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世界に誇れる「まち」の実現に向けて―市政推進に当たっての基本コンセプト―(平成25年版広島市勢要覧)

ページ番号:0000012654 更新日:2015年1月6日更新 印刷ページ表示

目次

1.策定に当たって
(1)はじめに
(2)目指すべき「まち」の姿
(3)「まち」の三つの要素の展開
2.「活力にあふれにぎわいのあるまち」の実現に向けた取組の方向性
(1)都市機能の充実強化
(2)産業の振興
(3)観光の振興
3.「ワーク・ライフ・バランスのまち」の実現に向けた取組の方向性
(1)雇用の促進等
(2)保健・医療の充実
(3)福祉の充実
(4)未来を担う子どもの育成
(5)スポーツ・文化芸術の振興
(6)安全・安心に暮らせる生活環境の整備
4.「平和への思いを共有するまち」の実現に向けた取組の方向性
(1)核兵器廃絶と世界恒久平和の実現
(2)「迎える平和」の推進
5.取組を進めるに当たり留意すべき点
(1)市民の目線で考えます
(2)地域資源を掘り起こし、有効活用します
(3)近隣市町や県との連携を強化し、地方分権を推進します
(4)「市民の力」を結集します
(5)行財政改革を着実に進めます

 

1.策定に当たって

(1)はじめに

この「世界に誇れる『まち』の実現に向けて」は、本市が目指すべき「まち」の姿と、その実現に向けた基本的な考え方を示したものです。
具体的な「まち」づくりは、このような基本コンセプトを踏まえながら、毎年度編成する政策予算等に基づき、進めていきます。

(2)目指すべき「まち」の姿

本市が目指すべき「まち」の姿は、市民が「世界に誇れる『まち』」です。「世界中の人々が一生のうち、一度は訪れてみたいと思う『まち』」、そして、「そこに暮らす人々の生き生きとした営みがある『まち』」、そのことが訪れる人々に、他では得られない強い感銘を与えます。本市は被爆体験を通じ、「平和の尊さ」を体現する「まち」となっています。このような広島の「まち」で、誰もが「生きることの素晴らしさ」を心と体で実感できるようにすることを目指します。
このような「まち」は、次の三つの要素から成り立っています。

  • 活力とにぎわい
  • ワーク・ライフ・バランス
  • 平和への思いの共有

(3)「まち」の三つの要素の展開

世界に誇れる「まち」の三つの要素は、次のように展開します。

ア.まずは土台づくりから

中枢都市である本市は、県や近隣市町との連携の下、地域力を発揮し、市域のみならず、広島県全体の活力を生み、さらには、中四国地方の発展を牽引する存在とならなければなりません。そのための土台は、地域経済の持続的な発展により実現する「活力にあふれにぎわいのあるまち」です。
地域経済が持続的に発展するためには、地域で繰り返し投資が行われることが必要です。投資が地域での雇用や新たな商品・サービスを創出し、それらが生み出す価値が更なる投資へとつながります。このように、ヒト・モノ・カネを循環させることが、地域で新たな雇用や所得を生み、企業の生産性の向上につながり、ひいては、市民サービスのための財源(市税)確保にもつながります。
この財源を行政として再投資することが、地域経済に大きな影響を及ぼします。公共事業は、施設等が整備されることによる効果だけではなく、地域経済の循環という観点からも極めて重要です。また、その他の様々な市民サービスについても、その受益者が更なる好循環を生み出すことが望ましい姿です。こうした好循環の輪を大きくしていくため、様々な取組を行っていきます。

