ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 組織でさがす > 環境局 > 環境局 環境保全課 > 環境影響評価審査会開催結果(安佐南工場建替事業 第4回:平成18年12月27日)

本文

環境影響評価審査会開催結果(安佐南工場建替事業 第4回:平成18年12月27日)

ページ番号:0000013614 更新日:2019年10月21日更新 印刷ページ表示

 広島市環境影響評価条例に基づき、安佐南工場建替事業に係る環境影響評価準備書についての審査を行うため、広島市環境影響評価審査会を開催しました。

1 開催日時 平成18年12月27日(水曜日)14時00分~15時30分
2 開催場所 市役所本庁舎14階 第7会議室
3 出席者 
 1. 審査会委員(五十音順、敬称略)
   天野實(会長)、安藤忠男、今岡務、大森豊裕、於保幸正、窪田幸子、関太郎、中川紀壽、
   フンク・カロリン、水田国康、宮田賢二、矢野泉、吉國洋(副会長) 以上13名出席
 2. 事業者
   広島市環境局施設部施設課 福田専門員 他3名
 3. 事務局
   亀井環境局次長、毛利環境アセスメント担当課長、坂本課長補佐 他3名
 4. 傍聴者
   2名
4 会議概要
 1. 審査会は公開で行いました。
 2. 前回に引き続き、環境影響評価準備書について審議しました。
5 審議結果概要
 1. 環境影響評価準備書の内容について、各委員から意見が出されました。
 2. 2回の審議で出された意見に基づき、答申案を作成することになりました。
 3. 次回の審査会は、平成19年2月6日(火曜日)午前10時から開催することになりました。
6 会議資料
 ・資料1 安佐南工場建替事業に係る準備書への質問等について
 ・資料2 拡散予測に用いた風の場と気象観測結果について
 ・資料3 大気質の予測手法の検証について
 ・参考資料 安佐南工場建替事業環境影響評価準備書に対する市民意見の概要及び事業者見解

ダウンロード

審議結果

坂本課長補佐
 ただいまから、平成18年度第5回環境影響評価審査会を開会いたします。
 本日は、10月30日に引き続き、安佐南工場建替事業に係る環境影響評価準備書について審査いただくこととしております。
 これからの議事進行は天野会長にお願いいたします。

天野会長
 こんにちは。それでは、本日の資料について、事務局から説明をお願いします。

毛利環境アセスメント担当課長
 それでは資料を説明させていただきます。

 〔以降、資料1から資料3を説明〕

 安佐南工場建替事業に係る準備書に対し、期間中に3件の意見書が提出されました。その市民意見の概要とこれらの意見に対する事業者の見解を取りまとめた書類が12月1日に市長に提出されましたので、参考資料として配付しております。個々のご意見の内容についての説明は差し控えさせていただきますが、審議の参考としてください。
 資料の説明は以上でございます。よろしくご審議をお願いします。

会長
 ありがとうございました。それではまず、吉國委員さんの質問に対しては、資料1にある回答でよろしいでしょうか。

吉國副会長
 現在できる最高のことをやっていただいているのだとは思うのですが、準備書の7.1.1-69ページの寄与濃度の分布図を見ても、私としてはなんとも言えません。
 今回の事業は、何もないところへ新たに作るのではなく、現在あるものを建替えるものです。これからはこのような事業が増えてくると思いますが、建替えることによって環境がどのように変わるのかがわかるような評価をしなければいけないと思って、前回発言しました。
 これが、現在の技術では限界ですというのであればやむを得ませんが、増分がどのように分布をしているか、現状よりもどこがどのように変わるのかということを表現して欲しかったと思います。「結果がこうなります。」というだけでは、「そうですか。」としか言いようがないので、これから先、そういう手法を確立するような方向でやってほしいと思います。

宮田委員
 資料3の見方について教えてください。この表は、今回の予測が合っているというのか、合っていないというのか、どちらでしょうか。
 また、現地調査地点は伴小学校やその他の場所で、計算結果は最大着地濃度地点となっていますが、比較するのであれば、現地調査をした場所の濃度を計算すべきではないでしょうか。

