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環境影響評価審査会開催結果(玖谷埋立地拡張整備事業 第4回:平成18年7月7日)

ページ番号:0000013648 更新日:2019年10月21日更新 印刷ページ表示

 広島市環境影響評価条例に基づき、玖谷埋立地拡張整備事業に係る環境影響評価準備書についての審議を行うため、広島市環境影響評価審査会を開催しました。

1 開催日時 平成18年7月7日(金曜日) 午前10時から午前11時40分
2 開催場所 市役所本庁舎14階 東会議室
3 出席者
 1. 審査会委員(五十音順、敬称略)
   天野 實(会長)、安藤忠男、今岡 務、於保幸正、関 太郎、中島正博、
   深田成子、水田国康、矢野 泉、吉國 洋(副会長) 以上10名出席
 2. 事業者
   環境局施設部施設課 山水主任技師
 3. 事務局
   亀井環境局次長、毛利環境アセスメント担当課長、坂本課長補佐 他3名
 4. 傍聴者
   なし
4 会議概要
 1. 審査会は公開で行いました。
 2. 前回に引き続き、環境影響評価準備書について審議しました。
5 審議結果概要
 1. 環境影響評価準備書の内容について、各委員から意見が出されました。
 2. 2回の審議で出された意見に基づき、答申案を作成することになりました。
 3. 次回の審査会は、7月31日(月曜日)の午後2時から開催することになりました。
6 会議資料
 ・資料 玖谷埋立地拡張整備事業に係る準備書への意見等について
 ・参考資料 玖谷埋立地拡張整備事業環境影響評価準備書に係る意見の概要及び事業者見解
 ・参考資料 リスク低減を考慮した表面遮水工構造の一例

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審議結果

坂本課長補佐
 ただいまから、平成18年度第2回環境影響評価審査会を開会いたします。
本日は、4月28日に現地調査並びに1回目のご審議をいただいた玖谷埋立地拡張整備事業に係る環境影響評価準備書について、2回目のご審査をいただくこととしております。
 それでは、これからの議事進行は天野会長にお願いいたします。

天野会長
 おはようございます。それではまず、事務局から資料を説明してください。

毛利環境アセスメント担当課長
 それでは、まず、会議資料についてご説明いたします。
 資料では、4月28日の1回目の審査会でいただいたご意見と、会議に欠席された委員を対象に実施した追加の現地調査、さらに、会議の後に文書でいただいたご意見等について、ご質問とご意見に分けて整理しております。
また、ご質問については、事業者からの回答を付けております。

〔以下、資料について説明〕

 続いて、参考資料についてご説明させていただきます。
 玖谷埋立地拡張整備事業に係る環境影響評価準備書については、3月1日から公告、縦覧を行い、準備書について2件の市民意見が提出され、意見の概要とそれに対する事業者の見解を示した書類が6月2日に市長に提出されました。
その書類を参考資料としてお配りしておりますので、ご審議の参考とされてください。
 資料の説明は以上です。

会長
 ありがとうございました。ただいま事務局から資料の説明がありましたが、まずこの内容について審議し、その後に、それ以外のご意見をいただきたいと思います。
 まず、交通の問題について、中島委員からご説明いただけますか。

中島委員
 一般的に、法定速度の問題を守っている車はいませんから、環境保全措置として「法定速度の厳守」と書くということは、結果的に実施されないことを書くことになり、間違っていると思います。

会長
 おっしゃるとおりだと思うのですが、どのように書くのがよいと思われますか。

中島委員
 書くのであれば、それが嘘にならないよう、法定速度が守られるような確実な対策をとる必要があると思います。それができないのであれば、法定速度の厳守とは書かないということだと思います。
 法定速度の厳守を書かなければ環境の保全ができないということであれば、書かなければいけないので、どうやって実効力を持たせるかを考えなければいけないと思います。
 結果的に嘘になることをアセス図書に書くのは間違っていると思うのです。
 過去、高速4号線のアセスメントを審査した時に、制限速度時速60kmで予測して環境基準を何とか達成できるということでしたが、完成後、時速60kmで走っている車はいませんし、審査のときにも時速60kmの車はいないとわかっていて認めたということは、今思うと間違いだったと思います。そういうことを繰り返したくないので、あえて文書を提出させていただきました。

