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2024年4月12日記者会見「平和記念資料館の入館者数について外6件」
動画は下記からご覧ください。
(「広島市公式チャンネル(YouTube)(市長記者会見)」のページへジャンプします<外部リンク>)
日時 令和6年(2024年)4月12日(金)午後1時15分~午後1時54分
場所 市役所本庁舎11階第1会議室
■市政記者クラブからの代表質問■
【平和記念資料館の入館者数について】
記者
平和記念資料館の令和5年度の入館者数が過去最多となりましたが、これに関する市長の受け止めをお聞かせください。
市長
平和記念資料館の令和5年度の入館者数、これは198万1,617人ということでありまして、過去最多となりました。この数字、昨年5月に開催されましたG7サミットの影響であるとか、ウクライナ、パレスチナ・ガザ地区での不安定な国際情勢、そういった要因などがあってかと思いますけれども、核の問題であるとか平和への意識が高まって、これまで以上に平和都市であるヒロシマ、そして平和記念資料館への関心が高まったことなどによるのではないかなというふうに考えています。これほど多くの方々に被爆の実相に触れていただくということは、いわば「ヒロシマの心」を世界中の市民社会に根付かせていくことに必ずやつながっていくものであるというふうに受け止めていまして、大変喜ばしいことではないかなというふうにも思っています。ただ、入館者数が急激に、かつ大幅に増加いたしましたために、混雑対策といったことが課題となってまいりました。わざわざ来館される方々ですから、つかえることなく被爆の実相、こういったものに触れていただけるようにするということは大変大事なことでありますので、当面の対応策といたしまして、先月からオンラインでのチケット購入・予約システムの導入、それから開館時間の延長などを始めたところであります。一定の効果は表れているのではないかなというふうに受け止めていますけれども、よりよい環境の中で、つかえることなくスムーズに展示を見ていただけるよう、引き続き対応策を検討していきたいというふうに考えているところであります。
記者
資料館の混雑対策の件なのですけれども、中でスムーズに見てもらうよう対応策を検討していきたいと、先ほどおっしゃられていました。私自身、今週資料館へ取材へ行く機会があったんですけれども、確かに並ばずにスムーズに入ることはできたんですが、中が本当に混雑をしていまして、足を止めて展示を見る余裕は本当にないなと感じるほど混雑をしていました。で、何かこう具体的に、今度は中の混雑をどのように解消していこうと思われているか、現時点で考えられている範囲でかまいません、教えてください。
市長
当面の対応策で、これでやった中で一定の効果は表れていますから、その効果なるものをもう少し詳細に分析いたしまして、資料館に来られる方もいろいろなタイプの方がおられると思うんですね。本当に今言われたようにじっくりものを見て書いてある情報もしっかり受け止めて、被爆の実相に触れたいというふうに思われている方もおりましょうし、最初見て、もうとても耐えきれないから、あとは早く通過してもいいというふうに思われる方もおるやもしれませんし、1回どんなものか見てみたいとか、そんな意味で来られたとか、思いで来られたという方、様々おられますので、来られる方の、いわば、ある意味で目的意識というんですかね、そういったものにある程度柔軟に対応できるような、移動というか、できるようなことを考えなきゃいけないと思っているんですけれども、ただあの建物そのものは構造的に大幅に変えられないし、展示内容についても7~8年かけて実相を伝えるためにということで、相当工夫してきた代物でありますので、今言った実情をもう一回よく調べて、そして最終的には、当然「ヒロシマの心」というものをちゃんと受け止めていただけるようにするために、今の平和記念資料館だけでいいのか、(国立広島原爆死没者追悼平和)祈念館なども一体として見ていただくためのコース設定の中でスムーズに見ていただけるようにするか、あるいは被爆建物等、市内にありますので、そういったものとの関連付けをしながら、もう少し分散型の資料展示があるということもお知らせして、自分たちの目的に沿った平和記念資料館の視察ができるように、そういった情報提供もしっかりした上でやっていただくっていうこともいると思うんです。いずれにしても少し時間を頂いて、今申し上げたような点を掘り下げて、調査・検討して対応策を練りたいと、そういうふうに思っています。
