ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ

本文

ページ番号:0000008428更新日:2019年10月21日更新印刷ページ表示

2018年11月8日「市政車座談義」の開催結果

概要

 「国際平和文化都市を目指す今後のまちづくりについて」をテーマに、学生の皆さんに御参加いただき、広島市立大学附属図書館「いちコモ」で市政車座談義を開催しました。

 市長は、「国際平和文化都市として、世界に誇れる「まち」にしたい。例えば、過去の歴史を踏まえながら、もう一歩工夫をするにはどうしたらいいかとの発想で少し考えていただければ、この「まち」の持続可能性が高まっていくと思う。」、「おもてなしを進化させるということを考えるときに、外在化されている関連機器をうまく活用することも、目標として心にとどめておきたい。」と述べるなど、参加者と積極的な意見交換を行いました。

車座談義の様子

結果

1 日時

平成30年(2018年)11月8日(月曜日)16時00分~18時00分

2 開催場所

広島市立大学附属図書館「いちコモ」

3 参加者

9名(※敬称略)

  • 広島市立大学 伊藤 千夏(4年生)
  • 広島市立大学 グェン・ティ・テュイ(2年生)
  • 広島市立舟入高等学校 磨 祐佳(3年生)
  • 広島女学院高等学校 小畑 美月(2年生)
  • 広島市立基町高等学校 井手 美有(2年生)
  • 広島市立大学 盧 浩澎(3年生)
  • 広島市立大学 外間 泰洋(2年生)
  • 広島経済大学 谷川 飛馬(4年生)
  • 広島修道大学 萬田 智文(3年生)

4 テーマ

「国際平和文化都市を目指す今後のまちづくりについて」

5 傍聴者

18名

6 会議次第

  • 市長挨拶
  • 参加者からの意見・提案
  • 意見交換

7 会議の要旨

司会(政策企画課総合計画担当課長)

ただいまから、市政車座談義を開会いたします。

私は、本日の司会進行を担当します、広島市政策企画課総合計画担当課長の藤岡と申します。どうぞよろしくお願いします。

本日は、「国際平和文化都市を目指す今後のまちづくりについて」というテーマで、市内の三つの大学と三つの高校から御参加いただいた全員で9名の学生の皆さんと市長とで、自由かっ達に意見交換を行っていただきます。

最初に、本日御参加の学生の皆さんを御紹介いたします。

まず、広島市立大学国際学部4年の伊藤千夏さんです。

次に、広島市立大学国際学部2年のグェン・ティ・テュイさんです。

次に、広島市立舟入高等学校普通科国際コミュニケーションコース3年の磨祐佳さんです。

次に、広島女学院高等学校2年の小畑美月さんです。

次に、広島市立基町高等学校普通科2年の井手美有さんです。

次に、広島市立大学国際学部3年の盧浩澎さんです。

次に、広島市立大学国際学部2年の外間泰洋さんです。

次に、広島経済大学経済学部4年の谷川飛馬さんです。

最後に、広島修道大学人文学部3年の萬田智文さんです。

この市政車座談義に高校生や留学生の方が参加されるのは初めてのことですが、皆さんお若いので、緊張されていると思いますけれども、市長は大変優しい方なので、この機会を生かして思ったことをしっかりお話していただければと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

それでは初めに、市長から一言御挨拶を申し上げます。

市長

どうも皆さんありがとうございます。皆さんの緊張度合いが私の厳しさに比例する、反比例するということと関係なく、忌たんのない御意見を聞かせていただこうという思いで、今日ここに来ております。どんな意見を言っていただくか楽しみです。

皆さんが今の時代を生きていく中で、この市の中で生活をしながら、「まちがこんなふうにあったらいいな」という思いで多分言っていただけると思うんですけども、一つだけ、自分という存在が、過去と未来をつなぐ存在だということも忘れないようにしていただきたい。それはどういうことかと言いますと、今日主に話すときに、「広島をどんなふうにしたらいいかな」ということを考える責務があるということで、市長という職を務めているという認識ですが、私1人がずっと何百年も生きて、広島市をどうこうしようというわけじゃなくて、市長としての任期は、4年ごとに選挙を受けてやっているときに、多分過去の市長さん、あるいは過去の市民が合意してこんなまちにしようというふうにしながら今があって、それに少し加工を加えて、皆さんの了解を得ながら、次のまちづくりを目指す、そういうプロセスにあるということを別の言葉で申し上げたい。

皆さんが今の年齢で考える。未来永劫、高校生、大学生でいるわけではないので、年と共にまた立場が変わり、いろんな御意見が出てくる。そうすると、「あのとき、あんなこと言ったな」ということと、それまでのまちとこれからのまちの整合性と言いますか、どんなふうにするかということも常に頭に入れておいていただきたい。

その象徴として、今、広島市が掲げている国際平和文化都市という概念があるんですけど、これはいつ頃できたか御存じですか。昭和45年に基本構想というか、広島市の都市建設における最高目標を決定してるんですね。昭和45年、ここにいる方、生まれているかな。そういう過去のものなんです。私は、高校3年ぐらいだから、その当時の市のことは知りません。でも、45年という年は、昭和20年に原爆が落ちて、灰じんに帰した広島の町をいろんな方が立て直し、よくしようと25年目につくっている。この計画は、見直して昭和53年にチェックして、平成10年、そして平成21年とか何度か見直して。その考え方をベースに、広島の基本計画をつくってきて、その中で終始一貫、国際平和文化都市というのを掲げているんです。

だからこれが、私とすれば、平成23年に市長になってますから、そのときまであったイメージを皆さん、共有してるんだろうということで、このまちづくりに着手したと思ってください。そして、そのときに掲げた目標は今も持っています。つまり、国際平和文化都市にして、この町は世界のモデルケースになるようにしたいと言っていたので、市長に出るとき、それをちょっと勉強しましてね。国際平和文化都市、客観的な指標でモデルとか言ってるけど、その根っこにある気持ちが入ってないということで、あえて「世界に誇れる「まち」にしよう」ということを付け足したんです。国際平和文化都市になるのは何のため。自分たちがいいなと世界に誇れるぐらいになりたい、モデルになるということを言って、今、やっています。

例えば、過去の歴史を踏まえながら、もう一歩いいものにするという工夫をするにはどうしたらいいかとの発想で少し考えていただければ、このまちのサステナビリティ、持続可能性が高まっていくと、そんな思いですので、そういった視点を混ぜての議論を期待しております。よろしくお願いします。

司会

ありがとうございました。

それでは、本日の談義の進め方を御説明します。

本日は、三つのサブテーマに分けて意見交換したいと思います。まず、参加者の皆さんからサブテーマに沿って、広島市の都市像である国際平和文化都市の実現に向けた御意見や御提案を頂きたいと思います。

広島市が国際平和文化都市を目指す中で、今後10年においては、少子高齢化や人口減少の進展、地域コミュニティの活力低下への対応が重要な課題になると考えております。

こうしたことを踏まえ、本日は、

  • 国内外から多くの人を呼び込む「観光の振興」
  • 高齢者が安心して暮らせる環境づくり。いわゆる「高齢者福祉」
  • まち全体の活性化の基盤となる「地域の活性化」

について、意見交換したいと思います。

今後10年の間に社会人になっている若い世代の皆さんの立場から、率直な御意見、御提案をお願いします。

その後、市長と参加者の皆さんとで意見交換をしていただくように考えております。

終了時刻は6時を予定しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

それではこれより、一つ目のサブテーマ「観光の振興」に関して、参加者からの意見、提案に移らせていただきます。

最初に、広島市立大学の伊藤さん、よろしくお願いします。

市立大学 伊藤さん

よろしくお願いします。

私は、国際平和文化都市を実現するために、観光の分野の中でも、特に海外から観光に来られる方々に着目して意見を発表したいと思います。

私は、観光地である平和公園に隣接する飲食店で4年間アルバイトをしておりまして、その中で観光客の方々と接する機会が多くありました。その体験の中で、観光客の方一人一人にもっと寄り添った観光ガイトができないだろうかと考えるようになりました。例えば、観光客の方々の意見の中には、「平和に関するところ以外も広島市に来たんだから行ってみたい」、「広島市内を効率よく回る方法が分からない」、あと個人的に一番多いと思っているのが、「宗教上、文化上の理由で食事に制限がありますが、その食事に対応してもらえるか、そもそもそういうお店があるのかが分からない」といった意見があります。

こういった意見に対応するために私が考えたのが、本日のテーマにもありますICTによる観光です。現在、広島市の施策構想の中にもICT先端都市の実現という項目があり、実際にICTによるピースツーリズムといった構想を進めていることは存じております。そのため、この発表では、広島市内観光でICTを使って、どのようなサービスがあったらいいのかを述べたいと思います。

大きく分けて2点あります。まず1点目は、観光客の求める飲食店の検索機能です。先程も少しお話ししたんですけれども、海外からの観光客の方々には、文化や宗教上の理由から、口にできない食事がある方が多いです。そういった方々は、無宗教の人たちのように、突発的に観光で歩いていてこの店に入ってみようということが少し難しくて、例えば、自分の食べられない物を抜いてくれるのか、そういうことに対応してもらえるのか、あらかじめ電話で尋ねたり調べたりとかして、食事に多くの手間がかかってしまいます。そのため、自分が食べられる食材をアプリのようなもので入力したら、それに対応している飲食店がサーチできたり、ベジタリアンメニューやグルテンフリーメニューなどを提供しているお店を現在地から近い順に検索できるようなサービスがあれば、もっとストレスのない観光が可能になるのではないかと思いました。