イ.市民が生き生きと暮らすためのステージづくりへ

地域経済の活性化により、地域に多様な雇用が確保され、市民生活の質の向上が図られます。また、市民サービスのための財源が確保され、保健・医療・福祉・教育の充実、スポーツ・文化芸術の振興、さらには、各区の地域資源や特性を生かした地域起こし、安全で安心な地域社会の形成など、市民生活全般に関わる諸施策の更なる充実に取り組むことができます。
こうした取組により、安定した仕事があり、働きがいがある、介護や医療に悩むことなく、また、安心して子育てができる、家族でくつろぐことができる、元気にスポーツができる、優れた文化芸術を鑑賞できる、といった市民が生き生きと暮らすことのできるステージ、すなわち、多様な価値観を持った市民が、その価値観に応じて仕事と生活が調和した生活を送ることができる「ワーク・ライフ・バランスのまち」を実現していきます。

ウ.平和への思いの共有

世界で最初に被爆し、廃墟から立ち直った広島は、「平和の尊さ」を体現する「まち」です。その「まち」は、世界のどこよりも、平和の心が育ち、街に平和が香る「まち」でなければなりません。世界中から多くの人々が訪れる平和記念公園をはじめ、本市には様々な地に、世界中の人々の平和への祈りが込められています。今後、こうした祈りを絶やすことなく世界中に広げていくことが、ヒロシマの使命です。このため、市民一人一人が被爆者自身の被爆体験や平和への思いを引き継ぎ、共有し、そして、核保有国の為政者をはじめ、より多くの人々も広島を訪れ、被爆の実相に触れることによって市民と同じように被爆者の体験や平和への思いを共有するようにしなければなりません。このように、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向けて「平和への思いを共有するまち」を目指します。

目指すべき「まち」の姿のイメージ

         目指すべき「まち」の姿のイメージ

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2.「活力にあふれにぎわいのあるまち」の実現に向けた取組の方向性

(1)都市機能の充実強化

少子・高齢化、低成長経済といった状況下における都市経営の基本は、都市機能の拡散の抑制と、その適切な配置による集約型都市構造の形成を図ることです。具体的には、都心においては、活力と求心力の源となるような機能を集中し、充実強化を図る一方、それ以外の地域においては、地域ごとの特性や将来性等を踏まえつつ、既に集積した機能のうち、生かすべきものを選択し、強化します。そして、これらを有機的に連携させることにより、本市全体としての都市機能を強化し、活力とにぎわいを生み出す基盤とします。

中でも、都心については、広島の「顔」としての求心力を一層高め、ヒト・モノ・カネの県域を越えた大きな循環を生み出していく必要があります。このため、広島の陸の玄関である広島駅周辺地区と紙屋町・八丁堀地区を都心の東西の「核」と位置付け、それぞれが活力とにぎわいのエンジンを持ち、相互に刺激し高め合うような「楕円形の都心づくり」を推進します。また、二葉の里地区や旧広島市民球場跡地、広島大学本部跡地、広島西飛行場のヘリポート化に伴う跡地をはじめとした大規模未利用地については、中四国地方の雄として県や近隣市町からの期待にも応えられるよう、将来をしっかりと見据えた活用方策を検討します。さらに、広島の海の玄関である広島港を中心とした臨海部及びその後背地についても、その再整備に取り組みます。

また、こうした都市構造を形成する上では、公共交通を中心とした都市内交通の円滑化が不可欠です。このため、JRや路面電車、バス、アストラムラインなど公共交通の結節点の整備をはじめ、利用者の利便性向上の観点に立った公共交通ネットワークの形成を図ります。加えて、近距離移動に手軽で、かつ環境に優しい交通手段である自転車は、都市内交通の一翼を担う乗り物として、その役割がますます重要になっています。このため、歩行者の安全確保を図りつつ、自転車が通勤や通学、買物、観光など様々な場面で活用されるよう、その環境整備に取り組みます。

さらに、本市と近隣市町の経済・文化交流の活性化や国内外からの誘客拡大など、まちに活力とにぎわいを呼び込むためには、都市の内外を結ぶ陸海空の交通ネットワークの強化が重要です。このため、物流や旅客輸送において、時間とコストの競争力を確保するための基盤の整備・充実を図っていく必要があります。具体的には、高速道路インターチェンジや空港、港湾などへのアクセスを強化する自動車専用道路、近隣市町に連絡する広域的な幹線道路の整備に取り組みます。

