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不妊・不育でお悩みの方へ
もくじ
・不妊とは
不妊とは
不妊は「生殖年齢の男女が妊娠を希望し、ある一定期間(1年以上)、性生活をおこなっているにもかかわらず、妊娠の成立をみない場合」と定義されています(日本産婦人科婦人科学会編 産婦人科用語集より)。
一般社団法人日本生殖医学会「生殖医療Q&A よくあるご質問」より抜粋
一般社団法人日本生殖医学会「生殖医療Q&A よくあるご質問」<外部リンク>
Q1 どんな人が不妊症になりやすいのですか?
● 女性側
一般には、結婚あるいは同居後タイミングを取り始めて1年たって妊娠が成立しなかったときに、不妊症として病院へ行く、と考えられています。しかし、以下のような症状がある場合、病院に行けば不妊症かもしれない、という診断がついて、はやくに治療が開始されて無駄な時間を過ごす危険性がなくなるかもしれません。このような場合、6ヵ月程度妊娠しなかったら病院を受診しても良いと考えられます。また、年齢が35歳以上の場合も同様です。
1 月経の異常がある女性
⑴ 月経周期の異常
月経の間隔が長い(39日以上あく)方、逆に極端に短い(24日以内に来る)方は排卵をしていないことが多くあります。極端な肥満や、逆にやせ過ぎ、あるいはストレスでこのような月経周期の異常が起こることもあります。このような方は不妊症のリスクが高いので基礎体温を1~2ヶ月つけて早めに受診して下さい。
⑵ 月経量・期間の異常
月経の量が極端に多い、あるいは長い(8日以上)方は子宮筋腫などで子宮の内腔(受精卵が着床するところ)の形が変形していることがあります。逆に月経の量が極端に少ない、あるいは短い(2日以内)方は月経があっても排卵していなかったり、過去に人工妊娠中絶や流産の処置を受けたことがある方は子宮の内腔の一部が癒着していることがあります。このような症状がある方は不妊症のリスクが高いと考えられます。
⑶ 月経にともなう症状の異常
月経の際の痛みが若いころに比べてどんどん強くなる、月経時に下痢をいつも起こす、あるいはセックスの時に以前になかった痛みが出て来た、などは子宮内膜症の症状の可能性があります。子宮内膜症の方が妊娠しないわけではありませんが1周期あたりの妊娠率は正常の婦人に比べて1/10ぐらいと言われており、不妊症のリスクが高くなる病気です。
2 性感染症・骨盤腹膜炎
クラミジアや淋菌といった性行為感染症にかかったことがある方、以前に骨盤腹膜炎を起こしたことのある方は主に卵管が原因の不妊症のリスクを上昇させます。とくに、腹部の手術後で腹膜炎やイレウス(腸閉塞)を起こした既往のある方は要注意です。
3 以前に子宮筋腫・子宮内膜症を指摘されている場合
以前、健康診断などで子宮筋腫、子宮内膜症と言われている場合、早めの受診が適当です。とくに、子宮内膜症によるチョコレートのう腫がある場合には、卵子の老化が年齢より進むこともあると言われているので、要注意です。子宮内膜症の患者さんの約半数は不妊症を合併し、不妊症患者の約25~50%に子宮内膜症が診断されるといわれています。
4 35歳以上の女性
女性の妊娠率の減少は30歳から徐々に始まり、35歳を過ぎると加速し、40歳を過ぎると急速に減少します。これは、加齢による卵の質の低下によるものです。
不妊症に繋がる特定の原因がなくても、加齢によって不妊症になる確率は高まるため、35歳以上の方は不妊治療も選択肢として考えながら、早めに専門医に相談すると良いでしょう。
● 男性側
精巣内で精子が造られますので、もっとも気にしていただくのは睾丸の大きさです。睾丸が小さくなったり、柔らかくなったりした人は精液所見が悪化している可能性があります。また、睾丸の上にもう一つ睾丸があるかのように見える複数の血管のコブ(精索静脈瘤)がある人も要注意です。陰嚢内は体温より低い温度に保たれており、睾丸は低い温度で精子を造りやすいのですが、精索静脈瘤では体温と同じ温度の血液が睾丸近くにたくさんあるため陰嚢内でも睾丸の温度が低くならないからです。精索静脈瘤は左側に多く、立位でお腹に力を入れた状態の方が確認しやすいです。
睾丸が陰嚢内の上方、あるいは鼡径部に位置している人(停留睾丸)も、睾丸の温度が高くなりがちで精子を造る能力が衰える可能性があります。仮に子供の頃に停留睾丸の手術を受けた人であっても、精液所見が悪化していることがあるので、注意した方がいいでしょう。さらに、子供の頃に鼡径ヘルニア(脱腸)の手術を受けた人も男性不妊症に陥る可能性があります。睾丸で作られた精子は鼡径管の中を通りますので、その場所を手術することで精子がうまく通らなくなる可能性があるからです。
おたふく風邪にかかった後、睾丸が腫れあがった人は、睾丸炎により精子を造る力が衰えている可能性があります。おたふく風邪にかかわらず、高熱が続いた人、とくに睾丸付近に痛みを感じたことがある人も睾丸の働きが悪くなっている可能性があります。睾丸の横に位置する副睾丸が腫れあがる副睾丸炎や、前立腺炎などにかかったことがある人も、そのために精子が通りにくくなっている可能性が考えらえます。
これまでに抗癌剤治療や放射線治療を受けたことのある人は、睾丸の状態が悪くなっている可能性があります。抗癌剤を使うと、治療終了後、長期間経過した場合でも精子がうまく造れなくなってしまうことがあります。
肥満や喫煙、睡眠不足、不規則な食生活なども精液の状態に影響する可能性がありますので、注意が必要です。
少しでも不安を感じた場合は、専門クリニックや泌尿器科での検査をおすすめします。
Q2 不妊症の治療にはどんな方法があり、どのように行うのですか?
