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ページ番号:0000008425更新日:2019年10月21日更新印刷ページ表示

2017年10月30日「市政車座談義」の開催結果

概要

 「地域におけるスポーツ・レクリエーション活動の振興」をテーマに、同活動の普及・振興に取り組まれている方々にご参加いただき、合人社ウェンディひと・まちプラザで市政車座談義を開催しました。

 市長は、「スポーツ・レクリエーション活動を地域で効果的に推進していくためには、関係者の皆さんの熱い情熱や想いを土台に、行政が一緒になって振興策に知恵を出す作業をしっかりやっていく必要がある。そして、今ある仕掛けをより良くしていくために、それぞれの組織でどのように調整するかを考えていきたい。」と述べ、参加者と積極的な意見交換を行いました。

車座談義の様子

結果

1 日時

平成29年(2017年)10月30日(月曜日)14時00分~16時24分

2 開催場所

合人社ウェンディひと・まちプラザ マルチメディアスタジオ(北棟6階)

3 参加者

7名(※敬称略)

  • 広島市学区体育団体連合会会長 杉野 俊昭
  • 広島市スポーツ推進委員協議会会長 仁方越 久善
  • 広島市障害者スポーツ協会常務理事 久保 智敬
  • 特定非営利活動法人ひろしまレクリエーション協会会長 鍋島 一仁
  • 公益財団法人広島市スポーツ協会事務局事業担当次長 白雲 克宏
  • 公益財団法人広島市スポーツ協会佐伯区スポーツセンター館長 舘野 美栄子
  • 特定非営利活動法人広島トップスポーツクラブネットワーク会長 河邉 捷義

4 テーマ

「地域におけるスポーツ・レクリエーション活動の振興」

5 傍聴者

5名

6 会議次第

  • 市長あいさつ
  • 参加者からの取組紹介及び意見・提案
  • 意見交換

7 発言内容

司会(スポーツ振興課長)

ただいまから、市政車座談義を開会いたします。

私は、本日の司会を担当するスポーツ振興課長の山本です。よろしくお願いいたします。

皆さんには、常日ごろから地域スポーツ全般、そして地域活性化と、様々な場面で御尽力いただき、本当に広島の元気の源になっていると思います。この場をお借りしまして、感謝申し上げます。

今回は、「地域におけるスポーツ・レクリエーション活動の振興」をテーマに、皆さんから活動内容等を披露していただきたいと思っております。

それでは、最初に、本日御出席の皆さんを御紹介いたします。

まず、広島市学区体育団体連合会会長の杉野俊昭様です。

次に、広島市スポーツ推進委員協議会会長の仁方越久善様です。

次に、広島市障害者スポーツ協会常務理事の久保智敬様です。

次に、特定非営利活動法人ひろしまレクリエーション協会会長の鍋島一仁様です。

次に、広島市スポーツ協会事務局事業担当次長の白雲克宏様です。

次に、同じく広島市スポーツ協会佐伯区スポーツセンター館長の舘野美栄子様です。

最後に、特定非営利活動法人広島トップスポーツクラブネットワーク会長の河邉捷義様です。

それでは開会に当たり、市長から御挨拶を申し上げます。

市長

まずもって「車座談義」に御参加いただきまして、ありがとうございます。

今日は、「地域におけるスポーツ・レクリエーション活動の振興」というテーマで、御議論いただくということですけども、私自身の基本的な問題意識は、スポーツとレクリエーションをどういう形で融和させるかを考えて、行政を展開していくかが、まず一つあります。

もう一つは、具体的な行政手法として、昨年3月に「広島市スポーツ振興計画」を改定いたしておりまして、行政的な取り組みの方向性は整理出来ておりますけれども、これを具体的に展開していく上で、関係者の皆さん方にどういう点に問題、気付きがあるか、或いはどういうアイデアをお持ちかということも伺いながら、この計画がしっかりと展開、具体化できるようにと思っています。

その際に、もう一つの課題、スポーツとレクリエーションという、言わばトップアスリートとレクリエーション、居心地の良さと言いますか、幅広い内容をうまく取り込みながら、スポーツの枠組みの中で振興していくということですけども、市として「スポーツ王国広島」を目指していますから、その取り組みとどう結び付けるか。そうしたことも問題意識として、これからこの地域が、確かに「スポーツ王国広島」と言えるなと。そして、そこにお住まいの方がスポーツからレクリエーションまで、うまく自分たちの日常生活の中で日々の活動として一生懸命やっていきたいなと。多くの人がこうしたことをやることで、広島市自体が本当によくなったと思っていただけるようなやり方、工夫を御一緒に考えさせていただけないかなと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

司会

ありがとうございました。

それでは、本日の談義の進め方について、御説明いたします。まず、御参加の皆さんから日ごろ取り組まれていることを御紹介いただき、併せて、テーマの実現に向けた御意見や御提案を賜りたいと思います。その後、本日は午後4時までをめどに車座談義を進めてまいります。時間の許す限り、意見交換もしていければと思います。

それでは、御参加の皆さんから順次御発言をいただきたいと思います。なお、御発言は、それぞれ約10分程度でお願いいたします。

最初に、広島市学区体育団体連合会会長の杉野様、よろしくお願いいたします。

広島市学区体育団体連合会会長

我々広島市学区体育団体連合会の内容について、説明いたします。

昭和34年、小学校の市民体育祭の開催を機に、各小学校区におけるスポーツ振興の機運が盛り上がり、学区体育団体が次々と誕生いたしました。昭和39年には、それらの団体を市レベルで統括する本会が結成されまして、当初は36団体のものが、現在では137団体になっております。

本会の目的は、地域社会体育の発展に期するためのスポーツ・レクリエーションの充実のため、市民の健康と体育、文化の振興に寄与することでございます。

主な活動内容としては、広島市スポーツ・レクリエーションフェスティバル。これは広島市と共催して行っております。それから、広島市学区体育団体連合会研究大会、広島市学区体育団体連合会の表彰、広島市トップスポーツの応援事業等でございます。

