本文
現在の広島や長崎にある放射線は、地球上のどこにでもあるごく少ない放射線(自然放射線)と変わりなく、人の体にも影響を与えることはありません。
原子爆弾が、それまでの火薬を爆発させる爆弾と違うのは、爆発したときのエネルギーがケタはずれに大きいことと、放射線を出すことです。原子爆弾によって発生したエネルギーのうち、5%が「初期放射線」となり、10%が「残留放射線」となりました。
「初期放射線」は原子爆弾が爆発したときに出ました。これが人の体に大きな被害をもたらしたのです。特に、爆心地から1キロメートル以内で直接放射線を受けた人は、ほとんど亡くなりました。そのあとに「残留放射線」が出ました。放出された「残留放射線」のすべての量を100とすると、爆発後24時間で、約80パーセントが出ました。例えば、爆心地での残留放射線を受ける量は、爆発直後とくらべると、その24時間後には千分の一になり、一週間後には百万分の一になったという研究報告があります。残留放射線は急速に少なくなっていったのです。