会長
 難しい問題ですね。法定速度を守らせることは、おっしゃるとおりでなかなか難しい。他の方でも、何かいいアイデアはありませんか。

関委員
 これは市が作る文書なので、やはり、書いておかなくてはいけないのではないでしょうか。

中島委員
 結果的に実効性がなく厳守されないのに、「厳守を徹底します」と書くのは間違っていると思います。

会長
 確かに不可能に近いですね。

中島委員
 確かに不可能に近いのです。不可能に近いことを徹底すると書くのは、わかっていながら嘘をつくということになるので、そういうことをしてはいけないと思います。

安藤委員
 私は、資料に記してあるように、環境保全措置としてはこの記述に違和感があったので発言したのですが、この部分は工事車両や廃棄物搬入車両について述べていて、一般車両について書いているわけではないので、もう少し具体的な記述を加えて、結果として関係車両について、法定速度の厳守、急発進急停止の回避が行われるようにすればいいと思います。
 ただ、私個人としては、たとえそうだとしても、この地域の環境を保全するために交通ルールを守りなさいということには違和感を持っています。

矢野委員
 もう少し具体的に書けることはないのでしょうか。例えば、玖谷の搬入車両だけでも排気量の規制をするなど、環境をこれ以上悪化させないようにするために搬入車両について具体的に採れる措置を書くことはできないでしょうか。

安藤委員
 交通ルールを守らせるために、何か具体的な対策は考えておられるのでしょうか。

担当課長
 矢野委員がおっしゃられたように、搬入車両そのものを小さくするということは効率面などでなかなか難しいと思います。
 資料には記載しておりませんが、現在でも職員が搬入路で定期的に速度等のチェックを行っています。
県道177号は一般車両がかなり増えておりますので、将来、影響が大きくなるのではないかというご懸念があれば、法による規制や市の指導などについても、事業者としてはいくらか考えを持っているようですので、評価書で、もう少し具体的に書いてもらおうかと思っております。そういうご意見を審査会からいただければいいかと思います。

亀井環境局次長
 補足しますと、玖谷に入る廃棄物の運搬車両は基本的に2種類あって、1つは広島市の直営車両、もう1つは市が許可した業者の車両です。個人も持ち込みは可能ですが、日に数台程度です。どこまで徹底できるかというのはあるのですが、いずれも広島市がコントロールしている車ですので、指導を徹底するという意味ではやりやすいと考えております。

吉國副会長
 現在、環境基準に抵触するような状態なのですか。

担当課長
 県道177号の騒音の現況と予測については、準備書の7-2-16ページに記載しておりますが、昼間の環境基準70dBに対し、現況、予測とも71dBということになっています。

副会長
 その主たる原因は搬入車両ですか。

担当課長
 車両の増加傾向を見ると、一般車両の方が多くなっています。

副会長
 一般車両についてはここで議論できないので、搬入車に法定速度を守らせると書いておけばいいと思います。

次長
 玖谷周辺に限らず、広島市内どこでもそういった状況ではあります。市内の道路沿線は騒音の環境基準を超えているところが多くあります。

副会長
 搬入車については、指示することができるのでしょう。

次長
 どこまで徹底できるかということはありますが、徹底するよう、指導はいたします。

水田委員
 そうであれば、このような記述でいいのではないでしょうか。私は、説明を聞くまで、一般車両による市民の搬入が多いのかと思っていて、それを規制するのは難しいと思っていたのですが、業者や市の車両は指導するということでいいのではないでしょうか。

会長
 いま、皆さんがおっしゃられたようなことを書き込むということで、法定速度の問題については、このくらいでよろしいでしょうか。

中島委員
 私は、運転手は指導を守らないと思っています。速度制限装置を付けるなど、強硬なことはできないでしょうか。

次長
 それぞれの車に速度制限装置を付けさせるというのは、現実的には難しいと思います。あまりに悪質な車両があれば、許可権者として厳しく指導することになると思います。