各区連合会におきましては、区民スポーツ大会を広島市と共催してやっております。それから、各競技種目別の大会をそれぞれ学区内でやっております。学区体育協会は、ソフトボール、バレーボール等各種のサークルに組織されて、小学校を中心に活動しております。年間の活動についても、学区内の運動会やグラウンド・ゴルフなど、各種の大会を実施しております。各学区の実績に応じたスポーツ競技の普及、実施と広報・招致活動も力を入れてやっております。この市の学区体育団体の主な収入は、まず、各学区体育協会において負担する加盟費です。市学区体育団体に対する加盟金をいただいております。それから、広島市からの補助金、活動協力金等が収入源でございます。

最近では4人に1人が75歳以上で、広島市の方でもやはり健康寿命とか、普通の平均寿命とかいったことがございますけれども、広島市は健康寿命が短くて、普通の寿命が長いということが、現在出されております。我々は、そういう課題を考えて、スポーツは個人の体力の向上や生活習慣の予防、精神ストレスの発散など、健康の保持に増進に一定の効果があるということで頑張っております。広島市の学区体育協会として、各種の競技スポーツ、運動などを通じて地域の人と人とのふれあいを大切に、地域の絆を深めながら明るい地域づくりのために、生きがいのある地域社会の形成に大きく寄与しております。

最近では高齢化が進み、少子化の影響によって、各学区体育団体においては固定した、今までのような競技の、特に「走る」「投げる」「飛ぶ」「振る」「打つ」など、体を激しく動かすスポーツは、加齢と共に選手の体の故障や怪我に繋がることが多くなり、高齢者の運動種目に相応していかなければ、次第にスポーツから遠ざかっていく原因になっているということであります。

次に、各学区体育協会と事業として、高齢者に対応した生涯スポーツの体験学習を実施しております。出来れば、生涯スポーツとして総合した体操の運動、スポーツ体験してもらうための体験講習会を開催いたしまして、ニュースポーツの体験会や講習会は、各学区のスポーツ推進委員と連携して各体育協会も積極的に紹介し、普及・促進活動を継続して行っていくということでございます。

次に、広島市並びに広島市スポーツ協会に対する要望と言いますか、各学区に対する各区スポーツセンターからの支援の強化。各区スポーツセンターは、各学区体育協会137団体のスポーツ振興の拠点施設になっています。今後、高齢者に相応した生涯スポーツなどの普及活動のために各地区の学区体育協会において、体育委員会や講習会が円満に実施できるよう、側面的な支援の強化をお願いしたいと思います。

それから、高齢者対策事業の実施状況でございますけれども、やはり各学区体協の財源は広島市の補助金の他、町内会、自治会からの負担や協賛企業からの協賛金が主なものでございまして、財政事情は年々厳しさを増しております。今後、新たな高齢者対策事業を実施するには、新たな財源の確保や費用の捻出が必要不可欠であり、市当局から費用の一部として補助金など検討、配慮をお願いしたい。

また、公園と言えば大げさになりますが、広場などが身近にあれば利用して、高齢者の方々がより良い気持ちでスポーツに携われるような公園河川などに設置しているトレーニングやストレッチが出来る器具など、健康器具の充実について、今後、年次計画によって継続的な設置をお願いしたい。

日本全国各地それぞれの地域の公園、広場ではマイスティック片手にグラウンド・ゴルフ競技で、元気に歩き回る高齢者の姿が至るところで見受けられる、また、高齢者の加齢によって、概ね75歳を境に徐々に自立度が下がり自宅に閉じこもりがちになることは、足腰の弱体化、物忘れの進行等から始まる。これらの進行を出来るだけ遅らせ、全国平均よりも健康寿命の短い高齢者が多い広島市において、急務になっている、「歩く」「しっかり食べる」ということは、高齢期の健康の自立のものと、閉じこもらないこと、社会との繋がりを持ち続けることが大切であるということでございます。

最後に、我々体育協会はこうしたことを念頭に置きながら、各学区体育協会の構成の方々の協力を得ながら、それぞれの地域において人生の先輩である高齢者の方々が家に閉じこもらないよう、地域の誰もが気軽に参加できるウォーキングやニュースポーツ、高齢者向けの運動、健康体育などの体験会や講習会の実現に向けて、より一層の決意を持って取り組んでいきたいと考えております。広島市及び広島市スポーツ協会の御支援、御指導を引き続きよろしく賜りたいと思います。

以上でございます。

司会

ありがとうございました。

それでは、市長からコメントをお願いします。

市長

今お伺いしまして、元々の体育協会は、市民体育祭と言うある意味で競技をするための能力向上とか、皆が頑張っていい成績を出せるようにとか、そんなお若い方々が集まったまとまりを良くするために発足し、その数が増え、実際小学校区単位での活動が長く続く中で、参加する地域の方々の年齢分布などを考える中で、今や体育という言葉を使いながら、市民の健康の保持増進を図る活動も自分たちの大きな使命としていると伺いました。

そして、こうした活動をするにしても、持続的にやっていくためには、一定の財源確保が欠かせないと。今の財源の調達方法だけですと、自分たちの活動に十分な財源確保が出来にくい状況が起こっているということでしょう。行政からの補助をもう少し手厚くしてもらわないと、この先中々難しいということが、如実に感じられるお話でありました。

多分、今までの行政の流れとして、体育をいわゆる体を鍛えることをやる、その単独目標だけですと行政からいろいろな形、潤沢な財源を出せないから、町内会のまとまり、コミュニティ再生ということもあるから、町内会・自治会の協力を得て、その一つのいろいろな目標、目的に関係するんだから、そこにも協力を得るように原資を集めてはと。

最近では、行政の方は高齢化社会をにらんで、コミュニティ再生と高齢者対策、とりわけ健康長寿などの対策については、予算確保が図られていますから、そうしたところをにらみながら、全体の取り組みをそういう状況にシフトする中で考えながらやっていただきたいということを、間違いなく言ってるでしょう。それに応じて、しっかりと協力いただいていると受け止めました。

