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2024年10月21日記者会見「第13回平和首長会議理事会への出席等に伴う英国・アイルランド訪問について」外4件
動画は下記からご覧ください。
(「広島市公式チャンネル(YouTube)(市長記者会見)」のページへジャンプします<外部リンク>)
日時 令和6年(2024年)10月21日(月)午前10時30分~午前11時15分
場所 市役所本庁舎11階第1会議室
■市からの発表案件■
【第13回平和首長会議理事会への出席等に伴う英国・アイルランド訪問について】
市長
この度、10月22日から10月31日までの10日間の日程で、第13回平和首長会議理事会への出席のために、平和首長会議の副会長都市であります英国・マンチェスター市を、また、アイルランドと広島の関係強化のためにダブリン市を訪問いたします。そのポイントについて話したいと思いますので、詳しくはお手元の資料を後ほど御覧いただければと思います。
まず、日程調整の結果、先行することになりましたアイルランド・ダブリン市への訪問についてです。アイルランドは、長きにわたり、核軍縮に向けた国際社会の取組を主導してきた国の一つであり、訪問するダブリン市では、アイルランド議会上院の議場において、スピーチを行います。これは、昨年2月、オファイールアイルランド下院議長一行が本市を訪問されたことがきっかけとなりまして、同国との関係を強化するための取組の一環として行うことになったものであります。当日は、同国の国会議員や、この場に招待されている同国内の平和首長会議加盟都市関係者などに対して、スピーチを通じて核兵器のない平和な世界の実現に向け共に取り組んでいくことを呼び掛けたいと思っています。
さらに、日本・アイルランド友好議員連盟主催の平和首長会議加盟セレモニーに出席しまして、アイルランドの15の自治体が新たに平和首長会議加盟申請書に署名する場に立ち会うとともに、同国のヒギンズ大統領と面会し、核兵器の廃絶を願う被爆者の切なる思い、すなわち「ヒロシマの心」を伝え、核兵器のない世界の実現に向けた市民社会の世論醸成のために、平和首長会議の取組に協力していただくよう要請するとともに被爆地訪問を要請したいと考えています。
さらに、在アイルランド日本国大使館の全面的な協力によりダブリン市内の学校や図書館で開催される「ヒロシマ・ナガサキ原爆写真ポスター展」及び「サダコと折り鶴ポスター展」の開会セレモニーなどに出席し、ダブリン市民に被爆の実相と「ヒロシマの心」を伝えたいと考えています。
次に、第13回平和首長会議理事会への出席について説明します。ダブリン市への訪問後、英国・マンチェスター市に移動し、10月28日と29日の2日間、平和首長会議理事会を開催します。今回の理事会には、長崎市、ドイツのハノーバー市、フランスのマラコフ市など10都市、1支部が出席する予定になっています。
理事会では、2025年までの活動指針である現行の行動計画の取組状況を総括し、来年8月に長崎市で開催予定の第11回平和首長会議総会において策定する次期行動計画の方向性について審議する他、被爆80周年の取組や総会の運営方針、財政基盤の強化に向けた方策などについても意見交換する予定であります。
さらに、今回の理事会に合わせて開催される、平和首長会議の地域支部であるヨーロッパ支部会議や英国・アイルランド支部会議にも出席し、各支部との連携を一層深めていきたいと考えています。
市民に最も身近な存在である自治体の首長により構成される平和首長会議としては、混迷を極め、核兵器使用のリスクも高まっている国際情勢を打開していくために、今こそ、PXビジョンに掲げている「平和文化の振興」に向けた取組を充実・強化し、その効果を地球規模で波及させていかなければならないと考えています。
そのために、世界各地で加盟都市がPXビジョンの目標の達成に向けた活動を主体的に実施できる、継続的かつ効果的な体制の確保が急務になっていると考えています。
この度の理事会においては、こうしたことも含め、行動計画により実効性を持たせるための実施体制の構築や今後の取組の方向性について、役員都市とも検討したいと考えています。以上が今回の出張の概要です。
記者
アイルランド(議会)上院での市長のスピーチ、先ほどざっと読ませていただいたのですが、その中に八幡照子さんを紹介されていると思うのですが、どうして八幡さんを選ばれたのか、その理由をお聞かせください。
市長