2点目は、自分の行きたいところだけを効率よく回れるようなサービスです。最近雑誌とかSNSでも、お薦めの観光スポットやお薦めのルート、回り方とかの紹介を見る機会がすごく増えましたが、その中に自分の興味のない場所が含まれていると、途端に興味を失ってしまうことが多いと思うんですよね。そのため、お薦めの観光スポットの中から自分の興味のある場所だけを選択し、出発時間などを入力したら、その時間内にどのような順で1日観光地を回って、どのように移動するか、そういった一人一人の要望に寄り添った広島市の観光をトータルコーディネートできるようなサービスができればいいなと思いました。こうしたことが実現できれば、その人にしかできない広島の思い出をつくることができると思います。

例えば、滞在時間が短いことも広島市の観光で問題になっていると思うんですけれども、滞在時間が短かったとしても、充実した観光が体験できれば、また広島市に訪れたいと思ってもらえたり、複数回訪れている人もこのサービスを利用して、次回は前回行けなかったスポットを訪れてみようというふうにリピートにつながるきっかけになるかもしれません。

以上が、私の考えるICTによる広島市の観光の具体例です。ICT技術による観光は、個人レベルではできることが少ないかもしれませんが、私は来年、ICT関連の企業に就職する予定になっているので、いずれ広島市の魅力をもっと深く知ってもらえるような観光サービス開発に携わることができればいいなと思っております。それまでは、自分自身がアルバイトをしているお店で、少しでも御食事での制限がある御客様が快適に過ごせるように、一人一人の要望に合った対応をして、広島での食の思い出づくりに協力できるようにしていきたいと思っております。

司会

ありがとうございました。

伊藤さんからは、特に外国人観光客の方向けのICTによる観光サービスの向上の御提案を頂きました。

これにつきまして、市長からコメントをお願いします。

市長

今、言われたことは、いわゆるまち全体としておもてなしをしようというときに、一つの重要な発想だと思うんですね。でも、これは広島だけじゃなくて、いろんな多くの都市とか、人をもてなすときの多様性をいかにうまく相手に伝え、それを前提に来る方にとって合理的、あるいは効率的な行動がとれるかをどこまでお世話するかという、おもてなしを進化させることだと受け止めました。

人間というのは、一定の行動をするときに、自らの肉体が外にあるいろんなものをオブザーブ、観察して、それと自分の行動を結び付けて、入手する、排除する、あるいは処理するという方法論を考えて、自分の力とか行動範囲を考えて、いろんなことを思考して、動いて目的を達成する、あるいは失敗するということです。

ICTを使うというのは、事前の情報処理を自分の頭の中でやるときに、限られた情報では選択肢は狭くて、体を使って一個一個試さなきゃいけないのを、もう少し潤沢な情報を外在化して、そこで一定の処理をしてもらって、自分の思いを遂げる情報を整理したものを入手するということで、人間の情報処理のお手伝いを多様に、かつ広範囲にやろうというものですからね。個々人にはできませんから。

これから大きな広島、都市が、もしそういう技術を持っている民間企業があれば、そういったところとうまく連携してシステムをつくってあげて、かつ利用するときの利用料なども配慮して、比較的安価で使えるようにするという、少し大き目のシステム開発を考えてやれば、多分どこの町だって同じようなことを考えている中で、やはり先導的な事例とか、「おっ、いいじゃないか」ということになろうかと思いますね。

今言われたアイデアを今後、情報関係の企業で仕事をされるのであれば、どういったところと連携して、どういった地域と連携して、どの種の情報加工をして、利用者にとって利便性の高い、かつ比較的安価で利用できるようなものを仕組むかというお勉強もやってもらったらいいな、と思いながら聞かせてもらいました。

いずれにしても、おもてなしを進化させるということを考えるときに、いわば外在化されている関連機器をうまく活用することも一つ大きな課題というか、目標として心にとどめておきたいなと思います。

今、市がやっていますのはそこまで行ってなくて、紙ベースでいろいろ情報を書いてそれを読み込んでくださいというところで、入口には立ってますけど、読み込んだ上でどういうルート設定がいいかとか、どの店をチョイスしたらいいかという、もう一歩踏み込んだ情報分析ができるようにしようじゃないかという意思を持たなければ、パンフレット行政で終わりますからね。今言われた提案をもっと受け止めて進化させるということは、これからの行政の宿題かなと受け止めました。ありがとうございました。

司会

ありがとうございました。

それでは続きまして、広島市立大学のティさん、よろしくお願いします。

市立大学 ティさん

こんにちは。

先輩が話をした内容と結構かぶってるかと思いますが、私は広島に来てから1年ちょっとなんですけど、外国人の友達とかに、広島に来てからみんなの意見とかを考察しながら、自分なりの考えを話します。

広島の観光客は全国に比べてちょっとおもしろい特徴があって、全国の中で中国人ではなくヨーロッパの方々が多いところです。広島は二つの世界遺産がありますが、広島に来ても滞在時間が少ないという問題があるのかなと考えています。二つの世界遺産の観光しか回ってなくて、滞在時間が少ないなと思うので、そこでイベントとかもっとしたり、広島に来てから自分しかできない観光体験とかがあったりするといいなと思いました。

それと今、日本全体も、広島でも高齢化社会が進展していて、自分は前に大阪に住んでいたんですけど、日本は区役所とかの書類が結構多くて、本当に外国人にとっては難しいルールが多くて、最初日本に来て、まだ日本語が上達してない外国人には、ちょっと難しいのではないかなと思っています。そこで、最初からルールや書類に関することは、もうちょっと分かりやすくしたらいいなと思います。そうしたことも解決して、広島でもっと外国人や高齢者が生活とかしやすいようにしたらいいなと思いました。

司会

ありがとうございました。

ティさんからは、いわゆる観光スポット、広島にはニつの世界遺産があるけれども、それ以外にもいろんな行けるところがあるといいかなという御趣旨の発言を頂きました。

ティさんは、広島に来たときに観光スポットはどうやって探したんですか。

市立大学 ティさん

いつもグーグルとかで検索して、「広島で一番有名なところ」とかのタイトルで検索して、そこから行きました。

司会

やっぱり自分で探されたんですね。なかなか難しかったんだと思います。

そして、もう一つが海外から来られた方の、御意見としては生活なんですけども、観光客の方も同じだと思います。日本に来られて、生活なり観光がしにくいことがあったということで、そういった環境を整備したらいいんじゃないかという御趣旨で御意見を頂きました。

これにつきまして、市長からコメントをお願いします。

市長

今、お話聞いてまして、二つかな、私自身受け止めました。一つは、「世界遺産があるから広島に行って観光してみたいと来られるけど、広島の滞在時間が短いので、せっかく来るんだったらゆったりと長く、いろんないいところを見られるようにするために、例えばイベントなど」という御提案ですから、先程の伊藤さんと同じようなところがありましてね。来た方をもてなすという発想で物事を考えていくときに、世界遺産という多くの方が興味を引くような施設群を用意できてるんだったら、それのみじゃなくて、わざわざ遠くから来る方は大枚はたいて、飛行機に乗り、船に乗って来たりされるわけだから、いわば国際平和文化都市という、平和文化全体がどんなものかというものを見てもらえるようなルート設定までする方が、来る方にとってのある意味では思いやりになっているということだと思うんですね。

それについては、全くそれを意識しないで、このまま「世界遺産二つだけですよ」という広島のまちづくりはないと思っています。来る方にもっと滞在をという目的意識は、経済性もあって合理性があると思いますけど、それ以前に、この町、このエリアで暮らす方にとって、世界遺産とともに文化、生活で、自分たちの気付きがないところを外の方から見て、「これはすばらしいな」「珍しいな」ということを自覚するというか、もっと見直して、磨きをかけることをやる中で、それが外の方に対するもてなしに変わればいいなと。自分自身のためにもなるということをもっとやりたいんです。

例えば、日本はある意味でキリスト教系のいわゆる一神教系の宗教を信じてる国々から見ると、多神教の国と分類されてますし、あえて言えば、仏教じゃなくて神道の国と認識されてるらしいんです。と言うのは、神様は1人だけじゃなくて、海にも山にも川にも、そこら中、神様だらけだと。だから、そういった神様だらけの中で生きていくためには、それぞれいろんな個性を持った神様と折り合いを付けながら調和する生き様をしてて、農業中心の頃は、種まきの頃は温暖な気候になるように祈りながら、収穫期には収穫したことを感謝して、1年の苦労をみんなで、そういう意味ではお祭りというようなことを一生懸命やってるじゃないですか。自分たちの生活パターンの中で、都市化してるといえども、そういった要素があることを大事にして、例えば、そういうのを見てください、見てどうですかということでコース設定ができるようなまちづくりをすれば、自ずと「ああ、そうか。日本ってこんなことをやりながら、1年365日、何年間もみんな暮らしているんだな」ということを分かっていただけるじゃないですか。そういう方向で取り組みをしたい。

そのためには、広島の906平方キロメートルあるうち、都市部というより、むしろ、中山間地の町々のいろんな催し物にもっと磨きをかけて、外部の方が楽しめるような仕掛けにしながら、かつ地元でのそういうイベント開催を一生懸命やるというふうにできたらなと思いました。

もう一つは、更にそれが進化して、単に旅行者だけじゃなくて、この日本の地で生活する方の、今度は利便性を考えてどうですかということですね。過ごそうとなると、住民票が要るかも分かりません。役所に行って書類をたくさん出したり、ごみ出しのルールとかいろいろありますよね、地域ごとに。他の国にはない、あるいは他の地域より進んでることをいっぱいやってまして、ある意味では、私自身は共助の精神がすごく行き渡っていると思います。

