2025年2月7日記者会見「令和7年第1回広島市議会定例会提出案件について」
動画は下記からご覧ください。
- 日時 令和7年(2025年)2月7日(金曜日)午前10時15分~午前11時15分
- 場所 市役所本庁舎11階第1会議室
市からの発表案件
令和7年第1回広島市議会定例会提出案件について
市長
本日、令和7年の第1回市議会定例会の招集告示を行いました。開会は2月14日の金曜日になります。
今回の定例会には、全会計で総額1兆2,770億円余りの新年度当初予算案を提出いたします。
それでは、私の方から、予算編成の基本的な考え方と新規・拡充事業など注目していただきたい重点施策について説明をさせていただきます。お手元に用意しております「資料1 令和7年度広島市当初予算の概要」の10ページ「令和7年度当初予算のポイント」これを御覧ください。
数年来、輸入物価の上昇に端を発する物価高騰によりまして、市民生活が圧迫され、経済回復の実感が持ちにくい状況が続いていた中にあって、令和6年度においては、我が国全体で33年ぶりの高水準となる賃上げ率が実現し、さらには賃金上昇率が物価上昇率を上回る見込みとなるなど、長年のデフレ・停滞から脱却して、賃上げとインフレの好循環の創出に向けた歩みが着実に進んできている状況にあります。
一方で、本市では、若い世代を中心に転出超過の状況が続いておりまして、また、生産年齢人口が減少していくということが今後確実な状況になっている中にあって、持続可能なまちづくりのためには、こうした課題への対応が待ったなしになっております。
本市としては、国から措置される財源、これを最大限に活用しながら令和6年度2月補正予算を編成して、当面の物価高騰に対して万全の対策を講じるとともに、一般会計において、2年連続で政令市移行後最大の規模となる令和7年度当初予算を編成して、「地域コミュニティの活性化」、「平和文化の振興」、「公共交通の充実強化」、「こども・若者や子育ての支援」などの重点課題に、市民をはじめ民間企業や大学、地域団体などとの連携の下で、若者が自らの将来展望を開くことにつながると実感ができるような諸生活環境を整える「地域総出のまちづくり」の推進に意を用いながら、ハード・ソフトの両面から積極的に取り組んでいきたいと考えております。
このような考え方の下で編成した新年度の予算に基づいて、今後50年、100年先の広島の持続的な発展に向けて、広島市総合計画に掲げた「世界に輝く平和のまち」、「国際的に開かれた活力あるまち」、そして「文化が息づき豊かな人間性を育むまち」という3つの柱に沿ったまちづくりを進めてまいります。
「世界に輝く平和のまち」に関しては、平和首長会議に加盟する国内外の都市と共に、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向けて、「平和文化の振興」に向けた取組を充実・強化して、平和を願う市民社会の総意が世界中の為政者の心に届くような環境づくりに、より一層注力していきます。
具体的には、「ヒロシマの心」の共有の推進を図るために、全国の自治体による若い世代の平和記念式典への派遣に対する支援や、(広島)平和記念資料館におけるこどもたちにも分かりやすい新たな展示の整備などを実施いたします。
また、NPT(核兵器不拡散条約)再検討会議準備委員会に出席いたしまして、国連・各国政府関係者などに対してスピーチや、あるいは個別の面会を通じて、核兵器のない平和な世界を願うヒロシマの心を伝えて、具体的な核軍縮の進展を要請していくことにしております。
次に「国際的に開かれた活力あるまち」に関しては、国内外から多くの方を引き付けて、市域を超えて活力とにぎわいを生み出すために、広島駅南口広場の再整備などや、基町相生通地区や西広島駅南口西地区における市街地再開発事業、そして西広島駅北口地区や西風新都におけるまちづくり、さらには東部地区連続立体交差事業を着実に進めていきます。
また、広島高速5号線の整備や広島高速4号線の延長、新交通西風新都線などの交通ネットワークの整備に取り組むとともに、厳しい経営状況にあります乗合バス事業者が今後も持続可能で使いやすいバスサービスを提供し、ヒト・モノが活発に「循環」し続けることが可能となるように、本年1月に一般社団法人化いたしました「バス協調・共創プラットフォームひろしま」を稼働させて、乗合バス事業の共同運営システムの構築に引き続き取り組んでまいります。
さらに、中山間地・島しょ部については、引き続き、似島や戸山地域・湯来地域の活性化に取り組むとともに、令和6年度末に策定予定である高陽地域・白木地域の活性化プランの具体化、そして、実行に向けたワークショップの開催などを支援していきます。
「文化が息づき豊かな人間性を育むまち」に関しては、中央図書館などの移転整備や浅野文庫などの施設の整備を進めるとともに、広島城の魅力向上を図るため、広島城三の丸歴史館の整備などに取り組む他に、新たに、音楽文化活動を通じた平和文化の振興を図るため、広島ウインドオーケストラによるコンサートを開催いたします。
