(工事)低入札価格調査マニュアル
令和4年9月1日
1 目的
低入札価格調査マニュアル(以下、「本マニュアル」という。)は、工事の品質確保及び不良・不適格業者の排除等に資するため、広島市建設工事競争入札取扱要綱(以下、「要綱」という。)第38条第6項の規定に基づく調査を実施する際の調査方法及び内容等を定めるものである。
2 適用対象
本マニュアルは、調査基準価格を下回った入札者のうち、最低入札価格提示者(以下、「対象者」という。)に対して適用する。ただし、当該入札において調査基準価格に満たない価格を提示した者が、複数ある場合において、対象者を落札者としないときは、調査基準価格に満たない価格を提示した他の者のうち、最低価格を提示した者(以下、「次順位者」という。)を対象者とする。次順位者を落札者としないときは、以後この例による。
また、総合評価落札方式を適用する場合において、評価値の最も高い者が調査基準価格を下回るときは、その者を対象者とする。ただし、対象者を落札者としない場合においては、評価値が次に高い者を次順位者とし、その者が調査基準価格を下回るときは、その者を対象者とする。次順位者を落札者としないときは、以後この例による。
3 調査方法
1 本マニュアルに基づく調査(以下、「本調査」という。)は、要綱第38条第6項に基づく調査の関係資料が提出された日から実施することとし、可及的速やかに本調査の対象者からの事情聴取、関係機関等への照会等の調査を完了する。
2 本調査は下記の手順で実施するものとする。
(1) 開札時の対応等
- ア 工事契約課は、調査基準価格を下回る入札が行われた場合には(落札決定を保留し)、保留通知書において入札者全員へ低入札価格調査の対象である旨を通知する。
この場合、総額失格基準額を下回る入札は失格とする通知を行う。 - イ 対象者に対して「低入札価格調査報告書(別紙-4)」(以下、「調査報告書」という。)を工事担当課へ開札日(もしくは落札候補者決定の日)の翌日から起算して5日(閉庁日を除く)後の午後5時までに提出する旨通知する。
なお、対象者が提出期限までに調査報告書を提出しなかった場合には、その者の入札は無効とする。 - ウ 対象者から工事担当課に提出された調査報告書に不備がある場合には、その者の入札は無効とする。
(2) 事情聴取等調査(工事担当課)(必須)
- ア 技術管理課へ低入札価格調査の対象となった工事名、対象者名を連絡する。
- イ 「調査報告書」の内容を精査し、「工事費内訳対照表(別紙-3-(1))」を作成する。
- ウ 対象者から提出された調査報告書の調査項目のほかに、聴き取りが必要な項目を「事情聴取書(別紙-2-(2))」に記入して、必ず事情聴取を行う。なお、聴き取りの相手方は、対象者の責任者及び対象者の積算の精通者とする。
- エ 事情聴取終了後、「低入札価格調査結果の概要書(別紙-2-(1))」及び「事情聴取書(別紙-2-(2))」を作成する。また、事情聴取をしてもなお不明な点がある場合においては、期限を定めて表-1~表-4等の必要な追加資料の提出を求める。なお、追加資料の提出を求めるのは、特に必要がある場合に限るものとする。
- オ 低入札価格調査結果調書(別紙)へ対象者の技術者の状況、配置予定技術者の状況、過去の公共工事の成績、経営状況及び信用状態等を記載する。なお、事務局案の項の記入は不要である。
- カ 「低入札価格調査結果調書(別紙)」、「低入札価格調査結果の概要書(別紙-2-(1))」、「事情聴取書(別紙-2-(2))」、「工事費内訳対照表(別紙-3-(1))」、及び「一般管理費率調書(別紙-3-(2))」に「調査報告書のうち(別紙-4、様式-0~11、表-1~4、添付資料)」、入札者の入札価格が記載された「入札履歴(入札調書)」及び「入札公告」、「総合評価落札方式落札候補者決定資料」(総合評価落札方式の工事に限る)の写しを添付し、工事契約課及び技術管理課へ提出し協議する。この場合、「工事費内訳対照表(別紙-3-(1))」には、工事担当課長の意見を付すものとする。なお、技術管理課へ(様式-0~11、表-1~4等)の写しを提出するのは、基本的判断基準を満たさないため契約内容に適合した履行がされないおそれがあると認める場合とする。