ご存じの方は多いかと思いますけれども、八幡さんは被爆したのちに、自分自身の体験、そういったことをぜひ発信したいということで、83歳から英語を学んで、そして、凄惨な現場であるとか悲しみ、そういうものを乗り越えて、平和貢献しなければいけませんよということを、世界の人々に英語で語るというか、被爆証言をされているという方であります。そういう方ですから、この八幡さんの話をすることで、いわば苦難の歴史を乗り越えて、希望のあるものを失うことなく生き抜くということ、さらに平和への思いを抱いて世界の平和に努力しているという、これは実はアイルランドの方々もね、そういうふうに思っているというふうにも感じていますので、共感していただける人物じゃないかなということで、引用したものであります。
記者
市長は、これまで外国の議会でスピーチされたということは、今まで経験はあるのでしょうか。
市長
議会で。市議会ではありますけどね。ハノーバー(市)とかね。姉妹友好都市とかでは。これ、国会ですからね。これは初めてですよ。
市職員
イタリアでスピーチされたことはございます。
市長
イタリアの、ごめんなさい。イタリアは国会だった。
【下水道工事の施工に伴う道路陥没事故について】
市長
9月26日に発生いたしました下水道工事に伴う道路陥没事故についての、現在の対応状況などを報告させていただきます。まず、事故の概要とその被害状況につきましては、お手元に配布している資料の記載のとおりであります。
インフラの復旧状況のうち下水道につきましては、一部損傷が確認された既設幹線の流下能力を補強するために、内径250ミリの配水管の設置を完了いたしまして、現在は、内径800ミリの配水管の設置を行っております。10月22日、完了する予定になっています。また、水道については避難者の帰宅に合わせて復旧する体制を確保しているところです。電気などについては、電線、通信ケーブルの移設を実施しておりまして、損傷した信号機は撤去しております。
次に危険度判定調査については、現場から半径50メートルにかかる建物27棟について危険度判定調査を行った結果、「危険」とされた建物が市営住宅を含めて9棟、「要注意」が3棟、「立入可能」が15棟となりました。「危険」とされた建物9棟のうち、市営住宅2棟については、建物内の詳細な被災度判定調査を行い、その結果を踏まえ、本市において改修または解体を判断することとしております。市営住宅以外の「危険」7棟及び「要注意」3棟については、所有者の意向を確認し、被災度判定調査の実施や、改修または解体について協議を行っています。また、「立入可能」の建物については、建物内部等の二次調査を行い、安全が確認できた建物及び改修が完了した建物13棟については、帰宅可能であることを住民に連絡済みであります。
次に避難状況については、建物の調査、修繕などを進めた結果、本日時点で、ホテルや賃貸住宅等へ避難されている方が37世帯68人、帰宅や転居された方が10世帯19人となっています。
避難者等への対応については、本市及び請負業者が公共工事に伴う補償内容などを踏まえて、協同して被害を受けられた方々に寄り添い、対応を行っております。被災者等への説明会についてはこれまでに、2回開催しており、第3回を11月中旬に開催し、インフラ復旧状況、建物補償や営業補償などについて説明を行う予定であります。
次に避難者等への要望の聞き取りについては、当面の支援や建物補償、営業補償の要望について個別に聞き取りを行っております。また、市営住宅の居住者に対しては、(10月)12日から個別に意向の聞き取りを始めておりまして、本日で全18世帯の聞き取りを終了する予定になっております。引き続き要望を伺いながら、他の市営住宅への住み替えも含め対応できるよう調整を行っていきます。今後、さらに事故原因の究明や再発防止策の検討状況を段階に応じてお知らせしながら、避難者等の要望を伺うことにしており、被害を受けられた方々に寄り添い、対応を行っていきたいと考えております。
補償及び支援については、相談窓口を設置して、日常生活の支援や困りごとなどの相談を受け付け、避難中の宿泊費や家賃などの生活支援を継続するとともに、家屋の補修、事業再開のための補償についても個別の事情を伺いながら、請負業者と共に対応しております。最後に検討委員会についてでありますけれども、事故の原因の究明や再発防止策などについて専門的見地から検討することを目的として、外部の有識者からなる検討委員会を設置いたします。現在、国に対して委員としての参加を依頼しておりまして、その他の委員についても国の助言を受けながら有識者を候補者として選定し、委員委嘱の手続きを開始したところであります。今後11月に第1回の検討委員会を開催する予定としております。本件に関する説明は以上になります。
記者
2点お伺いします。1点目は(10月)26日で1か月ということになると思うんですけれども、今日改めて避難者の数、37世帯68人がいまだホテル生活とか、新たな賃貸住宅への避難というのを余儀なくされている状況について、市長としてどのように受け止められているかというのが、まず1点お願いします。
市長