私自身は今日、皆さんのお話を聞いて、この取り組みの仕方を個別バラバラじゃなくて、トータルでどうするか考えないといけないと思っているわけです。それは、プロスポーツという皆が憧れてやりながら、企業がうまく収益構造を確保しながら運営できる事業体が一方であり、片方では、本来スポーツと同時にトレーニングを中心に鍛えるとか、うまく練習させて個人の運動能力を高めるとか、維持するのが体育の主眼だったのが、今や民間でもスポーツジムとか営業できるものが出来ている中で、その単独目的だけで行政がお金を出すのはどうかという流れがずっとあるわけです。

そこで、折角作っていただいた組織がそれぞれある中で、そのまとまりを利用しながら、体育と言うけれど、よくよく考えると体を鍛えると言うことは、その鍛える中で自分自身の生活習慣を改めるから健康にもなる。「健康な体には健康な精神が宿る」というオリンピック精神もあるからですね、ストレス解消を通じて精神にもいいと。そういった局面に着目すれば、医療政策にもプラスにるから予防医学的な観点から引き続き支援すると。要は、目的はシフトしながらも、支援を絶やさないためにも目的を少しずつ変えてきている現状はあるというふうに、実は思っているんです。

そうすると、今までの経過の中でプロスポーツから、ある意味では気晴らしや癒しという、明確にはスポーツ・レクリエーションという言葉を入れましたからね。そこまで広めて全体で皆さん方の取り組みが、市民の健康から気持ちや体、それを取り囲むコミュニティ、まちづくり全体に貢献する取り組みなんですよということをもっと表から認めて、町内会や自治会、そういう個別のまとまりの整理をもう少しして、どこにどういう形で行政が支援するかという整理を本当にしたいと思ってるんです。

そして、それと同時に、健常者のみならず障害者の方々をどう取り組んでいくか。健常者の方だって、うまく取り込んでスポーツという形で育成しようとすると、種目が違う、目標値が違うとなると大変なのに、障害者の方はそれにさらにハンディを考えて、支援する部署、パーツ、支援措置、それぞれ違う。そして、特性もみんな違う。つまり、精神的な面なのか、肉体的な面なのか、発達障害とか後天的なものなのか。だから、もっと丁寧な分析をして必要な支援をすると、ひょっとすると今のスポーツ・レクリエーションという広げた形だけで何となくやっていくのは、ある意味で限界と言いますか、中々難しくなるという気もしなくはないんですね。

だから、そういった点も考えながらも、当面やることはすぐやるからストップするわけにいきませんからね。今、言われた健康器具などは川辺のちょっとした空き地とか、公園にあるので、それでうまくいってるんだったら、計画的にやるべきだという御意見尤もですから、それも着実に計画立ててやる必要があると思いますし、健康寿命を延ばすという、実際おられる方で熱心に来る方々が高齢化してますから、その人たちに競争能力アップという形でやりましょうと言ったって無理ですから、逆に今の体力を維持するため、どんな取り組みがいりますよ、こういうことが重要になりますからといった面での取り組みをやる。例えば、高齢者向けのポイント制を導入しましたので、今後そういったポイント事業に関与していただく中で、これを積み上げながら、確実にやるときには、そのすべての団体にもう少し手厚い支援が要るとなれば、そちらから支援することで、取り組みをよりよいものにすると。そういった意味での支援強化が図れると思いますのでね。

いっさんきに言われた問題について、すべてお答えできない状況にありますが、スポーツ・レクリエーションというものを、我が市としてどう維持発展させるかという組み替えをもう少ししながら、単純な切り分けじゃない中で、皆さんの取り組みを、折角ここまで積み上げていただいたシステムですから、生かせるようにしていきたいなと思います。

司会

ありがとうございました。

続きまして、広島市スポーツ推進委員協議会会長の仁方越様、お願いします。

広島市スポーツ推進委員協議会会長

最初に、スポーツ推進委員とはということと、広島市スポーツ推進委員協議会とその活動という内容をお話させていただいて、その後に当会からの意見・提案をお話させていただければと思います。

まず、スポーツ推進委員についてですけども、スポーツ推進委員は、スポーツ基本法に基づき、市町村が委嘱する非常勤職員で、市町村におけるスポーツの推進のため、事業推進に関わる連絡調整や住民に対するスポーツ知識の指導、その他スポーツに関する指導及び助言を行うことを目的に設置されております。全国に約51,000人、広島県では約1,350人が存在しております。広島市においては、市内137ブロックに人口の割合に応じて、2人から4人を限度に、学区体育協会の会長が推薦し、広島市が委嘱するという形で存在しております。学区の単位は担当学区、担当区域とされております。広島市の定員が現在404人ですけれども、実際には381人と定員に足りていないのが実情です。

広島市スポーツ推進委員協議会は、スポーツ推進委員の資質向上を図り、広島市の地域スポーツの振興に資することを目的に、広島市のスポーツ推進委員をもって組織されている団体です。また、区ごとに、区のスポーツ推進委員協議会を組織して研修会等の運営を行っております。それに繋がる組織ということで、廿日市市と大竹市も加えた広島地区スポーツ推進委員協議会、さらに広島県スポーツ推進委員協議会、中国地区スポーツ推進委員協議会、全国スポーツ推進委員連合があり、それらと繋がっている形です。

主な活動内容ですが、広島市スポーツ推進委員協議会の派遣事業としましては、全国スポーツ推進委員連合主催の全国スポーツ推進委員研究大会、同じようにそれぞれの協議会の主催で中国地区スポーツ推進委員研修会、また、広島県スポーツ推進委員研究大会があります。広島地区においては、広島地区スポーツ推進委員研修会がありまして、これにはできるだけ全員が参加できるように呼びかけております。

