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環境影響評価審査会開催結果(安佐南工場建替事業(修正前) 第1回:平成13年9月4日)

ページ番号:0000013616 更新日:2019年10月21日更新 印刷ページ表示

 広島市環境影響評価条例に基づき、安佐南工場建替事業に係る環境影響評価実施計画書についての審査を行うため、広島市環境影響評価審査会を開催しました。
1 開催日時 平成13年9月4日(火曜日)9時00分~11時30分
         (現地調査;9時00分~10時00分、審議;10時00分~11時30分)
2 開催場所
  安佐南工場会議室(審議)
3 出席者
 1. 審査会委員(五十音順、敬称略)
   天野實(会長)、安藤忠男、今岡務、大森豊裕、於保幸正、下中奈美、関太郎、
   谷口泉、中島正博、深田成子、水田国康、宮田賢二、吉國洋(副会長) 以上13名出席
 2. 事務局
   中本環境局参事、国富環境アセスメント担当課長 他3名
 3. 事業者
   広島市環境局施設課 宮迫施設課長 他3名
 4. 傍聴者
   7名(他に報道関係4社)
4 会議概要
 1. 審議に先立って、事業予定地の現地調査を行った。
 2. 審議は公開で行った。
 3. 「安佐南工場建替事業に係る環境影響評価実施計画書」について諮問した。
 4. 「安佐南工場建替事業に係る環境影響評価実施計画書」について審議した。
5 審議結果概要
  今回は、審査会の求めにより事業者が出席していたことから、主として、事業者に対して本事業の内容等に関する質問が行われた。

 審議結果

 (◎:会長、●:委員、■:事業者、□:事務局)

◎ 審議を行う前に、事業者より実施計画書の説明をしていただきたい。

■ スライドを使用して、実施計画書について説明

◎ 安佐南工場の建替前後の汚染物質の負荷量はどう変わるのか。

■ 建替前後の煙突排出ガスの排出濃度、排出量及び最大着地濃度について以下の趣旨で説明

  1. 現工場が、現状において工場周辺の大気に与えている影響と同程度又はそれ以下にする。
  2. 排出濃度は、実現可能な範囲でできる限り低減化を図る。
  3. 種々の条件下においても環境基準値を厳守する。

◎ 今の説明に対して、質問等はないか。

● 今、説明のあった簡易予測の結果は、実施計画書には出ていない。貴重なものなので、是非、提出していただきたい。

■ 現時点での、簡易予測結果ということで、提出する。

● 現在の安佐南工場からの汚染物質の排出量データがない。今後の検討に際しての参考とするために提供していただきたい。
 現工場は昭和58年稼動ということで、特にダイオキシンについては配慮されていない。
 このため、既に、ダイオキシンによる若干の汚染がおきていると思うが、周囲の状況のデータはどうなっているのか。新しい施設が稼動した場合の汚染の目安になるので、是非、これらのデータの提供をお願いしたい。

◎ ダイオキシン等の現況のデータは、実施計画書12,13,14頁に掲載されている。

● これらは、大気環境のデータである。施設からの発生源データを教えてほしい。

■ 現在の安佐南工場のダイオキシン類等の排出源データは、提出する。
 なお、現安佐南工場は昭和58年から稼動しているが、ダイオキシンの平成12年度の測定結果は、0.35Ngteq/立方メートルであり、平成14年12月から適用される恒久対策基準である1Ngteq/立方メートルを満足している。

◎ 引き続き、実施計画書についてなにか意見はないか。

● 実施計画書3頁の「全量焼却体制」とはどういう意味か。

■ 清掃工場には、公称能力と法定点検整備日数を勘案した実処理能力があり、日々排出される可燃ごみが全量焼却処理できる実処理能力を備えた清掃工場の整備を行うことが必要である。
 資料2(当日配布)の別紙1(清掃工場の整備計画と可燃ごみ量の予測)にあるように、平成16年度に中工場、21年度には安佐南工場を整備することにより、全量焼却体制が維持できることになる。

● ごみは、埋立はしないのか。

■ 昭和50年代から、広島市ではごみの五種類分別収集を実施しており、燃やせるごみを全量焼却するということである。プラスチック等の燃やせないごみは玖谷埋立地で埋め立てている。

● ごみ量の予測は信頼できるのか。

■ 清掃工場等の施設整備は国庫補助事業であり、ごみ量の予測については国の整備基準に基づく予測式を用いている。具体的には、過去のごみ量の実績を基に、ごみの減量化施策を踏まえ、将来のごみ量を予測しており、ただ単に大きな施設を計画しているものではないので、ご理解願いたい。

● ごみ量の推移が、永遠に右上がりで増えていいものかどうか、疑問がある。
 平成13年度のごみ量の予測値と実績値はどの程度一致しているのか。

■ 平成12年度のごみ量の実績値は914t/日であり、平成13年度の実績値は、まだ、未確定である。
 このごみ量予測値は、平成4~10年度の実績値を基に予測したものであり、平成13年度は928t/日、平成14年度は943t/日である。
 アセスの準備書が出来る平成15、16年度には、ごみ量の最新データ等将来を的確に反映したものを用いて、ごみ量予測を行い提示したい。

