本文
みなさんの周りにいる様々な病原体はどんな形をしているのでしょう?
ここでは、当所の電子顕微鏡(一部光学顕微鏡)で撮影した病原体の写真(ウイルスの仲間・細菌の仲間・寄生虫の仲間(光学顕微鏡写真))と、それらの病原体が引き起こす病気の簡単な説明をしています。
衛生研究所 生活科学部
電話:082-277-6575 Fax:082-277-0410 メール:ei-seikatsu@city.hiroshima.lg.jp
掲載された画像の使用を希望される場合は、著作権についてをご覧の上、「広島市ホームページ掲載内容使用申請」を衛生研究所生活科学部メールアドレス(ei-seikatsu@city.hiroshima.lg.jp)に送信してください。
(注)写真の倍率は一定ではないため、大きさを比較することはできません。
カゼを起こすウイルスの王様です。現在流行している主なタイプはAH1N1 2009型、A香港型(AH3型)、B型の3種類です。近年、世界各地でこれらとは異なる新型のインフルエンザウイルスが検出され、世界的な大流行発生の危険性が危惧されています。
インフルエンザウイルス(AH1N1 2009)
インフルエンザウイルス(Aソ連型)
50種類を超す型があり、咽頭結膜熱、流行性角結膜炎、感染性胃腸炎、上気道炎、出血性膀胱炎など、様々な病気を引き起こします。
形が星(★)に似ていることからアストロ(宇宙の意味)ウイルスと名付けられています。乳幼児に下痢、嘔吐を起こします。
冬季の食中毒や感染性胃腸炎の代表的な原因ウイルスです。嘔吐、嘔気、下痢、(発熱)が主な症状です。
冬季に、特に2歳以下の乳幼児に、白色便と下痢を特徴とする病気を起こします。形が車輪に似ていることからロタ(=ロータリなど回転を意味する)ウイルスと名付けられています。
ノロウイルス、ロタウイルスと同様に、乳幼児の嘔吐下痢症の原因となります。発見された場所(札幌)にちなんで「サポウイルス」と名付けられました。稀に、食中毒などの集団発生を起こすことがあります。
エンテロウイルスは、夏カゼ(ヘルパンギーナ、手足口病、無菌性髄膜炎など)の主要な原因ウイルスです。70種類以上の型があり、年により流行する型が異なります。エコーウイルス30型は、主に無菌性髄膜炎の原因となります。
夏カゼの一種である、手足口病(手のひら、足の裏、口の中の粘膜などに水疱性の発しんができる病気)の主要な原因ウイルスです。
コクサッキーウイルスA16型と同様に、手足口病の原因となります。エンテロウイルス71型を原因とする手足口病の場合、無菌性髄膜炎を併発することがあります。
数年おきに夏季シーズンに流行するウイルスです。発熱を主症状とし、上気道炎・胃腸炎症状等を呈することもあります。小児から多く検出されます。
麻しんの原因となるウイルスです。麻しんは飛沫核感染や接触感染などさまざまな感染経路で感染します。感染予防には麻しんワクチンが有効です。
A型肝炎の原因となるウイルスです。潜伏期は2~6週間で、発熱、頭痛、筋肉痛などの症状を呈します。
少量菌で感染し腸管内で下痢(血便)を起こさせる志賀毒素(ベロ毒素)を産生する食中毒菌です。動物の糞便中にみられることから自然環境中に広く分布すると考えられています。外国では挽肉関連食品,生野菜,果物,日本では肉類,サラダ,野菜が原因食品となった事例がみられます。潜伏期間は3~5日,主な症状は下痢(血便),腹痛,発熱です。
熱や乾燥には弱いが,湿潤状態や冷蔵庫内ではしぶとく生き,少量で感染する食中毒菌です。食肉(特に鶏肉)やその加工品,飲用水,沢水などが主な原因(食品)となります。潜伏期間は2~7日,主な症状は下痢,発熱,腹痛です。
熱や薬剤に強い芽胞(カビの胞子のようなもの)をつくり,食品中に嘔吐毒(セレウリド)を産生する食中毒菌です。米飯やチャーハン,スパゲッティなどが主な原因食品となります。潜伏期間は1~5時間,主な症状は嘔吐,(腹痛),(下痢)です。
熱や薬剤に強い芽胞(カビの胞子のようなもの)をつくり,腸管内で下痢を起こさせる毒素(エンテロトキシン)を産生する食中毒菌です。肉,魚,野菜などを大量調理した煮物食品が主な原因食品となります。潜伏期間は6~18時間,主な症状は腹痛,下痢です。
嘔吐を誘発する毒素(黄色ブドウ球菌エンテロトキシン)を食品中に産生する食中毒菌です。健康者の手指,鼻,咽頭や自然環境に広く存在します。おにぎりなどの米飯類や弁当類,生菓子などが主な原因食品です。潜伏期間は1~5時間,主な症状は悪心,嘔吐,腹痛,下痢です。
熱には比較的弱いが、乾燥には強い食中毒菌です。動物の糞便中にみられることから、自然環境中に広く分布すると考えられています。鶏卵、食肉やその加工品が主な原因食品です。潜伏期間は5~72時間(平均12時間)、主な症状は下痢(血便)、発熱、腹痛です。
低温や熱に弱く、塩水を好む食中毒菌です。沿岸海水域・汽水域の海水中や魚介類などに分布しています。魚介類やその加工品が主な原因食品です。潜伏期間は10~24時間、激しい腹痛や下痢が主症状で、嘔吐・発熱を伴うこともあります。
走査型電子顕微鏡写真
透過型電子顕微鏡写真
抗原性の違いによってA~V群(I,Jを除く)の20種類に分類されており、A・B・C・G群は上気道炎の原因菌とされています。
食後数時間で嘔吐や下痢が起こっても、食中毒の原因として知られている細菌やウイルスが検出されず、原因不明とされた事例がありました。このような事例を調査したところ、刺身を食べていた報告が多く確認され、クドア属の寄生虫が関与していることが分かりました。
光学顕微鏡撮影(メチレンブルー染色)
クドアの胞子(直径約 0.01mm)
衛生研究所 生活科学部
電話:082-277-6575 Fax:082-277-0410 メール:ei-seikatsu@city.hiroshima.lg.jp
掲載された画像の使用を希望される場合は、著作権についてをご覧の上、「広島市ホームページ掲載内容使用申請」を衛生研究所生活科学部メールアドレス(ei-seikatsu@city.hiroshima.lg.jp)に送信してください。
(注)写真の倍率は一定ではないため、大きさを比較することはできません。