担当課長
 現地調査結果として、伴小学校には大気の常時測定局があり、二酸化硫黄、二酸化窒素、浮遊粒子状物質について、年間を通じた1時間毎のデータがあるのでそちらを引用しています。塩化水素とダイオキシン類については、常時監視をしていないため、事業者が現地で年間何回か測ったデータを用いています。
 表1で、二酸化硫黄と塩化水素は、現状の大気の状態よりも寄与濃度が高いという結果になっています。実際には、これらの物質の排出濃度はかなり低いのですが、注1にあるように、安全側を見て現行施設の設計値を用いて計算しているため、結果として寄与割合が1を超えてしまったということです。
 寄与割合が1をはるかに下回っている二酸化窒素や浮遊粒子状物質は、物が燃えるときに発生するものですが、何年か前の調査で、市内の二酸化窒素はその7割以上が自動車によるものと推定されており、他の要因によるバックグラウンドに比べて工場の寄与濃度があまりにも低すぎて、今回、うまく検証できなかったということになっています。

会長
 こういう表を出すと寄与割合のA/Bばかりが目につきますが、はっきり言うとあまり意味はないと思います。準備書3-3ページに環境基準が示されていますが、これらの値は、いずれも十分低いので有意な差なのかどうか分かりません。0.00062を基にして何倍あるといっても意味は無いと思います。こういうものは出さない方がよかったのではないでしょうか。

副会長
 資料3の表1では、ダイオキシン類の現地調査結果が0.13となっていて、今回の予測結果では0.0020に改善されることになっていますが、何か特別の理由があるのでしょうか。

宮田委員
 表1は現行施設の諸元で計算しているので、改善した後の結果ではありませんね。

会長
 この値は前回も問題になって、なぜ現地調査のダイオキシン類濃度が高かったのか。結局いろいろ説明されましたが、原因はよくわからないということでした。

亀井環境局次長
 宮田委員に補足いただいたように、現地調査結果0.13というのは、現在の工場周辺の大気中のダイオキシン類の濃度です。また、表2の今回の予測手法での寄与濃度0.0020というのは、400t規模の新工場を作った場合に寄与する濃度の計算結果です。
 現在、安佐南工場周辺では0.13となっていますが、広島市内のダイオキシン類の濃度を年4回市内5箇所で継続的に測定しており、平成17年度の平均は0.11となっています。例えば、国泰寺中学校では0.063、安芸区スポーツセンターでは0.21で、地域によってバラつきがあり、この原因は我々も特定ができていませんが、市内には清掃工場の他に、産業廃棄物の焼却炉、それ以外にも、たまに野焼きがあったりしますし、また、ダイオキシン類の発生源としては、車の排ガスにも一部含まれているという話もありますし、そういった諸々が合わせられて市内の大気中の濃度に影響していると考えております。

会長
 大気質の問題は専門家でないとよくわからないことが多いのですが、於保委員、一言コメントをいただけませんか。

於保委員
 寄与濃度というのは初めて聞く言葉ですし、どのようにして計算されたのかということがよくわかりません。

宮田委員
 現地調査結果は、工場からの排ガスに加えて、その他のいろいろなものが関係していて、寄与濃度の方は工場から出るものだけで計算されているわけですから、基本的に少なくなっていいと思います。しかし、そもそも比較できないような桁の数字ですね。

副会長
 私は、シミュレーションの最初が現状で、今度の建替えによってどれだけ増えるのかが予測されなければいけないと思います。何もないところから計算してこうなるという予測ではなく、現状がベースにあって、ここはこれだけ増えます、減りますということであれば、おかしな値は出てこないはずです。現状の0.13をベースに計算すべきで、それがシミュレーションをするときの一番の原則だと思います。そのやり方がどうも違うのではないかと思います。

宮田委員
 初期値の中にも既に現工場から排出されたものが入っているので、それにプラスするというわけではないのです。

副会長
 大気中に今現在あるものは、どこから来たのかはわからないけれども、現在あるのだから認めて、その上に今度の変更部分が加わるというのが予測だと思います。

会長
 例えば、広島大学が移転するときに放射性物質が問題になったのですが、移転前に十分に調べて、それを基礎にして、どれだけプラスになったマイナスになったということで初めて意味が出てきます。今回の場合は、初期値がはっきりしていません。現地調査結果の0.13には、現工場の寄与が含まれています。先ほど次長が言われたように、広島市の平均が0.11ですから、それをベースにすればそれほど上がっていない。工場を新しくした時の予測値は、それよりも十分低いので、議論してもあまり意味がないのではないかというのが私の意見です。