また、地方自治法に基づく「指定地域共同活動団体」として新たに位置付ける広島型地域運営組織「ひろしまLMO」の設立・運営を一層推進するとともに、多様な働き方を実現しつつ、地域の活力低下、あるいは担い手不足などの地域課題の解決に資する協同労働の一層の普及・促進に取り組む協同労働支援センターを支援いたします。
さらに、未来を担うこどもに関する取組として、地域における子育て環境の充実を図るため、子育て家庭などが気楽に相談できるように、身近な場所である公募型の常設オープンスペースに「地域子育て相談機関」を新たに設置するとともに、子育て家庭への支援の充実を図るため、一時預かり保育や病児保育の利用等に係る予約、放課後児童クラブの利用申請等をオンライン化するシステムを新たに導入する他、ヤングケアラーを早期に把握し、個々の状況に応じた適切な支援につなげるため、相談体制などを強化していきます。
以上の3つの柱に沿ったまちづくりに加えまして、被爆80周年を迎える本年は、「原爆死没者の慰霊と被爆者の援護」とともに「平和文化の振興」といった柱に沿って、被爆80周年記念事業を実施いたします。
記念事業の実施にあたっては、戦争経験者や被爆者の高齢化が進展している現状を踏まえて、次世代の平和文化の担い手を育成するという観点に立って、若い世代の主体的な取組や積極的な参画を促して、「ヒロシマの心」を次世代につないでいくこと、また、国内外の都市との連携の輪を広げていくことが重要であるといったことに留意しながら進めていきます。
具体的には、平和記念式典の開催にあたって、国内外から一層多くの参列を得て原爆死没者を慰霊するとともに、高齢化が進む被爆者の援護に引き続き取り組みながら、文化芸術活動やスポーツ交流、平和への思いを共有する学習や活動の機会の提供などを通じて平和文化の振興に取り組んでいきます。
このように、来年度予算については、行政経営改革推進プラン及び財政運営方針に基づいて、持続可能な行政体制の構築にも意を用いるとともに、デジタル技術を有効に活用して、社会環境の変化に伴い多様化する地域課題に的確に、またかつ能動的に対応する「DXの加速化」を図るなど、世界に誇れる「まち」の実現に向けて、重点的かつ最大限に予算配分を行ったところであります。以上が新年度の当初予算の概要であります。
次に、国の補正予算を活用して実施する物価高騰対策について説明をいたします。
「資料7 令和6年度2月補正予算の内容」を御覧ください。
まず、(1)にありますとおり、定額減税しきれないと見込まれる者への調整給付について、6年分所得税の実績などに基づいて、既に実施した給付の額に不足が生じる者などへ補足給付金を支給いたします。
また、次の(2)(3)と2ページの(4)から(6)にありますとおり、物価が高騰する中にあって、サービスの質を維持しつつ安定的に事業運営ができるよう、社会福祉施設などに対しまして支援金を支給するとともに、保護者などの負担を増やすことなく、学校や保育園などにおいて栄養バランスや量を保った給食が提供できるよう、食材購入に要する経費の措置などを行います。
次に、組織・職員数等について説明いたします。
お配りしている資料の「令和7年度組織改正及び職員配置について」を御覧ください。
まず、組織については、「ヒロシマの心」を発信する取組を強化するとともに、平和、国際交流、多文化共生などの施策の調和を図りながら、被爆100周年を見据えたまちづくりに着実に取り組むために、市民局に国際平和推進部を所管する国際平和推進担当局長を配置いたします。
また、「行政のデジタル化」に向けた推進体制を強化するために、デジタル行政推進室を設置いたします。
次に、職員の数については、こども・家庭への支援体制の強化や、職員が安心して育児休業を取得できる職場環境の整備を図ることを目的とした代替職員の配置などのため、職員の増員を行う、その一方で事務事業の収束や、正規職員と非正規職員との役割分担を踏まえた執行体制の見直しを行うことなどによって、職員の減員を行います。
また、各種施策を着実に推進していくためには、全ての職員が、ワーク・ライフ・バランスを保ちながら、その能力を存分に発揮することが重要であります。そのため、時間外勤務の縮減はもとより、柔軟な働き方を可能とするテレワークの推進、メンタルヘルス対策、そして、ハラスメント対策の充実など職場環境の整備に取り組むとともに、職員の主体的なキャリア形成の支援や研修の充実など、職員の育成に力を入れていきます。
次に、被爆80周年の取組について説明をしておきます。
お配りしている資料の「被爆80周年の取組」を御覧ください。
被爆80周年を迎えるにあたりまして、本市では、「原爆死没者の慰霊と被爆者の援護」とともに「平和文化の振興」といった、この2つの柱の下で、事業費にして9億7,917万6千円、そして、合計で80の記念事業を実施することにしています。