自宅に帰られる方もいて、いわば、市の用意いたしました避難場所は一応解消いたしまして、それぞれ一定の居住場所を確保できておりますけれども、元々居住していたところには帰れないという状況は続いています。1か月もたっておりますので、非常に御迷惑かけているというふうに思っておりますが、今早急に対応を講じておりますので御容赦いただきたいと。その間のいろいろな御不便をおかけすることに関わる、それに伴う要望等については、しっかり対応していきたいと思いますので、どうかよろしくお願いしますというふうに思っています。
記者
来月、事故調査の検討委員会を開催予定ですが、結論というか原因究明について、この検討委員会、どのくらいのスケジュール感をもって進めていきたいというのがあれば教えてください。
市長
お願いしている私とすれば、なるべく早急にという気持ちと、それから早いだけではなくて適切な検討をお願いしたいです。いずれにしても、まだまだ3~4キロ近くずっと延伸しなきゃいけないわけでありますので、今回の原因究明をしっかりしていただいて、二度とこういったことが起こらないようにするための調査をしっかりしていただく。何に原因があるかについては関係者の方々もまだよく分からないで、いろいろある意味で疑心暗鬼になっている状況がありますので、早く専門家による検討委員会を立ち上げて、そこできちっとした議論をしていただいて、必要な対応が講じられるようにすると、それを可能なかぎり早くと。実際、専門家ではありませんので、どういったことが必要になるか手続き等もありましょうから、一定の期間は要するとは思いますが、私とすれば可能なかぎり早くやっていただきたいというふうに思っています。
記者
これから横川(町)の、三篠(町)の方までトンネルを延ばすという工事も残っているという中で、その工事を進めるためにも今回のこの検討委員会の結論というのが大事。原因を究明して、しっかり説明できるようにすることが大事だというお考えだということですね。
市長
一つそうですね。ある意味で二面性がありまして、今後の工事を安全かつ的確にやっていくということ、それから今回生じた事故に対して、補償は関係者の方々にいたしますけれども、その補償の分担といいますか、どういった責任があっただろうということも併せて検証していただくことになると思いますので、関係者の方々、「いや、自分たちは一生懸命やっているんだ」という気持ち、皆さんお持ちだと思いますので、その辺を第三者的といいますか専門家の方にしっかりと判断していただいて、今後に適正な対応を期すということにしたいというふうに思っています。
記者
検討委員会の件で伺いたいんですけれども、この「国に対して」というのは国交省(国土交通省)に対してという認識で。
市長
そうですね。専門家は国交省の方にお願いしています。
記者
国交省の専門家を。
市長
国交省に専門家を御配慮いただきたいと。
市職員
国交省の職員の方にも参加していただくよう。国の機関及び国交省。
市職員
具体的に申しますと、(国立研究開発法人)土木研究所とか国の機関でございますけど、それ自体は国交省の組織ではなく外郭(団体)になるんですが、そういったのも含めて広く国の機関からの参加を今依頼しているところでございます。
記者
ちなみにメンバーの数としては、おおまかにどの程度の規模感になる予定でしょうか。
市職員
今後決定してまいりますので、今ちょっと申し上げることはできません。
記者
また、この検討委員会を開催された際には、それってマスコミにオープンになるんですか。それともクローズという形になるんでしょうか。
市職員
会議自体は公開等含めて、検討委員の方で判断していただくこととなります。
市長
まだ検討委員を検討中でありまして、むしろ専門分野が数分野あるだろうということを予測しますから、あと公開、非公開も参加される先生方の見識によりますから、公開できるものできないものがあるやもしれませんので、現段階では分からないです。コメントはちょっと控えさせていただきたいというふうに思います。
記者
原因究明はもちろん、これからだと思うんですけど、今、話としてシールドマシンの操作自体には問題がなかったけれども、マシンにちょっと不具合があったんじゃないかっていう報道も出ている中で、市として今のところ、これが原因なんじゃないかと想定しているものは何かあるんでしょうか。
市長
ありません。そのために検討会を立ち上げようと思っています。
記者
あと、検討委員会の第1回というのは具体的にどういった内容を話し合う、顔合わせ程度なのか、何かこういうことを具体的に話し合いますみたいなのが、もしあれば。
市長
