平成23年度 建設工事等に係る入札・契約制度の見直し
平成23年(2011年)8月19日
依然として厳しい経済情勢により、地元事業者を取り巻く環境は非常に厳しい状況にあり、また、東日本大震災の発生により、経済の先行きが不透明で、更に厳しさが増すことが考えられます。
こうした状況を踏まえ、地元事業者の育成を図る観点から、次のとおり入札及び契約制度を見直します。
建設工事に係る見直し
1 最低制限価格制度の対象範囲の拡大
公共事業の早期発注や事業者の負担軽減を更に図るため、最低制限価格制度の対象範囲を設計金額1,000万円未満の工事から1億円未満の工事に拡大します。
なお、最低制限価格を設定した工事において、入札価格が最低制限価格を下回った場合は、当該入札を無効とします。
2 市内本店業者の受注機会の拡大
(1)特定建設工事共同企業体限定入札等の試行的実施
市内本店業者の受注機会の拡大を図るため、混合入札(*注1)対象工事のうち特殊な技術を要する工事等については、特定建設工事共同企業体に限定した入札を試行的に実施します。
また、これとは別に、混合入札における単体企業の地域要件(*注2)を市内本店業者に限定した入札を試行的に実施します。
- 注1 混合入札:自主結成による特定建設工事共同企業体と単体企業との混合による入札
対象工事: 土木一式工事・建築一式工事6億円以上
その他3億円以上 - 注2 地域要件:入札参加条件として付する営業所の所在地要件
(2)下請発注における市内本店業者活用の促進
地元事業者の更なる活用の観点から、設計金額1億円以上6億円未満の工事について下請発注(2次以降の下請発注を含む。以下同じ。)する場合には、プラント工事等の高度又は特殊な技術を要する工事等のため市内本店業者へ下請発注できない場合を除き、原則として市内本店業者への下請発注を義務付けます。
また、やむを得ず市外本店業者に下請発注しようとする場合には、あらかじめ、「市内本店業者を下請業者とすることができない理由書」の提出が必要となります。
参考:市内本店業者以外の者へ下請発注することを承認しない事例
施工可能な市内本店業者がいるにもかかわらず、市外本店業者と下請契約を行うこと。
- 安価という理由で
- 協力(系列)会社という理由で
- 永年にわたり取引があるという理由で
(3)区内本店業者の受注機会の拡大
区内本店業者の受注機会を拡大するため、土木一式工事等に係る区内本店業者に限定した競争入札の範囲を、設計金額1,000万円未満の工事から3,000万円未満の工事へ拡大します。
なお、入札参加者が少ないと見込まれるときは、隣接区の対象者を含めて競争入札を実施します。
また、本市の災害応急復旧に係る協力体制を充実させる観点から、本市の災害協力事業者(「広島市災害応急対策に係る協力事業者の登録等に関する要綱」に基づく登録を受けている者)への登録を要請します。
3 総合評価落札方式の試行的実施
最低制限価格制度の対象範囲の拡大に伴い、総合評価落札方式(*注)による一般競争入札については、設計金額1億円以上の工事を対象に、技術提案や施工計画等の技術力を評価する方式を試行的に実施します。
注総合評価落札方式:価格のほか「技術提案」、「企業の施工能力」、「配置予定技術者の能力」、「地域貢献等社会的項目」等の項目を総合的に評価した上で落札者を決定する方式です。
建設コンサルタント業務等に係る見直し
4 最低制限価格制度の導入
公共工事の早期発注と厳しい経営環境におかれている地元事業者の負担軽減を図るため、最低制限価格制度を導入します。
なお、最低制限価格を設定した業務において、入札価格が最低制限価格を下回った場合は、当該入札を無効とします。
(1)対象業務
- ア 設計金額1,000万円未満の建設コンサルタント業務
- イ 災害復旧工事等で緊急を要する工事に係る建設コンサルタント業務
(2)最低制限価格の算定方法
- ア 土木関係の建設コンサルタント業務(下水道関係を除く。)