また、広島市、広島市スポーツ協会と共催または後援の研修会、研究大会ですが、委嘱時に新人研修会というのがあります。県においては毎年行っているのですが、広島市においては、委嘱時に行っております。また、リーダー研修会というのがありまして、これは各区より代表を選抜して集まり、コーディネーターの方々を含めて約100人規模で研修を行い、その後に各区に持ち帰って伝達講習という形で各区、全員に広めております。実技研修としては、ニュースポーツ研修と普通救命講習を隔年で行っております。また、毎年12月に広島市スポーツ推進委員研究大会を行っております。

各区のスポーツ推進委員の活動の一つとして、各区においても軽スポーツ、ニュースポーツの実技研修を初め、会員の資質の向上を図るために様々な研修を行い、個々のレベルアップに繋げているんですが、個々においては、学区内での活動が中心になりまして、区の協議会が主体となっています、例えば中区のユニカール交流会、東区の室内雪合戦、西区安芸区のクッブ交流会、安佐南区のドッヂビー等の大会を行っております。

各学区においては、町民運動会や学区におけるスポーツ行事の企画・運営等、多くが学区体協の中にあっての活動となっております。今後とも、各学区において学区体育連合会やそれぞれの体協、区のスポーツセンターからの各種団体と協力して、多方面にわたって活動していきたいと思っております。

次に意見、提案ですが、まず、スポーツ推進委員の取り組みとしましては、現在、スポーツ推進委員は各学区体協会長の推薦で市から委嘱されることから、元々体協の中でクラブ活動などで活躍してきている人が多くなられます。そうしたことから、推進委員の活動範囲も多くが体協の中だけであるという方もおられます。また、ベテランの方も体協の中では副会長とか重要な役割を持っている方も多く、純粋に推進委員としてではなく、体協の一会員としての活動が中心になっている方も多くて、協議会として研修会や協議会独自の事業を行って、個々のレベルアップを図る活動をしていますが、特に体協行事と日程が重なったりすることも多く、十分に参加できていないときもあります。体協の各会長さん方からも、協議会の方の行事に参加を促していただければありがたいし、そのことがより学区での推進委員としての活動に生かせるのではないかと考えております。

地域においてスポーツをする人を増やすためには、学区体協の存在も大きいと思っていますし、総合型スポーツクラブのことをよく取り上げられますけれども、学区体協が本来それに近いようなものであり、地域の多くの方々が日ごろから気軽に参加できる学区体協のあり方を、スポーツセンターのコーディネーターの知恵も借りながら、学区体協の方々と共に考えていきたい。そういったことが学区内でのスポーツ推進委員の役割であるというふうにも考えております。

また、協議会としては推進委員の知名度を上げることが、より多くの市民の方に貢献出来ることに繋がっていると思いますし、より広く多くの方々に目を向けた取り組みもしようと思っております。

推進委員として幅広い分野で活動が行われるように、各種団体の方々と連携して行っていくわけですが、推進員自体はもっと様々な方面からの人材も必要じゃないかと思われます。今後、広島市のスポーツ推進委員や協議会のあり方を考えるときに、委嘱時の推薦のあり方も検討してみる必要があると考えております。

次に、障害者スポーツの関わりについてですが、スポーツの価値は、それをすることによって得られる楽しみや喜びだと思います。地域スポーツの課題として、スポーツに無関心だった人やしたくても出来なかった人に働きかけて、参加を促すことだと思います。健康寿命を延ばすこととか、働く世代のスポーツへの参加を促すためにも、しっかりとその働きかけが必要だろうと思います。

障害者スポーツに関して、スポーツ推進委員が関わっていくことは、様々な方面からも言われておりますが、現在、区の協議会では、西区における心身障害者を対象にしたグラウンド・ゴルフ大会とか、東区ではシッティングバレーの体験会等、少しずつ取り組んできておりますけれども、広島市の協議会においても、今後どのように関わっていくべきか、話し合っているところです。12月に行われる研究大会において、障害者スポーツを少しでも理解したいということで、広島市心身障害者福祉センターの方にお話をしていただくことにしております。スポーツ推進委員としてこうして取り組むのは、主に障害者と健常者が共に参加できるユニバーサルスポーツの領域だろうと思っておりますけれども、広島市の考えも今後、お聞かせ願いたいと思います。

今後とも地域において、区民や市民の皆さんに貢献できるように、様々なことを企画して、また活動していければと思っております。

以上でございます。

司会

ありがとうございました。

それでは、市長からコメントをお願いします。

市長

スポーツ推進委員という制度そのものを、自分自身十分勉強していないので、むしろどういうところにこれから重点をおいて拡充するかというところで、まだ迷ってるんですけどね。今言われたように、推進委員の方は学区の体育協会から推薦を得ることになっていますよね。そうすると、推進委員の方と学区の体育協会の役割をどう整理されているのか。法令上の整理じゃなくて、実際にどう役割分担されて、今に至るのかなと。組織作るときには、こういう取り組みを枠の中でやって、ここを強化しなきゃいかんから、それを専門にする人を選ぶと。そして、ミッションというか宿題を受けて、それに専念していただく方を選ぶということで、多分出来上がってると思うんですけど、出来上がって何年も経つ中で、うまく目的通り機能していると思われるかどうかですね。そして、体育協会に対するいろいろな支援は、組織としては無理だけども、個別の任命する方については、こちらからお願いするんだから、その仕事に関しては予算がつくからつけると。しかし、予算はつけるけど、中々その後の処遇改善はうまくいかないという問題にもぶち当たるようになると。そして、一回任命した方々は、慣れてくると段々慣れた方に特化されて、次の新しい人への新陳代謝が効かずに高齢化していくという問題が一つある。