つまり、個人さえよければいいんじゃなくて、少し配慮して、自分以外の人の立場に立ったときに、自分には大変だけども、それをやることで他の方も楽するんだというのが、ごみ処理のルールとか、集まったときの約束事になってる。だから、それは知らない人に、いきなり「やれっ」て言われたって「Why、なぜそうなの」ってなりますからね。来てすぐに日本語が分からなければ、もう少し多言語化して、自分たちの言葉で分かるような説明をもう少し丁寧にしてあげることを市政の上でやっていけば、よき理解者も増えるし、外から来た方もこの地域で生活することに自信が持てるんじゃないかなと思います。

そういう意味では、もっともっと多言語化することと、当然と思って習慣化してること、ルール化していることについて、もう少し丁寧な説明をすることを行政としてやれば、今言われたような要請というか疑問にもう少しきちんと答えられるんじゃないかなという思いで聞いておりました。

司会

ありがとうございました。

続きまして、広島市立舟入高等学校の磨さん、よろしくお願いします。

舟入高校 磨さん

こんにちは。

私は小さい頃から英語に触れる家庭で、2歳頃から海外の人たちと話したり触れ合ったり、様々なイベントなどに参加してきました。小学生のときに、高校2年生になったら留学を是非してみたいと思い、高校2年生でアメリカのオハイオ州に行ってきました。そこで学んだことは、積極的に勇気を出して何事にも自分から取り組むこと。また、たくさんの人に話しかけて、いろんな世界の友達をつくったりすること、広い視点で物事を考えたりすることを学びました。

帰国後は校内で留学に興味がある生徒を集め、プレゼンテーションで自分の体験、または、異文化の中で若いうちにたくさんの経験をすることの大切さなどを話しました。このように学校内だけではなく、自分の体験談などをたくさんの人に広めていくのは、とても大切なことだと思います。

留学生活を通し、違う視点から見る中で、広島に取り入れるとよいと思うことはニつあります。まず一つ目は、レストハウスの活用について。ニつ目は、駅の周りに観光客と市民が交流できる場所をつくることです。

一つ目のレストハウスの活用については、様々な言語における通訳ボランティアを育てることが大切だと私は思います。例えば、私のように留学して帰ってきた帰国生の方、または片親が海外の人でバイリンガル、トリリンガルなど、家庭の中で様々な言語を話している人たちを活用し、ボランティアをすることはとてもよいと思います。英語をしゃべれる人はたくさんいると思うんですけど、それ以外のフランス語、ドイツ語、スペイン語などをしゃべれる人たちにボランティアに参加してもらうことも大切だと思います。

通訳ボランティアをするときに大切だと思うことは、自分の言っていることに自信を持つことだと思います。私が留学に行った際に中国の留学生の方がいて、自分の英語が間違っているか、合っていないかを気にするのではなく、自分の意見を言うこと、はっきりと自分の意見を人に伝えることをすごく見て、私たちも取り入れるべきだなと感じました。これにより自分の言語も伸ばすことができ、観光客の役にも立つという二つの利点があると思います。

二つ目の駅の周りに観光客と市民が交流できる場所をつくるということは、例えば、畳、座布団、こたつなど和の雰囲気をつくり、その中で日本語学習会、茶道、華道または琴の演奏など、日本のすばらしいところを広げるのも一つやったらいいことだと思います。また、お好み焼きなど簡単なものを協力してつくることにより、交流も深まると思います。さらに、剣道など、現在学校の部活で剣道や習い事で剣道などはあると思うんですけど、海外の人とかですごく興味を持っている方はたくさんいると思うので、剣道、柔道などスポーツを一般の方と海外の方が体験できるようなところがあったら、とても役立つと思います。

実際、私が留学に行っていた際には、書道で友達の名前を漢字で書いたり、折り鶴の折り方を教えてあげたりしてとても喜ばれたので、とても簡単で日本のことを知ってもらうこととしては、とてもいいことだと思います。

これらのように、様々な年齢層の人たちが「挑戦したい」、「楽しそう」などの思いで日本文化を知ってもらえるのはすばらしいことです。そこから広島、日本を好きになってもらい、興味を持ってもらえると思います。今現在、SNSが栄えているので、イベントの情報発信をしたり、また、インスタグラムスポットをつくるなどして、参加、体験された方たちにも活動を発信してもらえると、より参加者も増えていき、集まると思います。

この活動を通して、留学生も含む外国人の方々の利益として、地元の人たちと触れ合う貴重な機会により、より日本文化への理解が深まると思います。ちょっとした時間にも、広島の市民から地元の情報を直接伝えてもらうことができます。また、市民間のつながりも深まり、外国からの方々を身近に感じることができると思います。これらにより、広島のよさを海外の人たちに伝えたい人が増え、広島に残って活躍したいと思う人が増えていくと思います。

ありがとうございます。

司会

ありがとうございました。

磨さんからは、通訳ボランティアの活動も含めて、海外から来られた方へのおもてなしの御提案を頂きました。

これにつきまして、市長からコメントをお願いします。

市長

今のお話聞いてまして、私自身の経験も織り交ぜて申し上げると、磨さんはオハイオ州に留学して、アイデンティティに目覚めたというか、目覚めるといったらおかしいけども、自己発見、自己認識ね。一体自分ってどんな存在なんだろうということを少ししっかり考える時間があったんじゃないかなと思いました。

今、言われたことは、裏返せば自分が外国に行って、そこで同じ時間帯を過ごすけども、「なぜ、あの人と違う行動なんだろう」とか、向こうの言っていることがよく理解できない、何ででしょうと。英語が熟達してて、現地の人と同じぐらいに会話できる語学能力があれば分かるんだろうけど、分からない。自分が分かる範囲で情報提供があれば、もっとスムーズなおつき合いもできるし、もっと居心地いいんだろうなということを多分感じられたからこそ、来る方に対してのそれぞれの異文化に即した形で、我々の情報を提供することがあれば、きっとみんなに喜んでもらえるし、そのときに自分自身の個性というものを忘れない意味で、茶道とか琴とか剣道とか、日本古来のマーシャルアーツ、武道とか、そういったものも忘れないようにしましょうねということを一生懸命言われたんじゃないかなと受け止めました。

こういうことを考えるのがまさに人と人との交流なんですね。国境とかいうものを越えて、人間というのは、その地に生まれて風土、地理的な状況とか気候とか歴史、親が持っている価値観に包まれて成長するわけで、言語もそうですよね。だけど、その文化圏から違うところに行ったときに、全く違う育ち方をしながら、そこで適応して、ひょっとすると自分より楽しく過ごしているように見える人がいるとなると、一体自分って何だったんだろうと思ったときに、一旦は揺れるけれど、よく考えてみると自分がここまで成長してきたのは、それなりに自分も価値ある生活をしてきている。であれば、それを対等に考えてお互いに共有して、文化とか環境は違うけれど、仲良くそれぞれが満足度を高めるためにどういうふうに暮らせばいいかなというところを考えないと、今みたいな提案は出ないと思います。これってすごく重要なことで、地区全体を平和にしよう、戦争しないようにしましょうとかいったことと通ずるわけですよ。

だから、異なる者同士がこのクローズドの地球の中でうまくやっていくためには、自分たちの個性である文化、伝統を大事にしながらも、他者のものもよく知り、それを受容してあげて、「郷に入れば郷に従え」ということも含めてやるということを身をもって体験して、それをもう少し広げたいなという思いです。ボランティアのガイドの方なんかの提案も含めて、広島が多くのいろいろな価値観を持つ方々に対してウエルカムな、もてなすことができるまちづくりを進める上で欠かせない重要な提案だと受け止めました。

司会

ありがとうございました。

続きまして、広島女学院高等学校の小畑さん、よろしくお願いします。

女学院高校 小畑さん

私も去年の8月から今年の6月まで、フィンランドに10か月留学していました。フィンランドは英語圏ではないんですけれど、首都のヘルシンキとかだと、もう英語だけで生活できるぐらい、小さい子からお年寄りまでほとんどの人が英語をしゃべれるような状況でした。それを見て、日本でも英語の初等教育を進める必要があるのではないかなというふうに感じました。

今回お話しさせてもらうのはSNSの活用方法で、私は特にインスタグラムに焦点を置きました。インスタグラムの特徴としては、写真がメインであること、ツイッターやブログのように文字をたくさん書く必要がないことです。現在フェイスブックに次ぎ、世界で10億人もの利用者がいます。

近年、国内や海外の旅行者の間では、行き先をネットで検索する前にインスタグラムを利用して行く場所を決める人が増えてきています。興味のあるものに♯のマークを付けて検索すると、それに関連した写真を見ることができるというシステムになっています。このハッシュタグを英語にすることで、外国人観光客の誘致にもつながると考えました。インスタグラムの利用者は、20代を中心とした若者です。この世代の旅行者が広島を訪れることで観光面での振興に加え、地域の活性化にもつながると考えました。

広島市が広報用にアカウントをつくる、または市民を巻き込んだイベントを企画するのがいいと思われます。例えば、インスタグラムを利用したフォトコンテストなどです。応募方法は簡単で、コンテスト限定のハッシュタグを付けて、それを投稿してもらうだけです。その投稿した人をフォローしている人にも広まるので、広告効果があると考えます。

実際に、これに似たイベントが岐阜県の下呂市で既に行われていて、総数6,576件もの投稿がありました。ここでは景品としてギフト券が配布されましたが、これを地元農家の野菜などに変えても地域のアピールにもつながるのではないかと思います。

このようにSNSを活用することの一番のメリットは、コストがかからないことだと思います。誰でも簡単にできるこのような活性化プロジェクトが広まっていけばいいなと思います。