今岡委員
 準備書P7-2-36の予測は法定速度で計算されたものですが、現況の騒音の測定値は実走行速度でのものなので、法定速度だけでなく、実態速度でのシミュレーションをしてみて、どの程度違うのかを見ることができると思います。法定速度を用いた計算結果は、St.3では現況、予測とも71dBになっていますが、実態速度での予測結果を示しておけば法定速度の厳守という環境配慮の取り組みの意味がもう少し強調できると思います。その辺を含めて考えていただけたらと思います。

会長
 問題となった大型車と一般の小型車の台数の推移は、準備書P8-1-2に示されています。これを見ると、小型車がかなり増えていて、大型車は平成9年からあまり変わらない状況です。これも参考にしてください。他に、法定速度の件でご意見のある方はいらっしゃいませんか。
 それでは次に地下水の件について、吉國副会長から説明をお願いします。

副会長
 私の意見は2つあります。まず一点目は、要約書P35の浸出水の漏出の予測結果に書いてあることです。
 要約書P34に地下水の勾配の図が示されて、全て埋立地の方向に流れており、既存の埋立地に入れば他に流れ出ることはないから大丈夫と書いてあるのですが、一つ一つが独立したアセスをするのであれば、既存の埋立地ではどうなるのかを書いてもらわないといけないのではないか。そこへ入れば大丈夫と言ってしまえば終わりという話でもないのではないかと思います。
 また、水位の断面図に花崗斑岩が示されていますが、花崗斑岩は岩脈を通して出てきたものが固まったもので、割れ目が多いとされていて横向きの水の道になりやすい。それが平面図の中で横に伸びる形で示されています。その部分を横断して水が流れているので他に水が流れることはないと書かれていますが、小川や谷を水が横断して流れるようになった時に、小川が元来持っていた流れの方向に水が流れないという保証はないので、これはなんとも言えません。実際には3本ボーリングを行って、その結果で花崗斑岩に水は入っていない、ここからよそに漏れていないと言われているのですが、これはなんとも言えないということです。水が断面図で切った方向に流れているかどうかということは、なんとも言えないので、要約書P35の予測結果1)、2)に書いてあることは簡単には言えないのではないかということです。
 もう一つは、そのような地下水の流れがあるところに、シートを敷いて埋め立てをした時、地下水の状況がどうなるのかは分からないのに、外へ流れ出すような地下水にはならないと書いてありますが、それについてもこの調査結果からはなんとも言えない。もう少しその辺りを厳密に考えてほしい。底のシートから漏れても既存の埋立地に入るので、最終的に一番下の末端で吸い上げるから大丈夫ですと言われている印象があるので、どうもそれはという感じに思っています。もう少し全体的なことを書いてほしいと申し上げたのです。

会長
 最後の末端で見るというのはA-1の井戸のことですか。

副会長
 はい。全部そこへ集まり検知するから、この領域から逃げることはないという話ですね。それだけでは、ああそうですかとは言いにくいところがあります。

会長
 新しく資料として出されたものだと、これらのボーリング位置できちんと見てくれたらいいということでしょうか。

副会長
 それでもまだ足りません。ここへ全部が流れてきているという保証はありませんから。環境保全措置は要約書P35に書かれていることしかないと思うのですが、その前を読むと、どちらかというと、漏れても大丈夫ですと書かれているような印象を受けることがまずいのではないかということです。漏れないようにしますと言ってもらった方がいいと思います。
 環境保全措置に書かれていることと、予測結果で書かれていることが違うように受け止められることが問題で、「こういう措置を採るけれど、漏れても大丈夫」という言葉が省略されているように思えます。