先生方の構成にもよりますけれども、最初は顔合わせして、普通ですと、まず現状説明して、先生方に問題意識の共有を図っていただくとか、事象を共有していただいて、どういう点の点検がいるか確認がいる。段取りとか、問題点の集約を図るっていうふうな会議を1回目はやるというのが通常じゃないかと思います。今回に限るわけじゃないですけど、一般論としてね。そんなふうにして何回か重ねていくとなると思います。そのあとの重ね方は論点の数とか、それぞれに関わる調査に要する日時とかを考えて、開催日の期間も決まってまいりましょうし、それをフィードバックして、検証して、さらに再点検とか、そういったその後の段取り感で回数、日程も決まってくるというふうに思っていまして、いずれにしても専門家の先生方に、ある意味で委ねるということになろうかと思います。
記者
危険度判定調査で御説明いただいた件に関連してなんですけれども、9棟のうち、市営住宅の2棟については、建物内の詳細な調査を行った上で、広島市の方で改修、または解体などを検討することにしているという御説明がありましたけれども、これまでの住民説明会の中で、住民の方からは、どういう結果になろうと、早く方針であるとか、どういうふうに自分たちが住んでいた家がなっていくのかの方針、案内が早く欲しいというお声も相次いでいたと現場で認識をしているんですけれども、その点についてのスケジュール感であるとか、また、市営住宅以外の一般の住宅事業所と、9棟に入る部分について、どのような対策を個別の協議の中で検討していくのか、今の時点での市長のお考えを聞かせてください。
市長
確かに、住宅に戻れない方々、元の住まいに戻れない方々が、今後どうなるかということについて、先ほど申し上げたとおり、非常に心配されておるということは明白なんですけれども、今言った、原因究明作業によっては、住宅に関して、どんなことがいるかどうかとかも、まだ分かっていませんので、その辺の話も、今後立ち上げて、きちっと御説明しながら対応を我々として決めていかざるを得ないんだと。申し訳ないけど、現時点では、いろいろな御希望ありましょうけれども、我々の作業の進捗状況を適切っていうか、きちっとお伝えしますので、その範囲の中で、もうしばらく忍耐していただくというか、我慢していただけないかということをやらざるを得ないということを御理解いただきたい。ただ、日常生活において、不便が生じているというふうな点に関しては、御要望を受ければ、それにしっかりと対応するということをやっていきたいというふうに思っています。
■市政記者クラブからの代表質問■
【日本被団協のノーベル平和賞受賞決定について】
記者
日本被団協のノーベル平和賞受賞が決まりました。核兵器廃絶に向けた大きな追い風になると思いますが、改めて市長の受け止めをお聞かせください。
また、被爆者の皆さんは若者への継承の重要性を強調されており、市長として、また平和首長会議の会長としてどのようにしていきたいか考えを教えてください。
加えて、核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加に慎重な姿勢の日本政府に対して、広島市としてどのように働きかけていくか改めて教えてください。
市長
日本原水爆被害者団体協議会は、今年、結成から68年を迎えているというものでありますけれども、今日まで一貫して、核兵器の非人道性、そして、その廃絶ということを、証言活動などを通して訴え続けてきておられます。とりわけ、全ての国において核兵器を禁止して、廃絶するという条約の締結を求める「ヒバクシャ国際署名」への取組に当たりましては、1,370万筆を超える署名を集められました。このことは、核兵器禁止条約発効の大きな原動力になったというふうにも受け止めておりまして、核兵器のない世界に向けた国際社会の取組に大きな影響を与えてきているというふうに捉えています。ロシアによるウクライナ侵攻であるとか、中東情勢の悪化、こういったことによりまして、核兵器の使用のリスクが、かつてないほど高まっているこのタイミングであります。また、来年、被爆80周年の節目を迎えるという、このタイミングで、日本被団協がノーベル平和賞を受賞したということは、いわば、核抑止力に依存せざるを得ないんじゃないかというふうに考えている為政者、現にいますけれども、そういった中にあって、核保有国を始め国際社会全体に、まず核兵器を使用するということ、三度目の(広島・)長崎があってはならないというふうなことを再確認させるとともに、さらに、対話による平和的解決ということに向けた外交政策へ転換するということを促すメッセージにもなっているんじゃないかというふうに思っていまして、そういう意味で意義あるものだというふうに捉えています。
本市としては、あるいは、平和首長会議の会長都市として、2つの立場を持っていますけれども、そういう立場として、引き続き、日本被団協を含めた多様な主体との連携というものを強化しながら、核兵器廃絶に向けた行動を促すということをやっていきたいと思っています。