(2)産業の振興

広島には、ものづくりの高い技術などを有する地場産業が多くあり、その大半は中小企業で構成されています。こうした中小企業の振興を図ることにより、地域経済の基礎であるヒト・モノ・カネの循環が活発化し、地域経済の振興と雇用の拡大に大きく貢献します。このため、これらの企業の活力を高めることができるよう、事業拡大や技術開発などに積極的に取り組む企業に対する支援の充実強化を図ります。

一方で、企業誘致は、新たな雇用を生み出し、従業者による消費や市税収入の増加など新たな循環を促します。とりわけ、今後の時代を見据え、成長する分野の企業誘致に取り組むことが重要です。加えて、地場の企業群についても、成長分野への進出が容易にできるような支援を行うことが重要です。このため、西風新都について、こうした観点にも立って現行の全体計画を見直し、新たな企業の誘致をより一層推進するとともに、地場産業の事業拡充の受皿として活用できるようにしていきます。

また、交通網の充実や情報通信手段の急速な発達・普及により、人々の活動範囲が行政区域を越えて広域化しています。産業の振興については、経済圏として一体を成している近隣市町と連携し、各市町の資源を活用した取組を進めることが、新たな地域発展の契機となります。このため、近隣市町とともに「まち起こし協議会」を設置して具体的な方策を策定し、共同連携した取組を進めていきます。

さらに、商店街は、各地域においてヒト・モノ・カネが循環する拠点であり、市民に身近な買物の場として、また、地域コミュニティの場として重要な役割を担っています。その衰退は、地域の地盤沈下に直結すると言っても過言ではありません。このため、それぞれの商店街について、地域特性や求められる役割を踏まえつつ、その振興を図るための取組を行います。

本市は、緑豊かな山々に抱かれ、南には波静かな瀬戸内海が広がるなど、恵まれた自然環境を有しています。こうした恵まれた環境の下での農林水産業の振興は、市民へ新鮮で安全・安心な農林水産物を供給し、健康で豊かな市民生活を創造することにつながります。そして、農林水産業の振興に当たっては、それぞれの産業が持続的に発展するよう、その担い手が効率的かつ安定的な経営を行うことができる環境の整備が不可欠です。このため、農業生産基盤整備や健全な森林の育成、水産資源の確保などを計画的に進めるとともに、多様な担い手の育成や地元産品の消費拡大に寄与する地産地消の推進などに取り組みます。

(3)観光の振興

観光は、旅行、飲食、宿泊、輸送など様々な産業が関わるものであり、国内外から多くの観光客が広島に訪れれば、広島を中心としたヒト・モノ・カネの大きな循環が生まれます。このことが、地域の雇用促進や個人消費の拡大など地域経済の活性化への起爆剤となります。

観光の振興に当たっての基本姿勢は、広島ならではの「おもてなし」です。ヒロシマという世界的な知名度や世界遺産、歴史を伝える魅力的な資源、豊かな自然をテコとしつつ、訪れた人に「また来てみたい」、「住んでみたい」と感じてもらえるよう、まち全体として「観光起こし」を推進する必要があります。

どんなに素晴らしい観光資源があっても、それだけでは多くの人々を引き付けることはできません。そこへ至る動線やまち全体の空間の美しさ、そこに暮らす人々の立ち居振る舞いまでも含めたおもてなしが、市民はもとより、訪れた人に居心地のよい、安らぎを与えます。例えば、ごみや落書きのない、緑や花いっぱいの美しいまちは、そのまちに暮らす一人一人の小さな取組の積み重ねがなければ実現しませんが、それが実現できたときには、必ずや訪れた人に対するおもてなしになります。こうしたことは、地域に誇りと愛着を持つ市民・企業・行政等が一体となって取り組むべき課題です。

