屋外広告物の手引き 第1章 屋外広告物の説明
1 屋外広告物規制の必要性
今日の経済活動には、屋外広告物は不可欠です。しかしながら、これがなされるままに放置されると、広告物の無秩序な氾濫で都市の景観や自然の風致を損なうことになるため、周囲と調和した適正な広告物の表示・設置が要請されます。
また、屋外広告物の設置や老朽化対策等の管理が適正に行われないと、広告物の落下や倒壊により公衆に危害が及ぶので、台風・地震等の天災地変にも耐え得るよう広告物の安全性が要求されます。
このように、屋外における広告物については、「良好な景観の形成と風致の維持」及び「公衆に対する危害の防止」という二つの観点から規制が必要とされています。
2 屋外広告物の定義
屋外広告物とは、屋外広告物法により、次の4つの要件をすべて満たしている広告物をいいます。
- 「常時又は一定の期間継続して」表示されるものであること。
- 「屋外で」表示されるものであること。
- 「公衆に」表示されるものであること。
- 看板、立看板、はり紙、はり札や広告塔、平看板、建物、その他の工作物等に掲出され、又は表示されたもの並びにこれらに類するものであること。
以上の4つの要件を満たしている広告物は、営利的なもの、非営利的なものを問わず「屋外広告物」に該当します。
具体的には、
- 「常時又は一定の期間継続して」というのは、定着して表示されるものをいい、街頭で配布されるビラやチラシの類は屋外広告物になりません。これらは、電柱や塀などにはられたとき初めて定着性が生じ、「屋外広告物」に該当することになります。
- 「屋外で」というのは、建物等の外側に広告物があることを意味し、屋外にいる不特定多数の公衆に対して表示されるものであっても、屋内に存在する広告物であれば、「屋外広告物」として取り扱いません。(例、ビル・タクシー等の窓の内側から外側に向けて、はり付けるビラなど)
- 「公衆に」表示というのは、不特定多数に対して表示するものをすべて含むのでなく、例えば、建物の外側に表示されているものであっても、その建物が閉鎖的な中庭を有しており、その中庭に向かって表示されているようなものは「公衆に」表示されているものとして取り扱いません。(例、球場や鉄道駅構内の内側に向かって表示される広告物など)
なお、「表示」というためには、文字、絵、シンボルマークなどで一定の観念・イメージが表示されることが必要で、何らの観念・イメージ等が表示されていないものは「屋外広告物」として取り扱いません。また、本市では基本的に商業広告を屋外広告物の規制対象としており、絵等のうち、景観に配慮した非営利的な(掲出者の営業内容とは無関係な)絵画などは規制の対象外としています。 - 「その他の工作物等」というのは、広告塔、平看板、建物ばかりでなく、もともと広告物の表示又は掲出の目的をもったものでない煙突・板塀のようなものや、工作物とはいえないような石垣や樹木等も意味し、これらを利用したものも「屋外広告物」として取り扱われます。
以上のように、「屋外広告物」とは、看板、立看板、はり紙、はり札、広告塔、平看板等の典型的な広告物だけでなく、ネオンサイン、アドバルーン、建物の外壁に表示されるもの等までも含む広い概念なのです。
なお、音響による宣伝は、屋外広告物に該当しません。
3 屋外広告物の種類
種別(注1) |
説明 |
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平看板 | 土地、建物、工作物等に固定して設置 (注2)された建植看板、壁面利用広告物(壁面看板、突出し看板及び直塗り等広告物)、アーチ看板、つり下げ看板等をいう。 |
広告塔 | 土地、屋上等に固定して設置された円柱、角柱、球又はこれらを組み合わせた立体的な形状の広告物をいう。 |
掲示板 | チラシ、ポスター等の広告物を表示する目的で土地、建物、工作物等に固定して設置された掲示板をいう。 |
立看板 |
容易に移動させることができる状態で立てられ、又は立て掛けられている次のような広告物又は掲出物件をいう。
|
電柱広告 | 電柱、街灯柱等に添加又は巻付けにより表示された広告物をいう。 |
車両広告 | 電車、自動車等(宣伝車を除く。)の車体に表示された広告物をいう。 |
宣伝車 | 車体、搭載物等に広告物を表示して運行する車両であって、宣伝以外に運行の目的がないものをいう。 |