● ごみ量予測では、平成18~21年度の3年間で100t/日程度増加し、その後、高い値で推移している理由は何か。

■ これは、昨年の初めに作成した予測であるが、プラスチック類の再生利用を促進する容器包装リサイクル法の施行や大型ごみの排出量増大に対応する大型ごみ破砕処理施設の新設により発生する残渣の焼却量を考慮したものである。

● 予測式や予測式に用いた人口等のデータを示してもらえないか。結果だけでは分かり難い。

■ 平成4年度のごみ量はバブルの余波があり、予測値に対して増加傾向を示していると思う。ごみ量推計に用いたデータについては、事務局と協議しながら提供したい。

● 清掃工場の将来の配置計画と可燃ごみ量の予測との関係について説明願いたい。

■ 清掃工場は25年間で償却する施設であり、現在の5工場の更新時期を踏まえ、清掃工場の実処理能力と可燃ごみ量の予測値とが拮抗する時期の将来の配置計画を資料2に示している。
 これによると、平成21年度が図—3の状態であり、現時点での将来構想として図—4を掲げている。これは、可燃ごみ量の予測値を見ると、平成27年度には、工場の実処理能力に余力が少なくなっており、平成28年度には、平成27年度より実処理能力を高める必要があるということである。
 なお、平成20年度には、最新データによるごみ量予測値の推計は見直すことにはなる。

● 配置計画の図—2は平成9年10月のものか。

■ これは、平成9年10月の「一般廃棄物処理計画」策定時のもので、昭和62~平成8年度のごみ量実績値を用いた推計値に基づいている。

● 実施計画書28頁にもあるが、生物全般のことであるが、これを保全しようとしたら、当該事業区域だけを問題にしていたのではおぼつかない。鷹類など生息範囲の広い生物の保全を考えるなら、アセス制度の限界はあるかも知れないが、どこかで考えなくてはいけない。
 諦めているのではないかと思われるのは、「人と自然との触れ合い」の中で、生物のことは出てこない。景観の中では出てくるかも知れないけど、この中でも、人工樹の植栽、運動広場ぐらいである。私の一方的な考え方かも知れないが、最初からあまり生物のことは問題にしていないのではないかと思う。

◎ 今の意見は、重要な問題だけれども、なかなか具体的な形で出てこない。

● 外環状線、善當寺工業・住宅地区などはいずれ開発され、生物関係は壊滅的な打撃を受ける。具体的に言えば、この辺もギフチョウの良好な生息地である。アイエス(株)の開発に伴う環境影響評価書の審査の時もその開発事業単独で議論されて、非常に空しい思いをした。

◎ ギフチョウは、特殊な植生に生息するカンアオイ等を餌としているので、ギフチョウにとっては貴重な場所である。

● 生物を本当に保全しようとしているのか。環境影響評価条例の範囲外だが、市の見解を聞きたい。

□ 非常に貴重なご意見だと思う。現行制度が個々の事業に対して環境影響評価を実施するものであり、一方、複合的開発における影響という視点も必要であると考えている。残念ながら、現行制度では難しいが、本事業は市の事業でもあり、出来ることは行っていきたい。
 全体的な面で捉えた環境影響評価、いわゆる総合環境アセスメント制度は全国的課題となっており、徐々に採用されてきており、数年のうちに検討してこういった制度も取り入れていきたい。

● 現行制度内ということであれば、この地域には、ひろしま西風新都環境管理指針で地域別の指針が述べてあり、また、環境管理計画(現在策定中の環境基本計画)が全市的に出されており、これらとの整合を図ってもらいたい。

● 「安佐南工場環境影響評価業務報告書」が平成9年に出されているが、この目的、内容はどんなものか。

■ これは、安佐南工場の操業期間を延伸するに当たって、当初の性能を維持しているか否かの施設の性能診断及び操業に伴う周辺環境への影響調査、いわゆるミニアセスを行ったものである。

◎ 実施計画書101頁の生態系の文献調査にも、「安佐南工場環境影響評価業務報告書」と「アイエス西部丘陵都市開発事業に係る環境影響評価書」を引用している。
 広島市としては、西風新都を建設していく場合、周りを次々と開発していく。水田委員のご指摘は環境保全上大きな問題を含んだ提言だと理解した。

● このようなやむを得ない限界があることから、当該事業の生物の現況調査も年1回又は2回ということか。
 例えば、鳥類、昆虫類などは、年1、2回の調査では現況は把握できない。今回は、付け足しの調査項目ということで年1、2回の現況調査としたのか。