また、街並みや水・緑といった貴重な都市資源を生かした美しい都市空間は、多くの人々を引き付け、観光の振興に寄与します。このため、広島の歴史を伝える魅力的な資源や豊かな水と緑に恵まれた自然を生かした個性的で魅力ある景観の形成を図り、美しく品のある都市景観の創出に取り組みます。さらに、水辺を生かしたにぎわいづくりとして進めている「水の都ひろしま」づくりと「瀬戸内 海の道構想」を一体的に展開し、広島の観光地としての魅力向上を図り、誘客の促進につながるようにします。

そして、自然や街並み、食文化、地域に伝わる伝統芸能など、私たちにとっては日常的なものであっても、初めて触れる人の興味をひくものがあります。こうしたものを新たな観光資源として活用できるよう、その発掘・開発に知恵と創意を結集し、観光客に地元のなりわいや文化を実体験してもらうといった観光メニューやプログラムを提供していきます。

近隣市町も観光資源の宝庫です。宮島の嚴島神社や岩国の錦帯橋などの歴史ある神社仏閣・建造物、四季折々に違った表情を見せる恵まれた自然、温泉、地酒や海の幸・山の幸など、様々な観光資源があります。こうした資源を結び付けることが、個々の魅力を相乗的に高めることになります。このため、魅力ある広域観光ルートの開発や観光プロモーションの共同実施など、近隣市町と連携した取組をより一層推進し、観光地としての魅力向上と誘客の促進に取り組みます。

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3.「ワーク・ライフ・バランスのまち」の実現に向けた取組の方向性

(1)雇用の促進等

「ワーク・ライフ・バランスのまち」の実現に向けた重要な要素の一つは、市民の誰もが、やりがいのある安定した仕事に就くことです。そのためには、勤労者の働く意欲を持続させる環境づくり、すなわち、たとえ職を失ったとしても、意欲と能力に応じて新たな職に就けるという希望を与え続けることが必要です。しかしながら、職を失ったときに、就職より生活・福祉等の支援を急いで求める人も数多くいる中で、国が雇用に関する施策を一元的に担っていることから、雇用に関する施策と生活・福祉等の支援に関する施策との連携が十分に図られていません。このため、本市としては、就労支援は住民に身近な基礎自治体で行うべきであるという考え方の下、雇用に関する施策への取組に挑戦していきます。その一環として、ハローワークが国から本市に移管されるように取り組みます。

また、「ワーク・ライフ・バランスのまち」は、多様な価値観を持った市民が、その価値観に応じた働き方ができる「まち」です。そして、少子・高齢時代にあって労働力人口が大幅に減少する中で、貴重な労働力の確保につながるだけでなく、様々なビジネスチャンスの創造にもつながるということから、経済の活性化に寄与する「まち」でもあります。このような観点から、私立保育園の新増設などによる待機児童ゼロを目指した取組や女性の仕事と子育ての両立支援に向けた取組を進めるとともに、元気な高齢者がその知識や経験を生かして就労や起業することができるよう支援します。

(2)保健・医療の充実

厚生労働省の推計によると、我が国の平均寿命は平成22年(2010年)で男性が79.64歳、女性が86.39歳となり、寿命はさらに伸びていく傾向にあります。ここで重要なことは、単に寿命が伸びるだけでなく、健康寿命(日常的に介護を必要としないで自立した生活ができる生存期間)が伸びることであり、生涯を通じて心身ともに健康で自立した生活を送ることができるようになることです。このため、市民の誰もが早い時期から健康的な生活習慣を確立できるようにする必要があり、「からだのメンテナンス」、「健康増進、発病予防」という第一次予防を重視した市民の主体的な健康づくりが日常的なものとなるよう支援します。また、健康診査や保健指導の充実などにより、疾病の予防と早期発見に努めます。

