3. 被爆体験の継承・伝承その他
1 被爆建物等保存・継承の推進
(1)民有被爆建物等保存・継承事業補助
現在、市内に残っている被爆の実相を語る貴重な財産である被爆建物等を保存・継承するため、民間の被爆建物の保存工事や被爆樹木の樹勢回復措置に係る費用に対し補助を行っている。
登録件数:建物86件、橋梁6基、樹木159本(令和7年(2025年)3月末現在)
(2)被爆樹木モニタリング等事業
樹木医による被爆樹木のモニタリングを行うとともに、本市所有の被爆樹木について樹勢回復措置を実施している。
(3)被爆建物・被爆樹木めぐり
被爆建物や被爆樹木を講師に解説してもらいながらめぐる見学ツアーを開催し、被爆の実相に触れる機会を提供している。
(4)被爆遺構展示館の管理・運営
原爆被害の悲惨さと非人道性を正確に伝えるため、被爆前の町の様子や被爆の痕跡が残る民家の一部などの被爆遺構を露出展示した「被爆遺構展示館」を平和記念公園内に令和4年(2022年)3月26日に開館し、その管理・運営を行っている。
2 旧広島陸軍被服支廠の保存・継承
被爆建物である旧広島陸軍被服支廠について、県が実施する安全対策工事に要する経費の一部を負担するとともに、国・県・本市で構成される「旧陸軍被服支廠の保存・継承にかかる研究会」において活用策の検討を進める。
3 広島平和記念資料館収蔵資料の保存措置の強化
収蔵資料の劣化を防ぎ、長期にわたり活用するため、資料館本館に展示している実物資料や原爆の絵の原画を定期的に入れ替えるとともに、劣化状況の調査と必要な保存措置を行っている。また、劣化の進行が速い写真資料の高精細デジタル化や専用保存庫での保存管理に努めている。合わせて、収蔵庫と展示室の環境調査を行いながら、課題を整理し改善を図っている。
4 AI・VRを活用した被爆体験の継承
新たな被爆体験継承の手法として、AI・VRなどのデジタル技術を活用し、被爆者の言葉や思いを的確に後世に伝えるための取組を行う。
5 平和学習講座
小・中・高等学校等における平和学習を支援するため、講師を派遣し、平和学習講座を実施している。
6 ユース・ピース・ボランティア事業
次代を担う広島の青少年自らが平和の大切さを学び、ヒロシマの心を国内外に伝える機会を創出するため、平和学習の集いの運営や広島を訪問する外国人に英語で対応するボランティアを育成している。
7 ヒロシマ・ピース・ボランティア事業
市民参加による被爆体験の継承を図るため、公募したボランティアによる広島平和記念資料館の展示解説や平和記念公園内の慰霊碑の解説等を行っている。
8 広島平和文化センター・ボランティアスタッフ活動支援
広島平和記念資料館の来館者等に被爆の実相などを正確かつ効果的に伝えていくため、資料館の事業に携わるボランティアスタッフを対象に、体系的な研修を一元的かつ継続的に実施している。
9 海外へのオンライン被爆体験証言
海外の人々に被爆の実相を伝え、核兵器廃絶に向けた国際世論を醸成するため、海外と広島市をインターネット回線で結ぶウェブ会議システムを利用した被爆体験証言を行っている。
10 修学旅行生への被爆体験講話等
修学旅行生を始めとする国内外からの来訪者等を対象に、被爆の実相を伝え、平和意識の高揚を図るため、被爆者による被爆体験講話や原爆記録ビデオの上映等を行っている。
11 被爆体験伝承者等による伝承講話の実施
広島平和記念資料館東館地下1階特別展示室において、事前予約なし・無料で聴講できる被爆体験伝承者及び家族伝承者による講話(日本語:1日3回、英語:1日1回を行っている。また、学校等からの依頼を受けて、市内の会場に無料で被爆体験伝承者及び家族伝承者を派遣し、伝承講話を行っている。(家族伝承者については令和5年度から活動を開始。)
12 被爆体験伝承者等の養成
被爆者の高齢化が進む中、被爆者の体験や平和への思いを受け継ぎ、これらを語り継いでいく被爆体験伝承者を2年間かけて養成している。
さらに、令和4年(2022年)度から、幅広い被爆体験を伝承するため、家族である被爆者から被爆体験等を受け継ぎ、伝承する「家族伝承者」を2年間かけて養成している。
年度 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
被爆体験 伝承者(人) |
137 | 68 | 44 | 69 | 47 | 47 | 72 | 61 | 42 | 51 | 48 | 62 | 67 |
家族伝承者(人) | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー | 54 | 21 | 32 |
13 国際平和拠点ひろしま構想の推進
世界恒久平和の実現に向け広島県が策定した「国際平和拠点ひろしま構想」を推進する事業を、広島県と広島市が連携して実施している。
14 広島平和記念資料館のこども向け展示の整備
被爆体験の次世代への継承を確実に行うためにも、被爆の惨禍と被爆体験を実感できる被爆地での平和学習は重要であることから、こどもたちの平和学習の効果を高めるため、こどもたちが、より被爆の実相の理解を深められるよう、こどもたちにも分かりやすいテーマや内容の新たな展示や学習スペースを平和記念資料館に整備する。
15 広島平和記念資料館東館1階「情報コーナー」のリニューアル
被爆者が高齢化する一方で、ウクライナや中東など国際情勢が緊迫する中、核軍縮に向けた動きは停滞しており、被爆80周年を契機として、これまで以上に核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向けた国際世論を高めていくことが喫緊の課題となっている。
このため、被爆の実相を多くの人に伝え、核兵器の非人道性と平和への思いをより一層理解いただくことを目的にして、令和7年度、展示の最後にある東館1階の「情報コーナー」を改修し、「核兵器の非人道性に関する展示」を整備する。
16 広島平和記念資料館の附属展示施設の整備
広島逓信病院旧外来棟、本川小学校及び袋町小学校の平和資料館について、平和記念資料館の附属展示施設に位置付けることとし、平和記念資料館と連携した分かりやすい展示内容となるよう整備する。
17 広島平和記念資料館の混雑対策
G7広島サミットを契機として、これまで以上に平和記念資料館への関心が高まったことなどにより、時間帯によっては入館待ちの行列が発生し、資料館内も混雑している状況であることから、令和6年3月からWEBを活用したチケット購入・予約システムの導入と開館時間の延長を組み合わせた取組を実施している。引き続き、混雑解消に向けた取組として、開館時間を延長するとともに、WEBを活用したチケット購入・予約システム、入館システム及びキャッシュレス決済サービスを運用する。
18 広島平和記念資料館管理・運営
昭和30年(1955年)8月24日に開館した広島平和記念資料館(本館)は、国の重要文化財である本館の耐震化や、被爆の実相をより分かりやすく伝えるための展示更新などを目的として、施設の改修や実物資料を中心とした展示整備を行う再整備事業を行い、平成29年(2017年)4月に東館を、平成31年(2019年)4月25日に本館をリニューアルオープンした。
平和記念資料館の施設の管理運営に加え、被爆の実相・平和に関する資料の収集、保管、展示及び供用、平和学習や被爆体験の継承等平和を考える場の提供等を行っている。また、原爆被災に関する調査・研究やそれに基づく企画展の開催、ホームページの充実による被爆の実相の発信力の強化を図っている。
令和6年(2024年)度入館者数
2,264,543人(うち修学旅行生等 331,302人、外国人728,385人)
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