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核兵器廃絶に向けた取組(令和4年版広島市勢要覧)
平和首長会議
概要
1945年8月、広島・長崎両市は原子爆弾により一瞬にして廃墟と化し、両市合わせて21万人を超える多くの人々の尊い命が奪われました。原子爆弾は、その投下から75年以上が経過した現在でも、放射線による後障害や精神的な苦しみを生き残った市民に残しています。被爆者の「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」という切なる思いを世界の人々に広げ、次の世代にも受け継いでいくために、広島・長崎両市は一貫して世界に核兵器の非人道性を訴え、その廃絶を求め続けてきました。
1982年6月24日、荒木武 広島市長(当時)は、米国・ニューヨーク市の国連本部で開催された第2回国連軍縮特別総会において、世界の都市に国境を越えて連帯し、共に核兵器廃絶への道を切り開こうと呼び掛けました。また、広島・長崎両市は、この呼び掛けに賛同する都市(自治体)で構成する機構として、世界平和連帯都市市長会議(現・平和首長会議)を設立しました。1991年には、国連経済社会理事会のNGOに登録されています。
※ 2001年8月5日、「世界平和連帯都市市長会議」から「平和市長会議」に、2013年8月6日に「平和首長会議(へいわしゅちょうかいぎ)」に名称変更しました。
目的
平和首長会議は、加盟都市相互の緊密な連帯を通じて核兵器廃絶の市民意識を国際的な規模で喚起するとともに、人類の共存を脅かす飢餓・貧困等の諸問題の解消さらには難民問題、人権問題の解決及び環境保護のために努力し、もって世界恒久平和の実現に寄与することを目的としています。
加盟都市数(2022年12月1日現在)
地域:台湾・パレスチナ・北キプロス(アジア)、北マリアナ諸島・仏領ポリネシア(オセアニア)、ソマリランド(アフリカ)、コソボ(ヨーロッパ)、グリーンランド(北アメリカ)、プエルトリコ(ラテンアメリカ・カリブ海地域)
持続可能な世界に向けた平和的な変革のためのビジョン(PXビジョン)
-都市による軍縮と人類共通の安全保障に向けた平和構築-
(1) 概要
平和首長会議では、核兵器を廃絶し、人類の共存が持続可能となることにより、あらゆる人が永続的に平和を享受できる世界、すなわち「世界恒久平和」を実現するため、市民が連帯する都市を創造するとの観点から、「持続可能な世界に向けた平和的な変革のためのビジョン-都市による軍縮と人類共通の安全保障に向けた平和構築-」を2021年7月の第12回理事会で策定しました。
※ 略称:PXビジョン、英語名:Vision for Peaceful Transformation to a Sustainable World
(2) 目標
ア 核兵器のない世界の実現
都市とその市民が標的となり、使用の影響が地球規模となる核兵器は、市民の安心・安全な生活を脅かす最大の障害であるため、国連・各国政府とりわけ核保有国及びその同盟国に核兵器廃絶に向けた行動を要請することにより、為政者の政策転換を促す。
イ 安全で活力のある都市の実現
市民の安心・安全な生活をより確かなものとするため、人類の共存を脅かす飢餓・貧困等の諸問題の解消さらには難民問題、人権問題の解決及び環境保護といった地域ごとに異なる多様な課題に取り組む。
ウ 平和文化の振興
核兵器廃絶に向けた為政者の政策転換を促す環境や、人類の共存に向けて連帯する市民社会をつくるため、市民一人一人が日常生活の中で平和について考え行動するという、より根源的に重要な「平和文化」を市民社会に根付かせ、平和意識を醸成する。
(3) 取組
都市がそこに居住する市民を核兵器の脅威から確実に守るとともに、人類の共存を持続可能とするため、平和首長会議の加盟都市は、ビジョンの三つの目標の下で、併せて策定した平和首長会議行動計画(2021年-2025年)に掲げる取組を進め、平和を構築していきます。
主な取組
- ア 国連・各国政府への要請
- イ 平和首長会議原爆ポスター展
- ウ 被爆体験講和の聴講機会の提供
- エ 被爆樹木の種や二世の苗木の配付・育成
- オ 子どもたちによる‟平和なまち”絵画コンテスト
- カ 平和教育ウェビナー
- キ 青少年「平和と交流」支援事業
- ク 加盟都市との連携