加えまして、被爆80周年を「平和文化の振興」に資する取組を全市民的なものとしていく契機とするために、市民などが主体となって「平和文化の振興」に資する取組への支援として、被爆80周年のロゴの使用、そして、本市ホームページ等で取組発信などを行います。
本日は、このロゴマークのパネルを用意しておりますので御覧ください。
これが…。このロゴマークですね。こういったマークを活用しながら、市民の皆さんと一体となって被爆80周年の機運の醸成を図りながら、記念事業などを着実に実施していきたいと考えております。
以上が予算編成などに関しての私のコメントです。よろしくお願いします。
記者
先ほどの説明の中にもあったんですけど、被爆80(周)年(記念)事業のことで教えてください。予算書の中に書き込めたことと、これ以外にも市長の思いとして、80年事業を実施していくにあたって、書き込めなかった思いがあれば、より具体的に教えていただけたらと思うのと、前年度当初に発表された事業と合わせて、今回で全部合わせると80事業に、被爆80(周)年(記念)事業はなると思うんですけど、この中で特にこれを特に力を入れて取り組んでいきたいというものがあれば教えてください。
市長
実は、被爆80周年(記念)事業で、80年なので、少なくとも80は事業をやるぞといったようなメッセージを出すことで、皆さんに、この(被爆80)周年(記念)事業を認識してもらえれば。その中で、これは今後とも、とりわけ平和文化を振興していく上で、皆さん、効果があるんじゃないかと思われるのは、80年以降も続けていくというふうな展望というか、思いの元にやっていこうじゃないかというふうに考えているんですね。
今後も続けていく上での一番のポイントは、実は平和文化というのを一生懸命定義して、いろいろな方に定義したノートを配ったりしている中で、平和文化の定義に関して、こんなことを言っていまして、それが一番の自分にとって大事な気持ちなので、説明すると時間もかかるから省略はしているんですけれども、この平和というのは、学者の先生から言うと、一切の暴力がないということが大前提だと。暴力も人をあやめたりする直接的な暴力と、そして、社会的差別とかいったもので、当事者を苦しめて、例えば、死に至らしめるような構造的な暴力と。そして、そういった直接的暴力とか、構造的暴力は人類だから仕方ないんだと、遭っても遣る方ないじゃないかというふうな、要は、それを強要するような文化的な暴力、こういった類いの暴力が一切ない世界が平和であって、それを構成しているのが平和文化ということなんですけれども、自分とすれば、それは、いわゆる消極的な定義で、もう少し積極的な定義が欲しいということで、そういった状況の中で、暮らす方々が受け止める気持ちに着目して、平和、あるいは平和文化を定義したいということにしました。
そうすると、そういった状況の中で、人間生きていく上で生活をして、例えば、過去の事象であると、ああ、懐かしいなと。おぞましいじゃなくて、懐かしいなと思えるように感ずる、あるいは現時点ですと、いろいろな意味で元気になると、気持ちいいと、晴れ晴れしい気持ちになると。将来について、その中で夢が持てると、こんな気持ちになるような生活環境が整っているということ。暴力がない以上に、そこまで状況設定があると平和というふうに言っていいんじゃないかと。それを作り上げるためには、いろいろな人々の取組とそういったことの結果の総体が平和文化というふうに言えるんじゃないかと。その平和文化を振興するということをこれからやる。
その平和文化の担い手は、もちろん、これからということを言えば、次の世代を担う方々がこれを実感し、実行していただけるようにすることで、今生きているのも重要なんですけれども、次の方々にそれをしっかり感じてもらうようにする。そのためにそれに通ずるような事業として何があるかということを、ひととおり、今回、ノミネートしたものをやらせていただいて、確かにいいじゃないかというふうに受け止めてもらえるものは、その後もずっと続けていくようにしたいと、そんなことなんですね。
やり方として、それをやるときに、いわば行政が主体であるとか、協賛であるというふうなものもありましょう。いや、そうじゃなくて、市民、自分たち自身でやると。だけれども、(広島)市がやっていること、広島市としてやることと同じような方向性もあるし、一緒に支援してくれというのがあれば、それも支援するということもあっていいでしょう。そういう意味で、市民総出というか、関係者が一緒になってやるというふうなことを、いろいろな形で展開したいから、多様なもの、かつ、またこの文化というのは、今の場合、多様性が必要となっていますから、外国の籍の方であっても、あるいは、この平和首長会議などで他の国でも受け入れられるようなこと、いろいろな要素がありますので、多角的にやってみて、その中で、みんながいいじゃないかというふうに言っていただけるものを、いわば、みんなで始めて、お試しをやっていく、そういったことにもしたいなと思っていると、そんなことが私の思いであります。ですから、その中でこれが一番というんじゃなくて、今、全体を皆さんにやっていただいて、これなら今申し上げた気持ちが行き届くようなもの、効果があるというものをチョイスしていただくための年にしてもらいたいなというふうに思っています。