安藤委員
 資料3の表1の現地調査結果は、現在稼働中の工場から出ているものと他のものを含めて0.13あり、この値自身は市内の他の場所と比べて特に高い値ではないということですね。その次の寄与濃度というのは、外部の影響を除いて、新工場から出るダイオキシン類が拡散によって広がり、周辺の環境にどのくらい加わるかということだと思います。
 現地調査結果0.13には現在稼働中の工場から出ているダイオキシン類が含まれており、それが建替えられるので、大雑把に言うと、0.13から現工場分の0.0124を引いて0.0020を足せば新しい工場ができた後のダイオキシン類濃度になるということですね。
 今回の建替えによって周囲のダイオキシン類濃度がどのくらいになるかということを全部計算して値を出すことは可能だと思いますが、現地調査結果にしても幅のあるものですし、これから作る工場からどのくらいのダイオキシン類が排出され、それを少なくすることが重要ですから、寄与濃度を出すということはいいと思います。

会長
 安藤委員の説明はよくわかりましたが、現在の施設から出たものがどれだけ寄与して0.13になっているかというのは、やはりわからないのではないですか。

安藤委員
 現工場の排出量を測定されているので、実際の寄与率はわかると思います。それは書かれていませんが、私はおそらく、大分減るのではないかと思っています。

副会長
 安藤委員の説明をそのまま理解すると、現行施設については、ダイオキシン類が0.0124寄与している。それが新しい施設になると寄与が0.0020となり、建替え前よりも寄与が減って周辺の濃度が0.12くらいになると理解すればよいということでしょうか。
 そうであれば、将来の周辺の濃度はおおむねこの値になりますという、表1の現地調査結果に相当する欄が表2にもあればもっと分かりやすいですね。

担当課長
 準備書では、先ほどのバックグラウンド値0.13に、新しい工場の寄与濃度0.0020を足して、周辺環境はこれ位になるということが書かれていますが、資料3ではその結果を記載しませんでした。確かにそれを入れておいたほうがわかりやすかったと思います。

今岡委員
 現工場の影響を受けている現地調査結果の0.13に、単純に新工場の0.0020を足すのはおかしくないですか。現工場の寄与濃度を引かなければいけないと思います。
 それと、この「寄与濃度」という言葉は汚染物質の大気拡散の話をするとき、一般的に使われていますか。この「寄与」という言葉が理解を難しくしていて、要するに最大着地濃度地点での濃度予測なので「到達濃度」などがよいのではないでしょうか。

担当課長
 準備書での記述に合わせたので、寄与濃度という言葉を用いています。

於保委員
 安藤委員の説明のとおりだと思うのですが、それでもやはり表1で寄与濃度と現地調査結果が違うのは、やはり副会長がおっしゃるようにシミュレーションが悪いのですね。

安藤委員
 いえ、宮田委員が説明されたとおりで、現地調査結果はいろいろな発生源から出たものを足したものを調査した結果が0.13であり、寄与濃度とは別のものです。

於保委員
 計算に設計値を用いていますが、設計どおりになっているかどうかの検証がされていません。そのため、この寄与濃度の値が本当にいいのかどうか疑問があります。普通であればこうなるはずということでしょうが、本当にそうなっているかどうかは別の問題だと思います。そこのところがわからないのです。

次長
 これらの物質を煙道で実際に測定していますが、例えば二酸化硫黄は、設計値をはるかに下回っており、実際にその数値を入れて計算しても濃度が出てこないようなレベルになるので、計算上は最大ここまでは出る可能性があるという意味で設計値を使っています。

安藤委員
 私が関わっている東広島市の清掃工場でも、十数年間ダイオキシン類の調査を行っています。焼却炉から出たダイオキシン類かどうかは異性体のパターンを調べることによってある程度目安がつくのですが、実際には、ダイオキシン類の排出濃度が低く抑えられてしまうと、なかなか正確に断定することは難しいので、現地調査をいくら繰り返しても、正確にどのくらい寄与しているかを推定することはそう簡単ではないと思います。