以上です。

司会

ありがとうございました。

小畑さんからは、SNSを活用した広島の魅力の情報発信について御提案を頂きました。

これにつきまして、市長からコメントをお願いします。

市長

頂いた御提案そのものは、町のいろんないいところを知ってもらうために、例えば、役所という公的機関が従来の情報伝達手段を使って、あるいは大量に情報を発するマスメディアといいますか、一つが多くの方にかちっと企画して情報提供するというやり方以外に、自分たちの持っているいわば噂といいますか、ネットワークの中でのおしゃべりに動画とか絵図面を付けて、ごくフラットな関係で、情報を伝える人、受け手という関係じゃなくて、お互いに情報をやりとりするネットワークを組んだ中でのどなたかの情報提供を、「これは自分も知っといた方がいいな」とか、動機付けをするような形での情報提供をすることが、ある意味で権威付けを経ないで、自分自身がチョイスして、自分の考え方で情報を得たんだという満足感を満たすことから、結構有効活用されるという入手手段だと思うんです。そこにいろんな情報をいいと思った方が同時多発的に出れば、これは間違いなく誰かさんが言ってて、本当はよくないけど、うそというんじゃなくて、みんな言うんだからきっといいでしょうと。いわゆる共感といいますか、多くの方の納得が得られる手段として活用されてるし、電子機器が発達して、多くの方が比較的安価で利用できるようになったんだから、それを利用しようということだと受け止めてますので、おっしゃるとおり、これは利用しない手はないと思ってます。

ただ、最初の英語について教育でというところは、これは私も否定するもんではないんですが、言語教育というものについては、マスターするということと、自分たちのせっかくの文化伝統を守りながらマスターするということの調和をうまくしていかないと、次の世代がどうなるかということを考えないといけません。いいとか悪いとかという意味じゃないです。どういうふうにするかということを、今の世代でしっかり考えていかないといかんと思うんですね。

自分自身もそんなに詳しく知ってるわけじゃないけども、例えば、江戸期までの日本の文化体系は、日本海を挟んで大陸、中国文化をとても大事にしてて、字だって漢字というぐらいで、中国の文字を使って日本読みして漢文が読めるとか、漢詩の素養があるということが、いわば日本のエリートの素養だし、統治者の基礎知識だったんですよね。

ところが、そことのお付き合いを遮断して、アジア圏から西洋諸国との経済交流をしっかりしようという明治期に入って、そちらの文化より欧米の文化を取り入れることをやり始めて、ヨーロッパの言語とかをやり始めた。だけど、過剰に入れたりして、自分たちの文化を乗っ取られちゃいかんということで、他の国の言語を使っちゃいかんということまでやって、第2次世界大戦を戦ったぐらいなんですね。だけど、それを乗り越えてしまうと、いろんな経済活動をするときに、言語的な構成要素として比較的分かりやすい、ルールが複雑じゃない英語というのが結構便利だと。男性名詞、女性名詞一々やるよりかは煩わしくないですよね。修飾語をいっぱい並べた後で、目的語と動詞とを主体として並べていけば、いつの間にか言語になるという言語形態は結構分かりやすいから、いろんな言葉を入れてつくれるということで英語が結構はやっている。だけど、英語圏内で違う言語をということで、海を挟んでフランス語系の方も頑張っているし、以前の植民地政策でポルトガル、スペイン語の体系がある南米の地域もあります。こんな中での問題でありますから、今、言われた英語というのは、まさに我々日本が明治期以降、欧米の中でも特に英語圏、アングロサクソン系との国のお付き合い、経済発展する中で、その利便性を感じてきてるということの証だと思ってます。

そんな中で起こっていることが一つと、フィンランドという国を考えたときに、日本の場合は1億何千万の人口ですけど、フィンランドは、何百万人で1国を構成していて、それだけでは経済が成り立たないから、EUとヨーロッパ全体の中での規模を誇って、その中で経済活動してますからね。独自の言語だけでは生きていけないから、どこか経済圏を制覇しているところとのお付き合いするために、やはり英語を使った方が生活も良くなるということがあったんだと思います。それと同じような状況が果たして日本に来るかどうか、大分来てますから徐々にやらないかんと思いますけど、私自身はそういう英語という言語と日本語の今までの千何百年あったか分からない、そういうものも大事にしながら、あえて言えば、それを比較できるような、両方うまく使えるようなお勉強をこれからできるような世界になってほしいなという思いがある。これは全くのプライベートな意見ですけどね。調和させるということを大事にしながら、新しい時代に踏み込んでいくことができたらいいなと思っています。

司会

ありがとうございました。

続きまして、広島市立大学のさん、よろしくお願いします。

市立大学 盧さん

よろしくお願いします。

僕の考えているのは、外国人観光客の滞在時間の延長対策ですけど、コンパクトに言うと、広島市でのそういう楽しめることを増やすということです。例えば、僕は友達と市内の本通りの飲食店で食べていると、こんなおいしいカキ、すごいおいしいですよね。そのカキはどこから来たのかなって、そのときは店長さんから、「これはですね、瀬戸内海から来たんですよ」って言われて、ちょっと瀬戸内海に行ってみたいなという感じにどんどん魅力が高まり、広島おもしろいなと考えるようになります。それは、もしかすると、これは例えば、広島市の全体的な飲食店とか、そういう似てるような資源、せっかく広島は豊かな自然と文化に囲まれているので、そういう資源を生かさないとちょっともったいないなと考えています。

なぜかと言うと、日本に旅行に来る外国人観光客は、日本を体験したいという思いがあるんですよね。日本文化を体験するためにお金を払ってわざわざ来たので、そういう体験的な資源をもうちょっとおもてなしとして提供してもらえるといいんじゃないかと考えています。

体験に興味を持つ外国人観光客は結構多いですよ。例えば、宮島は観光地だけじゃなくて、もっと宮島を旅行した後で、その周辺のところで、これはそういう「手づくりのものもあるんですよ。やってみたらどうですか」とか、「おいしいカキを自分の手で焼いてみたらどうですか」とか、そういう体験がすごく外国人観光客にとってもすごい魅力だと思っています。そのような自分自身で日本文化を体験していくことを、映像でネットに流せば効果は抜群だと思います。

また、僕は最近よく考えているんですけど、日本語で「いただきます」という言葉があるんですよね。それは、食事前に言う「いただきます」は、神様に感謝、神様からの恩恵を感謝するということです。そういうことは一種の日本文化とも言えると思います。

以上です。

司会

ありがとうございました。

盧さんからは、これも観光客の方の体験を豊富にするためのおもてなしに関する御提案を頂きました。

これにつきまして、市長からコメントをお願いします。

市長

これは、最初のおもてなしの話に戻るか分かりませんけども、私自身はもちろん市民が平和で安心して暮らせるまちというのをまずベースに据えながら、そこに訪れる方が「このまちはいいまちですね」と言ってもらえるようにする。それが最初申し上げた誇れる「まち」の基本なんですけども、その際に、わざわざ長旅をして来てもらうんだから、通過型のちょっと見て、じゃあさよならというんじゃなくて、その地域で、できれば文化伝統と言いますか、こんなことがこの地域での特徴なんだということを自ら経験できる仕掛けまでやる方が印象深いし、それを多くの方が旅行という行為の中で、多分望んでいるだろうというお話だと受け止めました。

体験型の経験をできるような仕掛けはとても重要だと思ってまして、少なくとも国内向けでは、いろんなところから修学旅行の生徒さんたちを今は民泊という、ホテル専業じゃなくて農家とか普通の家で、子供とか孫をもてなすような雰囲気で家庭に泊めてあげて、農家だったら畑作業とか、海に近ければ魚を捕ったり海で泳いだりということを経験してもらうこともやっています。それを、修学旅行の生徒さんだけじゃなくて、ごく一般的な旅行者にも提供できるようにするというのが、言われた話の延長線上にあるんじゃないかなと思っています。

ただ、それをやるためには、受け手の方がしっかりもてなす体制といいますか、家もお掃除しなきゃいかん、料理も提供してあげるということもあります。それは、いろんな決め事に抵触しないかどうかを確認してあげる。そして、お客さんを連れていくときの交通手段をどうするとか、いろんなことが出てきますから、行政としてきちんとシステム化してあげて、町全体でもてなしをするということをやりたいなと思っています。

あと、宣伝になって恐縮なんだけど、別の意味で体験型をやり始めたのは、広島駅の北側に、民間の機関が自分でお好み焼きを焼いて食べるような施設をつくって、そこにこの前行きまして、体験型のお好み焼きをやりました。これも多分今の延長で、広島の食材を生かしたエンジョイ方法ということでやり始めました。こんなふうに行政が仕掛けをつくると同時に、自ら力がある民間の方が、市内の特色とか自分たちがこれは日本的でいいなということをやってもらうというのを、いろんな形でやればいいんですね。

例えば、神楽なんかもやってますけどね。神楽の場で衣装を着て、自分たちが即興で踊れるんだったら、そういうことも楽しめるようなイベントをやれば、神楽に対するファンも増えるとかいろんな点で、今、言われた体験型、体験してみたいと思われる方々へのいろんな提供方法をもっと充実させていくことも、まちづくりの一つの重要な要素だなと思っています。

司会

ありがとうございました。

続いて、二つ目のサブテーマの「高齢者福祉」に関する意見提案に移らせていただきます。

それでは、最初に2回目の登板になりますけども、女学院高等学校の小畑さんからよろしくお願いします。

女学院高校 小畑さん

私は高齢者福祉について、高齢者サポートアプリを利用する案を紹介します。

近年インターネットやスマートフォンが普及し、これから高齢者になる世代は、今の高齢者の世代よりスマートフォンを使う人が多くなると予想されます。市内中心部以外の郊外では、若者が都会に出ていくことによって若い労働力が不足しています。このようにIT企業が発展する一方で、体力面のサポートが必要な状況はまだまだ続くのではないかなと考えました。

ここでアプリの紹介ですけど、このアプリのコンセプトは地域の輪で助け合うというもので、手助けが必要な人がコメントを書き込んで、それがマップ上に表示されるというもので、どこで誰が何に困っているかというのが分かるようにします。それを見た利用者のうち、助けが可能な人がその場に行き、労働力を提供するというコンセプトです。