記者
もう一点、伺いたいんですが、組織改変の件で、この4月から市民局の中に国際平和、いわゆる平和に関する担当局長を置かれて、その際に、今、(広島)国際会議場にある平和推進課をこちらの本庁の方へ併せて移転をされるかと思うんですが、原爆資料館を管理運営する平和文化センターと平和推進課が共に事業を動かしていくものというのは、数多くあるかと思うんですが、こちらに来ることの利点は、どんなところに持っていらっしゃるのかっていうのを伺いたくて、要は、移ることによって平和文化センターとの連携が逆に難しくなってしまうのではないかなというのが、常日頃、取材している中で、ちょっと今回の話があったのを受けて、ちょっと疑問に思いまして、そこの業務はどのように考えていらっしゃいますか。
市長
これは、私自身の思いは、広島市の市長として、この国際平和都市を建設するための活動としてやっていくという市長部局としてのこの仕事。その一環として、もう一つ、平和首長会議の首長という、会長といいますか、そういったことをやりながら、かつ、その仕事の大半を平和文化センターといいますか、市の外枠の、いわば市民の方々の構成員となっている組織に委ねていると、事務局体制を委ねていますね。だから、平和首長会議の会長としての活動、こういう側面もあると。それを集中的にやっていただく仕掛けが、今のところ(広島平和記念)資料館、それから(広島)国際会議場をつなぐ建物の中に、ある意味で混在しているという部分があるんですね。
かつ、市長としての引き受けをやっているのが市民局というようなところを中心として、この建物の中にあるんですけれども、どこにあるから便利・不便っていうのは、もちろん、日頃の業務活動上、隣にいて机を並べてやりながらやる関係と、遠隔地にあって、電話とか情報通信手段とか、そのために会議をセットしてやらなきゃいかんとなると手間がかかるというところで、一面的には疎遠になると、意思の疎通を欠くことになるんじゃないかという、今までやってきた方々からすれば、そういった気持ちが出てくるのは否めないと思うんですけれども、ただ、仕事をやる上で別に関係を遮断するわけじゃなくて、それぞれの業務の性格をもう少し整理し、役割分担も整理した上で、かつ、いわゆる職場環境を整えるというような、そういった面からの調整もあっていいなというふうに、ある意味で総合勘案してこうなったんですね。
そのきっかけは、市役所の北庁舎の別館の方は古くなって建て替えをする、いわゆる中央の区役所の中に入っている組織なんかもありますから、それだって本当は本庁の中におってやっていい部署が、あそこに行ったりしているわけですよ。だからといって連携が取れてないかって、そうではないわけでありまして。それを今度ようやく、こちらの国泰寺の中学と高校の間のところにできるビルに、新しいスペースを構えるということができるようになりましたので、そこに移転していただく組織の一環として、どういった調整がいるかっていうようなことも考慮しながら、部屋の玉突きっていうわけじゃないんですけれども、有効活用していく中で、担当部局、市長業務に比較的というか、より近い業務をやってもらうものをこちらの方に来てもらうというふうにしたところであります。
そういう意味では、ある意味で、市長直轄部門との連携強化を図りながら、引き続き、今までの関係を維持していただくための役割は変わってないけれども、より市長部局としての判断をする組織としてやってもらいたいし、その代わり、平和文化センターの方は、別途、体制強化して、今、理事長、副理事長なんかを送り込んで準備をしていましたので、それで、プロパーの方々も、しっかりこの平和問題に取り組むための事業体制を整えるということを今やっておりまして、それとのワンセットで今回措置していこうというふうな判断をしたということであります。
記者
当初予算に戻るんですけれども、先ほど、予算のポイント、市長から伺ったんですが、改めてですね、今回3年連続のプラス予算であり、政令市以降最大ということもあり、一方で、まちづくりも続いて継続案件もありということで、80年もある。もう一度、市長の今回編成した思いみたいなところをもう一回お願いします。
市長
切り口を変えて申し上げると、市長4期目で、ちょうど4期目の折り返しというふうに見てください。ですから、10年以上かかって、ようやくここまで市政運営やれてきたなという中で、市政を展開する上で、最初に市長になったときと柱は変えていません。つまり、活力・にぎわいというベースをしっかりした上で、ワーク・ライフ・バランスが取れる市民生活をやる、行政を展開して、その上に平和の思いという太陽が降り注ぐと、この3段構成で全ての仕事を組み立てていくと。