近年、高齢者の増加や市民意識の変化などに伴い、救急搬送件数が増加しています。こうした中、医師不足や受入病院の減少等により救急搬送の受入先が決まらない事案が多く発生し、重症化等が懸念されており、救急医療体制の確保が重要となっています。また、がんは我が国最大の死亡原因で、その死者数は年々増加しており、より高度で質の高いがん医療に対するニーズが高まっています。このため、広島市部に集中する総合的機能を持つ大規模な病院間での機能分担・連携を推進し、効率的な医療を提供していく必要があります。こうしたことから、広島市民病院を中心に救急搬送受入機能の強化に取り組むとともに、がん診療について、市内の4基幹病院(広島市民病院、広島大学病院、県立広島病院、広島赤十字・原爆病院)の機能分担・連携を推進します。

(3)福祉の充実

少子・高齢化や一人暮らし世帯の増加などにより、市民の福祉サービスに対するニーズは複雑かつ多様化しています。これらに適切に対応するためには、行政だけでなく、地域の実情を踏まえた市民主体の福祉活動の役割が重要となっており、同時に、活力ある地域社会を築くという視点での取組も必要です。このため、市民の福祉意識の高揚と互いに支え合う地域社会の形成を図るとともに、全市レベルでの地域福祉をより一層進めるための環境整備に取り組みます。

高齢者に関しては、援護を必要とする人が増加する一方で、元気で活動的な人も増加しています。これからは、高齢者が必要とする援護(公助)をしっかりと行いながらも、自助・共助の精神を踏まえた環境づくりを促進し、高齢者一人一人が健康でその能力を発揮し、生きがいを感じて安心して暮らせる社会の形成に取り組みます。

また、障害のある人もない人も、全ての市民が社会のあらゆる活動に自由に参画し、その能力を最大限に発揮するとともに、互いに人格と個性を尊重し、支え合うことが必要です。そのためには、障害者の活動を制限し、社会への参画を制約している要因を取り除き、経済的な側面を含め、障害者が住み慣れた地域において、自己選択と自己決定の下、自立して生活できるように社会のバリアフリー化を推進するとともに、地域における障害者の自立支援に取り組みます。

さらに、被爆から66年が経過した今日においても、被爆者は、社会的・医学的・精神的後遺症に苦しみ続けなければならない実情があります。また、被爆者の高齢化が一段と進み、安心した生活を営むことが困難になっています。このため、被爆者の実態に即したきめ細かい援護施策の充実に取り組むとともに、被爆地域の黒い雨降雨地域全域への拡大や、原爆症認定制度の見直し及び審査の迅速化について国に強く働き掛けます。

(4)未来を担う子どもの育成

未来を担う子どもの育成こそが、これからの広島の発展の礎となります。子どもが幸福に暮らし、様々な個性や能力を伸ばし、自立性・社会性を身に付け、自立した大人へと健やかに成長できるよう、社会全体で子どもの成長を支えていかなければなりません。その際、家庭は、基本的な生活習慣や社会的なマナー、自立心などを養う上で第一義的責任を有すること、また、子どもは、地域の人々と関わる中で、様々な体験をしながら成長するものであることに留意する必要があります。

このため、子どもと親の健康づくりや子どもの遊び場と居場所づくり、児童虐待防止対策の推進など、全ての子どもが健やかに育つための環境づくりに取り組みます。また、安心して子どもを生み育てることができるよう、子育て家庭の孤立化への対応や子育て力の向上などに取り組みます。

さらに、子育て家庭が置かれている状況やニーズを踏まえ、かつ、その自主性を尊重しつつ、家庭・地域社会・学校が、それぞれの役割と責任に応じた取組を互いに連携・協力しながら進め、社会全体で子どもを育てる環境づくりを進めます。