ボランティアにするのもいいと思うんですけど、ボランティアにした場合、逆にただで頼むのは申し訳なく思ったり、報酬がないことに不満を感じたりする人も出てくるかもしれないので、少額の報酬を依頼者からもらえるような形にするといいと思います。

スマホを持っていない人に対しては、パソコンでもオンラインで使えるように整備されるといいと思います。これを活用することによって、介護職の負担の軽減だったり、生活の中での事故が減ることによって、高齢者の生活の質の改善が見込めると思います。

以上です。

司会

ありがとうございました。

小畑さんからは、いわゆるICTを活用して高齢者の方を支援したらどうかということで御提案を頂きました。

私もICTに疎くて、高齢者の方が使うには、まだしばらくは時間がかかるのかなと思いながら、でも今後、ICTも広まっていくと思いますので、有意義な提案だったと思います。

これにつきまして、市長からコメントをお願いします。

市長

高齢化社会をにらんで、自分自身の身の回りのことすら難しくなる方々が増える。それを手助けする善意の輪と言いますか、親切運動をやりましょうというぐらいの意義付けをした上で、親切運動をやっていく上で、親切にしてもらいたい方を的確に把握して、その情報共有をするためにスマホを使うという御提案、これはあくまで手段でありまして、そうすることが、仕掛けをうまくする上で有効だということは、多分どなたが聞いてもそうだなということだと思います。

私自身はそれを否定するものでもないし、できれば利用していく、いろんな形で最新の機器、あるいはスマホ、こうした情報ツールを使うことはとても重要だと思うんですけど、ただ、福祉についての判断というのは、もう少ししっかり考えといてもらいたいなと思います。どっちかと言うと、福祉について長い職業人生を送っているので、単なる親切運動で福祉は成り立たないという問題があることを、逆に言っておきたいと思います。

なぜかというと、いろんな多様な方がいて、ちょっと助けてほしい方から、えっと助けてくれと、要するにしっかり助けてくれと言うのと、要求の度合いが人様々なんですね。ちょっと助けてくれと言う人だけ助けますというのを親切運動とすると、どこまでがちょっとで、どこからがたくさんかということを誰が決められるのか。ちょっと頼まれたらやると決意した人が、例えば、点数で5点から90点ぐらいの頼む度合いをある程度数値化できるとしたときに、自分は5点ぐらいの助けが欲しいなと言う人がいるから、私は5点なら、10点ぐらい出せる能力があるから、自分の仕事とか生活を考えながらも、5点なら助けられるかなということで待ち構えてると。ある日、50,60,70ぐらいの手助けは欲しいと思う人が来たときに、「お助けします」と言って、「ここからここまではやりますけど、ここからはやりません」なんて言う人はなかなかいない。内心の意図でね。だけど、そういう人が来たときにはできないと断らなきゃいけない。「忙しいです」と断るとなるとストレスがどっと来たりする。申し出と受け手がいつも一対一の対応関係にならないということが、こういう場合にあるんですね。

だから、行政が、ここではこれくらいのサービスはできませんと明示して、こういうところですから申し込みしてくださいとかというややこしい手続をして、申し込む方も納得しながら、ここはここまでしか助けてくれないけど頼もうとかと。外から見るとやや不親切な整理ですけども、これは人が人を助け、助けられるという環境を持続可能にしていくときに、外在化して外から見えるようにしないと、内心の意図だけで処理しようとすると、最後の整理のときに精神不満にみんななってしまって長続きしない。そういうことをやった人は懲りちゃって、もう二度と私は親切しないとか、もう私は頼むの嫌だからということが起こるんです。

こうした人間の属性と言いますか、多分理屈では越えられない部分があって、それも考慮しながら、高齢化していく中での助け合いをどうするかということをやらないと。そのときには少なくとも助け合うことを一個人の問題じゃなくて地域全体の問題で、いろんな立場の方が少なくともここまではみんなで助けようじゃないかという合意をつくって、それがいわば地域の風土とか環境になるということまでやった上で、こういった機器を使って情報展開をするということをやらないと、部分部分でやっていくと、個々人の負担が大きくて、そういうことを親切でやろうとした人が傷ついて、かえって反社会的な発想になってしまうことも見たりしてますので、これは気を付けないかんなと思っています。

司会

ありがとうございました。

続きまして、基町高等学校の井手さん、よろしくお願いします。

基町高校 井手さん

よろしくお願いします。

私は、人口減少に加え少子高齢化が進んでいる現代では、介護職に就いている人々が人手不足に悩んでいると考えました。この問題は、高齢者の数は増加していく一方で、少子化、人口減少によって生産年齢人口が減少すると予測されている未来では、より深刻になると思います。この問題を解決するために、人手不足を補うことと被介護者を減らすことが挙げられます。

まず、人手不足を補うために、私は介護ロボットを介護の現場で導入したらいいと思いました。私の母は以前、祖母の介護をしていました。その様子を間近で見て、介護は重労働であり、身体的にも精神的にもとても大変であることを実感しました。そして、介護施設で働いている方々も同じように思っており、介護ロボットを導入することで、介護者側の身体的、精神的負担を軽減でき、今より働きやすい場を提供できるのではないかと思いました。働きやすい場になることで、介護職に就こうと考える人もこれから増えてくるのではないかと思います。しかし、介護ロボットは値段が高いので、導入するには、市とかからの補助金が必要ではないかと思います。そして、いずれは施設など大きなところだけではなく、家庭でも取り入れられるようになったらいいと思いました。

次に、被介護者を減らすためには健康寿命を伸ばすことが不可欠です。私が考えた取組は、既に広島市の「高齢者いきいき活動ポイント事業」によって実現されているそうですが、その特典が奨励金だったんですけど、例えば、カープのチケットや日帰り旅行、御食事券など、普段自分では買わないけど実際もらうとうれしいものを追加し、その中から選べる方式にしたら、多くの高齢者が目標を持って、より積極的に参加してくれると思います。

また、話が少しそれますが、介護施設に保育園や学童保育施設を合わせた幼老複合施設があれば世代を超えたコミュニケーションがとれ、高齢者の方が子供と触れ合うことで生きがいを見つけ、高齢者の心の健康にもつながると思います。逆に子供は高齢者をいたわる気持ちが芽生え、複合施設は双方にとっていい刺激になり、これからの社会に必要な施設ではないかと考えました。

司会

ありがとうございました。

井手さんからは、介護現場での人手不足を補うための御提案と介護が必要な人を減らすための御提案、併せて世代間の交流を複合的に提案していただいて、なかなか高度な提案だったと思います。

この提案につきまして、市長からコメントをお願いします。

市長

今の提案、それぞれ介護の現場の問題を正確に捉えておられてて、問題意識としては的を射ていると思いました。

最初のロボットの導入は、間違いなく今、福祉の中で開発に向けていろんな取組をされてますね。そして、最後値段の問題を言われましたけども、これは介護の現場におけるいろんな人助けが肉体的、体力的に結構きつい仕事はたくさんあると。当然、地球の重力の下で自分自身の体を支え切れなくなって、それを誰かに頼むんだから、その重いウエートを誰かが支えなきゃいかん。同じ人間、自分自身で支えてるんだから、さらに他の人を支える仕事をするのは大変だから、それを軽減するための補助装置としてロボットなど、力を発揮できるものがあるのは合理的、いいに決まってるんですね。

問題は、今までそういったものを大量に生産して売るという経済体制になっていませんから、まだまだ初期投資なんかも含めて、値段が高いということはありましょうけども、こういったものを有効活用するということは、市場がもう少し出てくれば、値段の点はもう少し調整できると思うんですね。この流れは間違いないと思う。自動車だって、初めは、給料の何年分もかかったって買えないと思ってたのが、軽自動車は何十万で買えるとかになってますから。それと似たようなことがこういった機械で起こるということですね。これは当面の問題として、支援を手厚くしながら普及して、徐々に安価な形でと言うふうになると思っています。

自らの意欲刺激でこういった対象者をというのは、これも全く同感でありまして、今はポイント制度で現金を渡すことで、商品をとかチョイスをするまでもなく購入できるんだから、現金は非常に融通が効いていまして、多分一番便利がいいと私は思ってるんですね。

その中で、特定の品物がもらえますというやり方もあることは望ましいと思いますけども、現金にするまでにいろいろなものを揃えていく中で、これが欲しい、あれが欲しいと言うのは有効だけど、一旦現金をあげますと言って、それで買える範囲の物でありながら、これもありますというのは、多分実際の運用ではなかなかピンと来ない。恩恵を増やしていくプロセスでしか有効に機能しないと思うんです。御褒美をどれくらい増やすことが皆さんの適度な刺激になるかということと、そういったことを仮に行政が全額負担すると、どこまでを限界値として考えるかという調整をすることが先行しなきゃいかんなという問題意識になりましてね。否定するわけじゃないけども、そういう調和をしながらやっていくという課題と思いました。

それから、複合施設も全く同じで、子どもたちと高齢者の人たちが、例えば、血はつながっていないけれども、世代間にこんなに差がある人たちが一緒に共同生活を営める時間帯があることは双方刺激になりますね。今までの古い家族形態ですと、おじいちゃん、おばあちゃんと孫という形で、ノウハウ伝授とか生活スタイルとかを身近にやるということで、小さな家族単位ではできてました。だけど、それが分解されていったという過程は、より合理的な家族形態を営むときに、複数世代があると助け合い関係があるけれども、家族としての助け合い経済を外部経済化する方が効率的だということで、親子三代の家族が崩れて核家族化して、今のような文明がどんどんできていくんですね。

