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効果的な手洗いと調理器具の洗浄・消毒~食品営業者向け情報~
目次
1.洗浄の重要性
2.手指の洗浄と消毒方法
3.消毒薬の基本
4.主な消毒薬と特徴
5.その他の消毒方法
6.パンフレットダウンロード
1.洗浄の重要性
手指や調理器具等の洗浄・消毒は食中毒予防の基本です。特に洗浄を十分に行わないと、その後に行う消毒の効果は著しく低下します(消毒薬の効果は、ゴミ等の有機物の混入により大きく低下します)。消毒効果を過信せず、流水による洗浄を確実に行いましょう。特に水が冷たい冬季には洗浄時間が短くなりがちです。温水を使用するなど注意しましょう。
2.手指の洗浄と消毒方法
a 流水で流す。
b 石けんをつけ、クリーム状の細かな泡になるまでよく泡立てる。
c 指を交差させて、手のひらと指の横側をこする。
bc
d 手の甲側に組み替えて各指の股を洗う。
e 小指の外側・手のひら側面も洗う。
de
f 4本指の背側を、円を描くようにこすり洗う。このとき指を軽く曲げて関節部の皮膚のしわ部分を伸ばして入念に洗う。
g 親指の全体と付け根も洗う。
fg
h 指先の爪側と指腹をもみ洗いする。
(爪ブラシを使用するとよい。)
i 爪先は手のひらを引っかくようにこする。
j 指先を握り、1本ずつもみ洗いする。
k 親指と小指も指先から根元まで、1本ずつこすり洗いする。
jk
l 手首を一方の手でつかんで洗う。
m 手首とひじの中間も洗う。
n 石けん泡を流す。(20秒)
o 使い捨てペーパータオルでふく(タオルの共用はしない)。
p アルコール系の消毒液を手及び手首によくすりこむ。
その他のポイント
- 衣類のそで口はひじ上までまくりあげること。
- 水を散らさず、手洗い場付近を汚さないように静かに洗うこと。
- 冷水より温水の方が汚れがよく落ちます。
- 二度洗いをする場合は、上のa~nの手順を2回繰り返します。
※ アルコール系の消毒液ではノロウイルスは失活しませんが、ノロウイルス以外の食中毒細菌には効果があります。
日ごろから手洗いは、石けんで菌を洗い流し、アルコールで消毒する習慣を心がけましょう。
※ ダウンロード 手洗いの方法について(パンフレット)[PDFファイル/765KB]
3.消毒薬の基本
消毒薬の殺菌力には次の3つの重要な因子があり、これらを適切に管理しなければ、殺菌効果は期待できません。また、細菌等の微生物を殺す消毒薬は、使用方法を誤れば人体にとっても有害に作用します。消毒薬の使用説明書等をよく読み、適切に使用しましょう。
(1)濃度
希釈(薄めること)が必要な消毒薬は定められた濃度に希釈しないと、消毒効果がありません。目分量等で適当に希釈するのではなく、正確に計量して希釈しましょう。また、時間の経過や使用に伴い、濃度は低下する傾向があります。使用頻度等にあわせて、定期的に交換(作り直し)をしましょう。
(2)温度
消毒薬は低温で消毒効果が激減し、5℃以下では消毒効果がほとんど期待できなくなります。なるべく20℃以上で使用しましょう。気温が下がる冬季は注意して下さい。
(3)時間
消毒薬が消毒効果を発揮するには、一定の接触時間が必要です。作業を急ぎ、消毒時間を短くすると消毒効果はありません。決められた消毒時間を守りましょう。
※消毒薬を他の容器に移し替えたり、希釈した消毒薬を容器に詰める際、食品の空容器等を再利用すると、とり間違え(使い間違え)を起こすことがあります。消毒薬が入っている事がわかる容器を使用しましょう。
4.主な消毒薬と特徴
(1)アルコール系消毒薬
- 60~90%で消毒効果(通常、70~80%の実用的濃度で市販されている)。
- 殺菌スピードが速く、芽胞やノロウイルスを除く各種微生物に殺菌効果。
- 蒸発しやすく薬剤の残留はないが、殺菌力にも持続性がない。
- ノロウイルスには十分な効果がない。
- 濃度が低下すると効果が著しく低下する。
- 可燃性がある。
- 皮膚に対する刺激は少ないが、手指に繰り返し使用すると、脱脂作用やアレルギーで手荒れを起こす。
- アルコール系の消毒薬には用途や目的に合わせて多くの種類があり、使い分けが必要(手指の消毒用には粘膜保護剤や芳香剤が含有されており、調理器具に使用すると食品に臭いがうつる等)。