そうすると、手順として、今言ったのを常に平和の思いを照らしながら、活力・にぎわいというところにまずしっかり力を入れて、生活圏としての充実強化を図るということで、今まで整っていない生活環境、ハード面とか。被爆することで、広島が破壊したというときに、物理的な破壊と、それからもう一つは、伝統文化というものが破壊されたというのが、私の実は思いなんですね。伝統文化というのは、もちろん施設群も必要なんですけれども、そこに暮らしていた方々の価値観が、そういう方々を通じて蔓延している。それを持っている方々がいなくなったわけですよ。そうすると、それまで伝えてきた文化・伝統も、ある意味で、絶えたに等しい。それを残った方々が一生懸命掘り出しながらきていたんですけれどもね。その復活の仕方が、現下の平和問題とか何かなどで忙しくて、被爆後の社会・文化形成の方に力を入れてきて、それ以前あったものの復興というか、そちらの方になかなか力を割けなかったから、活力・にぎわいとワーク・ライフ・バランスをやる中で、被爆前の伝統文化、そういったものもいいところを引き継げるような状況設定をすることで、次世代にと思ってやってきているんですね。
そうすると、そういった同時進行の仕事って、最終的にはお金がかかりますよね。合理的に使わなきゃいかんと。現下のいわゆる社会保障とかっていう課題もやらないと、バランスを取ってやるという中で、いわば、予算規模は大きくならざるを得ないんですけれども、幸いというか、それをやるための大借金をどんどんしなくて、政府がやれという借金は除いた、いわゆる臨時財政対策債を除きながらやった借金は少しずつ右肩下がりで、結果として下げながらもできるということが実は可能になった。それぐらい政策全体として、我が市における基礎税収、つまり、ここで活動する方々の所得とか固定資産税からいただく税金は、その固定資産の評価、そういうものが高まったから予算規模が大きくなるというふうになったと思うんですね。それは、10年やっている中で、地道であるけれども、それが少しずつ上がるような環境設定ができたから、ようやくここまで予算規模が大きくなったんじゃないかというふうに思うんです。
だから、その増えた予算は、今申し上げた3つの柱にうまくもう一回当てはめて、さらに充実強化するというふうにしたいというのが思いでありまして、それを別の角度で政策的に言うと先ほど申し上げた説明になりますけれども、思いといえば、そういう思い。今までやった成果を、より確実なものにしていくための予算執行に心がけるということだというふうに思っています。
記者
もう一点、個別の事業になるんですけど、西広島駅のまちづくりで、今回北口に加えて南口も新たに再開発の事業にお金ついていますけれども、市長の西広島駅のまちづくりに予算を今回組んだお気持ちっていうところをお願いします。どんなまちにしていきたいかとかですね。そこら辺の期待も込めてお願いします。
市長
これは、いわゆるデルタ市街地について、都心部のまちづくりを円形でなく楕円形というふうに表現したときに、少なくとも焦点というか核が2つあるというまちづくりを目指しました。それぞれのところ、バランス取りながらお互いに競い合って、特色あるまちづくりをしていただくという気持ちを込めてやって、それがようやく定着してきたと思うんですね。2つしかないからどっちかをやると、バランス取れなくなるから気をつけろというんじゃなくて、市場が拡大しなくても関係者を広めるという広域都市圏を設定することで、結果、市場拡大して、人数が減っても拡大してということでうまくできたと思っていますので、そういうデルタ地への接点、山陽本線、新幹線が軌道を中心と考えたときに、東の方が広島駅であれば、西の方は己斐の西広島駅だというふうに見立てていいと思うんですね。
横川はまた別の観点で、可部と横川をつなぐという昔来の54号線といいますか、広島国道を縦に貫く道との結節点で横川駅があって、国がこういった交通結節点の活性化をやるモデルとしてやってみようじゃないかっていうようなときにちょうどヒットして、横川がああいうふうにきれいになりまして、市内の電車を結節するという大きな造り替えでまちの活性化を図れた、ちょうど真ん中のモデルがあるんですけれども。それはそれで引き続き、まちなかのにぎわいを維持するというまちづくりがあるんですけれども。それともう一つ離れたところが、己斐のまち、西広島なので。それをいよいよそういう意味では、交通結節点として大きな拠点として西広島をやっていこうというふうに思ったと。