そして、外のところで集合体としてまとめるというのは、小さな集合体でいろんな不都合があったから、それを解消できないから解体したのに、理念としてはいいと思っても、やろうとするといろんな不都合が実はあるんですね。たまたま1年に1回、お正月に会うとかだったらいいですけども、年中同じ施設でやろうとすると、乳幼児であれば、授乳からおしめを締めてやるといった処理を、誰がどういうふうにするかがありますよね。それに必要な施設が要る。健常なお年寄りはそれはないけども、認知症とか困ったりすると、また別の形の処理が要る。それを赤子と同じように多分できないでしょうね。1回大人って人格を形成してますから、赤子とは違った形でのお世話をしなきゃいかん。

そういった方々が、例えば、同時にトイレ云々となったときに誰がどう調整するか。それに必要なスタッフを揃えるとなると、面倒見る人の方が多くなるかも分からない。そうすると、もし自分が赤ちゃんの面倒とお年寄りの面倒を見る人間になることを考えたときに、同じノウハウで同じやり方でと思うと、多重人格じゃないけど、いろんなことをやらなきゃできない。ロボットを使うとしてもですよ。

そうすると今みたいに機能分けして、保育園だったら保育士という資格を持って、一生懸命勉強した方がそういう施設に入る。幼稚園保育園に行って、給料をいただきながら生活する。それと類似で介護施設というのをつくって、介護をやるために福祉のお勉強をして、専門の知識をつけてやると。分化することで専門性を高め、十分なサービスをしてたのに、もう一遍これを提供する人を統合しなきゃいけない。この人は何でもかんでも勉強しなきゃならん。それってなかなか大変なんです。

だから、理想ではありますが、小さな家族形態、面倒見る人が多くて対象者が1人、2人ならいいけど、多くの方々がいる中で、それを持続的なシステムにしようとすると、理想に近づけるための手法というのは、なかなかいい考えが無い。理解力のあるところが、施設をある程度近くにしながら、たまにお正月とか季節の変わり目ごとに行ったりして仲良くするという営みをしながら、年から年中、同じ建物の中でというのは、相当いろんな知恵を働かせて、今言ったような問題をクリアしないとできない課題じゃないかなという思いを持っています。でも、そういうことをやらなきゃいかんという問題意識は、とても重要です。若い方と人生経験の豊かな方々と何らかの形でつなぐことをもう一遍やらないと、分断したままの人間生活になりますから。そういう問題意識があります。

司会

ありがとうございました。

続いて、三つ目のサブテーマの「地域の活性化」に関する御意見、提案につきまして、最初に広島市立大学の外間さんから御提案お願いします。

市立大学 外間さん

広島市立大学国際学部2年の外間泰洋です。よろしくお願いします。

これから地域の活性化というテーマで発表をさせていただくのですが、和歌山県出身である私は、大学入学以降、地域と関わる機会がほとんどありませんでした。私だけに限らず、多くの大学生は地域社会との関わりがほとんど無いと思います。

そんな私が広島市民になって初めて地域と接することになったのは、今年7月に発生した集中豪雨災害の際に参加したボランティア活動でした。被災地で泥をかき出す作業をしたり、被災された市立大学の先輩のお話をお聞きしたりする中で地域の空気を感じ、また地域社会における若者という存在の重要性を実感しました。それは災害ボランティアなどで発揮される体力面に限ったことではありません。例えば、文化的な面でも、伝統を受け継ぎながらも新たなイノベーションを起こすといった若者が担うべき役割が地域社会にはあると思います。これから広島市が国際平和文化都市として更に躍進するためには、私たちのような若者の力が必要不可欠であることは、私が改めて申し上げるまでもないと思います。

しかし、私の周りの先輩や友人たちからは、将来は広島を離れて東京や大阪といった大都市、あるいは地元で就職を考えているという声を多く聞きます。全国的に少子高齢化、過疎化が深刻化し、それは広島市においても例外ではないと思いますが、そのような状況で、地域社会において今後若者が担っていくべき役割を考えると、広島市内の大学に通う学生がいるわけですから、その学生が将来広島市で就職、定住してもらうことができれば、地域の活性化につながるのではないかと考えます。

具体的な方策としては、例えば、私のような広島市の事情について詳しくない学生に対して、なるべく早い段階で市内の企業について知ることができる機会を設けるのはいかがでしょうか。市外出身者がいざ就職活動を始めようと思った際、広島市内の企業について情報が少ないがために、市内の企業が選択肢にないというのはもったいないことだと思います。また、他には、現在も実施されている有給インターンシップを拡大していただけると、広島市での就職がより身近で、より具体的なものになり、市内企業を選択肢として考えるきっかけになるのではないかと思います。

さて、最後にはなりましたが、私自身が地域活性化に関して取り組んでいることについて紹介させていただきます。私は現在、大学の講義ではありませんが、有志で週に一度、瀬戸内海の離島や中山間地の過疎化をテーマにディスカッションなどを行う離島研究会のメンバーとして活動しています。広島市のこと、地域のことをまだまだ知らない私ですが、これからも地域について学び、そして、その学びを地域に還元したいと考えています。

私からは以上です。御清聴ありがとうございました。

司会

ありがとうございました。

外間さんからは、主に若い世代の方の広島市内への就職を促進するといった取組について御提案を頂きました。

これにつきまして、市長からコメントをお願いします。

市長

学生の皆さんの地方公共団体、地域とのお付き合いを例示されながら、多分自分たちの生き様をどう考えるか、より早目に企業について知るチャンスを増やしてもらうと、いろんなことが考えられるんじゃないかということを思いながら話されたんじゃないかなと受け止めました。

私自身の整理で申し上げると、大きく言って、生産活動を持続的にやっていく企業群をあえて言うと、二つパターンを想定しています。一つは、一定の地域に住む住民と同じようなもので、その地域の中で企業活動するけれども、特定のサービスとか物を提供するために生産活動やサービスをやるけれども、働く方々の生活の一切合財を面倒見るんじゃないんですね。そこで働く方々は、地域の中で生活しながら、労働力を提供してもらって、それに必要な対価を払ってあげて、地域でいろんな生活をしてくださいよということを実践してる企業群というのがある。これはどちらかと言うと、主に中小企業というふうな分類をしている。つまり、そこで働く方の生活のすべての面倒を見るわけじゃなくて、自分が主体とする目標に向けての仕事はできるけれども、余力は自分でやってもらいたい。

一方、例えば「企業城下町」と言われるような言葉にあるように、一つの企業が一つの都市の機能までも飲み込んでいるような、あるいは、それと類似の活動ができるような企業がなくはないんです。その企業に入れば、ちょっとした買い物なんか、会社の系列のどこかでお世話してもらうし、病院もあるようなところがあります。だけど、これは日本国中、世界中見てもそんなにたくさんあるわけじゃありません。限られた企業群ですよね。日本に地方自治体は1,741市町ありますが、そんな企業があるところはちょっとです。東京の23区だって全部あるわけじゃなくて、特定のところしかないわけで、そこで働ける人数は限られています。だけど、それが優良企業でみんなそこに行くお勉強するのかと。そういうところに行くなというわけじゃないんですよ。行きたい方もいていいですけど。

そうするとあとは確率の問題で、そういったところを目指すのか、もっと普通の自治体にある企業群の中で働く人間としてやっていくのかということをまずよく考えると。そうした中であれば、その企業の特性を見て、ここまで企業がお世話してくれる。自分はその企業で自分の才能のどこを発揮して、それを給料にして、自分はこういう生き様であるということを考えることは、まさに学生の間にやっておかないと。

そういう意味で私は、インターンシップはバイトなどをしながら、長い期間かけて給料もらってでも勉強して、仕事との調和をとれるような、有料で長期のインターンシップがあっていいなと思って、今やってもらうようにしてるんです。それこそ、この学生という時代にこそできる選択肢を増やすための有効な時間だと思っています。

企業や福利厚生についての戦後の大きな流れを言うと、日本は1回戦前まで、いわゆる財閥企業とかあって、大きな企業体がそこに入ればいろんな意味で面倒を見る。典型は炭鉱のような経営で、電気代、水道代はただ、とにかく炭鉱に行って石炭掘っとけば、家族もみんな面倒見てもらえる、そういう産業体があったけれどもなくなっていった。

そうした中で、大手の企業はいい人を集めるために、高度成長していくために、福利厚生という名において、給料以外にいろんなことを便利にしてあげることを追求して高度成長期に行ったんです。ところが、諸外国の給与形態を見ると、従業員についてそんな面倒を見ることはしない。給料を上げて、その給料でいろんな民間のサービスを買うということで、非常に軽量化して効率的な生産をしてるということを発見した途端に福利厚生をやめました。

福利厚生の典型は、会社に入って、課の人たちが一緒になって旅行なんかする。「みんなで楽しくやりましょう。家族のお付き合いをしましょう。」一時ありましたよ。だけど、それはほとんどなくなりました。それやるんだったら現金を与えて、自分がチョイスした方がいいとか宣伝してね。それはそれで一定のぬくもりがあっていい形態だったんですけど、それをぶち壊して外部化した上で、今度はコストが大変だからって給料を切り下げると。そうしないと、今度は企業間競争に負けるというグローバル化が起こって、今みたいな状況なんです。

そんな中で、そういった企業群を抱える地域がどうするか。もっと共同体として地域のお世話をするというのを企業群と行政体がやってあげて、その地域の企業というのをもう少し、以前ほどではないとしても、競合関係ばっかりつくるんじゃなくて、共助の精神を使うようなエリア設定をして、少し違った地域ができれば、その間、そういったチョイスを、選択肢を増やしてあげてと考えたときに、こっちも嫌だけど、こっちもう少し間はないかなということまで深く考える方々がいいかなと思ってもらえるような企業群が、この広島あるいは広域都市圏にできないかなという思いを持ちながら、今市政をやっている状況です。