そして、学校においては、子どもが自ら考え、判断し、様々な問題に積極的に対応することができるよう、また、豊かな人間性を育み、基礎的な体力を身に付けることができるよう、知・徳・体の調和のとれた教育の推進に取り組みます。

(5)スポーツ・文化芸術の振興

スポーツは、体力の向上や生活習慣病の予防、ストレスの発散など健康の保持増進に資するとともに、その振興を図ることにより、地域社会の一体感や活力が醸成され、明るく豊かな社会の形成に寄与します。また、野球やサッカーなどの観戦に市外・県外からも多くの人が訪れるように、スポーツには高い誘客力もあることから、こうした視点に立った振興を図る必要があります。

このため、市民の幅広いスポーツ・レクリエーション活動の促進や、ジュニア選手の育成・強化などに取り組みます。また、トップス広島などと連携して、市民がトップレベルの選手と触れ合い、地域一体となって応援・支援してまちの活力となるよう、スポーツを通じたまち起こしに取り組みます。さらに、広島を代表するプロスポーツチームの広島東洋カープやサンフレッチェ広島が、しっかりとプレーでき、観戦する人を増やすことができるよう、その環境整備に努めるとともに、国際的・全国的なスポーツ大会の開催・誘致に取り組みます。

文化芸術は、人々に楽しさや感動、精神的な安らぎをもたらし、豊かな人間性をかん養し、創造性を育みます。また、コンサートや演劇などの公演に市外・県外からも多くの人が訪れるように、文化芸術は、まちの活性化においても大きな力を発揮することから、こうした視点に立った振興を図る必要があります。

このため、市民の誰もが、音楽・演劇・美術などの文化芸術に触れることができるよう、その環境整備に努めるとともに、武道・茶道・華道など日本古来の伝統文化の振興や伝統工芸などの継承、文化財の保存・継承とその活用などを図ります。また、広島交響楽団や各地域に伝わる神楽などの魅力的な資源について、市民や近隣市町と連携してその魅力発信に努め、訪れた人に広島の文化に触れてもらうよう取り組みます。

(6)安全・安心に暮らせる生活環境の整備

人々が住んでいる地域に誇りと愛着を持ち、これから先も住み続けたくなるには、地域全体が活力にあふれ、生き生きとしていなければなりません。そのためには、それぞれの地域において、地域住民や企業などが主体となり、その地域の実情に応じたまちのあるべき姿を描きながら、その実現に向け、力を合わせて取り組んでいく必要があります。このため、地域住民等との連携・協働の下、各区の地域資源や特性を生かした地域起こしを推進するとともに、町内会・自治会等をはじめとする地域コミュニティの活性化を図ります。とりわけ、高齢化が進む中山間地域や郊外では、コミュニティビジネスなど地域の活性化につながる取組を推進します。

また、本市の刑法犯認知件数は年々減少していますが、単にその件数を減らすだけではなく、市民が地域の治安に対する満足感を得られることが、本当に心から安心して生活できる安全な地域社会であり、これから先も住み続けたいまちと言えます。このため、「自分たちのまちは、自分たちで創り、守る。」との理念の下、地域ぐるみの巡回活動や、地域社会の一員である事業者との連携強化など、市民・事業者・行政が協働してそれぞれの役割を担いながら、市民の日常生活の安全や安心の確保を図るための積極的な取組を展開し、犯罪や事故の起こりにくいまちづくりを推進します。

さらに、人々の生命や身体、財産に被害を及ぼす災害は、いつ発生するか分かりません。こうした災害に備え、日頃から、地域の防災力を高めるとともに、災害時に被害を最小限に抑えることができるよう、その体制整備に取り組み、災害に強く安心して生活できるまちづくりを進めていく必要があります。このため、市民に対する防災意識の普及や市民・事業者・行政等が連携した防災訓練等に取り組むとともに、災害時に迅速かつ円滑に災害応急対策を行うことのできる情報収集・連絡体制の整備などを進めます。また、これまでの想定を上回る規模で発生した東日本大震災を踏まえ、国や県等と連携して被害想定及び地域防災計画の見直しを行います。