それともう一つが、広島がデルタ市街地であってここまで発展してきているんだけれども、南海トラフ(地震)があるかもしれない、そうすると高潮等々で沈む可能性もある都心だと、それに対して、補完するサブの都心を作ろうということで、数十年前に西風新都、県が開発しかけて途中でやめたのを市が受けて、ここの広さとほぼ同じ45から46平方キロメートルで、北西に5キロから10キロ範囲で同じぐらいの広さのスペースを西風新都に作っています。そことここをつなぐということをしておかないと、都心機能としては完成しないというふうなことがいわれていて、一部は(広島高速)4号線で抜けているけれども、これはいわゆる車道だけですよね。軌道としていわゆる新線というか、アストラムラインを作った。これもそういう計画をしていたんだけれども、資金不足で今の広域公園前でストップしている。それをつなぐのをどこにするかといったときに結節点、いろいろな議論、鉄道の議論があったんですけれども、やはりさっき申し上げた、東と西の結節点ということを考えたときに、己斐、西広島、その延伸先をここにするということで、両都心をつなぐというものを完成させる目標設定ができる。そうすると、そこの地域の整備をしていくということが、合理性があるんじゃないかと。
さらに、己斐の北側の方は原爆を受けながら山陰というか、届いていないので、いわば旧市街地の基本的な構造が残っていて、比治山なども段原の方は、あったために被爆せずに残っていた土地を、時間をかけて区画整理してきれいにできましたから、それと同じような発想で、己斐の北側もやっていこうということで。そうすると南側が今度、広電が行く、そのJRが結節するとバスが集中すると。交通結節点としてふさわしい広島の東側の駅と、類似のような機能を持たせることで、これもある意味で両方の拠点を活性化させながら市全域を元気なものにしていくという思いで今、手を入れています。こうすることでようやく、西風新都とデルタ地をつなぐ楕円形の2つのポイントができるというふうに思うんですね。これが完成するという方向性が出たので、さらに西の方を強化するために商工センター、これもあの辺りをつくって47年、もう50年近くなりますから、今からそちらを再整備して、西からのいわば、モノ・ヒトの流入を円滑にしていくと。それをなだらかに入れるためには2号線バイパスを各デルタ地につないで、直接施設に入れるようにすると、市内の交通緩和も図れるし、いろいろなところへの施設なり、アクセスが容易になるということで、この最初に申し上げた活力・にぎわいというそのベースをしっかり作るということを継続しながら、そこの上でのワーク・ライフ・バランスの取れる生活環境をつくるという、いわばモデル的な取組になっていくんじゃないかなというのが、これからの西広島駅周辺の整備だというふうに思っています。
記者
被爆80周年の事業について3点ほど教えていただきたいところがありまして、まず1つが、先ほど80事業という御説明があったんですけれども、予算にすると9億8,000万ぐらいだと思うんですが、これは要は事業費に関しては、ある程度10億とかそういう枠があって、それを80に振り分けたのか、それとも80を積み上げたら、たまたまこの数字になったのかという、その辺をお教えいただければと思います。
市長
今のは後者の方です。80-80がいいだろうと直感的に思ってですね、それらを積み上げてもらうとこうなったということで、予算の方は結果です。
記者
もう一つが、70周年のときも当然(松井)市長が予算を組んで実行して、いろいろな成果なり反省があったと思うんですけれども、その辺の70周年の経験を踏まえたところがありますでしょうか。
市長
実は70周年のときにも、私がたまたまなったんでと思ったんですけれども、今以上に70周年のときには、10年前ですからね。市長になってまだ間もないし、いろいろなことを考えていたんだけれども、先ほど申し上げたまちづくりについて、緒に就いたばかりで、どれも進行中だったものですから、可能なかぎり前の周年事業の方針を貫こうということで、自分自身として「ここまで」っていうところまでは実は考えずにやりました。ある意味で自分の気持ちですよ、前例踏襲的なことをベースにいたしました。ただ、前の市長さんと違う形で打ち出しはしましょうというような議論をしながらやりましたけれども。結果見ていただくと、今までやってきていた流れをちゃんと踏襲しているなと、周年事業については、伝統を守りながらやってきたなということを皆さんに認識していただけるように、了知していただけるような取組をしたと。
今回はそれを前提にしながらも、先ほど申し上げた中で一番強調したいのは、本当に被爆した方々、経験者が間違いなく今後、いろいろな意味で活動できる時間が残されていませんから、次の、要するにそういうことを経験しない世代で、かつ次世代を支えることになる方々に、この「ヒロシマの心」という、今まで皆さんが大切にしてきたものを確実に伝える。その事業に力を入れたい。そのときに、もちろん平和がないことというのを重要だということを、平和を自分たちがありがたく思えるような環境設定の方をしっかりして、これを大事にしたいというふうに思っていただけるものまでちゃんと提供するというか。それで平和についての考え方をもちろん知っていただく、被爆の実相を知る、被爆体験した方々の考え方をしっかり受け止めると。だけど、それがあって今自分たちがこういういい生活できているんだけれども、それを続けてみたいなとか、いいなと思っていただけるのとワンセットでやるということに力点を置きたいというふうに思っています。