主な治療法には、タイミング法、排卵誘発法、人工授精、さらには体外受精などの生殖補助医療があります。不妊原因を取り除く目的で、内視鏡手術(子宮鏡・卵管鏡・腹腔鏡)も行われます。人工授精と生殖補助医療は自費で行われる治療です。選択した治療法で妊娠が得られない場合には、必要に応じて高度な治療へステップアップすることがすすめられます。
不育症とは
妊娠はするけれども、2回以上の流産や死産を繰り返し、結果的に赤ちゃんを持てない状態を「不育症」といいます。
不育症の原因はさまざまですが、適切な検査と治療を行うことで、不育症に悩む多くの方が無事に出産できると言われています。
研究が進められています
不育症の治療方法等について、厚生労働省の研究班により研究が進められています。
研究班のホームページ(厚生労働省研究班『フイク‐ラボ』不育症治療に関する再評価と新たなる治療法の開発に関する研究)<外部リンク>には不育症の原因や治療についての詳しい情報や「不育症Q&A」などが掲載されています。
厚生労働省研究班『フイク‐ラボ』不育症治療に関する再評価と新たなる治療法の開発に関する研究「不育症Q&A」より抜粋
Q1 不育症の原因は何ですか?
妊娠初期の流産の大部分は胎児(受精卵)の偶発的な染色体異常が原因で、両親のリスク因子が原因になっている場合は少ないとされています。そのため、1回の流産でリスク因子を調べる必要はありません。
2回~3回以上流産を繰り返す場合は、両親のどちらかにリスク因子がある場合があるので、検査をお勧めします。
1回の流産でも妊娠10週以降の場合では、母体の要因が大きくなってくるとされていますので、検査をする意義はあると考えられます。
夫婦の染色体異常に加えて、妻側の要因としては、子宮形態異常、内分泌異常、凝固異常など種々の要因があります。
厚生労働科学研究班(齋藤班)では、詳しく調べてもリスク因子が分からない場合が64%ほどありました。その多くは、偶発的な胎児の染色体異常を繰り返しただけと考えられています。
Q2 不育症のリスク因子の検査にはどのようなものがありますか?
流産等を2回以上繰り返す場合には、不育症のリスク因子の検査が勧められます。
血液検査により、夫婦それぞれの染色体の検査、糖尿病や、甲状腺機能などのホルモン検査、凝固因子検査(血を固める働きをみる)、抗リン脂質抗体測定などを行うこともあります。子宮の形の異常を調べるために子宮卵管造影検査や超音波検査を行います。必要に応じてMRI検査などを追加して行う場合もあります。
リスク因子の有無を調べることにより、次回の妊娠に役立てることができます。
Q3 不育症の治療にはどのようなものがありますか?
検査で見つかったリスク因子について治療を行います。
内科疾患やホルモン分泌異常が見つかった場合にはその治療を行います。凝固因子異常や抗リン脂質抗体症候群では、抗血栓療法(アスピリン内服やヘパリン注射)を行う場合もあります。リスク因子不明不育症に対しては、積極的な治療をしない経過観察で比較的良好な結果が得られています。
治療した症例、経過観察の症例をふくめて、不育症外来を受診した方は、最終的に約80%以上が出産に至ると報告されています。
Q4 不育症でも妊娠、出産はできますか?
不育症の方も、80%以上の方が出産することができます。
不育症の方の多く(約半数)は、偶然、胎児染色体異常を繰り返した偶発的流産です。そのような方の場合は、特別な治療を行わなくても次回妊娠予後は良好なので、安心して妊娠できる環境が何より大切です。
子宮形態異常や血栓症のリスクが高まる抗リン脂質抗体症候群、一部のプロテインS欠乏症、プロテインC欠乏症、第XII因子欠乏症などの場合は、治療が必要になることがあります。
Q5 不育症について相談するにはどうしたらよいですか?