(直接人件費の額+直接経費の額+その他原価の額×0.9+一般管理費等の額×0.3)×0.9×1.05 - イ 測量業務
(直接測量費の額+測量調査費の額+諸経費の額×0.4)×0.9×1.05 - ウ 地質調査業務
(直接調査費の額+間接調査費の額×0.9+解析等調査業務費の額×0.75+諸経費の額×0.4)×0.9×1.05 - エ 建築関係の建設コンサルタント業務
(直接人件費の額+特別経費の額+技術料等経費の額×0.6+諸経費の額×0.6)×0.9×1.05 - オ 土木関係の建設コンサルタント業務(下水道関係に限る。)及び補償関係コンサルタント業務
(直接人件費の額+直接経費の額+技術経費の額×0.6+諸経費の額×0.6)×0.9×1.05
(3)最低制限価格の事前公表
建設工事と同様に、透明性の確保及び不祥事防止の観点から、最低制限価格は事前公表とします。
5 市内本店業者の受注機会の拡大
地域経済の活性化の観点から、土木関係及び補償関係の業務に係る市内本店業者に限定した競争入札の範囲を、原則として設計金額1,000万円未満の業務に拡大します。
なお、特殊な業務等のため、入札参加者が少ないと見込まれるときは、市外本店業者を入札参加者に加えます。
区分 |
現行 |
見直し |
---|---|---|
土木関係 道路等 |
設計金額300万円未満 | 設計金額1,000万円未満 |
土木関係 下水道 |
設計金額700万円未満 | 設計金額1,000万円未満 |
建築関係 |
設計金額1,000万円未満 | 変更なし |
補償関係 |
設定なし | 設計金額1,000万円未満 |
※測量業務、地質調査業務は、土木関係の道路等に含む。
6 業務成績優良業者限定競争入札の試行的実施
建設コンサルタント業務等においては、平成19年度から業務成績評定制度を導入しています。
業務成績優良業者の受注機会を確保するとともに、業務の品質確保を図るため、前年又は前々年の業務成績評定点が平均点以上の者を対象に、限定競争入札を試行的に実施します。
なお、業者ごとの年間の業務委託平均成績については、都市整備局指導部技術管理課で、当該業者からの請求により当該業者に開示します。
(1)対象業務
広島市建設コンサルタント等業務成績評定要領の評定対象業務を対象業務とし、次の業務区分のとおり分類します。
土木関係業務
- 土木関係の建設コンサルタント業務(監理業務を除く)
- 測量業務
- 地質調査業務
建築関係業務
建築設計等業務
(2)入札参加対象者
通常の入札参加条件に加えて、次の要件を全て満たす者を対象者とします。
- ア 前年又は前々年のいずれかの年において、対象業務件数(*注1)が2件以上あり、かつ、それらの業務成績評定点の平均点(*注2)が、当該年の全体平均点(*注3)以上であること。
- 注1 対象業務件数:
土木関係業務に含まれる対象業務の合計件数
建築関係業務に含まれる対象業務の合計件数 - 注2 平均点:
土木関係業務に含まれる対象業務の平均点
建築関係業務に含まれる対象業務の平均点 - 注3 全体平均点:
土木関係業務、建築関係業務毎に全体平均点を算出する。
区分
平成22年(暦年)
平成21年(暦年)
土木関係業務 78点 75点 建築関係業務 72点 72点 ※全体平均点は、毎年度4月に公表します。
- 注1 対象業務件数:
- イ 平成21年及び平成22年における当該業務区分に係る完成業務の中に、業務成績評定点が65点未満のものがないこと。
- ウ 平成22年度及び平成23年度に指名停止措置を受けている期間がある者でないこと。
7 低入札価格調査制度における調査基準価格の算定方法の見直し
国の算定式に準じて、調査基準価格の算定方法を次のとおり見直します。
- 区分
- 調査基準価格(税込)の算定方法
- 現行
- 予定価格×2/3×1.05
- 見直し
-
- 土木関係の建設コンサルタント業務(下水道関係を除く。)
(直接人件費の額+直接経費の額+その他原価の額×0.9+一般管理費等の額×0.3)×1.05