於保委員
 水位のコンターを見ると、逆にデータが疑わしい感じがします。アーティフィシャル(作り物)な感じがします。水位の線に高さが書いてありますが、地形図の高度が書いてありません。そこで断面図で一つずつチェックすると、水位の高いところと低いところが当然あるのですが、少し盛ったようなところでは、当然、地下水位が低いのです。地形図を見ると、大局的にはこういう流れ方をするのは確かだと思うのですが、この図が出てきたために、本当に大丈夫なのかという変な印象を受けます。
 花崗斑岩の付近は、写真で見ると、それほど破砕されている感じではありません。ここで大事なのは断層Bで水が逆方向に流れないかどうかということだけだと私は思っていて、その時にB-1やB-2の断面の水位を見ると、一応、中のほうへ流れているということで納得していました。おそらく岩盤のところの水位はそんなに無いというか、ほとんど地下水は流れていなくて、表面に集まって来た水が盛土のようなところで地下水に入っていくような状況だろうと思うので、大きくはこの傾向は変わらないと思うのですが、逆にデータが出てきたため、余計に考えさせられます。
 資料別紙の図の中に、それぞれの水位の高さ、例えばC-3は約268mで、地下水位が270mになっているのですが、実際は、ほとんど地下水はないですね。ですから整合性を一つずつチェックしないと、逆にこれで足を引っ張られることになるのではないかという気がします。

副会長
 地下水が他の所へ行っているかどうかは、この位のボーリングではわからないと思います。ですから、一応ボーリング調査をやりました。大丈夫だと思っていますということを書いてあればいいので、絶対大丈夫です、保証しますというわけにはいかないと思います。

会長
 一般市民のサイエンス(科学)に対する考え方も、100%絶対大丈夫とは思わないようになりつつあると思います。

副会長
 どれだけ漏れるかという量の問題もありますが、地域外に出ていく可能性は全く無いと言い切れる調査結果ではないと思います。これだけのデータではなんとも言えないと思います。ですから、今のところ、そう判断してやっている。しかし、対策の方で、漏れたら詳細調査を行い対策を施しますと書いてあるので、それはそれでいいと思います。
 漏れても大丈夫という印象は、ちょっと変えてもらいたいと思います。

安藤委員
 遮水シートが絶対安全という保証はなく、シートが破れて漏れるということがあり得る。そのため、玖谷の場合には、地下水を観測する井戸を掘り、その水質の変化で漏出を検出して必要な対策を採るという形になっています。シートが絶対に安全では無いという前提に立てば、地下水の汚染まで進んでしまうと、なかなか対策が難しいと思います。私が関わっている賀茂環境センターの場合には、遮水シートの下にあらかじめ集水管を設置しておいて、さらに集水管はどこの部分から漏れたらどの管に入るかが分かっているので、集水管の水質をチェックすることによってどの部分に漏れがあったのか、無いのかということが検出できる形になっています。玖谷の場合、どのようになるかはわからないのですが、できれば遮水シートの下に同様のモニタリングの仕組みを作っておけばいいと思います。最初に出てくるのは溶解性の塩類ですから、調べるのはEC(電気伝導度)だけでいいのです。それ以外の重金属類やダイオキシン類は相当時間が経って出てくるので、十分対応できます。ECの変化が無い限り、漏出はまず考えられず、安全であるという保証を与えられるわけです。汚染が地下水までいってしまうと、どこまで広がっているか実際のところ分からないので、汚染を回収するのはほとんど不可能です。何かその辺の工夫は必要かと思います。

担当課長
 地下水の集排水管の構造については、準備書P2-1-4の図の左下に非常に簡単に書いてあります。遮水シートが破損した場合の検出システムについては、市民意見も出されており、評価書の段階ではもう少し分かりやすくさせたいと思います。

坂本課長補佐
 参考資料P4の事業者見解の2に、遮水シートの機能が維持されていることを確認するため、電気的検知法などによる遮水機能評価システムを導入すると記されています。

今岡委員
 準備書P2-1-8の埋立方法の記述がサンドイッチ工法だけですが、先ほどの図面を見ると、焼却灰は別に埋め立てると考えてよいのでしょうか。

担当課長
 準備書P7-6-10の図の右下に現在の焼却灰区があるのですが、こちらを、まず嵩上げするということになっております。
 拡張後は、二重シートの構造となる部分に、焼却灰を入れていくということです。