若者への継承ということに関しましては、本市としては、これまでも平和学習の推進とか、被爆体験伝承者などの養成、こういったことを、様々な取組を進めてきておりますし、最近では、新たにAI(人工知能)とか、VR(仮想現実)を活用しながら、次世代への被爆体験の継承に取り組むということで、積極的な対応ということをしてきているところであります。これは、必要だからやらなきゃいかんというのが大前提ですよね。
それと、もう一つは、被爆者の高齢化が進む中で、そういった若者を取り囲む「平和文化」が今あるんですけれど、その「平和文化」の担い手になっていただく、担い手を育成するという観点も重要になってきていると思っていまして、若い世代の主体的な取組を促していくということが重要だというふうに思っています。そういう意味では、大きく2つの視点からも重要性が増していますので、取組の一層の強化を図っていければというふうに思っています。
最後に日本政府に対しましては、被爆者の悲願である核兵器のない世界を一日も早く実現するためにも、来年3月の核兵器禁止条約第3回締約会議へのオブザーバー参加といったことも含めて、いま一度被爆者の訴えなるものをしっかりと受け止めた対応を取っていただくように機会を捉えながらしっかりと訴えていきたいというふうに思っています。
記者
今の被団協(日本原水爆被害者団体協議会)に関連してなんですけれども、ノーベル(平和)賞の受賞決定理由として、核のタブーの確立、いわゆる核廃絶を長年訴えられてきたことが評価されたのかと思うんですけれども、一方で、被団協、結成当時から核廃絶の他に国家補償を求めているかと思うんですけれども、その辺りについての言及がなかったことへの受け止め、そして、被団協が掲げている国家補償について国にどのように促していくか、どういった対応を求めたいかについて、お聞かせ願えませんでしょうか。
市長
言及がなかったというのは誰からの言及ですか。ノーベル委員会から。
記者
そうです。そうです。
市長
この(ノーベル)委員会が言及しなかった理由は、私もつぶさに聞いてないから分からないといえば分からないんですけれど、ただ、ノーベル平和賞、世界に向けて平和への貢献ということを言われる中で、やはり世界のそういった平和を希求する動きをしっかりと支援する、あるいはそれを支えるということに力点を置かれたからだと思いましてね、被爆した方々への補償をきちんとすべきだということも言われつつ、それに必要な対応をされているという点については、むしろ自分たちの、被害者の利益を守るということで、全ての、世界全体のことではないという意味で、無視したわけではないでしょうけれどもね、ノーベル平和賞として、(ノーベル)委員会としては言わなかったんじゃないかという気もいたします。
広島とすれば、被爆者の援護措置に関しましてそういった御要請を受けながら政府に対して県・市、一緒になって今までも要望してきておりますし、その対応はこれからも変わることなくやっていきたいというふうに思っております。
記者
12月にありますオスロ(市)での(ノーベル賞)授賞式について、2017年のICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)受賞の際は、広島、長崎両市長オスロに行かれていたかと思うんですが、今回は行かれるようなお考えないし検討とかはございますでしょうか。
市長
ノーベル平和賞の受賞、前回のときの経過だけ申し上げますとあの当時、ICANが受賞されて、そして川崎(哲)さんが委員会の方とのやり取りの中で広島、長崎も授賞式に出席要請というか招待するようにというようなお話をされたというような経過があったりして、我が方に招待状が来たということがありましてですね、当時はちょうど12月ですから、来年度の予算に関わる準備とかも兼ねているもんですから、議会があるんですけれども、その議会の日程調整などもそういう要請があったということで慌ててさせていただいて、オスロに行ったという記憶があります。ですから、今回もある意味で同様のことかなと。要請があれば考えていかなきゃいかんかなというふうには思っていますけれどもね。
【被爆者団体への支援について】
記者
被爆者数の減少などにより各地で被爆者団体が解散している現状があり、また高齢の被爆者が活動を続けるために人的、または財政面での支援を望む声もあります。核兵器廃絶に向けた運動を続ける上で団体の存在は一つの大きな力となっていますが、今後、広島市として団体存続に向けた支援についてどのようにお考えでしょうか。
市長
