所への防音壁の設置などを検討します。」と書かれていて、あいまいな表現になっています。他の箇所では「低減します」、「抑えます」ときちんと書かれているところもあるのですが、「検討します」というのはどういうことを意味されているのでしょうか。評価結果のところには環境保全措置を踏まえて、問題はないという書き方をされているのですが、そこのところはいかがでしょうか。

福田専門員
ごみ収集車の運行に伴って騒音が高くなる地点については、環境保全措置として道路補修などをについて記載していますが、道路補修で実際に騒音の低減が可能なところかどうか、低騒音型の舗装にした方がいいのかどうか、その場所が防音壁の設置が可能な場所なのかどうか、そういったもので検討したいということで、どれを採用するかはわかりませんが、そういったものを採用して、対応したいと考えております。

中川委員
「検討する」という言葉には、検討して善処するということまで含まれているのですね。わかりました。
それから、例えば7.2.2-45ページの植物のところでは、環境保全措置として「低公害車両の導入を検討します」と書かれています。一方、7.4.2-7ページの温室効果ガスのところでは「低公害車の導入を促進します」と、より積極的に書かれています。項目によって表現が異なっていますが、これらも全て実施するという意味が込められていると理解していいのでしょうか。

福田専門員
積極的に導入したいと考えていますが、対象の車種に低公害車があるかどうかとか、いろいろな条件があり、それが導入可能なものなのか検討し、できるだけ導入したいと考えています。表現については統一します。

中川委員
いろいろとニュアンスが違いますので、難しいことなのかもしれませんが、「検討します」では、結果、やらないということもありえます。やはり、こういうところはきちんと統一して書いて欲しいと思います。

フンク委員
交通の問題に関係するのですが、外環状線はいつ頃開通する予定でしょうか。
もう一点、搬入車両について、トラックの種類によっても騒音や排気ガスが違うと思いますが、例えば、この施設に搬入するトラックの種類に関する指導は、基本的にできないのか、可能だけれども考えていないのか、検討しているのか、その点についてお答えください。

壱岐課長
外環状線については、各区域の開発事業者が開発に合わせて、外環状道路の下地を開発事業者の責任で整備し、そこに市がアスファルトを張ったり、その他の道路としての形をなすという西風新都整備のルールがあり、今は途中までしか完成しておりません。建替え予定地のすぐ南側にアイエス株式会社が開発許可を持っている善當寺の開発地区がありますが、そこは、現在、全く動いておらず、どうなるのかわかりません。そういう意味で、事業者が造成していく中で決まるものなので、市の方では、これがいつできるのかはわかりかねる状況です。
次に、ごみ収集車の種類ですが、紙くずのように臭いや汚水が出ないものについてはダンプ車もありますが、基本的にはパッカー車、いわゆる塵芥車になります。通常であれば、2t車と4t車、たまに大きなものもありますけれど、特に規制をするということではなく、一般に自動車メーカーがごみ収集車として売っている機種となっています。広島市の道路事情から言っても、2t、4tが主体になると考えられ、特に規制をかけることは考えていません。
焼却灰を工場から搬出するときには、効率上10tダンプを使うことが考えられますが、これは僅かな台数です。

宮田委員
焼却炉の形式として、ストーカ式とガス化溶融炉を検討されているようですが、どこが違うのか教えてください。

(資料4を配付)

吉田課長
ストーカ炉の方がこれまでずっと使ってきたもので、火格子によりごみを送るタイプです。灰溶融を付けたものが、現在の中工場の形で、ストーカ炉から出てくる灰を溶融炉に入れて溶融スラグにしています。
一方、ガス化溶融炉には3つのタイプがあります。そのうちシャフト炉は、溶鉱炉の技術から来たもので、ごみと一緒にコークスと石灰石を投入して、高温(1700℃)でガス化させるものです。
キルン方式は、低温(500℃)で、なおかつ酸素を供給しないで、回転キルンの中で蒸し焼きにしてガス化させるものです。熱分解させた熱分解ガスと炭化物を取り出し、それを一緒に溶融炉で燃やして、灰が溶融されてスラグになるというものです。
流動床式は、いままでも流動床式の焼却炉がありましたが、それを使ってガス化する部分と、下水汚泥の溶融などに使っている旋回溶融炉を組み合わせたものです。流動床部分で低温(600℃)で撹拌、加熱することによりごみをガス化させ、それを溶融炉で燃やすというものです。
ストーカ炉+灰溶融炉の形のものは、焼却と溶融が一つの系ではないので、焼却だけにして、焼却灰を出すことができますが、ガス化溶融炉は一つの系の中で溶融まで持っていくので、途中で灰として出すことはできません。