- キ 対象者が、本マニュアル5の2に定める基本的判断基準を満たしていない場合、判断が困難な場合には事前に協議を行うものとする。
(3) 調査結果の編さん及び競争入札調査委員会の準備(工事契約課)
- ア 工事担当課が作成した「低入札価格調査結果調書(別紙)」の事務局案の項に記入する。
- イ 基本的判断基準を満たさないもの等、必要に応じて委員会で審議する。
- ウ 調査の結果、広島市建設工事等競争入札調査委員会(以下、「委員会」という。)へ付議する必要がある場合は、(2)のカ及び(3)のアに掲げた資料に入札者の入札価格が記載された「入札・見積調書(別紙-1)」を添えて、委員会の審議に付す。
3 工事担当課は、指定した日に対象者が上記2の(2)のエに定める追加資料を提出しない場合は、対象者に対し、期限を定めて、提出できない理由等の説明を求める。対象者が、これに応じないときは、広島市競争入札参加資格者指名停止措置要綱に定める「不正又は不誠実な行為」に該当し、指名停止の対象となることを明確に伝える。
4 調査内容
1 本調査においては、広島市建設工事等競争入札調査委員会要綱第3条に掲げる調査事項等のうち、次の内容について調査を行うものとする。なお、表-1~4は、特に必要がある場合に調査を行うものとする。
- 低入札価格調査報告書等の概要(様式-0)
- 入札金額の工事費構成
- 当該価格で入札した理由(様式-1)
- 入札金額の積算内訳等
- ア 工事費内訳明細書(本市工事設計書に準じた様式)
- イ 諸経費内訳書(表-1、表-1-1、表-1-2)
- ウ 労務費内訳書(表-2)
- エ 資材・下請施工等見積書等一覧(表-3)
- オ 工事工程表(表-4)
- 手持ち工事の状況(様式-2、様式-3)
- 契約対象工事箇所と入札者の事務所、倉庫等との関連(様式-4)
- 手持ち資材の状況(様式-5)
- 資材購入先一覧(様式-6)
- 手持ち機械数の状況(様式-7)
- 労務者の確保計画(様式-8)
- 過去に施工した等の公共工事名及び発注者(様式-9)
- 建設副産物の搬出計画(様式-10)
- 施工体系図兼下請契約等計画調書(様式-11)
2 具体的な調査
(0) 低入札価格調査報告書等の概要
対象者が提出した「低入札価格調査報告書等の概要(様式-0)」に、様式-1から様式-11の内容が適正に記載されているか、また、その他の事項についても明確に記載されているかの確認を行う。
(1) 工事費の構成
区分 |
内容 |
---|---|
直接工事費等 |
直接工事費
|
共通仮設費等 |
共通仮設費
|
現場管理費等 |
現場管理費
|
一般管理費等 | 一般管理費 契約保証費が別にある場合は、一般管理費に加える。 |
(2) 当該価格で入札した理由
「当該価格で入札した理由(様式-1)」に基づいて、当該入札価格で当該工事が安全で、良質な施工が可能かどうかを確認する。
(3) 入札金額の積算内訳等
「工事費内訳明細書」「諸経費内訳書(表-1、表-1-1、表-1-2)」「労務費内訳書(表-2)」「資材・下請施工等見積書等一覧(表-3)」「工事工程表(表-4)」について、次の調査を行う。なお、工事費内訳の詳細内容が不明な場合は、「工事費積算書」の提出を求める。
ア 仕様及び数量
- (ア) 数量総括表に対応する積算内訳となっているか。
- (イ) 設計図書での要求事項(条件明示を含む。)を理解して積算しているか。
- (ウ) 指定の数量によって積算されているか。
(数量の指定のない場合は、対象者の数量による。) - (エ)指定の工法によって施工することとしているか。
(工法指定がない場合は、その工法に安全性等の点で問題はないか。)
イ 資材単価、労務単価又は市場単価
資材単価、労務単価又は市場単価について、発注者の単価に比し相当程度低いと認められる場合には、当該単価の設定理由を記載した書類等の提出を求めるなど、詳細な調査を行う。
労務単価が特に低い場合は、最低賃金を下回っていないか調査を行う。
労務費内訳書(表-2)に記載されている最低単価の算出内訳の確認は、賃金台帳等の支払賃金が確認できる資料に基づき確認する。
ウ 下請契約の相手方(以下「下請負人」という。)との関係及び技術者の配置