2回以上の流産、死産、早期新生児死亡を繰り返した場合は、不育症です。リスク因子の検査が勧められます(流産の場合は、その多くは偶発性流産ですが、2回以上繰り返す場合、リスク因子がある場合があります)。
主治医の産婦人科医師にまずご相談ください。
不妊・不育症の治療・検査に関する助成金のご案内
広島県の不妊検査・治療費助成事業のご案内
不妊検査から人工授精までの「一般不妊治療」、令和4年度から保険適用となった体外受精や顕微授精などの「特定不妊治療」、不妊治療に併せて行われる「先進医療」(保険外の先進的な医療技術として認められたもの)について、広島県の助成制度を活用できる場合があります。
詳しくは、各ホームページをご覧ください。
● 広島県不妊検査費等助成事業
夫婦そろって不妊検査を受けた場合に、不妊検査を含めた一般不妊治療の費用を助成しています。
(広島県HP : https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/248/funinkennsa.html<外部リンク> )
● 広島県特定不妊治療支援事業
体外受精や顕微授精等の特定不妊治療及び男性不妊治療のうち、保険適用外となる検査・治療に要した費用の一部を助成します。
(広島県HP : https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/248/tokutei-funin.html<外部リンク> )
広島市不育症検査費用助成事業のご案内
広島市では、先進医療として実施される不育症検査を受けられた方に、検査費用の一部を助成しています。
1 助成対象となる方
次のいずれにも該当する方
⑴ 令和3年4月1日以降に、助成対象となる不育症検査が終了した方
⑵ 2回以上の流産、死産の既往がある方
⑶ 申請時点において、広島市内に住所を有する方
2 助成対象となる不育症検査
「流死産検体を用いた遺伝子検査」(次世代シーケンサーを用いた流死産絨毛・胎児組織染色体検査)
ただし、本事業の対象となる医療機関で実施されたものに限ります。
【医療機関】
厚生労働省ホームページ「先進医療を実施している医療機関の一覧」<外部リンク>でご確認ください。
(医療機関の情報は、毎月15日頃に更新されます。)
3 助成額
1回の検査に係る費用の7割に相当する額(千円未満の端数切捨て)。
ただし、上限額6万円
4 申請方法・提出書類
⑴ 申請者
助成対象となる不育症検査を受けた本人
⑵ 申請期限
検査が終了した日の翌日から2か月以内
例)1月20日が検査終了日 ⇒ 3月20日が申請期限
ただし、令和4年12月1日~令和5年3月14日に検査が終了した場合は同年5月15日まで
⑶ 提出書類
● 不育症検査費用助成事業申請書(様式第1号) [Wordファイル/34KB]
※消えるボールペンで記入された申請書は受け付けできません。
● 不育症検査費用助成申請に係る証明書(様式第2号) [Wordファイル/23KB]
※検査を実施した医療機関が記入したものに限ります。
● 発行日から3か月以内の住民票
※以前提出したものと同じ内容であり、かつ、その提出から3か月以内に申請を行うときは省略できます。
● 医療機関が発行する領収書の写し
⑷ 申請・相談窓口
お住まいの区の保健センター
5 ダウンロード
申請・相談窓口 |
電話番号 |
郵便番号 |
所在地 |
---|---|---|---|
(中区厚生部地域支えあい課 地域支援第一係) |
082-504-2109 |
730-8565 |
中区大手町四丁目1番1号 |
(東区厚生部地域支えあい課 地域支援第一係) |
082-568-7735 |
732-8510 |
東区東蟹屋町9番34号 |
(南区厚生部地域支えあい課 地域支援第一係) |
082-250-4133 |
734-8523 |
南区皆実町一丁目4番46号 |
(西区厚生部地域支えあい課 地域支援第一係) |
082-294-6384 |
733-8535 |
西区福島町二丁目24番1号 |
(安佐南区厚生部地域支えあい課 地域支援第一係) |
082-831-4944 |
731-0194 |
安佐南区中須一丁目38番13号 |
(安佐北区厚生部地域支えあい課 地域支援第一係) |
082-819-0616 |
731-0221 |
安佐北区可部三丁目19番22号 |
(安芸区厚生部地域支えあい課 地域支援係) |
082-821-2820 |
736-8555 |
安芸区船越南三丁目2番16号 |
(佐伯区厚生部地域支えあい課 地域支援第一係) |
082-943-9733 |
731-5195 |
佐伯区海老園一丁目4番5号 |
広島県不妊専門相談センターについて
広島県不妊専門相談センターでは、不妊や不育症に悩む夫婦や家族に対し、不妊・不育に関する専門的な相談や心の悩みなどについて、専門の相談員(助産師)が相談に応じます。
詳しくは広島県HPをご覧ください。
(広島県HP : https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/248/funinsenmonsoudan.html<外部リンク> )
このページに関するお問い合わせ先
こども未来局 こども青少年支援部 母子保健担当
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