宮田委員
排ガスの面で、違いはあるのでしょうか。

吉田課長
シャフト炉の場合はコークスを中に入れるため、その分、排ガスが多くなりCO2の点からは少し不利になると思います。排ガス中の有害物質については、どの方式も炉の後に排ガス処理装置を設けるので、ほとんど変わりません。
宮田委員
2-27ページに公害防止に係る計画目標値が示されていますが、これを目標として排出するということでしょうか。また、拡散計算等を行う場合の負荷はこの計画目標値を用いたということでよろしいですか。

福田専門員
この数値は、設計にあたっての最大値と考えていただければいいと思います。この基準を満足する焼却工場を作るという意味で、実際の排出量はこれよりもかなり低くなると考えています。なお、予測は、最大値となる計画目標値を使って計算を行っています。

宮田委員
2-21ページに湿り排ガス量、乾き排ガス量が示されていますが、これはどのような根拠に基づいて設定されたのですか。

吉田課長
排ガス量については、他都市の実績と本市の工場の実績から設定しています。なお、これは若干、多めの数字になっています。

宮田委員
吐出速度が29.1m/sになっていますが、こんな台風並みの速さで吹き出すのですか。

吉田課長
先ほど申し上げましたように、最大でこの程度の速度になるということです。
一般的にこの程度の数値を他の焼却工場でも使っておりますので、それを用いております。

吉國副会長
準備書を見ると、ほとんど環境基準値内に収まっているものと受け止めていますが、今回の評価は、焼却工場を新設するときと同じ手法でされたのでしょうか。
何を聞いているのかというと、出てきた数値は、新設のときには出された結果を信頼するしかないのですが、この事業は、200tを400tに建替えるもので、200tで何十年か実績があるわけです。ですから、予測手法がどの程度信頼できるかということを、現況に合わせてチェックできるはずです。それをされていると、予測結果にどの程度信頼性があるのかわかるわけです。そういうことが、今回行われていますか。

福田専門員
大気質については、排出濃度がかなり低く、環境の濃度とほとんど変わらないことから、現況と新しい施設との比較はできていません。ただし、大気質については、昭和54年から調査を行っており、その結果、200t炉があってもほとんど変わっていないという状況です。ですから、大気質については、400tの清掃工場を作っても現状と同程度となり、環境は守られると判断しております。
また、土壌についても、過去から調査を行っており、その結果を見ても影響はないので、建替えによっても環境影響はないものと判断しております。

副会長
いまお尋ねしたのは、この度の予測には、地形や地盤の状況、大気の状況といった、地域的な要素をデータとして入れて予測されたわけですね。ですから、そのモデルで200tの場合を予測してみて、現況とどの程度合ったかということを確かめられていれば、400tの時の結果の信頼性が相当増すわけです。それがされているかどうかということなのです。
新設であれば、初めて予測ですから、どの程度合うのか分からない面が多いのですが、この度の予測ではチェックが可能と思いますが、いかがでしょうか。

於保委員
大気のシミュレーションをするときに、シミュレーションはどのような場合にもできるのですが、現在の状況を基礎にしたシミュレーションの境界条件を作っているかというご質問だと思いますが、いかがですか。

福田専門員
今回の手法を用いて、200tの場合のシミュレーションはやっています。健康と保健の項目で、今の200t炉の影響があるかないかを調べる必要があったので、200t炉についても現況の予測方法で大気予測を行っております。それが実際の濃度として確かめられるかというと、濃度があまりにも低すぎて測れる状態ではありません。

副会長
予測結果よりも現況は低かった。測れない状態だったということですね。そういっていただければ、今回の予測も多めに出ているのだから、実際はまだ小さいはずで、これが最大ということであればそれでもいいと思います。そういっていただければ信頼性が増すということになります。

