広島市人権教育・啓発推進指針 はじめに
広島市は、被爆都市の使命として、この地球上において核兵器による悲劇が繰り返されることがないよう、被爆者及び平和を願うすべての人々とともに、核兵器の廃絶と世界恒久平和の実現に力を注いでまいりました。
しかし、冷戦の終了後も核保有国は依然として核兵器を国威と抑止力とみなし、ヒロシマの体験が十分に認識されていない実態があります。さらに、地球上には戦争や紛争の課題にとどまらず飢餓や貧困、人権抑圧、放射線被曝、環境破壊などに苦しむ人々が多く存在しています。とりわけテロとその報復という循環は、地球上いかなる都市でも起こり得るほど緊迫感を増してきています。
今、世界のすべての人々が生存と自由を確保し、それぞれの幸福を追求する権利、すなわち人権の尊重が、すべての国々の政府のみならずすべての人々の行動基準となることが国際的に強く期待されています。
私は、21世紀最初の平和宣言において、被爆の廃墟から再生を果たした広島が、21世紀において世界の人々に生きる勇気と希望をもたらす存在となるよう、「人道都市」の創造をめざすことを明らかにしました。人道都市とは、優しさと豊かな明日への想像力やエネルギーに満ちた都市、誰にとっても憩いやくつろぎの居場所がある都市、万人のための故郷になるような都市です。そして互いの人権を尊重し合い、共に生きる社会の形成に向けて行動する市民が暮らす都市でもあります。
このような広島市を創造するため、人権教育・啓発の方向性を明らかにした「広島市人権教育・啓発推進指針」を策定しました。
広島市は、すべての市民の人権の不可分性と相互依存性を認識し、この指針を人権尊重意識の高揚と差別のない社会の実現、さらには、人道都市形成への第一歩として位置付け、市民とともに、各種の施策をより積極的に推進してまいります。
最後に、この指針の策定に当たりまして、貴重な御意見をお寄せくださった市民の皆様に心から感謝申し上げます。
平成14年(2002年)3月
広島市長 秋葉 忠利
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