そして、人々が住んでいる地域に愛着を持つためには、環境への優しさが行き届いたまちでなければなりません。まちの美化活動や省エネルギーの取組など、市民一人一人の環境に優しい行動は、きれいなまちづくりといった地域レベルの課題から、地球温暖化防止といった地球レベルの課題までの解決につながります。このため、市民一人一人のまちの美化意識の高揚やその活動促進に取り組むとともに、ごみの減量とリサイクル、ごみの適正処理などゼロエミッションシティ広島の推進を図ります。また、地球温暖化防止のための国際的な枠組みを踏まえて低炭素型の都市づくりを目指し、事業活動や家庭生活における温室効果ガス排出量削減に向けた取組を促進します。

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4.「平和への思いを共有するまち」の実現に向けた取組の方向性

66年前、本市は原子爆弾によって壊滅的な打撃を受け、多くの人命と街を失い、辛うじて生き残った人々は悲しみを乗り越え、75年間草木も生えぬと言われた廃墟の中から、たゆまぬ努力により、また、国内外から温かい援助を受け、めざましい復興を遂げました。
本市は、「平和の象徴」、「希望の象徴」として、世界の人々から認められています。それは、被爆地ヒロシマとしての高い知名度だけでなく、世界の人々が、廃墟からの復興を評価し、核兵器廃絶と世界恒久平和を希求し続けている都市であることを知っていることによるものです。
人類史上最初の被爆都市である本市は、平和を願い、平和都市の建設を進めてきた先人の努力をしっかりと受け継ぎ、ヒロシマの願いである核兵器廃絶と世界恒久平和の実現を目指す「まち」であり続けなければなりません。そのためには、市民一人一人が被爆者自身の被爆体験や平和への思いを引き継ぎ、共有し、その思いを世界に広げ、各国の為政者が共感するようにしていく必要があります。

(1)核兵器廃絶と世界恒久平和の実現

本市は、国内外の5,000を超える都市が加盟する平和市長会議やこれら加盟都市の市民、NGO等と連携して、2020年までの核兵器廃絶を目指し「2020ビジョン」の積極的な展開を図っています。こうした中、平成22年(2010年)5月のNPT再検討会議での核兵器廃絶に向け行動を開始することに合意する最終文書の採択など、核兵器廃絶に向けた世界的気運が高まってきましたが、その後、米国による新しいタイプの核実験や臨界前核実験の実施など、核兵器廃絶の動きに影を落とす行動もありました。また、被爆者の平均年齢は77歳を超えており、一日も早い核兵器廃絶という悲願の実現に向けた取組を進める必要があります。

このため、先人の築いた成果をしっかりと受け継ぎ、ヒロシマの願いである核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向け、平和市長会議による「2020ビジョン」に基づく取組の推進やより一層の加盟促進に努めるとともに、この会議が長期的な観点から活動を充実・強化できるよう、運営方法の見直しを進めます。また、海外での原爆展の開催の拡充や「核兵器禁止条約」など新たな法的枠組みの創設に向けた行動など、核兵器廃絶に向けた積極的な外交を展開してもらうよう国へ強く働き掛けます。

(2)「迎える平和」の推進

核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向けては、核保有国をはじめとする各国の為政者に広島に来てもらい、被爆の実相に触れ、被爆者の体験や平和への思いを共有し、核兵器廃絶の実現に向けて努力してもらうことが重要です。このため、市民やNGO等との連携を強化し、核保有国の為政者をはじめ、より多くの人々に広島に来てもらい、平和への思いを共有してもらうための取組を推進します。その一環として、NPT再検討会議など各国の為政者たちが広島の地に集い、核兵器廃絶に向けた議論をするための国際会議の開催を目指します。