[上限:予定価格(税込)の80%下限:予定価格(税込)の60%] - 測量業務
(直接測量費の額+測量調査費の額+諸経費の額×0.4)×1.05
[上限:予定価格(税込)の80%下限:予定価格(税込)の60%] - 地質調査業務
(直接調査費の額+間接調査費の額×0.9+解析等調査業務費の額×0.75+諸経費の額×0.4)×1.05
[上限:予定価格(税込)の85%下限:予定価格(税込)の3分の2] - 建築関係の建設コンサルタント業務
(直接人件費の額+特別経費の額+技術料等経費の額×0.6+諸経費の額×0.6)×1.05
[上限:予定価格(税込)の80%下限:予定価格(税込)の60%] - 土木関係の建設コンサルタント業務(下水道関係に限る。)及び補償関係コンサルタント業務
(直接人件費の額+直接経費の額+技術経費の額×0.6+諸経費の額×0.6)×1.05
[上限:予定価格(税込)の80%下限:予定価格(税込)の60%]
- 土木関係の建設コンサルタント業務(下水道関係を除く。)
共通の見直し
8 電子くじの試行的実施
これまで電子入札において、予定価格の制限の範囲内で、最低の価格をもって有効な入札書の提出を行った者が2者以上ある場合は、原則として開札日の翌日に「くじ引」を行い、入札参加資格を確認する順番を決定してきましたが、入札参加者の利便性の向上と入札手続の効率化を図るため、電子入札システムのくじ機能を利用し、「電子くじ」による順番の決定を試行的に実施します。
なお、入札公告等において「電子くじ」を指定しない入札(調査基準価格を設定する案件及び単価契約で行う案件等)については、従来の「くじ引」(電子くじ機能を利用しないくじ引き)で実施します。
※「電子くじ」の概要については、以下のリンクを参照してください。
9 実施時期
上記の建設工事及び建設コンサルタント業務等に係る見直しについては、平成23年9月1日以降に入札公告等を行うものから適用します。
その他のお知らせ
次のお知らせに関する事項については、平成23年9月1日以降に入札公告等を行うものから適用します。
建設工事・建設コンサルタント業務等
1 建設工事請負契約約款及び委託契約約款の改正
(1)国の標準請負(委託)契約約款の改正に準じ、次に掲げる契約約款を改正します。
建設工事
- 広島市建設工事請負契約約款
- 広島市建設工事請負契約約款(単価契約)
建設コンサルタント業務等
- 広島市委託契約約款(建設コンサルタント業務等用A)
- 広島市委託契約約款(建設コンサルタント業務等用B)
- 広島市委託契約約款(建築設計業務用)
- 広島市委託契約約款(補償コンサルタント業務用)
※3と4とは、第41条のかし担保責任の存続期間に関する規定が異なります(この条文は従来どおりで、今回は改正していません。)。
(2)主な改正点は、次のとおりです。
共通
- 「甲」・「乙」の略称表記を廃止し、「甲」を「発注者」、「乙」を「受注者」と表記しました。
- 受発注者間の対等性を明確にする観点から、工期又は委託期間の延長に伴う増加費用の負担について、発注者に帰責事由がある場合には発注者が費用を負担する規定を新設しました。
- 公共工事等からの暴力団関係者の排除を強化するため、発注者が契約を解除できる場合として、公共工事等の再委託に関し、受注者が故意に暴力団関係者と契約を締結した場合等を加えました。
建設工事
現場代理人の工事現場における運営・取締り及び権限の行使に支障がない等一定の要件のもとに、現場代理人の工事現場における常駐を要しないこととすることができる規定を新設しました。
建設工事
2 最低制限価格を設定した工事における工事費内訳明細書(第4段階レベルまで)の提出
ア 入札後資格確認型一般競争入札
最低制限価格と同額で入札した場合には、一般競争入札参加資格確認申請書等の提出時に、新たに、工事費内訳明細書(第4段階レベルまで)を提出する必要があります。
イ 指名競争入札
最低制限価格と同額で入札する場合には、新たに、工事費内訳明細書(第4段階レベルまで)を入札書に添付して提出する必要があります。