今岡委員
 リスクが高いのは焼却灰なので、もしされるのであれば、区画埋立の話をきちんと書いて、さらに、産廃の搬入量予測ができていれば、それらに関する区画埋立のことも書くべきだと思います。埋立物を管理することによって、浸出水等による地下水汚染のリスクをずいぶん下げることができると思います。
 次に、準備書P2-1-7の表2-3.4 受入れる廃棄物の種類で、不燃ごみとして陶磁器類と焼却灰等と記してあるのですが、焼却灰を不燃ごみに入れるのは違和感があります。これは、不燃ごみと焼却灰に分けた方がいいと思います。それから廃石膏ボードも、重金属が検出された例や、硫化水素の発生といった例があり、そのまま埋め立てた場合には若干問題がありますので、区画埋立を行うなどの配慮があれば、地下水汚染のリスクも下げられると思います。

会長
 焼却灰区は準備書P7-6-10の右下の図にあるけれども、平面図で見るとどこに設置するのですか。新しく作るところに焼却灰区を作るわけではなく、もう既にできているのでしょう。

次長
 現在の焼却灰区は、平面図でいうと、大きな埋立区域の右下にある、断面5と記してある部分です。拡張をした場合は、拡張埋立区域に焼却灰を埋めます。拡張区域の右上の今まで埋めていた区画については、焼却灰は埋めません。

 (追加資料を配付)

担当課長
 追加資料を配付させていただきましたが、これには、遮水シートを敷設する場合の方法を示しております。今回の場合は、一番下の図の、二重シートのものを採用します。図をご覧いただきますと、上から順に、まず廃棄物があり、その下の浸出水の集排水管で浸出水を集めて浸出水調整池まで持っていきます。そして保護土があり、保護マットがあり、その間に遮水シートと浸出水の漏出を検知する電極があります。その下に保護土と同様の中間層があって、その下をもう一つ同じような構造にして、また電極を設置する。一番下には地下水などを集めて流す排水管があるという構造で、断面図で見るとこういうイメージになります。評価書には、できるだけ具体的なわかりやすい図を入れてもらおうかと考えております。

安藤委員
 これは全国都市清掃会議で提案されたもので、現在の技術としては、素早く検知する、漏出を防ぐという意味では一番いい方法だと思います。

会長
 参考資料の地下水汚染に関する事業者見解で、6本の地下水モニタリングの井戸を設置すると書いてあるから、この6本をどこに設置するかという平面図があれば、その6本で全部カバーできるということが分かって、非常に安心という感じがします。それでいいですね。

安藤委員
 焼却灰を埋める場所の遮水シートの下に集排水管があって、そこから漏れている可能性があるかないかが分かるようなシステムになっているかということなのですが。

事業者(山水主任技師)
 地下集排水管の観測については、準備書には示しておりませんが、実施設計の後に図面をお示しすることは可能です。考え方としては、地下集排水管の水質についてもECや塩化物イオンをモニタリングし、シートを破って地下水に出てきていないかを継続して調査する計画です。

安藤委員
 現地で見て、拡張区域のところに竪穴を掘り、集水するシステムだと思ったのですが、それでいいですか。

事業者
 拡張部の観測用の井戸は、ボーリングした井戸を使用する計画ですが、地下の集排水管のモニタリングについては、拡張のポケット部に、まず地下の集排水管の設備をし、その上に遮水シートを二重に敷設して、その上に浸出水の集排水管を作るのですが、その工事の際に、地下の集排水管にモニタリング口を設けようということなのですが、具体的な場所までは、現在のところ決まっていないということです。

安藤委員
 ECは連続的に自動測定可能なので、ぜひ、全域をカバーできるような管の配置を考えていただき、さらに、それを混ぜずに、それぞれ別個に出てきて監視できる形にしておけば、漏出があるかないかのことも含めて、かなり安全に管理が可能だと思いますので、ぜひそういう構造にしていただきたいと思います。

