包括外部監査の結果(指摘事項)に対する措置事項及び監査の意見に対する対応結果の公表(令和2年10月28日公表)
広島市監査公表第41号
令和2年10月28日
広島市監査委員 谷本 睦志
同 井戸 陽子
同 八條 範彦
同 大野 耕平
地方自治法第252条の38第6項の規定により、広島市長から監査の結果に基づき措置を講じた旨の通知があったので、当該通知に係る事項を別紙のとおり公表する。
なお、併せて通知のあった監査の意見に対する対応結果についても、当該通知に係る事項を公表する。
(別紙)
平成30年度包括外部監査の結果に基づいて講じた措置等の公表(こども未来局)
1 監査結果及び監査意見公表年月日
平成31年2月5日(広島市監査公表第1号)
2 包括外部監査人
大濱 香織
3 監査結果に基づいて講じた措置及び監査意見に対する対応結果通知年月日
令和2年10月16日(広こ家第298号)
4 監査のテーマ
子ども・子育て支援事業の事務の執行について
5 監査の結果(指摘事項)及び措置の内容
(1)ひとり親家庭等居場所づくり事業(社会保険労務士の顧問料及びインターネットバンキング基本使用料について)(所管課:こども未来局こども・家庭支援課)
監査の結果
- ア 団体Aは、社会保険労務士の顧問料の一部である4,800円を補助対象経費に計上している。担当課を通じた説明によれば、社会保険労務士は、子ども食堂従事者の労務管理顧問をしているとのことである。
しかし、事業費につき補助対象経費となるのは、「広島市ひとり親家庭等居場所づくり事業補助金交付要綱」第3条に定めるサービスの提供に直接必要となる経費である。社会保険労務士の顧問料は、団体運営経費ではあるとしても、上記サービス提供に直接必要となる経費ではない。したがって、この顧問料は、補助対象外経費である。
なお、団体Aへの補助金額は事業開催日数により算定されており、団体Aは、補助金の他に本事業による収入や他事業からの繰入金によって、本事業を運営している。したがって、上記補助対象外経費の計上が、直ちに補助金返還原因となるものではない。
そうであるとしても、担当課は、団体Aに対して、上記部分の訂正を求め適正な事業収支決算書兼精算書の作成を指導すべきである。また、過年度分についても同様の経理処理がなされていないかを調査し、問題があれば訂正を求めるべきである。 - イ 団体Aは、金融機関のインターネットバンキングの基本使用料の一部を、補助対象経費に計上している。このインターネットバンキングの基本使用料は、広島市ひとり親家庭等居場所づくり事業補助金交付要綱第3条に定めるサービスに直接必要な経費ではない。
なお、団体Aへの補助金額は事業開催日数により算定されており、団体Aは、補助金の他に本事業による収入や他事業からの繰入金によって、本事業を運営している。したがって、上記補助対象外経費の計上が、直ちに補助金返還原因となるのではない。
そうであるとしても、担当課は、団体Aに対して、上記部分の訂正を求め適正な事業収支決算書兼精算書の作成を指導すべきである。また、過年度分についても同様の経理処理がなされていないかを調査し、問題があれば訂正を求めるべきである。
措置の内容
監査の結果を受け、補助金を交付している4団体に対して、補助対象となる経費は事業に直接必要な経費のみであることを注意喚起し周知徹底するとともに、広島市補助金等交付規則、広島市ひとり親家庭等居場所づくり事業補助金交付要綱等に従って事業を実施するよう改めて通知した。
団体Aに対しては、社会保険労務士の顧問料及びインターネットバンキングの基本使用料は補助対象外経費であるため、事業収支決算書を訂正し提出するよう指示した。再提出された平成29年度事業収支決算書の内容を審査したところ、「社会保険労務士業務委託料(按分)」及び「インターネットバンキングの基本使用料(按分)」が補助対象外経費として計上されており、適正に訂正されたと認められたため、これを承認し、その旨通知した。
なお、補助対象経費の支出額が補助上限額を上回っており、社会保険労務士の顧問料及びインターネットバンキングの基本使用料を補助対象経費から差し引いても、補助金の返還は生じないため、事業精算書の訂正は要しない。
また、本事業を開始した平成28年度については、これらの経費は計上されていなかったため、訂正の必要はないことを確認した。
今後とも、毎年度同様の注意喚起等を行い、適正な事務処理に努めるものとする。
(2)ひとり親家庭等居場所づくり事業(事務員兼補助員の給料等について)(所管課:こども未来局こども・家庭支援課)
監査の結果
団体Aは、団体の事務員の給料の一部を補助対象経費の人件費として計上している。しかし、団体Aは、当該事務員がサービス提供に直接従事した日時を記載した帳票を作成していなかった。
広島市ひとり親家庭等居場所づくり事業補助金交付要綱第8条には、「補助事業者等は、補助事業等に係る経費の収支を明らかにした書類及び帳票を備え、当該補助事業等の完了した日の属する会計年度の終了後、5年間保存しておかなければならない。」と定めている。
担当課は、サービス提供に直接従事した日時が把握できる帳票を作成するよう指導すべきである。
措置の内容