会長
 大気については、問題にするほどの濃度ではないというのが結論だと思いますがいかがですか。現在もそれほど高くはないし、新しくしても減ることはあっても、増えることはないと理解したいと思います。
 それでは、次の問題に移ります。本日、中島委員はご欠席ですが、建物の色彩についてご意見はありませんか。矢野委員いかがですか。

矢野委員
 中島委員のおっしゃるように、地域住民の声を聞いて決めるのがよいと思います。

大森委員
 中島委員のご意見に関連して、景観のところに眺望状況の写真が入っているのですが、環状道路ができたときには、特にL4地点からの近景はずいぶん変わり、道路から真正面に見える位置関係になりそうなので、その辺りの景観も配慮すべきではないかと思います。
 それから準備書7.3.1-5ページの景観のところで、「住民等が有する固有価値」という表現をされていますが、この固有価値というのがよくわかりません。これはどう定義できるのかということと、この固有価値を出して景観にどう使われているかということを教えてください。

福田専門員(事業者)
 住民等が有する固有価値というのは、沼田地区の住民の方々が周辺の状態をどのように感じておられるかということについてアンケート調査を行っております。その結果、西風新都の開発といった都会的なイメージを持たれる方が40数%おられ、逆に昔ながらの農村というイメージを持たれている方も約半数おられ、都会的なイメージと昔ながらのイメージといった相反するものを住民の方々が持っておられる地域ということを固有価値として把握しております。この固有価値をどのように景観に生かすかということで、この固有価値と住民の方のご意見を参考にこれから施設の形や色を考えて行きたいと思っております。

大森委員
 固有価値と書くと、これが住民の意見を代表していると捉えられますが、ヒアリングの対象は沼田公民館の利用者等の50数人ですね。50人位の意見で、この地区の固有価値と言えるのかなと感じたものですから、お尋ねしているのですがいかがでしょうか。

宮田委員
 中工場の建物を作るときにはこういった調査をされていますか。

福田専門員
 中工場の際には行っておりません。

宮田委員
 住民の意見といっても多種多様なので、一応調べてみる価値はあると思いますが、あまりそのことにこだわる必要はないのではないかと思います。

安藤委員
 先月、神戸市の焼却施設を見学に行きましたが、そこは、環境未来館と名づけて、焼却施設と併せて環境学習の場を提供しているところでした。したがって、建物自身は非常にモダンでシャープで堂々としていました。建物の目的や立地する場所によって色彩やデザインは変わってくると思いますが、広島市として何かメッセージを伝えたいのであれば、必ずしも土地や風景に馴染まなくても、それを強調してもいいかと思います。むしろこれからの施設は、時代をリードするようなメッセージを込めた施設にしていくべきだろうと思います。
 もう一つ、東広島市の場合には、建物の色は問題になりませんでした。もっと大きな問題となったのは白煙です。その施設から白煙が出る理由は、し尿も同時に焼却処理をしているため、冬場に白煙が出てしまうのです。安佐南工場の場合、高温で焼却しますが、ダイオキシン類を低減するためガス温を200℃まで急速に冷やすので、露点や吐出速度の問題で白煙が生じることも考えられます。煙が出てしまうと、いくらデザインを考えても全然効果がありませんので、この辺は気をつけたほうがいいと思います。

窪田委員
 景観に関するヒアリング調査と準備書7.5-1ページの地域イメージのアンケート調査がありますが、微妙に重なる内容について、なぜヒアリング調査は公民館利用者等の50人ほどの聞き取りなのでしょうか。アンケートは1400人からデータを取られていて、こちらで同時に固有価値を聞くことができたのではないでしょうか。この二つの調査の関係について説明してください。

福田専門員
 地域イメージは環境影響評価の技術指針には項目として入っていませんが、地域住民の強い要望で入れた項目で、新火葬場の環境影響評価と合わせて調査を行っております。地域イメージについては、清掃工場が与えるイメージはどのようなものか、それを解消するためにはどのようにすればよいかという観点から全市的にアンケート調査を行っており、一方、景観に関するヒアリング調査は、清掃工場を建設するにあたって、その地区に合う建物はどのようなものかという調査で、観点が少し違います。本来、両方を一緒にやればよかったと考えています。