司会

ありがとうございました。

続きまして、広島経済大学の谷川さん、よろしくお願いします。

経済大学 谷川さん

よろしくお願いいたします。

私が発表したいのは、若者の地域コミュニティへの参加促進と題しています。具体的に申しますと、私は今、広島経済大学の方で毎年行われている祇園・興動祭というお祭りがありまして、大学祭と似たような形ですけども、普段私が所属している興動館プログラムというものがあるんですけども、学生主体でプロジェクトをつくりまして、国際貢献のプロジェクトですとか、地域の方々を対象にした活動を行っています。

先程のお話にもあったように、災害が起きたときの人手不足ですとか、また、私が今、住んでいる祇園、山本周辺では、昔からある団地などが山に広がっているんですけども、やはり高齢化していまして、山の上の方に住んでいるがために生活が困難になっているですとか、また、災害が起きたときの情報不足などによって逃げ遅れているということは、私の地区だけではなくて広島全体でこの間あったように思います。そういったときに誰が力になれるかというと、やはり私たちみたいな若者が主役となって動くことが必要とされていると思っています。

そこで私は、大学と地域の連携をよりこれからは深めることが必要なのではないかと考えています。大学がある場所は、比較的住んでいる方が多い場所、経済大学ですと祇園ですとか、そういった大学が置かれている場所というのは、余り都市部ではなく郊外に置かれていることが多いと思いますので、より地域の声を直接的に聞ける機会はたくさん隠されていると思います。私たちはそういったことが自分たちにはできるという考えから、地域の小学校のガードボランティアをしたりですとか、また、年に一度のお祭りの準備段階で、地域の町内会や商工会、社会福祉協議会の方々と連携しまして、その私たちのお祭りの成功だけではなく、私たちのお祭りを行うまでのプロセスの中で、地域の課題をより私たちで浮き彫りにして、なおかつそれを私たちで対処しまして、また僕らの経済大学から、他の学生へと広げるという活動を毎年行っております。

なので私は今、地域の活性化をどうすべきかという問題、人手不足という問題があると思います。その中でボランティアという対処が多くとられていると思うんですけども、決してボランティアは強制ではないということもあり、どうしても一歩を踏み出すことも重いですし、そういった信念というか、可能性をより深く理解できてない学生は、ボランティアという文字に見向きもしないと思うんですけど、必要とされているのは確かなので、そういったときに先陣を切って、より社会に出ていく準備段階である私たち学生が、地域ともう少し連携をとることが地域活性化につながる1つの策なのではないかと考えております。

以上です。

司会

ありがとうございました。

谷川さんからは、地域活動の担い手を確保するために大学と地域が連携を推進していったらいいんじゃないかという趣旨で御意見を頂きました。

これにつきまして、市長からコメントをお願いします。

市長

今、言われたお話は、私の理解で言うと、自分たちが生活行動しているエリアで起こっている問題を、もちろん学業はやりながらも、それ以外のところで起こっている問題を自分の問題として考えて、そして、その地域におられる方々に貢献すると言いますか、お手伝いするというぐらいの意識を持って何か参加すると。ある意味で社会参加、お手伝いということをやるのがいいんじゃないかと。そういうことを見向きもしない生活よりか、そういったことに気付き、学生時代にそういう行動をすることを奨励することは、ひいては地域のコミュニティづくりに役立つんじゃないかと、そんな展開になるんじゃないかという思いで話を聞きました。

ボランティアというのは言葉どおり、日本語で言うと自発的にやることなんで、人からやれと言われてやるのはボランティアじゃないんですよね。自らの発意によって何らかの行動をするのがボランティアです。行動と言う、動をおこすというのを自ら、祇園・興動祭というのは興すことですからね。これを今の大学環境の中で谷川さんがやっておられることは、とてもすばらしいことだと思います。

ただ問題は、授業料を払って勉強するという環境の中での行為対応と、社会に出て労働の対価を得ながら、一定の目的に向けて何らかの行動をしなきゃいけないという生活対応の中で、ボランティアと言うか、自ら進んで地域のための活動ができるかどうか。次に必ず試練が来るんですね。それを避けながら社会に出る方もおられるし、できる限りのことをやって、でも社会に出て、またいろんな意味で軋轢を感じ、無理だなと思い、そして、定年というのを仮に置くと、定年まで一生懸命やるけども、一旦企業社会を出る頃になって昔のことを思い出して、地域に貢献しようという方もたくさんいるというのが、多分今の人生模様だと思うんですよね。

私自身は、そういう個々人の思いつきを大事にするということは、諸君に申し上げたように、もっと徹底していくためには、地域の企業体も、ここで企業活動する以上は、この地域の方を雇っているんだけども、その従業員になった人が、例えば、自分の住んでる地域のお祭りがあったら、そのお祭りを助けなきゃいかん。町内会の役員をやれば、少し定期的に休まないといかんとなったら、そのポジションにあるとき、あるいはそういう期間を少し考慮してあげた勤務時間を認めてあげるとか、企業の社会的責任というぐらいの範ちゅうで、そういった社会参加を認めるような企業群がもっと増えないかなと思うんですね。利益第一主義ではなくて、CSRと言う企業の社会的責任の中で、地域貢献型の従業員がいれば、その従業員に「年休の枠内で休んでいいよ」という配慮をしてもらうとか。それを企業群がだめとすると、行政がこの地域ではそういったことを慣習にするとか、企業が対応してくれることで、もし何かあればいろんな支援をしますというとこまで行って初めて今の思いが実現すると思います。

だけど今、そこまで行ってませんから、ボランティアでやる学生の人はその思いを大事にして、その気持ちを持ち続けてもらいたい。またチャンスがあれば、社会人になったとしてもやるよという気概を持つと同時に、そういった心を迎え入れる企業群が、もっとウエルカムで、ワーク・ライフ・バランスがとれるような企業を増やしていくことが、多分地域の行政のこれからの課題ではないかなという受け止めでいます。

司会

ありがとうございました。

最後に、広島修道大学の萬田さんからよろしくお願いします。

修道大学 萬田さん

広島修道大学3年生の萬田智文と申します。よろしくお願いします。

今回、広島市の車座談義に参加させていただくに当たって、国際平和文化都市の中でも、特に文化都市、町のにぎわいづくりについて、メインでお話させていただきたいと考えています。

最初に広島市で今回、この座談会に当たっていろいろ勉強をする機会を与えていただいたんですけど、まず広島市が今、地勢を生かしたエリア設定をしているとお話を伺っています。その中で、デルタ市街地、デルタ周辺部、そして中間山地・島しょ部と分かれていて、その地域ごとで課題とか地域の特色、魅力が大きく異なってくると考えています。なので、僕は今回、そのエリアごとでエリアの魅力を高めることをメインのテーマとしてお話をさせていただきたいと考えています。

今、自分は修道大学でイノベーションプロジェクトという授業で、広島市西区己斐地域で活動させていただいています。己斐地域の現状として、アストラムラインの延伸が決まっていて、それによる区画整備、ハード面での整備が進んでいます。なので、自分はソフト面の整備をすることによって、よりこの己斐という地域が魅力的な地域になるのではないかなと考えました。

そこで今回、自分が提案したいと思っているのが、アーバンデザインセンターです。説明が難しかったので図を持ってきたんですけど、まずアーバンデザインセンターというのは、基本理念としては、公、民、学が連携したまちづくりの拠点となっています。大学は新たな知の創造、活力、想像力、客観的視点を持って、その地域に1回入ってみて、自分たちで気づいた課題とか、どうやったらもっと地域がにぎわっていくかというのを、民間の方であったり、今回だったら自分たちは西区役所の方だったりに提案させていただいています。

民間が地域社会の担い手として実際にやっていって、西区の方もそこに協力していただくという形で今、やっています。僕がイノベーションプロジェクトを始めたのが2年生の後期からだったんですけども、実際にやってみて、自分たちの中でこういうことをやりたいぞというのはあるんですね。今回もこの座談会の人たちも、やっぱり学生の中でもこういうことがしたいとか意見はあるんですけど、実際実現にこぎ着けようと思ったら、自分たち学生の力だけだとどうしても無理があると思うんですよね。なので、そこを民間、公共の方々の力を借りながらやっていくと、より良いエリアづくりができるのではないかと考えています。

実際、今回このアーバンデザインセンターのサイクルを使って、実際にイベントをやりました。これがそのときの写真なんですけども、今回、大学生がまずアイデアを出して、こういうイベントをしたいということで、普段の活動の展示や発表などをさせていただいたんですけど、地域の方も多く来ていただいて、実際に地域の人と触れ合う機会ができたと考えています。なので、こういうイベントを実施するに当たって、まずイベントを実際にやることによって、地域の方とか区役所の方との関係をしっかりつくって、まずは活動の基盤をしっかりつくっていきたいと考えています。その上で最終的にアーバンデザインセンターという公、民、学が連携して、まちづくり、エリアの魅力の向上をできるようになっていったらいいんじゃないかなと考えています。

今、西区己斐地域でというお話をさせていただいたんですけど、最終的にそれが広島市の至るところにできたらいいなと。理想論なんですけど、これは。なぜかと言うと、いろんなところにできることによって、各エリアの魅力が向上していくというのはもちろんあると思うんですけど、各地のアーバンデザインセンターがもしできたとしたら、そこが連携することによっていろんなノウハウが共有できたり、イベントをやるにしてもいろいろ道具とかが要ると思うんですけど、そういうのも共有できたら、コスト面でもより楽にできますし、いろいろメリットがあると思うので、自分はまず己斐地域を先進事例としてアーバンデザインセンターをつくってみて、実際に運営してみるところをやってみて、それを最終的に市全体に生かせていったらいいのではないかなと考えています。