記者
最後、これは今聞いていいかどうか分からないですけれども、先ほどの市長の説明の中で平和記念式典に関して、「国内外から一層多くの参列」というような表現があったので、聞いていいのか分からないのですが、いわゆる今の段階でロシアとかベラルーシとか、過去2年招待していない国があろうかと思うのですが、こういった国も含めて招待をどうするかという方針がもし決まっていれば、また教えてください。
市長
今、きちんと検討してもらって自分の言っていますのは、ヒロシマの思いとか心を理解してもらうために皆さんに呼びかけていると。特に国という組織を背負っている方々に来ていただくときには、国の立場であったとしても「ヒロシマの心」をしっかりと理解し、協力したいなと、だから来るんだと、そういうふうな思考の上に、そういうふうに考えて来ていただけるようにしようじゃないかと。こちらがただ、「来てください」じゃなくて、「ヒロシマの心」を受け止めて理解していただくために式典があるので、それを御理解の上に来ていただけませんかと、そのこちらのメッセージをしっかり伝えると。特に国の代表には、そういうやり方で式典の案内を出すということにしたいなと今思っています。だから、どなたに出すんじゃなくて、皆さんに言うんです。「こういう式典なので、こういう式典として行ってみたい、行こうという方はぜひ」と。こういうふうなことにしようかと思っています。
記者
先日、総務省が発表した転出超過の件で、広島市、政令市(指定都市)の中では最多だったと思うんですけれども、なかなか特効薬とかないとは思うんですけれども、今回の予算で、新規での対策であるとか、今まで以上に厚みを持たせた事業というものがあれば、教えていただきたいんですけれども。
市長
それは人口減少対策としてという捉えですか。私自身は、人口減少についての基本的な考え方は、あえて申すと、200万人広島広域都市圏構想というのを打ち出したときに、基本は揺るがないものにしています。今までも繰り返し言っているんですけれども、最初、一番初めて23の市町が一緒になったときに、その時点でこの地域の人口は(現在の30市町で見ると)240~250万人いるんです。政府が予測を立てて、2040年、2060年と、こういく中で、180万~190万(人)なるかも分からないよと言っているので、減るということそのものを恐れるんじゃなくて、減ったとしても200万人を割らないようにしよう。だから、200万(人)ですから、40~50万(人)減るということもあり得るという前提で、このことを考えています。そうすると、短期的に物事が変わるというふうな思いではなくて、この人口減少、2008年辺りで起こったのは、その前から出生率が落ちたということを言われている中で、それぞれの地域で暮らしていく上で、そこで育ち、生まれて、例えば18(歳)ぐらい、高校にいるぐらいまで、そのまちの生活環境を見て、自分ここで生涯暮らすのかなと、あるいは、どこかに出て生活して帰ってくるか、あるいは、どこかに行ってしまうかというふうなことを、20年弱考えたような方々が、20年後になって行動を起こして、移動を起こすかどうかというのが数字に出てくるし、そして、そこで暮らしている中でも、子育てをしていて親御さんがいろいろな仕事の関係で移るときに、その親御さんが連れている、例えば18歳未満のお子たちも一緒に動くというのが、人口移動の典型だと思うんですけれどもね。
そうすると、今、仕事の関係とかなんかで動こうとしている方々を惹きつけるという政策と同時に、育っている過程で、このまちで暮らし続けようというふうに思っていただけるかどうかという、そちらの方に注目したまちづくり、二つが同時進行していると思うんですけれども、私はそのうちの若い方々、これからということの方に力点を置きたいという思いを持って、先ほど申し上げたように、まちのつくりは、まず活力・にぎわい、ワーク・ライフ・バランス、そういう順番なんですね。ワーク・ライフ・バランスの方は、既に生活して仕事しながら子育てするような方々の生活環境。その前には、育つ過程で、このまちでずっと長くいけるんだろうかと、親の仕事を見て自分の将来を考えたときに、ここがいいんだろうかと、そういうことを考える方々にとって魅力あるまちに、まず、するということ、これもやりたいと思ってやってきています。
自分が市長になるまでに、さて、そういった活力・にぎわいみたいなことに、どれほど広島が力を入れてきたかというと、そうでもなかった。活力・にぎわい、ワーク・ライフ・バランス、平和の思い。そうすると平和への思いということはずっとやってきたけれども、こっちの下の方は、あんまり力入れてなかったんじゃないかというのがあったわけであります。だから、今これをやってようやく10年ですから、今、出ていく方々っていうのは、私が市長になって、ようやく10歳ですよ。それまでの方々のまちに対するイメージなんで、それが今、ようやくここまで来たので、これからより一層この考え方をやる。そして、今、働いている方々についての政府の政策で呼び込む、家庭生活を、それもやります。両立てでやりたいということをやりますから、今回これをというんじゃなくて、今までやっているのを引き続き確実にやるという形で、この予算編成をしていますから、あえて言っておりません。