関委員
 地下水のことではないのですが、昨年の9月に太田川流域で大きな水害がありました。玖谷川では土砂崩壊や異常出水といったような事態はなかったのですか。

事業者
 特に認められていません。

安藤委員
 言葉の問題ですが、シートの下で集めた水をここでは地下水と呼ばれているのでしょうか。一般的に地下水というと地下の土層中にあるものかと思うのですが、その地下水とシートの下を流れている水の名称を使い分けたほうが、混乱がなくていいと思います。ぜひその表現についても考えてほしいと思います。
 市民意見に対する事業者見解でも地下水という表現をとっているので、これも誤解を招く可能性があると思います。

会長
 安藤委員、具体的にはどのようにすればいいのでしょうか。分けられますか。

安藤委員
 賀茂環境センターの場合には、6区画になっていて、6本の管として全部集まってきます。その1本ずつをチェックすると、どのECが高いか分かりますので、どこの区域で漏れている可能性があるかが分かるわけです。それは自動化が可能なので安心感が強いものです。

会長
 今のお話は、平面的に場所を区別するということですね。私が聞いたのは、本当の地下水と浸出したものは、管を作ってもその2つを区別できないのではないかと思うのですが、いかがですか。それらは区別できないから地下集排水と書いてあるのではないですか。遠くから来た地下水とシートから漏れ出てきた水とは区別できないのではないですか。

安藤委員
 シートの下は、本来、汚染が進んでいないので、ここを流れている水はきれいな水なのです。けれども、万一、シートに穴が開いて、埋立層を通った浸出水がここに流れ込んでくると、その兆候が電気伝導度にすぐ現れてきます。シートの下なので、地下水といえば地下水なのかなとも思うのですが、その水と地下水脈を流れている水とはちょっと違うので、分けたほうがいいというのが私の意見です。

副会長
 安藤委員がおっしゃられているのは、シートのすぐ下を流れる水と、もっと深いところを流れる水ということですね。

事業者
 この集排水管に入る水は、水脈としての地下水、一般的に飽和地下水と呼ばれるものではない。例えば、雨が降ったタイミングでシートの下を山のほうから浸透してくる水は、厳密な意味では地下水とは呼ばないのではないかというご意見ですね。
 観測用のボーリング井戸で採る水は地下水だけれども、この管の水は下層部の水というようなイメージなのですね。わかりました。

今岡委員
 私もその意見に賛成です。シートの下の水は、ある意味地下水ですけれども、一般の深い位置にある地下水とは区別した方が話をしやすいということです。

会長
 わかりました。それでは、今までの問題点以外に、何かご意見がありますか。

副会長
 一番怖いのは、埋立地の外で起こる土石流だと思います。その可能性はないのかチェックされていますか。先ほどの関委員のご意見はそのことではないかと思いますが、周辺の高いところから土石流が来ると、今までの話は全部吹っ飛んでしまいますので。それが無いということはチェックしておいてほしいと思います。
 それともう一つ、安定の問題なのですが、計画では、二十数段の小段があり、100m強の高さになります。こういう構造のものは、一段毎に考えるので、とめどなく長い斜面になる可能性があります。それが耐えられるかどうか、私にはなんとも分かりませんが、少なくとも、日本で最高のものはどのくらいの高さかということをチェックしておいてほしいと思います。花崗岩地帯にあるものは、地形の凹凸が激しいのでどうしても斜面が長くなり、高くなるとは思うのですが、広島のものがトップだというのはちょっと怖いので、他にはどの位の高さのものがあって、どれくらい耐えるのかということを調べておいていただきたいと思います。

水田委員
 参考資料P7(8)動物・生態系の1の事業者見解で、カラスの飛来数は減少していると書いてありますが、どの程度減少しているのでしょうか。以前は、1,000羽位いましたよね。

事業者
 現時点では、見た目での判断しかしていません。事後調査計画に記載しておりますが、今後ともカラスを含めた鳥類について、定期的に観測していく予定にしております。今の段階では、見た目で明らかに、平成15年度当時とは大きく減少しているという印象だけです。