それから、先程言われたように、体育協会の中の推薦だから、本当はスポーツを全体として推進する目線で考えながらやれる人が推薦されていると思ってるんだけど、実は学区のことに一生懸命になって、全体のことに中々重きがいってないけど、個別に注意することはできない。いろいろな会合のときもかち合うとどっち行くかというときに、「そうは言ったって、自分は学区から選ばれてるから学区の方の仕事をやっとかんと、あと大変だ」とか、全体のことをやってくれないということを、ちょっと垣間見えたりするんですけども。そういった点の改善策というか、どういうふうにすれば、少しでもよくなると思っておられるか知りたいと思うんですね。それが後からいろいろなことを調整していく中で、スポーツを振興する上での問題、これから取り組んでいく地域におけるスポーツの振興、学校の中でのクラブ活動等を通じてのスポーツの振興、それからプロスポーツをやりながら、そのはね返りでファン層を増やしていくようなスポーツの振興。そして、ハンディキャップのある方も含めて、いわゆる体育能力だけじゃなくて、いろいろな健康上の予防措置を効かせていくときの取り組みとか。もう少し整理して皆さんの役割をちょっとずつでも変えて、もっと取り組みやすい状況が組めるんじゃないかという気持ちがありまして。すぐにできるかどうかは別として、そういう方向でちょっとずつ変えることは可能じゃないかと思っているんですね。今の御用命に関しての部分は、むしろ学区の体育協会と推進委員の方について、どういうふうに整理したらいいと思われているかを、少し教えてもらいたいなと。どうでしょうか。問題があればちょっと教えていただきたい。

広島市スポーツ推進委員協議会会長

学区内で元々推薦というのは、学区体協の会長さんだけではなかったと思うんです。体育指導委員の頃は、例えば社協とか、その学区の中での団体から推薦してという形だったんです。そのときも、殆ど体協の会長さんが推薦されてましたから、形はほとんど変わってないんですが、段々と推進委員という役割で、その地域のスポーツではもう体協そのものイコールのような形なので、それで動くのは当然ですけれども、推進委員として役割を果たせてるかな。例えば、軽スポーツ的なものをいろいろな他の団体と一緒になって地域で推進していくような形のものが出来てるかなと考えたときに、ちょっと出来てないんじゃないかな、存在が埋もれてしまってるんじゃないかなという気がするんです。

ただ、皆さん一生懸命やってるんですよ。体協ってすごく重要な方々なんで。だけど推進委員として頑張ってるかというと、どうもそこまでいってない。だから、「もっと出てこいよ。出てきてもっと勉強しろよ。勉強してそれをもっと地域に持ち帰ろうよ」と言うんですが、中々出来てない気がしています。もっと出てきてほしいなということが一つ。

もう一つは、今後もっと広く市民に対して貢献するんだったら、もうちょっといろいろな方々、いろいろな資格を持った、いろいろなことができる人の能力、力が欲しいな。そのときに今の推薦のやり方じゃなくて、もっと違った多方面からの人材も必要じゃないかな。今は我々働いてる世代が殆どなので、「もっとあれもしろ、これもしろ」と中々言えないところがあるんですね。いろいろな本、スポーツ推進委員の機関誌とか読んでも大学の先生なんか、推進委員はこうあるべきとかあるんですが、それを全部やろうと思ったら、とてもじゃないけど難しい。でもそういったことをやっていかなきゃいけないので、結構幅広い形で全体を見る見方と、地域を見る見方と、もっと変えるべきじゃないかなという思いもあるので、今の広島市の推進委員の形がいいのか、協議会がいいのかというのを、もう一回いろんなところで、細かく一緒に考えていただければというところはあります。

市長

職員の資料によると、推進委員になる方の確保が難しいから、年齢要件を緩和してもっと年とってもやれるようにしてくれと。割と安直な話です。結局、今までの人の任命を延長するようなもんですよね、新しい人がおらんからと。だけど、今言われた新しい形で、もう少し資格を多面的にやれるような方を母体にして、そこから推薦する、推薦するときには条件付けをやるということにしますと、理想としては正しいんだけど、仕事をしながらも「はい」と手を挙げてくれる人がいるかというところに、またぶち当たるような気もするんですよね。その辺のところが、この推進委員という方について、それだけで年がら年中飯食うような専門職を雇うという制度にもなってないからですね。その間と言うか、今言われた年齢的なもので中々ない、自分の仕事との絡みでない、しかし、もっと多面的に考えてもらえる資質の人をもう少し出してくれんと、推進委員協議会そのものは尻すぼみになるということだと思うんですけどもね。

具体的にどういうエリアの人を選ぶと、自分の周りだと出てきそうな人がいるとかいうようなことありますか。感覚的なものでいいですけど。

広島市スポーツ推進委員協議会会長

例えば、教育関係の人とか、フィットネスなんかの、もっとそういった能力を持った人。

市長

そういう人でもいいですかね。フィットネスとかスポーツ関係の仕事やってるような人の方がアプローチしやすいからね。

広島市スポーツ推進委員協議会会長

そういった方々が一緒に考えながら、もっと広島市全体のスポーツ推進委員としての取組みができる協議会にしていけばいいなというのがあります。学区だけになりがちなところを、もう少し広げた視野で活動できるように持っていきたいなというのがあります。

市長

元々多分、この学区から選ぶというのは、学区の体育協会がその地域ごとのいろいろな部門の体育の取りまとめをやってるから、いろいろな推進すると言っても、結局、フィードバックしてその中でうまいことやってもらわんといかんと。そうすると、人の繋がりはそこに縁のある人出してもらって、皆で協議してうまくまとめたら持ち帰ってもらって、広げるときの人材だと思って選んだと思うんですね。物事を取り決める会合にも出てこないなんていうのは、決まればやるけど、自分がどうこうとかという人がいないという状況にも聞こえる。雰囲気としてはそんなところ。人にもよるかもしれませんけどね。

