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広環保第69号
令和元年5月15日
広島市長 松井 一實 様(都市整備局都市計画課)
広島市長 松井 一實(環境局環境保全課)
このことについて、広島市環境影響評価条例(平成11年広島市条例第30号)第35条第2項の規定により読み替えて適用される第18条第1項の規定により、別紙のとおり環境の保全の見地からの検討を行った結果に基づく意見を述べます。
本事業は、デルタ内の公共交通ネットワークを担っている路面電車について、移動の円滑化を推進するとともに、利用者の利便性向上を図るため、南区松原町から南区比治山町までの区間に、約1.2kmの軌道を建設しようとするものである。また、本事業や広島駅南口広場の再整備事業などにより、広島市の陸の玄関である広島駅周辺の景観は大きく変貌することになる。
本事業の特性や地域特性に応じた適切な環境保全措置が講じられ、事業の実施に伴う環境影響が実行可能な範囲で低減されたものとなるよう、以下のとおり意見を述べる。
評価書で使用する用語や表現は市民に分かりやすいものとなるよう努め、専門用語を用いる場合は用語の解説を記載すること。
ア 事業計画地周辺の道路は交通量が多いことから、建設機械の稼動による大気質への影響については、一般走行車両からの排出ガスの影響も考慮した予測・評価を行い、結果を評価書に記載すること。
イ 切土工等又は既存の工作物の除去による粉じん等の影響については、ビル風による巻き上げや構造物等による吹き溜まりが生じることも考慮した環境保全措置を検討し、結果を評価書に記載すること。
ウ 交通渋滞が生じると自動車排出ガスが増加することから、軌道施設の設置に伴う車線数の減少による交通の流れへの影響について検討した結果を具体的に評価書に記載すること。
ア 路面電車の走行による騒音及び振動の予測に用いた、類似地点調査時の路面電車に係る加減速、擦れ違い等の走行状態を明らかにすること。また、本事業で予定している軌道敷の区間ごとの軌道構造を明らかにし、必要に応じて予測・評価結果を見直すこと。
イ 騒音の予測・評価における予測地点の選定理由を評価書に記載すること。
ウ 路面電車の走行による騒音については、遮音壁設置後の予測値であることを評価の文章に明記すること。
渡河部における高架構造物の構造や施工方法を明らかにした上で、工事の実施に伴う河川の水質への影響がないとした理由を評価書に記載すること。
ア 高架構造物については、景観上の配慮が技術的に可能な範囲や今後のデザイン決定手順を明らかにした上で、広島市の陸の玄関にふさわしい景観を形成すること。
イ 本事業により失われることになる中央分離帯の緑については、その沿道や広島駅南口広場の植栽可能な部分で補う措置を関係機関と連携して検討すること。
ウ センターポール式の架線を採用することとした経緯を明らかにするとともに、色彩、形状、配置等の景観上の配慮事項を検討すること。
エ 本事業の全体像がわかる完成予想図等を評価書に記載すること。
事業計画地については、城下町であったことや西国街道と交差していることに留意し、文化財の存在の可能性や取扱いについてあらかじめ関係機関と協議するとともに、協議結果を踏まえた今後の対応方針を評価書に記載すること。
建設工事に伴い発生する廃棄物の再資源化量や建設発生土の再利用量等を定量的に示すこと。
路面電車の走行による二酸化炭素排出量への影響については、路面電車の走行距離に応じた排出量の予測・評価を行うこと。
事後調査を行う必要がないと判断した項目については、その理由をより具体的に評価書に記載すること。