● 実施計画書の29頁に、「広島市の生物—まもりたい生命の営み—」を根拠として、本事業計画地周辺の貴重種等の存在を記載しているが、実は、この本では、人に盗られそうな植物は全部伏せてある。分布図があっても分からないようにしてある。ここの記載してあるシャジクモ、シノブ以外は貴重な植物がいないということではない。
 このようなことも含め、生物については、例えば、アイエス(株)や西風新都のトンネル付近の例で言うと、工事中、工事後のギフチョウなどの追跡調査が重要である。

● 生物については、広範囲に、抜本的に開発による影響を考えるべきではないか。
 当該事業においては、土地自体は造成済で、新規の造成は少なく、造成による周囲の環境への影響は少ないとの説明であったが、新たな造成面積はどれくらいか。

■ 現在、はっきりした数値は固まってないが、参考までに、公称能力が同じである新中工場では、敷地が3.9ha、建物面積が1.5~1.6haで、建物の範囲について土木工事を実施することになると思う。

● 予想としては、新たな地形改変の面積はいくらか。

● 工場棟部分での地形改変はそんなにないが、ごみ搬入道路から工場のごみ投入ステージへのアプローチの方法によっては、道路部分の法面等での地形改変が考えられるが、今は、具体的に設計していないので、はっきりと申し上げられない。

● 建物用地だけではなく、関連工事を含めると、少なからず自然の改変があり、生物への影響もかなりのものを考えなければいけないということか。

■ 懸念されている山の樹木部分は、極力現状のまま残すことで計画する。

● 次の三点について、お聞きしたい。

  1. 焼却炉の燃焼温度はいくらか。
  2. 灰溶融温度を1,500℃にするということだが、その方法
  3. 溶融スラグの資源化の動向

■ 三点については、次のとおりである。

  1. 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に定められた維持管理基準では、焼却炉の燃焼温度は800℃以上となっているが、ダイオキシン発生抑制のため850℃以上で設計している。
  2. 灰及び排ガス中のばいじん(集じん灰)を合わせて溶融するが、溶融温度は1,300~1,500℃である。廃熱による発電(新中工場の最大発電量である15,200Kw程度)で得られた電力で得られたプラズマアーク(窒素ガスのイオン化)により溶融する。
  3. 溶融スラグは、CaO、Al2O3、SiO2が4~6割の成分を占めている。焼却灰やばいじんの状態と大きく違うメリットは、ダイオキシンが無害化され、重金属類が低濃度化される点にある。
     現在のところ、溶融スラグの資源化については、安定的再利用に向けての市場性は十分でないが、全国的に検討されており、本市では、溶融スラグ再生利用検討会を発足させ、路盤材、建設用骨材等の利用先の検討を行っている。

 今年度は、30t程度のスラグを作り、試験施工、追跡調査を行うことにしてる。

● 溶融スラグの発生量はいくらか。廃棄物として出るものがあるのか。

■ 600t/日を焼却すると、焼却灰が30t弱/日、飛灰が20t弱/日発生し、溶融スラグは40t/日程度発生する。
 溶融スラグの生成過程で生じる飛灰は、集じん機で集じんした後、キレート処理し、廃棄物として埋め立てられる。

● 焼却炉は、基本的には新中工場と同じか。

■ ほぼ同様であり、今後の技術の進展を踏まえ、検討することになる。

● 新中工場の焼却炉の型式は決まっているのか。

■ 新中工場は、平成8年度に入札を行い、ストーカー炉で、200t/日×3基で決定している。

● ここへの選定理由として、外環状線道路が搬入道路として使用できるということも要因の一つであるが、外環状線道路の完成が遅れたら、環境影響評価は変わるのではないか。

■ 西風新都整備部で確認したところ、外環状線道路は今年度工事着手すれば、平成17年度に完成する見込みである。ただし、西風新都開発計画は民間事業であり、外環状線道路からの搬入道路取り付け部分にあたる善當寺地区の開発についてもその工事着手時期を市がコントロールできないが、現段階では、外環状線は予定どおり平成17年度完成ということで、環境影響評価を行う。

● 外環状線が計画どおり進まなかったら、どうなるのか。

■ その時の状況に応じて判断させていただきたい。

● ごみ処理量が現在の3倍になるということで、焼却炉自体は、相応の設計で大丈夫だろうが、ごみ搬入車両の増加は避けられないと思うが、これに対して、現在、住民からの不満はないのか。

■ 現在のごみ搬入道路は、市道瀬戸大下線を主要道路としている。地元住民の方々から、運転者や作業者の交通ルールの遵守、運転マナーの向上について指摘があった。また、それ以外に、ごみ搬入車両からのディーゼル排ガスについて、ダイオキシンの次に住民の関心が高く、これに対する懸念等の指摘があった。

◎ 議論が出尽くしたようなので、本日の審査会はこれで終わる。
 今後、実施計画書に対する、委員の方々の意見及び地域の皆様の意見をすべて事務局で資料として取りまとめ、次回の審査会では、これを審議資料とし、答申案の審議を行う。

● この実施計画書でいいいかどうかを審査会として提言しなければいけないと思うが、特に、「環境影響評価項目の選定」についても意見を提出するということですね。

◎ そういうことです。