下請契約の締結を予定している場合には、予定している「施工体系図兼下請契約等計画調書(様式-11)」及びその下請負人からの見積書等において、下請に係る見積額が入札金額の積算内訳に正しく反映されているか、また、配置予定技術者の内容について確認する。
次の場合には、その理由を記載した書類等の提出を求め、これに基づき詳細な調査を行うとともに、必要に応じて下請負人のヒアリングを実施する。
- (ア) 下請負人の見積金額が入札金額の積算内訳に適切に反映されていない場合
- (イ) 下請負人の見積書等の工事内容(規格、工法及び数量等)が明確でない場合
- (ウ) 下請負人の資材単価、労務単価又は市場単価について、発注者の単価に比し相当程度低いと認められる場合
- (エ) 工事予定箇所に関連する技術者(監理技術者等)について、配置予定を確認し、他の手持ち工事がある場合
- (オ) 配置予定技術者(専任)については、開札日の3か月前以前に雇用されていない者を配置予定にしている場合
エ 工程
工事工程表と積算内容が一致しているか。また、工程計画に問題は無いか詳細な調査を行う。
オ 安全対策
安全管理等の共通仮設費(率分を除く。)の計上は不適当ではないか。
(特に、交通誘導員の配置及び指定仮設についての調査は入念に行う。)
カ 諸経費
共通仮設費(率分)、現場管理費及び一般管理費等について、発注者の価格に比し相当程度低いと認められる場合は、該当する諸経費内訳書(表-1、表-1-1、表-1-2)の提出を求め、当該価格の設定理由について確認を行い、具体的に必要経費が計上されているか確認する。
(4) 手持ち工事の状況
「手持ち工事の状況(様式-2、3)」について、次の調査を行う。
契約対象工事付近における手持ち工事(様式-2)及び契約対象工事に関連する手持ち工事(様式-3)の状況から、営繕損料、現場管理費等の間接費の節減が可能か。また、本市発注工事について、記入もれがないかも確認する。
(5) 契約対象工事箇所と対象者の事務所、倉庫等との関連
「契約対象工事箇所と入札者の事務所、倉庫等との関連(様式-4)」について、次の調査を行う。
- ア 監督業務及び資機材運搬・管理等において、地理条件等にかんがみ、経費等の節減が可能かどうかを確認する。
- イ 緊急時の対応等、安全管理に優位性があるかを確認する。
(6) 手持ち資材の状況
「手持ち資材の状況(様式-5)」において、手持ち資材を当該工事で活用するとしている場合は、具体的な数量・活用方法等及び保管状況を写真等で確認するとともに、低価格入札との関連性について確認する。
具体例
- a.仮設鋼矢板及び支保材、足場材、その他二次製品の活用
- b.コンクリート用型枠等の活用
- c.安全管理資材の保有
- d.契約対象工事に関連する手持ち資材の活用
(7) 資材購入先及び購入先と対象者との関係
「資材購入先一覧(様式-6)」において、当該工事で使用する資材について、低価格での調達が可能としている場合、その根拠を、資材購入先の作成した見積書等により確認するとともに、資材購入先等の意向を確認する。
具体例
- a.手形取引でなく現金決済による値引きが可能である。
- b.系列会社あるいは協力会社との取引が可能である。
- c.永年にわたり取引がある。
(8) 手持ち機械数の状況
「手持ち機械数の状況(様式-7)」において、当該工事において手持ちの建設機械等を使用するとしている場合は、写真(所有等を証する資料等)で確認する。
具体例
- a.手持ちの建設重機械等の活用が可能であり、損料計上が優位にある。
- b.減価償却が終わっており、損料等が不要若しくは低減できる。
- c.系列会社の取引、又は永年にわたり取引が有る。
(9) 労務者の具体的供給見通し
「労務者の確保計画(様式-8)」について、次の調査を行う。
- ア 労務者について、確保計画及び配置予定によって適切な施工が可能かどうかを確認する。
- イ 労務者について、自社の者を従事させることとなる場合には、名簿の提出を求め、健康保険証等の写しにより雇用関係の確認を行う。
※ 雇用関係の確認書類として、保険者番号、被保険者等記号・番号が記載されている健康保険被保険者証の写し等の書類を添付する場合には、当該番号等に黒塗り等でマスキングを施したものを添付すること。