【職員研修資料での教育勅語の使用について】
記者
今年度の新規採用職員研修の市長講話において、教育勅語の引用箇所についてはどのような説明をされたのでしょうか。また、昨年度の新規採用職員研修から説明を変えたり、説明を追加したりした部分があれば教えてください。
市長
今年度の新規採用職員研修では、利用した資料に関しましてはいろいろ疑義あろうということで、お手元に配布させていただいておりますけれども、その資料にありますように、教育に関する勅語、さらに教育勅語を引用している箇所、それはそのまま同じものにしていますが、それプラス、新たに憲法前文の一部、それとともに参考資料という形で大日本帝国憲法と日本国憲法前文、それから条文、こういったものの一部抜粋を追加配布した上で、説明をするということをいたしました。で、今申し上げた資料を使いながら、説明用のメモも自分で持ちながら、一応ざっとひととおり、自分とすれば詳しめに説明できたのではないかなというふうに思っております。説明の内容そのものを、基本的な部分を変えたとは思っていませんけれども、今言ったように詳しめに説明するという意味で追加といいますか、憲法との関係とかを職員に説明するというふうにしたところであります。
ちなみに、説明の仕方ですけれども、その際に用意しておりました説明用のメモを使って説明しましたので、説明用のメモをちょっと読み上げてみます。まずメモとすれば、我々の先輩が作り上げたもので良いものはしっかり受け止めて、後輩に繋ぐことが重要ですと。私は温故知新を座右の銘としていると、こういったことをまず言った上で、ここに書いてある上の方の1の文章ですね。これは、明治期の教育勅語の一文であると。戦後直後国会で取り上げられた教育に関する勅語は、日本人を戦争体制に持ち込むためにあったもので、教育上の一大欠陥であったということで、文部行政の中から消えてしまったと。
ところで、我々公務員は憲法99条に基づき、憲法を尊重し擁護する義務を負っているところであると。そうした公務員が旧憲法の下で統治権を総攬、この総攬というのは手に握りしめるという意味ですけれども、総攬していた天皇により作られた教育勅語を、日本国及び日本国民の象徴となって、国政に関する機能を有しない天皇に、現憲法の下で作らせようというふうにするということは不可能であると考えていますと、こういうふうに申しまして。したがって、教育勅語については様々な意見があるが、それを評価するという意見に関しては教育勅語というもの自体は現憲法下では到底認められないものであるが、その記載内容には今でも大事にしているということが書いてあるということだと考えるようにしていると、こういう説明をしました。
なお、憲法も提示していますので、憲法の改正については、第96条において国会が発議し、国民の承認を経て、天皇が公布するという基本的な手続きを定めているように、これ自体否定されるものではない。ただし、改正する内容については、前文において、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意していること、また、第97条において、基本的人権は永久の権利として信託されたものとされていることを踏まえ、国民の承認を得られるようなものにする必要があり、国務大臣や国会議員は改正を発議する際には、第99条において、この憲法を尊重し擁護する義務を負うとされていることに十分配慮する必要があると考えていると、こんな説明をしたところであります。
記者
先ほどの説明の中にもあったかもしれないのですけど、改めて憲法を引用しようと思った理由っていうのを教えてください。
市長
朝日新聞もそうですけれども、私に関する記事に関して、この教育勅語は旧憲法下で、今否定されているものを市長は復活しようと意図しているんじゃないか、もしそうであればといったような書き方をするというか、そういったことを主張される方の記事を載せて、私にどう思うかというような質問をされたという経過も踏まえまして、私自身は公務員としてきちっとした考え方、憲法を踏まえた考え方をもって、いろいろな意見を言っている方に対してこのように判断をしていると。だから、公務員として皆さん、こういったことを考えるようにすべきではないかということを言っているということを、言っているつもりなのですけれどもなかなか皆さんに理解していただけないから、どういう論理構成でやっているかということを少し詳しく職員にも聞かせるということにしようと思って、憲法も使ったということであります。