監査の結果を受け、補助金を交付している4団体に対して人件費を補助対象経費として計上するには、補助事業に直接従事した日時を確認できる書類が必要であることを注意喚起し周知徹底を図るとともに、広島市補助金等交付規則、広島市ひとり親家庭等居場所づくり事業補助金交付要綱等に従って事業を実施するよう改めて通知した。
団体Aは、事務員が補助事業に係るサービス提供に従事した日を把握できる日誌を作成してはいたが、従事した時間が記載されていなかったため、今後は、補助事業に係るサービス提供に直接従事した日時を明確に記載するよう指示した。
今後とも、毎年度同様の注意喚起を行い、適正な事務処理に努めるものとする。
6 監査の意見及び対応の内容
(1)ひとり親家庭等居場所づくり事業(人件費の算出方法について)(所管課:こども未来局こども・家庭支援課)
監査の意見
団体Aは、以下の計算方法により、事務長と事務員の人件費のうち本件補助対象経費を算出している。
当該者の給与月額の総額を算出し、これに「0.2」を乗じる方法
「0.2」は、団体Aの全事業のうち本事業が占める割合(事業比率)を意味する。この割合は、団体Aの仕訳伝票枚数全体のうち、本事業のために作成された仕訳伝票枚数の割合などをもって算出されている。
賃金などのうち補助対象経費となるのは、広島市ひとり親家庭等居場所づくり事業補助金交付要綱第3条に定めるサービス提供に直接従事している労働に対する賃金であり、直接には従事していない労働に対する賃金は補助対象外経費となる。
したがって、補助対象経費となる賃金は、当該者が実際に本事業のサービスに直接従事した労働時間を基礎とすることが望ましい。すなわち、上記給与総額に事業比率を乗じる算出方法は、便宜的な方法であって、必ずしも本事業のサービスに直接従事した時間を基礎としていない。団体Aは、本事業以外にも事業を行っているが、伝票枚数等の比率は必ずしも本事業実施時間と一致しているとは限らない。また、伝票枚数等の比率は、本事業のためとはいえ補助対象外経費とされている団体の事務職員の賃金や役員報酬まで含むリスクを排除し得ない。
この意味で、補助対象経費となる賃金の算出は、上記事業比率を乗じる方法ではなく、シフト表や日報に記載された、本事業のサービスへの直接時間を基礎として行われることが望ましい。
対応の内容
監査の意見を受け、補助金を交付している4団体に対して人件費を補助対象経費として計上するには、補助事業に直接従事した日時を確認できる書類が必要であることを注意喚起し周知徹底を図るとともに、広島市補助金等交付規則、広島市ひとり親家庭等居場所づくり事業補助金交付要綱等に従って事業を実施するよう改めて通知した。
団体Aに対しては、本事業に係る日誌には、前記5の(2)のイに記載のとおり補助事業に係るサービス提供に直接従事した日時を明確に記載するよう指示し、補助対象経費として計上する人件費は、直接従事した時間を基礎として算出し、その積算根拠を明らかにするよう指導した。
今後とも、毎年度同様の注意喚起を行い、適正な事務処理に努めるものとする。
(2)ひとり親家庭等居場所づくり事業(「広島市ひとり親家庭等居場所づくり事業補助金交付要綱」について)(所管課:こども未来局こども・家庭支援課)
監査の意見
平成30年4月1日施行で本事業の広島市ひとり親家庭等居場所づくり事業補助金交付要綱が改正され、第5条には第2項が追加された。
第5条(省略)
2 本事業以外の事業等を実施している実施団体にあっては、本事業に係る経費とそれ以外の事業等に係る経費を明確に区分しなければならない。
本事業とそれ以外の事業等に経費を按分する場合は、按分の根拠を明確にするよう定めている。
また、第5条の別表1の改正により、補助対象経費については、人件費には管理者やボランティアの交通費が追加された。事業費には、ア取得価格2万円未満の書籍、遊具、調理器具、イ広告用チラシ印刷費、文具、ウ食材の運搬時の運賃、タクシー代、ガソリン代、エ外部へのホームページ制作委託費などの例示が加えられている。
さらに、補助対象外経費には、電子ゲーム機器、ゲームソフト類、タブレット端末等の例示が加えられている。
改正前に比べて、補助対象経費の範囲が詳細に記されている。担当課における補助対象経費の確認作業も実施しやすくなったと考えられる。
平成29年度においては、補助対象経費に社会保険労務士の顧問料やインターネットバンキング基本使用料が計上される事例が見られたが、平成30年度以降は、改正された交付要綱の内容に照らして、補助対象経費の確認作業を確実に行う必要がある。
対応の内容
補助対象経費と補助対象外経費の区分の明確化を図るよう、平成30年4月1日施行で広島市ひとり親家庭等居場所づくり事業補助金交付要綱を改正するとともに広島市ひとり親家庭等居場所づくり事業実施要領を制定し、補助金を交付している4団体に対し、補助対象経費は事業に直接必要な経費のみであることの周知徹底を図った。
こども・家庭支援課においては、改正要綱等に基づいて本事業を適正に実施するため、事業に要した経費の領収書や実施内容が確認できる日誌等関係書類を全て提出させて事業収支決算書の内容と照合し、補助対象経費の確認作業を確実に行っている。
今後とも、広島市ひとり親家庭等居場所づくり事業補助金交付要綱の内容に照らし、適正な事務処理に努めるものとする。
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