水田委員
 カラスの件は、私が指摘して、わざわざ調査していただき、実際の調査方法などについても相談にのったのですが、縄張りに関する調査の結果からいうと、小鳥に対する影響はほとんどありません。最初、テリトリーマップの結果を見て、それが本当かどうか疑ったのですが、生のデータ等を見せていただいて、そのとおりだということがわかりました。
 今後、小鳥類についての調査を継続されるということでいいでしょうか。

担当課長
 要約書P51に事後調査計画が記載されておりまして、その中で、鳥類について工事完了後にテリトリーマッピングということで、小鳥等を含めて縄張り範囲を把握する調査を事業計画地周辺で3年に1回計画されております。

会長
 3年に1回でいいでしょうか。

水田委員
 調査結果によると、予想した以上に影響が無いようなので、あまり心配しておりません。

安藤委員
 玖谷は従来からカラスが多くて、私はびっくりしたのですが、先ほど紹介した東広島市の賀茂環境センターの最終処分場にはカラスが1羽もいません。玖谷と同じようにプラスチックごみを埋め立てているのですが、溶融固化して埋め立てるので、カラスの食べ物がないからなのです。広島市の場合、平成16年4月から容器包装プラスチックを搬入していないので、カラスがいなくなってもいいと思うのですが、1回目の審査会で行った時にも、まだかなりいました。だとすれば、事業系のごみの中に生ごみが含まれているということですから、分別を徹底すれば、食べ物が無くなり、カラスは絶対来なくなりますので、早いうちに搬入するごみの分別を徹底してカラスの飛来を防ぐという措置が正しいと思います。

会長
 私も、現地を見て、カラスが何を食べているのかと思ったのですが、徹底するというのは難しいですね。

次長
 安藤委員のご指摘のように、家庭系については、容器包装プラスチックのリサイクルとその他のプラスチックの中工場での焼却により全て排除しているのですが、事業系のプラスチックが入っています。玖谷埋立地への搬入時点でかなり厳しくチェックをして、生ごみが付着したプラスチックを入れないように指導しているのですが、少しは入っているということだと思います。これは、今後の広島市のごみ処理計画にもかかわってくることなのですが、将来的には、事業系のプラスチックについても埋立地へ入れない方向で対応していきたいと考えております。これはアセスの立場ではなく、環境局としての立場で考えております。

安藤委員
 結果はカラスがモニターしています。カラスがいる間は生ごみが入っているということです。

会長
 非常にいいモニタリングですね。他にどなたかご意見はございませんか。

中島委員
 この拡張の後に、将来、また拡張する可能性はあるのでしょうか。

次長
 アセスの立場ではなく、環境局の次長という立場でお答えします。
 玖谷埋立地について、さらに拡張するという考えは、現在のところありません。新規の埋立地の整備場所を探すための調査を開始している段階です。新規の埋立地がなかなか確保できないということになれば、少し埋立期間を延ばすということは考えなければいけないかもしれませんが、さらにこれを拡張することはなかなか難しいと考えております。

今岡委員
 水質の件で、玖谷川のNo.2の水質が気になっています。参考資料P3(3)水質等のところで、pH、BODが環境基準値を超過している地点があるという市民意見がありますが、pH、BODだけではなく、鉛とヒ素が平均値で環境基準を超過しています。その意見に対する事業者見解として、埋立地の浸出水は公共下水道に放流している、それから、No.1地点の水質が良好であって埋立地からの影響でないと考えていると記されています。確かにこの見解も正しいと思いますが、この文章は、準備書に書いてあるものと同じ内容です。河川の環境管理の観点から、1級河川太田川に入る直前の地点での水質の問題として、広島市としての何らかの対策を検討していただいたほうがよいと思います。今回のアセスでの回答でそこまで言うのは事業者としては難しいというのは分かっています。

水田委員
 上流の人家は関係ないのですか。

次長
 玖谷埋立地の下流の、太田川に合流する手前に採石場があります。人家はございません。St.2の水質については採石場からの影響と考えております。それについての対策を、玖谷埋立地とは別に、広島市として、市の環境保全サイドで何らかの対策を考えていかなければいけないと認識しております。