記者
今のに関連してなのですが、ということは憲法を今回新たに入れたということは、いろいろな誤解を…。
市長
誤解というか、意図的にされているかどうか知りませんけれども。私が考えてはないことを考えているのではないかというふうにした上で、説明も聞いておられないわけですから。資料だけを使ってやっておられるから、どういうふうな使い方をしているかを分かりやすく説明するために追加しましたということです。
記者
すごい繰り返しになるのですけれども、本当に伝えたかった意味というのは、偏った、その当時を評価している、教育勅語を評価している、そのものを評価しているものではないということですか。
市長
はい。資料を見てください。現行の日本国憲法と大日本帝国憲法を私なりに。法律を学んでいますからね。資料の裏を見てください。
下の段に大日本帝国憲法と日本国憲法の違いも書いています。大日本帝国憲法は本文、補則を含めて76条から成る法律でありますね。日本国憲法は補則を含めて103条から成っていますね。これの生きていた期間、これは明治23年から施行されていまして、昭和20年の敗戦で次の憲法、(昭和)22年の5月3日に新憲法が施行されるまで日本国を統治した憲法ですね。ざっというと57年間ですよ。で、日本国憲法は今で多分77年、75年かな、ごめんなさい。だから20年以上長く、この我が国で統治するための機能を発揮している憲法なのですね。その99条を見ていただくと分かりますけれども。上の方にあるでしょう、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は」。全て国民はと言っているのではないでしょう、ここは。つまり、この憲法体系下の中で、この憲法を施行することに関わる人々は、この憲法を尊重し擁護する義務を負うと明確に書いてありますから、その義務を負った職責におる人間ですからね。当然のことが書いてあるのに、それを守ってないみたいに言われるから、そうじゃありませんと。その上でどう考えるかということを申せばということを丁寧に説明させてもらったと思っています。
しかも、天皇のところについては旧憲法、大日本帝国憲法で、下のところに書いてありますよ。「天皇は国の元首にして統治権を総攬し、この憲法の条規に依りてこれを行う」と。で、それにほぼ匹敵すると思われるのがこの現行の第4条でありますけれどもね、「天皇は、日本国憲法の定める国事に関する行為のみを行い、国政に関する権能を有しない」と。これが出来上がって施行されているわけですよ。そういったことを前提に、いろいろな意見を言われる方にこういうふうに言っていますと申し上げているつもりなのですけれども、いやいや、その憲法の、旧憲法下の教育勅語の成立経過を知らないから、それを復活させるようにして考えているとするならばとかっていうことを書いておられるじゃないですか。そんなこと考えておりませんと、分かっていただきたいと思うのですよ。
いろいろな意見があるのをどのように受け止めて、公務員としてこの憲法を尊重し擁護するという義務を果たすかということをやるために、こんなふうに考えるということを見せていると思ってください。
記者
確認なのですけれど、この前文及び条文の一部を抜粋と、あとこの大日本帝国憲法の比較、これも配られたということですか。
市長
はい。
記者
これは紙にして、その場で配布をされた。
市長
この資料を配ったということであります。
記者
あと一つお伺いをしたいのですが、市長としては教育勅語に関して、いろいろ研修の資料についていろいろ意見を言われても間違ったことはおっしゃっていないから、使いたいんだっていう強い思いがあられるんだと思うんですけれども、それについて。
市長
間違ったというか、こういう事実があって、それをいろいろ言われる方にどう対応するかということを見せると、そうなったときにも、前からもいろいろな意見があったから、とても重要なことだと思ってこれを説明しているわけですよ。それが何で使うかとか言われるから、そこのところの詳細を御説明したつもりであります。