以上です。

司会

ありがとうございました。

萬田さんからは、御自身の活動内容を踏まえて、公、民、学が連携したエリアの魅力を高める取組について御提案を頂きました。

これにつきまして、市長からコメントをお願いします。

市長

結論から言うと、類似のものはこれから広島の町を活性化する、とりわけ都市再生緊急整備地域制度ということで、紙屋町、八丁堀をエリア設定して町の開発をやりました。ハードの組み替えをした上で、それを持続可能な町として維持していくためには、エリアマネジメントを同時に組み込まなきゃいかんと思ってるんですね。

このエリアマネジメントの考え方は、例えば、町をつくるときに、日本は個々人の所有権を大事にしますからね。「ここからここはAさんの土地、間に道を挟んでこっちがBさんの土地、さらにこっちはCさんの土地ですよ」と皆さん、自分の土地を持ってると。だけど、道がくねくねしてて、決して便利な道じゃない、町じゃないと。だから、ここにいるみんなが考えて、先程言われた公、民、学でもいいです。考えて、もっとみんなが使いやすい町にしませんかと。総論は賛成するけれども、具体的にどうするかとなると、その町にいるけど、遠くの人がああやってほしいと言って、だけど、自分のところは変えたくないとなると、まちづくりはできません。

皆さんがそう言うんだったら合意して、Aさんの土地が三角で使いにくかったら、それを四角にして、土地の広さを調整して、こっちの丸い土地も四角にして、道をこんなふうにしてと、そういうことまでやった上で、まずはハードを整える。そして、自分の家を建て直したり、市あるいは企業がビルをつくったとしても、もっとにぎやかな町にしたいとなると、自分たちの土地あるいは道路のところに人が来てもらって。ちょっとした買い物するんだったら、そこにお店屋さんが入ってもらわないとだめじゃないかとか、そこで休もうとすると、そこに椅子が要るじゃないかとかね。車と自転車の通りを整理しなきゃいかんとか、そんな夢がどんどん出てくるんです。それらを一体的に整理しないと、まちづくりはできません。お一人お一人が自分の家だけつくって、あとは知らん顔ってもう、とんでもない町になりますから。

だから、そういったことを議論するために所有者、権利関係のある人、それらをもう少し大局的な見地で夢を語る学生のような方、あるいは研究機関が入る。それを結び付けるために、行政機関がどういう方法とかお金を使って皆さんの調和をするかということをやらなきゃいかん、そういう局面に入ってます。それはまずハード面。

そのハードをやった後で、例えば、ここの道とか普通は人が通るんだから、今のルールだと道で物を売ったりすると通行の邪魔になるし、災害があったりするとみんな困るから、道では物を売っちゃいかんというのが一般的です。だけど、この地域はそんなこと言いませんと。いつもじゃないけど、土日とか限られた日にはみんなで合意して、そういった困り事があっても解決するようにするから、その道、公共の土地を使って店舗で物を売ったり、ゲームしたりすることをやってくれと。そのときにいろんな費用がかかるなら、参加する人から参加費をもらって、そのお金を使ってまた年々いろんなことをやるということまで考える。こういうことをエリアマネジメントと言ってます。

そういう企画をみんなでやれば、エリアがにぎやかなところになるんですね。それを今、まさにやり始めていますので、今の御提案は、そんな仕掛けのところ、アーバンデザインセンターというか、アーバン運用組織というか、そういうところに皆さんが参加してもらうと、一定の夢が実現することになるんじゃないかなと思っています。

あと、広島のまちづくりについて少し触れますと、私自身はデルタ市街地、周辺部、中山間地と分けてますが、面積が906平方キロメートルある中、山の方が多いんです。デルタが元々広島市のコアで、明治22年に市制がしかれたときに、まだ小さなデルタ部分で、その周辺はみんな郡ですよ。町とか村だったんです。

そして、この周辺を今の広い広島にしたのは、戦前でも昭和期でもちょっとずつ入れて、牛田とかはその頃に入ってるんですけど、どどっと広がったのは1970年代。昭和45年から50年にかけて、広島を100万都市にしようと当時の市長さんが言って、周辺の町を合併していった。46年には沼田と安佐、47年には可部と祇園を合併した。それから、48年には安古市、佐東、高陽、瀬野川、白木、49年には安芸、熊野跡村、50年には船越、矢野と、今ある広島のまちは、46年から50年にかけて合併してできたんです。

北の方はほとんど中山間地で、周辺部は今、言ったような感じ。広島でなかった町が広島となってますから、それぞれ地域特性は違うんですね。自分たちの地域は大事にしたいけど、全体のことまで面倒見れない。いろいろ困り事はあるんです。だから、そういう意味では地域特性、地域の歴史を見て、もちろん中央部も大事にしたいけど、周辺も合併したのは、広島と合併するといいことがあるとみんななってるわけだから、きちんと恩恵が感じられるような政策をやらないかんということで、地域特性をにらんでやれることをやっていく。元気になることをやろうと言っています。

その際に、今言った設定のところとエリアマネジメント、自分たちの地域は中山間地だけど、イベントをやるのに公民館とかいろんな施設があります。それは公的財産だけど自分たちで管理するから、そこで自分たちが収益を上げながらやるようにさせてくれないかとか言えば、そういう扱いを認めてあげて、みんなが元気にするようにすると。様々工夫の余地があるんです。そういったことを受けますよということを公的な機関と、学生である皆さんが新しい発想で、あるいはそういったことをやることで利益が出てくる企業体があれば、それが一緒になってその地域を活性化すれば、一定の人数が滞留しますからね。人が減るばっかりの地域じゃなくなると思っています。そんなこともやれるかなという思いです。

ちなみに、明治22年に広島市ができたときの人口は8万人だった。そして、原爆が落ちる前の昭和19年、デルタ地中心だったけど33万人、原爆が落ちた翌年に13万人ぐらいになって、それから頑張って45年以降合併したでしょう。その頃から50万人、85万人、そして、昭和60年になって100万人になった。だから、こういう地域特性をにらんで、みんなが頑張るようなまちづくりをしないと、広島の真ん中のことだけ考える、これは間違い。田舎のことだけも間違い。それぞれのところに処方箋を講じて、そこにいる方々が元気に今言われたアーバンデザイン、アーバンだけじゃなくて、アーバンルーラルデザインセンターをつくるということをやらないといかんなと思ってるということです。

司会

ありがとうございました。

本来ならここで意見交換の予定でしたが、進行が拙いばかりに時間が足りなくなりました。町内会の加入率が低下していることも含めて、地域活動への参加率が非常に低くなっているということで、参加された皆さんはどういうきっかけで、なぜそう思ったであるとか、参加されてない方については、どんなPRをさせていただけば、興味を持ってもらえるのかといったことについて御意見を伺いたいと思っておりました。本日市長の前で披露することはできませんでしたけども、御提案があれば、私共の方にまた頂ければと思います。

そろそろ終了の時刻が近付いてまいりましたので、最後に市長から全体を通してのコメントをよろしくお願いします。

市長

ありがとうございます。

皆さんに一生懸命伝えたかったことは、この地域で暮らすときに、お一人お一人のワーク・ライフ・バランス、ワーク・ライフ・バランスは私の定義ですと、この世に生を受けて死ぬまで、小さい頃はお勉強して、社会に出て仕事をして稼いで、衰えていくまでにいろんな人生経験をしますけれども、働くということともう一つ、自分が家族とかの営みをうまく調整して生きていこうと多分真剣に考える、真面目に生きている人は。それが、いろんな考え方を持っている方々に全部100点とは言わないけども、合格点がとれるような仕掛けがある町がいいなと思ってるんです。

どこかの町の特性になじませないと自分は生きていけない。大都会で、全然知らない人たちとのおつき合いは遮断しながら、自分の属する企業の中だけで一生懸命で、いい成績を上げてしっかり稼いで、そのお金の使いようとなると、都心にある機能を現金で購入して、人間的な温かみはないけれど、とにかくサービスは得られるという生活をやる。だけど、そういう活動体から抜けた途端に、天国から地獄へ落ちるようなもんですからね。そういう極端な生活。

あるいは、それと違って地域の中で、日頃の生活もある程度エンジョイしながら、企業における生活もそこそこやる。そして、自分自身の人生観っていうのも、ある意味でじっくり見定めながら生きるという、少し余裕がいる。例えば、そんな世界があったときに、どっちがよりいいと思うかということを今、真剣に考えていい時代に入ってると思う。

なぜかと言うと、高度成長期ではなくて成熟期の日本で、この地域に住む人たちが確実に減っていくとなると、その規模に応じた経済活動になるわけですから、その中で今から人生をどう生きようかとしっかり考えたときに、人間らしさとかという言葉にも象徴されるようなことを真剣に追求していい、そういう時代に入ってきてると思いますのでね。

更に広島は昭和45年以降、国際平和文化都市という大きな看板を掲げて、文化も共有できる、平和もちゃんと主張できる町だと言ってるんだから。そういう町にたまたまいるんですからね。それをうまく利用しない手はないというぐらいの気持ちを特に若い方々が持っていただくと、この地域は多分もっと違った様相を展開するんじゃないかなと。それをもっと自覚してもらいたいという思いで、今日はお話しました。よろしくお願いします。

司会

皆さま、本日は多くの御意見、御提案を頂き、ありがとうございました。

次世代を担う皆さんからの御意見、御提案につきまして、次期基本計画の策定や今後の市政の施策推進に、ぜひ生かしていきたいと思います。

それでは、これを持ちまして「市政車座談義」を終了させていただきます。

ありがとうございました。

関連情報

「市政車座談義」とは

このページに関するお問い合わせ先

企画総務局 企画調整部 政策企画課 企画調整係
電話:082-504-2014/Fax:082-504-2029
メールアドレス:seisakukikaku@city.hiroshima.lg.jp

<外部リンク>