中島委員
準備書について、関係住民の方からどんな意見が出されているか、代表的なものをお聞かせください。

福田専門員
本日が意見書の締め切りとなっており、まだ取りまとめておりませんので、申し訳ありませんが、お答えできません。なお、説明会では、先ほどの外環状線の問題や道路の騒音の問題が意見として出されております。

中島委員
景観のところで、建物については景観に配慮したデザイン、色彩としますと書かれていますが、地域住民の意見を聞かれる予定なのでしょうか。おそらく聞いたほうがいいと思います。役所の考えるデザインと地域住民の好むデザインにギャップがあるかもしれません。

壱岐課長
プラントをどこのメーカーにするか、敷地内にどのようにレイアウトするか、また焼却以外にどのような機能を持たせるのかなどについては、これから決めていくことになりますので、そういう検討をする中で地元の皆さんの意見をどの程度反映できるか。どうしても敷地のスペースの問題がありますから、どこまで反映できるかということはありますけれど、地元の皆さんのご意見を参考にしながら決めることになると思います。

安藤委員
実は、私は昭和50年代に現在の工場のアセスメントに関わり、土壌を担当しました。当時の状況を説明しますと、大気については三次元ボックスモデルでシミュレーションをしております。ただ、ダイオキシン類等、当時は問題にならなかったものが現在は問題になっているというような状況の変化もありますし、シミュレーションの手法そのものが、コンピュータの性能やシステムアナリシス手法の向上によって大幅に変わったので、精度そのものには違いがありますが、大気質の予測結果と実際の状況を比較することは可能だと思います。
私が担当した土壌について言いますと、アセスメント調査時に、地域住民の健康上の不安、癌患者が多くなるのではないかというような不安が住民の方から出たように思います。それについては、先ほど説明があったように、他地域と比較して有意な差はないということで、現工場が周辺住民の健康に悪い影響を与えたという証拠はなかったのではないかと思います。
それから、ダイオキシン類についていえば、工場立地点及び周辺でダイオキシン類による汚染は認められておらず、20年間の操業の結果、現工場が周辺の環境あるいは住民の健康等に悪影響を及ぼしてこなかったということははっきりしていると思います。今回、処理量は倍増しますが、環境負荷の量を現在の工場以下に抑えることができれば、実際にはそれ以下に抑えようとしているのですが、今後ともある程度安心できるという予測を、私自身は持っています。

副会長
私が申し上げたのは、20年前のモデルではなくて、この評価で行われたシミュレーションモデルそのものを使って200tの場合を流すとどういう結果が出るか。そして、それが現況とよく一致しているかということが確かめられていれば、400tでシミュレーションした時の信頼性が良くなるのではないかということです。基礎データは同じで、負荷量が違うだけなのでそんなに労力はかからないと思います。それがチェックされていて、シミュレーションモデルの信頼性はこの程度ありますといっていただけるとすごく安心できるわけです。

宮田委員
7.1.1-68ページからの年平均寄与濃度というのはわかるのですが、その後に出ている図は、先ほどの説明では6月12日のデータを使った事例解析なのですね。しかし、準備書にはそういうことが書いてありません。最初にこれを見て、いったい何だろうと疑問に思っていて、先ほどの説明でやっとわかりました。西南西の風なのに、汚染が南寄りに分布しているのもなぜかと思ったのですが、先ほどの説明で風が回っているという説明がありました。とにかく、この図の説明として、事例解析だということを書いておかないと、一般的にこのように分布するのかと思ってしまうと思います。

福田専門員
先ほど事例解析といいましたのは、風向きによっては、地上の風向と上空とは違うのではないかというご指摘があることを考えて、こういった流れということで、一般的な事例をお示ししました。7.1.1-67ページに予測結果を載せていますが、予測については年平均で表した長期的予測と、高濃度出現時で表す短期的予測があります。そのうち、短期的予測について先ほど説明させていただいたのですが、高濃度が出る条件として、一般高濃度の場合と逆転層が出現した場合の風の動きを想定して、最大着地地点がどこになるかを示しています。それを実際に図示した場合にどうなるかということで、7.1.1-73ページ以降に高濃度が出る条件の場合についてどこに出るかということを掲載しております。