記者
市長が、この教育に関する勅語というものを知られて、この戦争体制に持ち込まれて間違った使い方をされて、文部行政から排除されたけれども、中身については評価してもいいかもしれないものがあるかもしれないっていうふうに、そういう認識を持つに至られたのは、いつ、どういうきっかけがあったのか分かる範囲で教えてください。
市長
きっかけというか、憲法を習ったときは大学時代ですから。
【令和6年平和記念式典の警備について】
記者
昨年の8月6日に平和記念公園で市職員に体当たりをしたとして、中核派活動家5人が、今年の2月末に逮捕されました。今年の8月6日の警備について、何か対策を考えていれば教えてください。
市長
本市としましては、平和記念式典におきまして、こうした危険な行為を防止するために、実効性ある対策を講じる必要があると考えています。現在、広島県警察とも連携して、検討を進めております。その内容、これにつきましては、例年ですと5月中を目途に公表するということになっています、平和記念式典の開催概要、それと合わせて公表できたらなというふうに考えているところであります。
記者
今の、また5月中を目途に公表をされるということだったんですけれども、もうちょっと言える範囲で結構なんですけれども、どんな対策になっていくかっていうところは、もうちょっと具体的に。
市長
まさに検討中なんで、もうちょっと時間をください。県警としっかりやりながらね。いろいろな意見を言われるという言論の自由とかっていうことも、十分考慮することありますし、市で条例を決めて、話し合いをしながらやるというふうなことも議会からも言われていると、その上で、また危険な行為を防止するというふうにするために、どういった考え方で、どういった方法でやるかっていうことをうまく調整しなきゃいけないんですよ。まさに、その調整の仕方を検討していますので、はい。
【広島広域都市圏について】
記者
広島広域都市圏への参加市町が3県の30市町になりました。これに関する市長の受け止めと今後の展開についてのお考えをお聞かせください。
市長
これに関しましては、本市で「200万人の広島都市圏構想」を掲げて、構成市町と一緒になって、圏域全体で目的の共有、そして、連携・交流を進める中で、圏域内のヒト・モノ・カネ・情報、これを好循環させることで、地域内、全体の地域資源の活用とか、(地域)産業付加価値を生み出す。そういった「ローカル経済圏」作っていきたいということをやっている中でありまして、そうした中で、新たに同士が増えたっていうか、仲間が増えたということなんであります。で、この仲間が増えるということ、大変喜ばしいことであります。これをしっかりやっていくことで、例えば、今度入った飯南町、それから、すでに入っている三次市など、国道54号線沿いの自治体でありますけれども、こういったところと一体的な観光振興の取組をやっていくとか、それから、新たに入っていただいた飯南町、川本町、こういったところでは、「石見神楽」とか、温泉という、人々を呼び込むだけの多彩な地域資源がありますので、こういったことを活用して、圏域全体として、さらなる活性化が図れるようにするといった取組をしっかりやりたいなと思います。なお、その取組、さらなる活性化ということをやっていくにあたりましては、ヒトとか、モノの移動・循環。物理的に支えるということも重要になりますので、これにあたっては、公共交通のネットワークの果たす役割、その重要性と機能発揮ということをしっかりやっていかなきゃいかんと。そういたしますと、本市がけん引役となって、交通事業者といろいろな対策を組むような動きをしていますので、こういった業者の方と強固な連携・協力の下で、地域の公共交通ネットワークを再構築していく。そして、料金体系なども含めて、利用者にとって利便性の高い、あるいは、それが向上できるような取組といったことを圏域全体の市町と一緒になってやっていければなというふうに思っています。
■その他の質問■
【自家用車活用事業(いわゆる日本版ライドシェア)について】
記者