また、QRコードがある場合について、そのQRコードを読み取ると、保険者番号、被保険者記号・番号等がわかるものについては、同様にマスキングを施すこと。
(10)過去に施工した等の公共工事名及び発注者
「過去に施工した等の公共工事名及び発注者(様式-9)」について次の調査を行う。
過去2か年の本市工事において低入札受注工事の実績があれば、当該受注工事の工事評定点を調査する。(工事評定点は、対象者が記入する。工事成績評定通知書を添付する。)
(11) 建設副産物の搬出計画
「建設副産物の搬出計画(様式-10)」について次の調査を行う。
- ア 建設副産物の搬出予定地や処理体制等が発注仕様書等に合致しているかを確認する。
- イ 適正な処理を行っている搬出地を選定しているかを確認する。また処理価格の根拠も確認する。
- ウ 車持ち運転手の単価を確認する。
(12) 施工体系図兼下請契約等計画調書
「施工体系図兼下請契約等計画調書(様式-11)」について次の調査を行う。
- ア 開札日から落札決定日までの間に指名停止期間がかかっている業者を下請負人に選定していないか確認する。
- イ 下請負人の主任技術者の雇用を、健康保険被保険者証等(健康保険被保険者証を所持していない個人事業者等の場合はその他雇用が確認できる資料)の写しにより確認する。
※ 健康保険被保険者証等の写しにより確認する場合は、(9)※を参照。 - ウ 一次下請負人(調査業務及び安全管理委託等を含む)は、建設業の許可通知の写し等により、確認する。
5 適正な履行確保の基準
調査内容を総合的に検討し、総額失格基準(額は非公表)及び基本的判断基準からなる適正な履行確保の基準の項目をすべて満たしているかどうかを確認する。確認の結果、基準の項目を一つでも満たしていない場合、対象者は契約内容に適合した履行がされないおそれがあるものとする。この調査は、基準を満たさない項目が判明した時点で終了するものとする。
1 総額失格基準
入札額(税抜き)が、総額失格基準額(税抜き)以上であること。
工事費構成(各内容は、4の2(1)工事費構成の別表による)
- A 直接工事費等
- B 共通仮設費等
- C 現場管理費等
- D 一般管理費等
総額失格基準額(税抜き)をS、設計金額(税込み)をKとする。
(1) 設計金額(税込み)が2億円以上3億円未満の場合は次式による。
S=A×a+B×b+C×c+D×d
a=0.97-0.097(K-200,000,000)/100,000,000
b=0.90-0.09(K-200,000,000)/100,000,000
c=0.90-0.09(K-200,000,000)/100,000,000
d=0.68-0.068(K-200,000,000)/100,000,000
(a,b,c,dは少数第4位まで、第5位切り捨て)
(2) 設計金額(税込み)が3億円以上の場合は次式による。
S=A×0.873+B×0.81+C×0.81+D×0.612
注1:総額失格基準額を下回る入札は、失格とする。
注2:総額失格基準額は公表しないこと。
2 基本的判断基準
- 低入札価格調査に際し誠実で協力的であること。
- 当該入札が、適正な見積等に基づく結果であること。
- 技術者等(下請負人も含む)の配置が適正であること。
- 設計数量、設計仕様、安全性等を満足していること。
- 労務費は全て法定最低賃金を満たしていること。
- 下請、資材等の見積額の計上が適正であること。
- 建設副産物の処理方法等が適正であること。
- 工事費内訳明細書等に違算等がある場合、不足総額が対象者の予定利益の計上額を上回らないこと。
- 調査報告書に不備が無いこと。
- 虚偽記載等が無いこと。
6 調査結果の公表
契約担当課は、広島市建設工事発注見通し及び請負経過公表要領に基づき「低入札価格調査結果の概要書(別紙-2-(1))」を公表する。
ダウンロード
このページに関するお問い合わせ
財政局契約部 工事契約課
〒730-8586 広島市中区国泰寺町一丁目6番34号(15階)
電話:082-504-2280(代表) ファクス:082-504-2612
[email protected]