3 最低制限価格制度における下請業者への支払状況の確認
最低制限価格制度を適用した工事のうち、最低制限価格と同額で契約した工事やその他選定する工事を対象として、工事完成時に労働者への賃金の支払い状況を、工事完成後に下請代金の支払状況を、それぞれ確認していますが、設計金額5,000万円以上の工事のうち、最低制限価格と同額で契約した工事についてのみ確認するよう変更します。
また、その工事(設計金額5,000万円以上かつ最低制限価格と同額)においては、中間検査時等に下請代金の支払状況も確認します。
建設コンサルタント業務等
4 労働者の労務費の確認
建設コンサルタント業務等についても、建設工事と同様に、入札価格が調査基準価格の85%を下回る場合には、低入札価格調査報告書において、新たに賃金台帳等に基づく「労務費内訳書」の提出を求め、労働者の労務費を確認することを試行的に実施します。
5 業務委託費構成の変更
低入札価格調査における数値的判断基準を適用するときの業務委託費構成を次のとおり変更します。
(変更した部分は、太字で表示しています。)
分類 |
測量業務 |
地質調査業務 |
建築関係建設コンサルタント(注3) |
土木関係建設コンサルタント業務(注4) |
下水・補償関係コンサルタント業務(注5) |
---|---|---|---|---|---|
直接費等 |
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間接費等 |
諸経費 | 諸経費 |
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※それぞれの経費の内容は、公表されている積算基準等を参照のこと
- 注1 道路環境調査(現地調査)、洪水痕跡調査、河川水辺環境調査、水質採水作業、水文観測、交通量調査等の業務を含む
- 注2 一般調査業務を指し、解析等調査業務は含まない
- 注3 工事監理業務、耐震診断関連業務等の業務を含む
- 注4 地質調査業務(解析等調査)、道路環境調査(既存資料調査)等の業務を含む
- 注5 下水は、下水道用標準積算歩掛表を使用する業務
- 注6 業務によって、直接調査費、直接業務費、直接採水費、直接費と呼ぶ
- 注7 運搬費、準備費、仮設費、安全費、借地料、旅費交通費、施工管理費、営繕費等
- 注8 RIBC利用料、PUBDIS登録料等
補足事項
1 電子入札システムの操作に関する問い合わせ
システム操作に関して不明な点がある場合は、電子調達ヘルプデスク(082-848-4115)までお問い合わせください。
2 発注見通し、入札公告及び入札結果の公表
「広島市電子調達システムポータルサイト」から見ることができます。
3 今年度の「制度の見直し」及び「その他のお知らせ」に係る広島市ホームページの掲載箇所
- 工事費内訳明細書(第4段階レベルまで)の提出の詳細については、工事費内訳書作成要領
- 最低制限価格制度における下請業者への支払状況の確認の詳細については、最低制限価格制度適用工事マニュアル
- 労働者の労務費の確認及び業務委託費構成の変更の詳細については、低入札価格調査マニュアル(建設コンサルタント業務等用)
で以降にご覧になれます。
お問合わせ
「建設工事に係る見直し」の3については、
広島市都市整備局指導部技術管理課
電話 082-504-2282(直)
Eメール [email protected]
上記以外については、
広島市財政局契約部工事契約課
電話 082-504-2280(直)
Eメール [email protected]
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このページに関するお問い合わせ
財政局契約部 工事契約課
〒730-8586 広島市中区国泰寺町一丁目6番34号(15階)
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