広島市スポーツ推進委員協議会会長

全員が全員揃ったとき、一部の方になるんだろうと思うんですけど、中々そうできない。「学区だけでやってればいいんだ」という感覚を持つ人もいるので、そういう人たちに幾ら伝えようとしても、伝える機会もないような。全員が集まるときにはそう伝えるんだけど。だから、学区の中で生かせるようにという形が今のスタイルなんで、それを本当に本来の形でやっていけば、もっと効果が上がってくるんですけど、少し中途半端な形になってるなということなので、会員の耳に、「もっとこうしようよ、ああしようよ」という訴えかけはしようとしてるんですけども、中々伝わっていかないところがありますんでね。体協の杉野会長もおられますので、いろいろ協力しながら、訴えかけながら、お願いしながらやっていければと思っていますけど。

市長

杉野会長、今みたいな問題意識どう思われますか。

広島市学区体育団体連合会会長

そうですね。

市長

これまでの感想でいいんですが、どうですか。

広島市学区体育団体連合会会長

推進委員の方々にも、体協に対しては重要な役割を果たしていただいております。せんだっても、我々のところで700人ばかりのグラウンド・ゴルフをやりましたが、お年寄りの方が随分集まりました。今度は安佐北区全体のもありますけれども、そういうときに、身近で動いてくださる、また重要なポストで協力してくださる方々と言うと、やはり推進委員をまず筆頭に持っていくわけですね。だから、我々のところは役員も入ってます。

推進委員の方々は、ニュースポーツを我々に伝えてくれるんですが、例えばユニカール、これは器具がない。皆に広めたいという気持ちはありますが、広島市には一つぐらいしかないということもありまして、ペタンクとか安いものであれば、徐々に学区で増やしていっているということで、このペタンクにしても、推進委員の方が中心になってずっと広めておられます。そして、現在県民体操というラジオ体操のようなものがあります。出来るだけそういうことをやらなければいけないと、我々もお年寄りがおられるときには、指導員の方が習ったのを、皆さんの前でやって、広めていくということはやっています。

指導員の方は、体協にとりましては、本当に重要なポストにおられて、いろいろなニュースポーツを提供していただくということで、大変ありがたいと感じでおります。

市長

今の指導員の方と推進委員いうのはダブっとるんですか、ほぼ。

広島市スポーツ推進委員協議会会長

ほぼ同じ方。

市長

はい。わかりました。

先程来言ってますように、これもダイレクトな答えを今すぐに思いつくわけじゃないんですけどもね。今言われたような運用上の問題なのか、今の仕組みそのものに限界があるのか、もう一度よく見てやりたいと。基本的に地元できちっとした対応をしてもらうために、そこに信頼感のある方を出してくれとお願いして、物事言ったらその人が動いてくれる皆が付いていくという方を送り出すと。その方が自分のエリアのことだけじゃなくて、全体のことを考えて議論して、スポーツ推進するときにどういうことがいるということもしっかりやってもらって、地域と全体両方やってもらわないといかんですね。国会議員みたいなもんですよ。小選挙区で出てね、金引っ張ってきますという話と、日本全体のことを考えてくれと言ったときに、人によっては地元の話ばかりして、日本全体のことを言わんという人もおるし、逆に日本全体のことばかり言って、地元のことが疎かになって、選挙で落ちる人。選ぶときの仕組みみたいなのがありますから、両極端にならないようバランスがとれるように働いてもらう説明の仕方とか、仕掛けみたいなのがあるかということも、考えてみたいなと思います。

司会

ありがとうございました。

続きまして、広島市障害者スポーツ協会常務理事の久保様、お願いします。

広島市障害者スポーツ協会常務理事

本日は、こういう席で発言の場を与えていただきまして、誠にありがとうございます。

私どもの協会は、障害者の健康増進や教育力の向上を図るとともに、スポーツを通じて障害者の社会的自立と社会参加を促進し、障害者の福祉の向上に寄与することを目的として、平成17年4月に設立されました。市長様にも毎年12月の文化祭には来ていただいていますが、広島市の心身障害者福祉センターの中に事務局を置いております。嘱託職員1名、臨時職員1名、計2名の職員の大変小さな組織となっております。

事業としては、市から委託を受けて実施している三つの事業が、協会の仕事としても大半でございます。協会の独自事業としては、会報の発行や協会のホームページの運営ということで、各種障害者スポーツの情報提供など限られたものになっております。事業の実施及び協会の経理等、庶務的な事務についても、心身障害者福祉センターの職員の援助・支援を得て、やっと物事が進んでいるという状況にあります。

以上、当協会の状況を踏まえて、障害者スポーツを支援するものとして、障害者スポーツを振興するために、今後何が必要か。若干、夢の部分も含めて、話を進めさせていただければと思っております。

まず、一つ目ですが、障害者スポーツの入口というと、障害者スポーツの様々な種目を市民の皆さんにも知っていただき、興味を持っていただくことが必要ではないかと思っております。障害者スポーツ協会としても、車椅子を使用したスポーツ、フライングディスクとか、ボッチャ、ブラインドテニス、ゴールボールなど、障害者が活動できる様々な競技を機会あるごとに市民の皆さん方に御紹介いたしております。先日、エディオンスタジアムで行われたスポーツ・レクリエーションフェスティバルにおいても、当協会が車椅子バスケットの体験コーナーを設けさせていただいております。これからは、さらに様々な地域や、例えば区のスポーツセンターなど身近な場で障害者スポーツを紹介するイベントが行われ、多くの方々に障害者スポーツを知っていただき、障害のある人もない人も共に楽しめる機会をつくっていくことが大切だと思っております。

このように、障害者スポーツを知っていただくことも大変重要ですが、障害者スポーツをされている方が、スポーツを続けることのできる環境を整備していくことが、大変重要なことになっていくと思います。この整備のことで言いますと、施設面、人的支援、心的支援の三つがあるように思います。