また、広島を訪れた人々に平和への思いを共有してもらうために、被爆の実相を正しく伝えていくことが重要です。被爆から66年が経過し、これまで被爆体験を次世代や世界に伝えてきた被爆者の方々は高齢化し、年々少なくなっている状況にあります。このため、被爆者の体験や平和への思いを次世代に確実に伝えていくための仕組みづくりに取り組むとともに、被爆者による証言活動に対する支援の充実や被爆資料等の収集・活用、原爆ドームをはじめとする平和記念施設の保存・整備等の取組を推進します。さらに、市民からのアイデア等を基に、国内外から寄せられる折り鶴に託された平和への思いを昇華させるための取組を検討し、実施します。

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5.取組を進めるに当たり留意すべき点

「世界に誇れる『まち』」の実現に向けた具体的な取組を進めるに当たっては、次のことに留意します。

(1)市民の目線で考えます

市民との心が通う対話を通じて、あらゆる施策を市民の目線で考えます。とりわけ、区役所をはじめ市民と直接触れ合う機会の多い部署において、市民・関係者等との対話により、市民ニーズの把握に努めます。

新たな市民ニーズに対応した新規施策の企画・立案に積極的に取り組むとともに、既に市民ニーズに合致していない事業や社会経済情勢の変化に対応していない事業については、抜本的な見直しや廃止を行います。

事業の創設から長期間経過し、かつ効果が挙がっていないもの、計画策定時から事業の着手に相当の時間を要しているものなどは、市民の目線で再考します。

事業を進めるに当たっては、市民と対話を重ね、最も市民の利益にかなう方法や内容を見いだします。

(2)地域資源を掘り起こし、有効活用します

本市は、自然、歴史・伝統、産業、スポーツ・文化芸術など、あらゆる分野で様々な地域資源を有しています。こうした地域資源は、いまだ埋もれているものや有効に活用できていないものもあることから、積極的にこれらを掘り起こし、有効活用します。

(3)近隣市町や県との連携を強化し、地方分権を推進します

住民に身近な行政は、できる限り基礎自治体で行うという原則の下、積極的・能動的に地方分権の推進に取り組みます。

その推進に当たっては、住民の活動範囲が行政区域を越え、広域化している現状を踏まえ、一部事務組合や広域連合など既存の制度だけでなく、あらゆる手法を用いて積極的に近隣市町や県と連携した取組を実施します。

(4)「市民の力」を結集します

市民やNPO、企業等は、教育や子育て、介護・福祉といった市民に身近な分野における課題の解決、公共的サービス提供の担い手として活躍の場を広げつつあります。こうした活動領域の拡大は、市民の社会参加や企業等の社会貢献の場の拡大、新たな雇用の創出など、都市の活力向上や市民のワーク・ライフ・バランスの実現に貢献する大きな可能性を秘めています。このため、市民やNPO、企業等と連携・協働し、「市民の力」を結集します。

(5)行財政改革を着実に進めます

厳しい行財政状況の中、限られた財源を有効に活用し、効率的な行財政運営を実現するため、行財政改革を着実に進めます。この行財政改革を進めるに当たっては、単に行財政への切り込みを図るだけではなく、市域における官民全ての分野で持続的な健全経営を展望し、それに向かって、街ににぎわいを、生活に活気を吹き込むことが市民サービスのための財源確保につながるといった積極的な姿勢で臨みます。

また、こうした姿勢の下、限られた資源で最大の効果を挙げていくため、第3セクター等を含め、より機動的・効率的な業務執行体制の構築や、民間の資金・ノウハウの積極的な活用などにも取り組みます。

さらに、今何をやらなければならないか、今何ができるかをしっかりと見定めることが必要不可欠であることから、これまで取り組んできた施策と今後展開する施策の全てを対象として、「選択と集中」の考え方の下、優先順位を付け、順位の高いものから確実に実現します。

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