関委員
 昨年の水害によって被害を受けた箇所で、現在、国土交通省太田川河川事務所が大規模な工事を計画しているようです。玖谷の近くでは筒瀬八幡の天然記念物区域を削るというので、いま文化財担当課と調整中です。おそらく、太田川河川事務所では、玖谷川が災害時にどのくらいの水が出るかという推定値を持っていると思います。その辺を太田川河川事務所と協議されて、こちらが考えていることと食い違いが無いかどうか、調べてほしいと思います。

次長
 浸出水については、参考資料P6の(6)で事業者見解として述べているとおりですが、表層水についても確認してみます。

会長
 これだけでは分かりませんね。可部で178mmといっても玖谷川からどれだけ出てきているのかは分かりません。その辺りのデータを持っているとすれば調べてみるといいですね。

副会長
 地下水とシートの下の水を区別するためにどういう名前を付けたらいいのかという話がありましたが、「遮水工下端流」あるいは「遮水工下縁流」というのはいかがでしょうか。
 検討してみてください。

会長
 玖谷埋立地をさらに拡張する考えは無いかという質問がありましたが、この前の現地調査の印象では、あの地形では、もう大方一杯だと思いました。次の埋立地を探しているということでしたが、どの辺りに考えていらっしゃるのですか。言える範囲で教えてください。

次長
 新聞等で、報道されたことがありますので、ご存知の方がいらっしゃると思いますが、湯来町と合併する際に、埋立地の一つの候補地として湯来町から提案がございました。その場所が、埋立地として適しているかどうか、現在、広島市で調査しているという段階です。湯来町からは、地形的な観点から提案されていますので、詳細な調査を行う必要があるということです。それと、以前から玖谷に続く最終処分場を確保する必要があるということで、広島市内でいろいろな調査を行っており、その中で、数箇所に絞り込んできております。湯来町から提案のあった場所が埋立地に適しているということになれば、それらを比較する中で、最終的に決めて行きたいと考えております。

水田委員
 私は、白木町の大谷地区に非常に関心を持っていたのですが、あの計画が中止になったのは、どういう理由だったのでしょうか。新聞を読んでもよく分からず、結局、住民の反対ということでしかないようなのですけれども、次の候補地を決めれば、また、そういうことがおこってくるわけでしょう。従って、関心があるのですけれどもいかがでしょうか。

次長
 大谷地区を新規埋立地の候補地として地元の方々とお話をさせていただいていましたが、現時点で、完全に大谷地区を諦めたということではありません。相変わらず候補地の一つであるということなのですが、現実問題として、現地の調査が、現時点ではできない。土地の所有者の了解が得られないので調査に入れないという現状です。

水田委員
 一応、生物の調査はされていますね。

次長
 そのような調査はできますが、ボーリングなどの調査は、土地の持ち主の了解が得られなければできませんので、候補地の一つではあるが、進めていくということはできないという状況です。他の候補地についても、同じような状況が出て来ると思いますけれども、その際は、地元の方のご理解とご協力をいただく努力をしながら新規埋立地をなんとか確保する必要があると考えております。

会長
 他に意見はございませんか。
少し早めですが、ご意見もないようですので会議を終えることとします。本日出された意見をまとめて事務局で答申の案を作っていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、事務局から今後の予定について説明してください。

担当課長
 大変熱心なご審議をいただき誠にありがとうございました。
会長にご指示いただきましたとおり、本日の議事録を早急にとりまとめ、審査会でのご意見を踏まえて答申案を作成させていただきます。
 会議の中でも申しましたとおり、市民等の意見に対する事業者見解が6月2日に提出されましたので、それから90日以内に市長意見を述べなければいけないということで、市長意見の期限が8月30日となっております。委員の皆さま大変お忙しいところ恐縮ですが、次回の審査会を7月31日(月曜日)の午後2時から開催させていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

会長
 それでは、今日の会議はこれで終了いたします。ありがとうございました。

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手続き実施中の事業:玖谷埋立地拡張整備事業

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