(2)塩素系消毒薬(次亜塩素酸ナトリウム)
- 使用目的にあわせて、希釈して使用する(原液の濃度を把握しておく必要がある)。
- 芽胞を除く各種微生物(ノロウイルス等、各種ウイルスを含む)に殺菌効果。
- 価格が安い。
- 金属に対して強い腐食性(錆びさせる性質)があり、繊維や色素に対して脱色(漂白)作用がある。
- 酸性になる(酸性洗浄剤と同時に使用する)と有毒な塩素ガスを発生する。
- 自然分解(蒸発)しやすく、濃度の低下がはやい。(使用直前に薄めて作る。)
- 皮膚に対する刺激が強く、手指の消毒には使用できない(ゴム手袋をつけて使用する)。
- 市販されている塩素系消毒薬の多くは6%又は12%です。必ず原液の濃度を確認し、下記の換算表を参考に、目的や用途にあわせて希釈して使用してください。
原液の濃度 |
希釈してつくる濃度 |
希釈してつくる濃度 |
希釈倍率 |
水1Lに対する原液量 |
---|---|---|---|---|
6 % |
100 ppm |
0.01 % |
600倍 |
1.7 ml |
200 ppm |
0.02 % |
300倍 |
3.3 ml |
|
500 ppm |
0.05 % |
120倍 |
8.3 ml |
|
1000 ppm |
0.1 % |
60倍 |
17 ml |
|
12 % |
100 ppm |
0.01 % |
1200倍 |
0.9 ml |
200 ppm |
0.02 % |
600倍 |
1.7 ml |
|
500 ppm |
0.05 % |
240倍 |
4.2 ml |
|
1000 ppm |
0.1 % |
120倍 |
8.5 ml |
参考 ノロウイルスの消毒用に家庭用の塩素系漂白剤(約5%)を薄めて作る方法
(1)1000ppm(0.1%)の液
1リットルの水をペットボトルに入れる
+
漂白剤のキャップ(20mL)に塩素系漂白剤を入れる
(2)200ppm(0.02%)の液
1リットルの水をペットボトルに入れる
+
ペットボトルのキャップ(4mL)に塩素系漂白剤を入れる
注意事項
- ※ 漂白剤の注意表示をよく読むこと
- ※ ペットボトルで希釈液を作った場合、原則使い切ることとし、ペットボトルに入れたまま保管しないこと
(3)逆性石けん(第四アンモニウム塩系消毒剤)
- 通常、10W/V%液として市販されており、0.1~0.2%に希釈して使用する事が多い。
- 塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等がある。
- 芽胞、ウイルスや一部の細菌(緑膿菌等)には効果がない。
- 皮膚に対する刺激が少なく、臭いもほとんどない。
- 金属腐食性が少なく、価格が安い。
- 無効な細菌(耐性菌)がある。
- 石けん(界面活性剤)の混入で消毒効果が低下する。
5.その他の消毒方法
(1)紫外線消毒
調理場内の天井や、包丁・まな板殺菌保管庫に使用されている紫外線消毒ランプには寿命があります。使用時間を計算し、定期的に交換するとともに、タイマーを使用する等効率的に使用しましょう。
紫外線消毒の効果はランプからの距離とともに減少し、紫外線があたらない影の部分には全く消毒効果がありません。
また、紫外線は皮膚がんを誘発するなど人体にも有害です。調理場内に設置されたランプは夜間等無人時に点灯し、点灯時には直接ランプを見ないようにしましょう。
(2)熱湯消毒
簡単で確実な消毒方法ですが、食器やまな板等では、ひび割れや反りが生じることがあります。耐熱温度を確認して実施してください。
6.パンフレットダウンロード(PDFファイル)
ノロウイルス食中毒を防ごう!(広島市作成 2017年度改正)(1MB)(PDF文書)[PDFファイル/1.1MB]
家庭用塩素系漂白剤を薄めて消毒液を作る場合の注意事項
※ 漂白剤の注意表示をよく読むこと
※ ペットボトルで希釈液を作った場合、原則使い切ることとし、ペットボトルに入れたまま保管しないこと
このページに関するお問い合わせ先
健康福祉局 保健部 食品保健課、食品指導課
電話:(食品保健課)082-241-7434、082-241-7437、(食品指導課)082-241-7404/Fax:082-241-2567(共通)