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近年、「ヒラメ刺身」、「馬刺し」を原因食品とする食中毒が発生しており、病因物質として寄生虫の「クドア・セプテンプンクタータ」、「サルコシスティス・フェアリー」が特定されています。
「ヒラメ」に寄生するクドア属の寄生虫(粘液胞子虫)の一種です。
日本や韓国に分布し、ヒラメの筋肉中に寄生していますが、肉眼で確認することはできません。
ヒラメは無症状ですが、人への健康影響が報告されています。
粘液胞子虫は、生きた魚の体内でしか増殖できないので、水揚げ後の魚において増殖することはないと考えられています。
※生きた状態の多数のクドア(約1000万個)を摂取した場合に発症すると考えられています。
過去3年間の広島市内での事件数と患者数は以下のとおりです。
2013年から2016年までの食中毒事例で実施されたヒラメの遡り調査の結果は以下のとおりです。
2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | |
ヒラメのクドア食中毒件数(患者数) | 21(244) | 43(429) | 17(169) | 22(259) |
国産(養殖) | 1(7) | 1(4) | 2(24) | 0 |
国産(天然) | 2(20) | 9(76) | 5(39) | 11(124) |
産地不明 | 1(8) | 6(112) | 2(44) | 1(22) |
韓国産養殖 | 17(209) | 27(237) | 8(62) | 10(113) |
※養殖段階での寄生虫保有魚の排除
(2012年に農林水産省が国内のヒラメ養殖場における対策を通知して以降、国内産養殖ヒラメを原因とする食中毒は極めて少ないことから、国内の養殖場等における食中毒防止対策は有効であると考えられています。)
※写真は厚生労働省ホームページ 審議会配付資料から転載
「馬」に寄生するサルコシスティス属の寄生虫(住肉胞子虫)の一種です。
筋肉に寄生しますが、肉眼で寄生虫を確認することはできません。
食後数時間(5~19時間)で一過性の下痢、腹痛、倦怠感などを発症
※各温度は中心温度
馬肉を介したザルコシスティス・フェアリーによる食中毒Q&A<外部リンク> (農林水産省ホームページ)
※写真は厚生労働省ホームページ 審議会配付資料から転載
寄生虫 | 感染源(寄生虫に汚染されている食品等) | 症状 | 予防方法 |
---|---|---|---|
トキソプラズマ | 豚、羊、山羊の加熱不十分な肉、ネコの糞便 | 妊娠中に初めて感染した場合、流産、死産、早産、胎児の脳症、水頭症、、子どもの発育不全、精神遅滞、視力障害などが起こる可能性がある。 | 加熱(55℃で5分以上) 冷凍(中心温度-12℃) |
トリヒナ(旋毛虫) | 豚、熊肉などのジビエの生食 | 下痢等の消化器症状の後、発熱、筋肉痛、皮疹等。心筋炎を起こし、死亡することがある。 | 中心部までの十分な加熱 |
有鉤条虫 | 加熱不十分の豚肉 | 成虫の場合:腹部膨満感、吐き気、下痢、便秘等 幼虫の場合:脳、筋肉、皮下組織など、寄生する場所により症状は異なる。脳や眼に寄生した場合は、てんかんや視野障害などの重い症状となる。 |
加熱(中心温度60℃以上) 冷凍(-10℃で4日) |
アジア条虫 | 加熱不十分の豚肝臓 | 片節(成虫の一部)が排出されることによる精神的不快感、軽微な下痢 | 中心部までの十分な加熱 |
クリプトスポリジウム | 井戸水、沢の水、生肉等 | 水様性下痢、胃腸炎、腹痛、嘔吐、発熱 (摂取後、約4~8日後に発症) |
加熱(71.1℃で15秒)※家庭では煮沸 |
ウエステルマン肺吸虫 ※広島市内で発生事例あり |
汽水性の巻貝、淡水生巻貝、サワガニ、ザリガニ、モクズガニ等やこれらを摂取したイノシシ、シカの肉等 | せき、痰(たん)、胸痛、血痰、呼吸困難等の呼吸器症状、発熱、腹痛等 | 加熱(中心温度75℃で1分) 冷凍(-27℃で24時間以上) |
健康福祉局 保健部 食品保健課
電話:082-241-7434、082-241-7437/Fax:082-241-2567