施設面で言えば、私どもの事務局のある心身障害者福祉センターには、障害者の利用に配慮したプールとしては、広島市唯一の日本水泳連盟公認の25メートルプールがあります。他のプールと違って障害者用に若干浅くなっており、120センチぐらいの深さですけども、リハビリとかいろんなことができるようなプールになっております。他に大会議室と小会議室があり、多くの利用者に親しんでいただいておりますが、身近な施設、障害者の方々にとっても身近な施設として、区スポーツセンターの環境整備がなされ、障害者にとってより利用しやすく、親しまれるよう社会資源をより生かす方策を、スポーツ協会の方と一緒に考えたいと、勝手ながら考えているところでございます。

次に、人的支援から見ると、障害者スポーツを地域で支える体制が不十分であるという課題があると思います。例えば、特別支援学校など、学校のクラブ活動などでスポーツをしていた者が、卒業した途端に活動する場を失う。身近にスポーツを一緒に活動する仲間や、指導してくれる人がいないなどという、いろいろな問題があると思いますけども、地域において障害者スポーツを支援する体制が整っていない現状でございます。今後は、地域でのグループ育成など、障害者スポーツを支援することのできる「障がい者スポーツ指導員」をしっかりと養成していただくことが必要ではないでしょうか。

次に、資金的支援について述べますと、まず障害者スポーツをやろうとしたら、用具に経費がかかること。例えば車椅子競技の場合、日常使う車椅子とは別に、競技用のものを用意しなければなりません。しかも種目ごとに車椅子の仕様が異なりますので、1台ごとのオーダーメイドになることから、通常の車椅子よりもかなり金額の張るものになりがちです。心身障害者福祉センターには貸出用の障害者スポーツ用具がありますので、まずは、そちらを利用していただいて、開始していただくことはできますが、個人個人で障害が異なるため、どうしてもその人に合った用具が必要となってまいります。また、障害者の方には、自立して就労できている方もおられますが、就労自体が困難な方、収入が少なくて経済的な自立が困難な方が多いのが現状であり、経済的な理由によりスポーツ活動を諦めている人もたくさんおります。また、現在スポーツ活動をしている方も、近隣に同じ種目を競技するチームが少ないため、団体競技では、練習試合をするにしても遠征しなければならないケースも多くあります。ちょうど今、愛媛県で開催されております全国障害者スポーツ大会に広島市の選手団が参加しているところですが、非常にレベルを上げたチームが全国障害者スポーツ大会に出場するため、その予選となる各地区のブロック大会や、各地で開催される大会に出場するためには、旅費や宿泊費等の経費がかかります。各地域への遠征費用も個人負担となっております。特に、知的障害の選手の中には、就労していても賃金が低いために金銭的な余裕がなくて、経済的に遠征費の捻出が難しい方がたくさんおられます。出場する実力がありながら、やむを得ず断念されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。少しでも多くの障害者がスポーツ活動を通じた社会参加が出来るように、障害者のスポーツ活動への経済的な支援をぜひともお願いできればと思っています。

最後になりますが、昨今2020年の東京オリパラに向けて、障害者スポーツもトップアスリートの技術向上という面にスポットが当たっております。当協会としても、それらのことが出来ればいいなとは思うんですが、最初にも申し上げました通り、当協会は障害者の福祉の向上を主としてつくられた協会であること、人的にも資金的にも余裕のない団体であることから、障害者のトップアスリートの自立向上や支援に向けた事業の展開は困難な状況にあります。国の方針や全国的な傾向としても、障害者スポーツ協会が従来の福祉部門の管轄から、スポーツ部門の管轄へと流れる中で、障害者のトップアスリートの技術向上や支援については、健常者と同様にスポーツ協会の事業として力を入れていただくようお願いできればと思っております。

私からは以上でございます。

司会

ありがとうございました。

それでは、市長からコメントをお願いします。

市長

私自身は障害者のスポーツ振興に関しては、健常者のスポーツ振興と少しタイムラグがあるように思ってるんですね。と言うのは、健常者のスポーツ振興は、先程日本が敗戦から高度成長期への過程の中で、いわばオリンピックなどを目指すということを標榜しまして、個人の運動機能の強化保持ということを、もっと国挙げてやらなきゃいかんという中でスタートし、今、それから半世紀近く経って、その組織がむしろ普通の体力維持にもシフトして、スポーツだけでは中々政策としてプッシュできないという状況になった中で、もう一つ政策として始めたのはスポーツ庁という、スポーツを中心とする役所を立てて、いわゆるハンディキャップを持ってる方々に対する本来のスポーツをやる。その機能回復とかね。それと同時に、社会資本についてノーマライゼーションと言いますか、いろいろな施設等を整理させるという、新しい仕事が出てきますものですからね。障害者の方を早く健常者と同じような状況につくり上げる政策が要りますよというのを立ち上げて、障害者も健常者も一緒にスポーツをやり直しましょうということで、スポーツ行政を活性化させて、その中でトップアスリートを支援する。こういうすごく複層的な発想で、スポーツを振興し始めてるんですね。

だから、その要素に合うように先頭部隊のところに障害者の中でもトップアスリートの方は、健常者でやってるところ、余裕があるところは、いろいろな資源を投入して、ハンディキャップに応じた機材を投入してあげて、うんとトレーニングするということでやってますけど、すべてがうまくいく状況ではないんですね。原資が行き渡っていません。

それを確認するような意味もあって、平成23年にスポーツ基本法を変える中で、障害者が自主的かつ積極的に出来るようにという項目を立てて、これへの配慮はすべての方ですね。行政だけじゃなくて、関係する方皆やっていきましょうということ。方向性を漸く出したという状況だと思うんですね。と同時に、今言った本来の健常者のスポーツの取り組みの方式は、今ちょっと聞いていただいてわかったみたいに、スポーツ本来から中々いかなくなって、停滞して地域とか分散してる。そういうのをやらなきゃいかんと。例えばオリンピックとかを立ち上げて、もう一遍本来の振興とかと、こういう動きをしてる状況なんですね。ですから、障害者についての理解を広めるために、今、ある意味では着実にやってる「障がい者スポーツ指導員」。こういうものをちょっとでも増やしていくということ。