大森委員
 公共施設にメッセージ性が必要であるという意見に賛成です。ただ、中工場は成功したいい事例だと思いますが、大阪市の舞洲にはUSJと間違うような清掃工場ができていて、あれはちょっと行き過ぎだという意見もあります。その辺の行き過ぎなのか、本当にいいのか、どこかでチェックをする必要があります。その際に、住民意見をどこかで聴くようなポイントが必要だと思います。

宮田委員
 中工場を見学して、あまりにも豪華で驚きましたが、後から考えると、果たしてこのような立派な設備を持つ必要があるのかという疑問も持ちました。現在の需要に応えようとして、デザインも工夫して作られたと思うのですが、単に今の需要に応えるという姿勢でいいのか。一方で、ゼロエミッションと言いながら、あのような施設を作るということは、長い目で見るとどうかなと感じました。安佐南工場を建替える際には、もっと安上がりで環境への負荷が少ないようなものをぜひ考えて欲しいと思います。中工場は、ちょっと贅沢すぎます。

大森委員
 中工場は、清掃工場の中を見せて、きちんと説明して、市民に開かれた形で作っているところがいいという意味でいい事例と申し上げました。お金がいくらかかったかは知りませんが、工場を開放して一般市民にどんどん来てもらうという意味ではいいと思います。

副会長
 建物の色について、個人に意見を聴くと沢山の意見が出てどうにもならないと思うので、設計者から案を出してもらい、それを公民館などで公開して、強い反対がなければそれに決めるというくらいでいいと思います。

会長
 建物については、設計をどこに任せるかでおおむね決まってしまいます。例えば、広島大学が移転するときに、設計を広島に縁のある丹下健三に任せようかという話もあったのですが、ものすごくお金がかかるということで結局だめになりました。広島市としてどのくらいお金を出せるかということもわかりませんから、やはり、建築の専門家に任せるよりしかたないかなと思いますがいかがですか。
 安藤委員のおっしゃるように、将来そこを環境教育の場にするような考えがあれば、今のような建物ではない形になる可能性もありますね。

フンク委員
 準備書7.3.1-3ページなどにシミュレーションの写真が載せられていますが、そこに出ている建物の形はもう決まっているのでしょうか。

福田専門員
 準備書に示しているのは、中に焼却プラントを入れた場合、余裕を持って配置できる大きさを真四角で表したもので、これから見え方などを考えながら形等は決めていきたいと思っております。煙突と建物の高さはこのようになると思います。

フンク委員
 おそらく、色よりも建物自体のデザインの方が問題だと思います。このような真四角なものになると、特にL4の方向からは、かなり目に触るようになると思います。

矢野委員
 煙突は特に目立つので、気になる対象だと思いますが、L4からの煙突の見え方が、現況より遠くに位置しているように見えます。他の向きからのものと比べるともっと手前に来るように思います。煙突に関しては、もう少し気を使ったシミュレーションをしていただきたいと思います。
 また、建物に大きな壁ができるので、壁面に対する朝日、夕日の反射の影響もあると思います。色、形、壁の向きを考慮する際に、そういったことも考えていただきたいと思います。

今岡委員
 中工場は大変立派な施設で、学生に見学させると、こんなに綺麗でこんな施設だったのかということで清掃工場を見る目が完全に変わります。環境教育の観点から、清掃工場の役割を理解させるためには非常にすぐれた施設だと思います。
 中工場には、回廊の導線の延長線上に平和公園と原爆ドームが位置しているというメッセージ性を持たせてあるのですが、新安佐南工場の場合にも何かのメッセージ性を持たせるのがいいのか、それとも機能性重視でスリムな形の施設を作るのかは市の計画の話になると思います。煙突についても、煙突があって清掃工場だということをアピールするのも一つのあり方だと思いますし、場合によっては中工場のように目立たなくする方法もあります。その辺は市の今後の計画の中で検討していただく内容になると思います。