まず、本市の立場ですけれども、被爆者の「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」という、そういったメッセージを原点に「ヒロシマの心」、これを世界中の市民社会に根付かせるべく被爆の実相、これを「守り、広め、伝える」ための取組を進めるということをしてきております。そして、そういったものをきちっと根付かせるためにも基礎自治体としての本務というふうに考えていますけれども、「平和文化」、これを広く市民社会に浸透させる、根付かせる、あるいは振興すると、そういったことをするための取組に力を入れてきていると。そういう立場として、被団協の皆さんのことを考えなければいかんとこう思っています。この度受賞された被団協の団体存続ということに向けた支援に関しましては、今申し上げた本市の取組になるものと連携を図りながら被団協の活動というものが広島と長崎の被爆者による草の根運動に由来するものであるという、いわゆる原点をしっかりと踏まえながら国民全体を巻き込んだものとなるように、そういったものにつながるようにということで、それに必要となる支援といったものを行っていきたいというふうに思っています。
記者
草の根運動をやってきたっていうことで、国民全体の動きとなるように、広島市としては、どのように関わっていくというか、どういうふうな、運動面でっていうことになるんですかね。もうちょっと具体的に教えていただければと思います。
市長
今申し上げたのは、「ヒロシマの心」というのを世界に根付かせるための、実相を「守り、広め、伝える」という取組。それから、平和文化を広げるといった取組の面で連携強化を図りながら、今までもいろいろな形で連携しながらやってきていますので、それを、ある意味で充実したものにしていくということになろうかと思います。
記者
すいません、なかなかあまり理解ができなかったんですけれども、これまで被団協と連携をされて、これからまた充実させたものになるということなんですけれども、これまで被団協とどういった連携をされて、今後充実させるとしたらどのように具体的に充実させるのかについて教えていただけませんでしょうか。
市長
キャンペーン活動など、先ほど申し上げましたように、「守り、広め、伝える」ための取組をやるときに、御一緒にさせていただいています。街頭署名などは、箕牧(智之)さんと一緒に、私なんかも街頭へ出て、させていただくとかやっていますしね。ICANとのいろいろなシンポジウム開催とかも御一緒するということで。さっき申し上げたように、自治体としての取組、平和文化を広げるため、あるいは振興するための取組といったところで連携できると。さらには、先ほど、課題にありました、今後、若い方々にそういったものをどう浸透させるかという運用面での工夫を一緒にやっていくということじゃないかと思いますけれども。
記者
それと、先ほどの代表質問であった、団体の存続が、高齢化でなくなっていくということなんですけれども、このあたりについて、今、何か具体的にお考えとか、今、特にはないんですかね。
市長
それは、組織体として、被爆者による草の根運動とひと言入れていますからね。行政が、直接、組織について手を加えるっていうことは、ある意味では、逆にそんなことじゃないかなっていうふうに思います。それぞれ、若い方々への、我が市としても若者への伝承活動をやっているから、そういったところで連携することで、今後の活動継続といいますか、強化をどうするかということにしたいと思いますね。主体性は、ちゃんと双方持っておく必要があるんじゃないかと私は思っています。
記者
つまるところ、これからも連携をしつつも、組織は組織で行政の手を加えるのはナンセンス、主体性がなくなるということで、そういった直接的なことは、特にはという。
市長
私自身は、行政のいわゆる、向こうの方も、市の行政の手足みたいになることは考えておられない。むしろ、主体性を持って自分たちとして、いろいろな活動について行政と連携強化を図るということをされていると思います。
■その他の質問■
【核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加について】
記者
さっきのノーベル賞のところに戻って伺いたいんですが、政府にオブザーバー参加を今後どういうふうにやっていくかっていうところですけれども、機会あるごとに訴えていきたいという話でしたが、近々こんなことをするとか、まずはこんなことから、今回のノーベル賞をきっかけに、何か市長のお考えをもうちょっと教えていただいていいですか。
市長
オブザーバー参加は、今までもいろいろな形でずっと言い続けてきていますから、広島の立場というのは、政府の関係者にも御理解いただいていると思いますけれども、今度、選挙があって、新内閣がまたできるじゃないですか。与党・野党っていう立場がどうなるかは分からないですけれども、どちらになられたとしても、改めて、広島の考え方をきちっと伝えて来年の会議に備えていただきたいということは、どこかの時点で考え方を届けるということはしたいというふうに思います。
※( )は注釈を加えたものです。
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