幕広告 | 横断幕、懸垂幕、広告旗等の幕状の広告物及びこれらを掲出するための物件をいう (注3)。 |
気球広告 | 気球にロープ、ネット、布等を付加し、建物、工作物等に取り付けて表示された広告物をいう。 |
はり札 | ベニヤ板、プラスチック板等に表示された広告物であって、容易に取り外すことができる状態で建物、工作物等に取り付けられているものをいう。 |
はり紙 | ポスター、チラシ等を建物、工作物等にはり付けて表示する広告物であって、材質、表示内容等から短期間の表示であることが推定されるもの (注4)をいう (注5、6)。 |
- 注1 種別は、条例別表(屋外広告物等表示・設置許可申請手数料)の「種別」に準拠した。
- 注2 「固定して設置」とは、土地等に建植し、又は基礎構造物、建物の駆体等にボルト、溶接等により固定して設置することをいう。
- 注3 金枠等にテント地等を固定して長期間表示する広告物、ビルの建設現場の足場を囲うシート等に表示する広告物等は平看板として取り扱う。
- 注4 募集案内、開催案内等の表示をいう。
- 注5 耐久性のある材質であって、表示内容等から長期間の表示が推定されるもの(取扱い商品、営業内容の表示等)は、壁面広告(平看板)として取り扱う。
- 注6 電柱等に接着剤等ではり付けられた違反広告物であって、容易に取り外すことができず、除却の際に破損したものは、材質にかかわらず、はり紙として取り扱う。
4 屋外広告物の法体系
屋外広告物に関しては屋外広告物法があり、それに基づき条例や規則等が定められています。したがって、本市内で屋外広告物を表示・設置する場合、下図に示す条例、規則、規程、告示に従わなければなりません。
5 広島市屋外広告物条例と関係のある主な法令
法規 |
目的 |
関係規制内容 |
所管 |
---|---|---|---|
屋外広告物法 | 良好な景観の形成 風致の維持 危害防止 |
屋外広告物の表示場所、方法等についての規制基準 | 都市整備局都市計画課 都市デザイン係 各区役所 (農林)建設部維持管理課 |
広島市 屋外広告物条例 |
良好な景観の形成 風致の維持 危害防止 |
本市域内における屋外広告物の表示・設置の許可・方法 | 都市整備局都市計画課 都市デザイン係 各区役所 (農林)建設部維持管理課 |
景観法 | 良好な景観の形成を促進 | 景観計画区域内における屋外広告物の表示・設置に関する行為の制限等の計画策定 |
都市整備局都市計画課 |
広島市 |
良好な景観の形成を促進 | 景観計画重点地区の指定 広島市景観審議会の設置 |
都市整備局都市計画課 |
道路法 | 道路の整備、管理 | 道路の占用許可(32条) 道路管理者等の監督処分(71条) |
各区役所 (農林)建設部維持管理課 国土交通省 広島国道事務所 |
広島市 道路占用規則 |
道路上の広告物の規制 | 道路上に広告物を設置する場合の占用許可基準(別表第6) | 各区役所 (農林)建設部維持管理課 |
道路交通法 | 危険防止 交通の安全と円滑 |
道路の使用許可(77条) 違反工作物等に対する措置(81条、82条) |
各警察署 |
建築基準法 | 国民の生命、健康 財産の保護 |
工作物の建築確認(88条) 確認を必要とするものは高さ4mを超える広告塔・広告板(施行令138条) 開口部を覆わない(35条・施行令126条の6) |
各区役所 (農林)建設部建築課 |
都市計画法 | 都市計画事業の円滑な施行 | 建築等の制限(第65条) | 各区役所 (農林)建設部地域整備課又は道路交通局街路課 (路線によって区分されている。) |
消防法 | 危害防止 | 開口部を覆った場合の代替(17条・施行令10条・施行規則第5条の2) | 各消防署 |
公職選挙法 | 選挙活動の自由 | 選挙運動の際の文書図画の掲示方法、場所等(143条、143条の2、145条、147条等) | 各区選挙管理委員会 |
行政代執行法 | 違反看板の強制撤去 | 除却命令に反して出している広告物の強制撤去(2条) | 各区役所 (農林)建設部維持管理課 |
このページに関するお問い合わせ
都市整備局都市計画課 都市デザイン係
〒730-8586 広島市中区国泰寺町一丁目6番34号 11階
電話:082-504-2277(都市デザイン係) ファクス:082-504-2512
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