会長
 建物については皆さんのおっしゃるとおりだと思います。次に、参考資料として事業者の見解が配られていますが、この内容についてはいかがですか。

中川委員
 騒音、振動についても、参考資料の19ページにいろいろと書かれているのですが、事業者の見解として市民に示されるのであれば、表現に注意をした方がいいと思います。
 上から二番目の枠に、「必要に応じて低騒音工法を採用するとあるが、その必要性はどのように情報を得て判断するのか示されたい。」とあり、その回答で「事後調査計画で計画している調査以外にも必要に応じ調査し」とあります。このまま見るといいようにも思えるのですが、必要性は誰がどのように判断するのかわかりません。回答する側は積極的に書いていると思うのですが、一般市民にはわかりにくいと思います。その続きに「環境影響の程度が著しい場合は」とあるのですが、これも著しいという判断を誰がどの場面でするのかがわかりません。事後調査計画は準備書にあるのですが、中身までは書かれていないので、どのように判断するのかということまで、もう少しわかりやすく書いたほうが市民は納得できると思います。

会長
 今のご意見は、他のところにも当てはまると思いますが、なかなか具体的にどう書くかというのは難しい問題で、苦肉の策だろうと思います。できるだけわかりやすくということを考えて書いていただきたいとお願いしておきます。

水田委員
 参考資料24ページの一番下のギフチョウに関する質問は、いい質問だと思いますが、それに対する回答は十分でないと思います。意見を出された方は沼田町全体でギフチョウをどのように保全していくかということまで展望しながら意見を出されていると思いますが、それに対して、近隣のアイエス住宅団地の例を挙げただけで回答するのはおかしいと思います。事業計画地は焼却炉を作ったから不適地になり、アイエスもいずれ不適地になりますが、その繰り返しでいいのでしょうか。先ほどの景観の問題でも同じで、まだ全体の開発計画があり、それらの配置も含めて景観は位置付けられます。全体を考えない場当たり的な回答では、おそらく意見を出された方も納得しないと思います。アイエスの評価書には、私も関係していたのですが、ギフチョウの分布図が載せられていると思います。その中には、現在、開発されて跡形もなくなっているところもあり、結局そういうことを繰り返しているのです。この回答についても、事業そのものについては確かにそうだと思うのですが、何回も言いますが西風新都全体を考えた計画の中で位置付けることが必要だと思います。
 委員の皆さんだけでも知っておいていただきたいのですが、あの辺りはミヤコアオイとサンヨウアオイが混生している地域です。たいていのギフチョウの産地では一種類の食草に依存しているのですが、アイエスの時の調査で、ここでは両方とも利用していることがわかりました。そういう意味で、この地区のギフチョウは非常に面白い地域個体群なのです。

会長
 これは非常に難しい問題ですね。確かに全体を考えるということが必要だと思いますが、なかなか難しい話になりますね。

次長
 水田委員のご指摘はもっともで、これまでも何度かご指摘いただいている事柄ですが、確かに広島市の環境をどのように保全し、より良くしていくのかということが我々に課された義務ではあります。しかし、日本の国内で、そこまで手法や考え方が確立されていないという現状があり、我々としても、西風新都の地域をどうするのかというところまで、なかなか環境サイドから踏み込んで言えないというジレンマを感じております。その辺で、皆さんにまとめていただいた多元的環境アセスメントが動き出して、進んでいけば、少しでも水田委員の指摘されたことが、実現する方向に向かっていくかなという思いはしております。

宮田委員
 市民意見の内容は、大変詳細で、事業者も懇切丁寧に対応されていて、私は全体としてこれでいいと思います。
 ただ、予測に基づいてこれから事業を進めて行くとしても、それが何かの事情で間違っている可能性もあるので事後調査が非常に重要だと思います。準備書の10-1ページの大気質のところで、ダイオキシン類以外は排出口で月1回調査をすることになっていますが、ダイオキシン類は年1回です。他は月1回なのに、なぜダイオキシン類は年1回なのでしょうか。今回の工場は、ダイオキシン類を減らすことが大きな目的の一つだと思うのですが、年1回の調査でいいのでしょうか。