広島交通圏は特にタクシーが足りていないといわれる12地区に入っていると思うんですけれども、今後、事業が開始されることになると思います。そういった中で事業者にとっては運転手不足、利用客にとってはタクシー不足の解消につながることになると思うんですけれども、市長としての期待感ですとか、課題といった点を教えていただけないでしょうか。
市長
ライドシェアという考え方そのものは私から言わせると、いわゆる共助の精神をくんだ取組になるので、いい取組ではないかなと思うんですけれども、ただ具体化するにあたっては乗車する車両の問題、それをどなたが基本的に維持するかとか、運転する方々がどういった責任で、どういった調整をするかといったところで、ある意味で、相当の利害調整がいると思うんですね。単に、既存の運転手が少ないから問題ない、やれると、やった方がいいというふうな判断になったとしても、そのやり方の基本的なルールは、いろいろなところに適用されますから、市内で逆に収益性が高くてタクシーを自分達、営業として運行している方々との調整みたいなことをどうするかといったことも事前にしっかり調整できるような、配慮した上での導入がいりましょうし、公共交通について今から基礎自治体として様々な取組を深めると、こういった中で、例えば、そういったライドシェアの対象となる車両をどういった形で購入・維持・メンテナンスするかといったことについての自治体の役割、どういうことにするかというふうなことは、まだ十分詰め切られていないと思うんですね。既存の交通体系の中で新たな参入を認めて、参入者と既存のものの利害調整をどうするかぐらいのところでまだとどまっている、そういった状況じゃないかと思いますので、もっと今申し上げたような点を深めて、しっかりと調整し、まさに共助の有効なシステムにするという方向性をしっかり持った上で、これからもっと検討・研究していく課題かなというふうに思っています。
記者
市長としては大変課題を持っていらっしゃるというのは分かったんですけれども、期待感みたいなところも、もしよければ教えていただけたらなと思うんですが。
市長
これについては、もし、これをうまく導入するためには、例えば、そういった人様を運ぶために運転資格を付与し、そして、その方々に対する規制をするという、今の交通行政の規制のあり方についても根源的に見直すといった要素が必要じゃないかと思っているんですね。そういたしますと、今、申し上げた共助という仕掛けを正面から捉えて、それを今後とも持続的にしていく上で、例えば、事故が起こったときの問題、それをどのように解決するか。それを担保するための、例えば、保険システムなども今までと違った形で調整するというようなことも出てくるんじゃないかというふうに思っていまして、いずれにしても申し上げたように、個人が競争しながら公共交通サービスをするという中での事故処理から、皆が共同で、共助で運行していく中でのそういった問題処理、あるいは、その維持のためのシステム構築、ちょっと今までと違った形でのいろいろな仕掛けとか原理がいるんじゃないかなというふうに思っておりまして、それをしっかりと検討できたらなというふうに思っています。
【エディオンピースウイングスタジアム広島での日本代表対シリア代表戦について】
記者
6月11日(火)にエディオンピースウイング広島で、日本代表とシリア代表の試合があるんですけれども、新スタジアムで初の日本代表戦の開催についての受け止めと、もう一つ、現在も紛争が続いているシリア代表の試合が被爆地広島で開かれることについての受け止めをお願いします。
市長
まず、(エディオン)ピースウイング(広島)、このサッカースタジアムが造られるまでのいろいろな経緯を考えたときに、このスタジアム、市民のためだけではなく県民、広くは多くの方、国内外の方々の利用も促すというか、それをしていただくことでこの名前にあるようにピース(ウイング)、平和の翼、これを広げるということになったわけでありまして、それの、ある意味で第1弾というか、一里塚みたいな位置付けじゃないかと思うんですね。そういう意味では関係者も大変に喜んでいますし、国際試合をやる。国内試合でも会場が満席になるぐらい、ずっと来ていただいていますから、きっと盛況なうちにこの試合がうまくされるんじゃないかなという、そういう意味では、そういう場で紛争地帯であるとしてもそれを乗り越えて選手同士がサッカーというきちっとしたルールの下で技能を競い合うということを、この広島の地でやれるという意味合いは、いろいろな意味で重要だというか、多くの方に注目していただける試合になるんじゃないかなと思います。