今度の数字も、2,505(人)転出超過と言いますけれども、前年あたり知事さんが外国人の話も入れてということで言われて。それでいくと、実は、外国人に対しては転入超過なんですね。単純に合わせるとプラスになっています。ただ、今度の統計においては、そうは言いながら、基礎数字のところで、(住民基本)台帳に書いてあるけれども、実態の上で、人数調整がしっかりしていないということ、職権でそういう数を減すということをやった結果で、社会減とすれば258名なんです。この減っているというのが政令20都市の中では、この社会減、浜松(市)と広島(市)ということなんですけれども、そうすると、浜松も静岡(県)の中で、静岡の二つの政令指定都市の一つですよね。ひょっとすると、ある意味で、それまでまちづくりみたいなことに、そんなに力が入っていなかったかなと。特定の有名な企業ありますけれども、それ以上のところはやっていなかったまちかなと思うし、それ以外の残りの政令20(市)のうちの18(市)は、それぞれ地域特性を踏まえながら、活力・にぎわいという政策について、私のイメージですと、しっかりやってきているという共通項があるんですね。そんなことがありまして、このやり方が、まだまだ目には見えていないけれども、一定の効果は出ているんじゃないかと思っています。
そういう意味で、引き続き200万人広域都市圏というものを、それを、より安定性を高めるためにということで、加入都市というものを増やしまして、30から、今度33にしますから、より確実になると思いますよ。このことが、経済圏・商業圏を広げて、この地域で活動する企業体として市場を大きく捉えるということになりますから、今後に向けて企業支店なども、支店展開をするときに、今まで要員を削っていたのを、もう少し活動範囲が広がるから増員するかなというふうになってもらえれば、広島の人口の減少を抑える効果、発揮できるというふうに考えています。これは、これからもう少しやってみないと分かりませんけれども、傾向値としてそれを捉えながら、より活力・にぎわいを出すための対策を、当然、国が出す政策も、県が出す政策も利用しながらやっていこうというふうに思っております。
記者
(平和記念)式典の開催にあたって、より一層多くの参列を増やすということなんですけど、事業の中で、若者、学生を派遣する自治体への支援というのも、今回入っているんですけど、そういったこと以外に、式典そのものに、より多くの人を呼ぶというための施策というか、事業というか、そういったものは今どう考えていらっしゃるでしょうか。
市長
いわゆる、被爆体験者とか、このメッセージを発していただく方々は、高齢化していますけれども、やっていただけるという方に直接来てください、こちら、本当に招待というか、出席していただいて、ある意味で主催側に近い形でというふうにお願いします。個人ベースでは、こちらとして希望される方々を、どんどん来てくださいということでお呼びするということで、案内をしっかり出すということで増やそうと思います。国家ベースは先ほど申し上げたように、ぜひ「ヒロシマの心」を分かった上で来るようにしてくださいということを満遍なく御案内するということで、気持ちは、なるべく多くの方に出ていただく。ただ、そのときに、式典を厳粛な形でということもやるということを同時並行でやっていこうと思っていますので、そういったこともしながらやったときに、今の思いは、多くの方も来ていただく可能性があるんだから、式典会場の設定はなるべく広い領域としてお迎えするようにというようなこともやっていくということで。それはハード面での気持ちの表れですね。ソフト面では、なるべく多くの方々に案内状を出し、そして、これはという方については、きちんと招待をして出席していただくと。そういうやり方をやることを通じて、可能なかぎり多くの方に来ていただければというふうに思っているところであります。
※( )は注釈を加えたものです。
配付資料
- 令和7年度当初予算
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令和7年度組織改正及び職員配置について (PDF 3.6MB)
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被爆80周年の取組(概要版)(令和7年2月) (PDF 599.6KB)
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被爆80周年の取組(冊子)(令和7年2月) (PDF 2.4MB)
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