福田専門員
 現在、ダイオキシン類については、各工場年1回正式な調査を行っています。それに加えて、現在、安く短時間にできる簡易測定法があり、それによる調査を1回、計2回行っていますが、他工場の延伸協議などで回数を増やして欲しいという要望等もあり、これから考えていかないといけないということで内部でも検討している状況です。

宮田委員
 回数が少ないのはお金がかかるからですか。

福田専門員
 はいそうです。以前は1検体あたり100万円くらい掛かっていましたが、今は60万円位になっていると思います。

安藤委員
 ダイオキシン類について頻繁に測定できればいいのですが、調査のために費用がかかるので、頻繁に行うのは難しいのが現状だと思います。ただ焼却炉からのものは主として粒子状の物質と一緒に発生源の近くに落ちるのですが、ダイオキシン類は水に溶けにくく、土の上に落ちるとそこに溜まっていきます。東広島では、大気中の濃度測定よりはむしろ土壌の表面を継続して測定しています。住民の方が立会をして、年1回二十数地点を調査していますが、それだと年1回でも経年的に状況が把握でき、住民の方も自分たちの周りの環境でどうなっているのかということをご理解いただけるので、大変有効な方法だと思っています。また、ばいじんだけを捕集して測る方法もあって、限られた回数でもダイオキシン類による汚染をある程度推測することが可能です。経費の関係がありますので、一番効果的なモニタリングシステムを考えればいいと思います。
 また、水田委員のギフチョウの件は大変重要な指摘で、広域的にそういう生物種をどうやって保全していくかという考え方が作られるべきだと思います。広島大学の地域貢献研究のひとつに、ギフチョウの生態についての調査がありました。調査でわかったことは、ギフチョウの生態を維持するために、森林の植生の状況が非常に重要で、交尾のためにある程度開けた場所も必要だということでした。確かに里山の生物なので、ある程度人の手の入った環境が保全された場所で繁殖する生物だと思います。調査にあたった渡辺教授の意見は、ギフチョウと人間とはうまく共存できるということで、なるほどと思いました。そういう知見が広島県ではだいぶ蓄積されていますので、そういう視点から既存のデータを整理して、こういう質問に対してお答えするのが親切かと思います。

関委員
 水田委員のご指摘は大変重要なことなのですが、厳密に調査したデータは、この周辺ではアイエスのものしかないということで、アイエスのデータが引用されているのは仕方がないと思います。ただそこに、広島市、広島県全域での今後の調査が必要であるとかいうことが一言入れてあればよかったのではないかと思います。
 絵下山のテレビアンテナの件では、私が植物を担当しましたが、ここでご紹介しておきたいのは、工事の途中で何度も現地で委員会を開催し、工事の進捗状況の説明を受け、問題点があればそこで指摘して改善する方向へ進めました。このようなことは、今まで広島県では行われたことがないようです。今回は、あまり大きな工事ではないのですが、工事の途中で一度現地に行き、状況を見て、我々の意見を反映するようなシステムがあればと思います。
 また、少し気になったのは、参考資料35ページに環境保全の見地以外の意見として8項目あがっていて、その中には、この審査会でも話の出た外環状線の問題とか、非常に重要な指摘があるのですが、これについては見解が全く付されていません。その辺の対応が必要かと思います。

会長
 意見は出尽くしたと思いますが、今日の議論を踏まえた上で、また、どうしてもこれはと思うことがあれば書面で意見を出してください。事務局は本日の議事録を取りまとめるとともに、できるだけご意見を取り入れて、答申の案を作ってください。
 それでは、事務局から連絡事項をお願いします。

毛利課長
 ただいま会長からご指示いただきましたとおり、本日の議事録を早速取りまとめ、審査会でのご意見を踏まえて答申案を作成させていただきます。
 会議の中でも申し上げたとおり、市民等の意見に対する事業者見解が12月1日に提出されましたので、それから90日以内に市長意見を述べなければいけないことから、市長意見の期限は3月1日となっています。
 委員の皆さんのご予定をお聞かせいただいた結果、答申案についてご審議いただく次回の審査会を2月6日(火曜日)の午前10時から開かせていただきたいと考えておりますのでよろしくお願いいたします。

会長
 それでは本日の会議はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。

関連情報

手続き実施中の事業:安佐南工場建替事業

Adobe Reader<外部リンク>

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)