それから、そういったことを通じて、むしろマスコミ等での発信は、この紛争地域において、いわば私自身が思っている、今、蔓延している意識からすると、いわば分裂とか対立構造といった中で、それぞれ価値観なり主張が違う方々が、まずは疑心暗鬼に陥っていて、直接の対話ということができない環境の中で、相手を疑う、自分にとって悪いことを考えているんじゃないかというふうな状況になり、さらには、さいぎ心といいますか、もっとあくどいことをやるに違いないと。そして、心理学用語で言うと、もっと分裂・分断が深くなると、投影性の同一視とかいって、向こうが悪いことするんじゃないか思っていたら、そのとおり向こうがどんどん悪い状態に入るとか。こんなある意味で悪循環に入りかけているか、入っているか、そんな状況であります。
ですから、こういったサッカーなど、お互いに競うんだけれども、相手がきちっとルールを守る。そして、試合後は仲よくできるという、そういったことを確認していただき、まずは、今、対立して圧倒的な対話が欠けている者同士が何らかの形で対話のチャンスを作るということを、こういったことを見ながら考えていただくという、そういう契機にしていただければいいかなというふうに思います。
記者
もう一点なんですが、それに関して、シリア代表団の広島訪問に合わせて、平和文化の振興を掲げる広島市として、例えば、原爆資料館の見学を案内するなどといったアクションを起こすお考えはありますか。
市長
これは、私が言わなくても、多分、チーム同士でサッカーをやろうというときに、予定があれば、両チーム、主体的に考えていただけるんじゃないかなと思います。そういう意味で、誘いかけはしていってみていいと思いますけどね。ぜひ、この広島にみえるんであれば、平和記念資料館を見る、そして「ヒロシマの心」に触れるということを、どこかの機会でやっていただければありがたいというようなことは、しっかりと伝えようと思います。
【職員の服務の宣誓について】
記者
今年度の職員の服務の宣誓に、憲法尊重擁護義務が新しく追加されたと思うんですれけど、追加の意図っていうのを教えてください。
市長
実は、今回の修正っていうのは、議会でのやりとりがありまして、そこで答弁したということもありましたので、この機会にということで、やるということに。そういうのはある意味で直接的なきっかけではあるんですけれども、よくよく考えてみれば、先ほどらい申し上げているように、現下の極めて緊迫した世界情勢の中で、核兵器使用のリスクが懸念されている。そして、我々、公務員というもの、今まで「国際平和文化都市」を目指す、この国際平和文化というのを、先ほどの条文、資料を見ていただくと分かると思うんですけれども、国際平和という言葉は9条。「日本国民は、国際平和を誠実に希求し」とあります。こういった国際平和という言葉を9条でも使っているから、昭和45年に広島の都市づくりとして、「国際平和文化都市」を目指すということをこの市は決意しているんですね。ですから、そういった意味で、憲法をしっかりと受け止めた宣誓だというんですけれども、直接的に、ここでいう99条の「公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」といっているんだから、それをここで確認すればいいじゃないかというようなことを言われたので、今までもずっと職員、それでやってきたんですから、いいとは思うんですけれども、改めてこういったことで、ここを引用するというか、そういった文章を作ることで、このような状況の中で、新しい職員に自覚をしてもらえるかなというふうなことも考え、このタイミングで憲法の尊重擁護という言葉を入れておくのは効果的かなと、有意義なことかなと思って入れるようにしています。
記者
関連して、市の内部ではどのような議論を経て、その追加に至ったのかっていうところをお聞きしたいです。
市長
これは、議会でも答弁いたしましたので、担当部署の職員と、ある意味で担当者に検討してもらって、私のところに提示してもらい、そこで議論を重ねて、シンプルで分かりやすくすればいいだろうということで、こういった宣誓文にしました。そういう意味では、99条をそのまま引くのが一番分かりやすいんだと思いますね。
※( )は注釈を加えたものです。