安藤委員
私も同じ疑問を持ちました。年間を通じた風の流れが北向きで、最大着地地点と予測される場所も北側に位置していて、なぜかと思いましたが、先ほどのスライドを用いた説明で、排ガスの流れが北側に向かっていると説明されていたのでそういうケースもあるのですが、これは説明の時に少し注意をする必要があると思います。
それと、最大着地地点について、これは予測された区域の中で一番濃度の高い地点という理解なのか、それともその場所における1年間平均の着地濃度が一番高くなる地点と理解すればいいのか。要するに長期的に累積として見るのか、それとも短期的な、一時的な最高濃度というふうにとらえるのか、どちらだったのかわからなくなったのですが。

福田専門員
7.1.1-66ページに長期的予測の最大着地濃度地点ということで、煙突から西へ0.8km、北へ1.3kmの地点と記載しています。図の方にも年平均寄与濃度と書いており、年平均の濃度が最大となる地点が岳山の中腹であることを表しております。7.1.1-73ページ以降は1時間値で表しております。こちらについては、一般高濃度あるいは逆転層ができた場合に1時間値の最大値がどうなったかと、そのような条件であれば最大値はいくらになるかということで表しております。

宮田委員
短期的というのは、年間に何回くらい出現するのですか。1回だけでもそれを書くのですか。

福田専門員
1回でも出現すればそれを書かなくてはいけないのですが、短期的な気象条件が年間何回程度あるかということは、手元に資料がないのですぐにはわかりません。

今岡委員
バックグラウンド濃度の中には、現在の安佐南工場からの排出負荷も含まれているものと考えてよろしいですか。

福田専門員
含まれているとお考えください。

今岡委員
そのシミュレーション結果はあるのですか。

福田専門員
シミュレーション結果はありますが、今回の場合、現工場の影響が含まれている伴小学校のデータを(バックグラウンド濃度として)使っています。

今岡委員
現在の工場の寄与濃度も、7.1.1-66ページや7.1.1-67ページに書いてあるダイオキシン類等の寄与濃度と同等と考えてよろしいですか。

福田専門員
現在の工場の寄与濃度はバックグラウンドの中に入っているとお考えください。

今岡委員
オーダー的にそれがほとんど変わらないかということをお尋ねしているのですが。
表7.1.1-55(1)でダイオキシン類のバックグラウンドが0.13、寄与濃度が0.0020となっていますが、現在の工場の寄与濃度も0.0020位ですかということなのですが。

福田専門員
ダイオキシン類については、これより高くなっていると思いますが、他の物質についてはおおむねこの程度かこれよりも高い値です。

今岡委員
そうすると、シミュレーションの中で、0.13から0.002を差し引いた残りの寄与は何ですか。ダイオキシン類の発生源は何ですか。シミュレーションモデルというと、何らかの発生源が無いと数字は出てこないと思うのですが、いかがですか。

福田専門員
バックグラウンド濃度は、工場周辺5地点の年4回の結果を平均して用いています。バックグラウンド濃度は何が原因かということまでは調査を行っておりません。

於保委員
解体工事の計画について、おそらくこういう工事の実績がすでにたくさんあると思いますので、それを踏まえて計画されていると思うのですが、実績がどの程度あって、ダイオキシン類や他の物質が外に漏れない、排水についても大丈夫だという実績があるのかどうかお聞かせください。

吉田課長
他都市等で既にかなりの解体工事が行われています。広島市でも、昨年、中工場の煙突解体工事を実施しました。その時のことも参考にしておりまして、支障のないようにできると考えております。

福田専門員
補足させていただきます。7.1.1-62ページに他都市の解体事例を載せております。この事例はかなり古く、ダイオキシン類の指針ができる前の作業ですが、解体作業中の粉じんとダイオキシン類の濃度はこのような結果になっております。この工事を元に国が指針を作ったと聞いております。

会長
いろいろご意見がございましたが、事務局は議事録を取りまとめて各委員に送ってください。
委員の皆さまは、追加の質問などがあれば書面で提出してください。
それでは、事務局から次回の予定をお願いします。

毛利課長
次回の予定ですが、市民意見とその意見に対する事業者見解がいつ提出されるかにもよるのですが、次回は11月末から遅くとも年内にはもう1回開催させていただきたいと思っております。具体的な日程は、皆さまのご予定を確認させていただいた上で、改めてご連絡させていただきますのでよろしくお願いします。

会長
それでは本日の会議はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。

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