それから、障害者の症状など理解してもらうための研修をする、まずそんなに設備投資にかからないやり方をしながら、お金のかかることについては、スポーツ基本法で言ってるように、例えば企業のスポンサーシップを利用して、行政と抱き合わせで原資を確保するとかいうこともいるんじゃないかと思うんですね。来年辺りはヨットとか、スポーツをやろうというふうに言われていて、企業などもその開発のために投資をして、それを宣伝するということでベースが整うとなれば、いろいろなお金が集まるとか。いわゆる企業の社会的責任ということで、そうした方々に支援をする企業群が名前を連ねることで、営業にもプラスになれば、支援も受けてそっちの方もやりながら、コアとなるのは行政の組織ですけども、そこが民間の社会的責任を痛感してる企業群とうまくやって、原資を増やしながらやるという方を、まずやりたいんですね。

また、健常者のスポーツをやってるグループの方に、直ちに障害者の部門も受けてくださいとなると、基本的な問題がある中で、中々受けきれないんじゃないかなと思ってて、それをうまく調整しながら、しかし意識の上では障害者のスポーツも重要ですという勉強をしてもらうというぐらいの取り組みを、しばらくはやっていきたいなと思っています。

司会

ありがとうございました。

続きまして、ひろしまレクリエーション協会会長の鍋島様、お願いします。

特定非営利活動法人ひろしまレクリエーション協会会長

松井市長様には、こういう機会を与えていただきまして、心から感謝いたします。

同席の皆さん方には、常日ごろからいつも御指導をいただいております。今回もちょっと関係したことを述べさせていただいているかわかりませんが、市長さんにしっかりと聞いていただければと思っておりますので、よろしくお願いします。

私は、全部が全部ではないんですけど、資料を出させていただいております。

レクリエーション協会の紹介をさせていただきますと、昭和53年5月1日に広島市レクリエーション協会を設立いたしました。その後、平成16年12月5日にNPO法人へと発展的に移行をさせていただきました。今日まで地域とか、学校、企業、福祉などの分野に指導者養成を含めた各種事業を展開すると共に、生涯スポーツの導入、普及に努め、広島市のスポーツ・レクリエーション活動の発展に取り組んでいるところでございます。

主催事業の広島市スポーツ・レクリエーションフェスティバルにつきましては、大会創立当初からニュースポーツ体験の運営に協力すると共に、もう一つねんりんピックというのがございますが、その選手推薦に関しても、広島市に競技団体がない生涯スポーツ種目については、積極的に広島市予選会の実施業務を担当する等、広島市のスポーツ・レクリエーション関連行事の普及促進に取り組んでいるところでございます。

平成23年、スポーツ基本法が制定されて以来、スポーツ・レクリエーションという表記に変わり、スポーツを通して行うレクリエーション活動に初めてスポットが当たるようになりました。スポーツの楽しい側面を、私どもは重視し、人々が楽しいと感じる場づくりに努め、ライフステージに応じたスポーツ・レクリエーションを展開しているところでございます。私たちなりに、これらの実施者を増加することに結構、今、苦慮しているところでございまして、スポーツ愛好者を増やすことの一つとして、スポーツに疎遠であった人の掘り起こしに取り組み、オリンピック、パラリンピックを機に、「スポーツ王国広島」のスポーツを楽しむ文化づくりを目指して微力を尽くしているところでございます。

具体的には、意見提案をさせていただこうと思っておりますが、今日ここで書いている資料は、本当に具体的なものなんですけど、大枠で御回答いただければと思っております。

まずは、多くの人が待ち望んでおります2020東京オリンピック・パラリンピックまであと3年となりました。一昨日が、ちょうど1,000日前2年となったところでございます。スポーツの実施率を70%にする目標に向けて、「スポーツ王国広島」もいろいろな角度で努力をされ、我々も努力をしているところでございますが、昨年度の広島市の実施結果とか、東京都の2014年と2017年度の実態調査結果に大変、今、危機感を感じております。顕著なのは東京都の3年前との比較で、60代70代の男女と全世代で女性の低下があって、広島もこの傾向に近いと思っております。調査では、スポーツを実施しなかった理由として、「仕事や家事・育児が忙しい」。これは毎回同じような回答がありますが、この度の特徴は、「機会がなかったから」「好きでないから」「特に理由がない」が高いところを占めておりまして、スポーツに関心がない層が増えている実態であります。スポーツ実施率の改善には、低下した高齢者と女性への取り組み強化が不可欠であると感じております。

そして、もう一つは、パラリンピックを機会とした障害者のスポーツを、新たな取り組みとしてスポーツ振興全体の位置付けで、さらに進めることが挙げられるのではないかと思っております。ちょっとここを、スポーツ実施率70%の中に一緒に加えていくような、そういう一つの取り組みが必要ではないかということを感じております。

すべての人が生活の中でスポーツを楽しむ機会を築くために、まず従来のスポーツに距離を置いていた人々を掘り起こして、スポーツを楽しい場に誘うという使命を持った指導者が求められております。一般的には、スポーツ指導者がスポーツ向上思考の強い希望者を対象とするのが原則でありますが、スポレク指導者は、スポーツ嫌いや関心のない人を誘い、その気になってもらって、それを続けていけるような、競争よりも楽しみや交流を重視したレクリエーション的な資質を持った指導者が望まれていると考えます。早急に行政と我々、「手前味噌だ、お前たちやれ」ということになるかわかりませんが、レクリエーション協会も連携させてもらいながら、各種スポーツ・レク団体や、スポーツ推進委員、体協の役員の方等から適任者を選定していただいて、これらをスポーツ指導者として養成して、スポーツをするとこんなに楽しいとか、こんな効果がある等を社交性や遊戯性を重点に、実施者を増やしていく取り組みが必要なのではないかと思っているところです。

そして、その人たちの地域の生涯スポーツ団体と連携して、ちょっと細かいことを資料に掲載しておりますが、これは私が思うターゲット層で、そのターゲット層にアプローチをしていただいて、スポーツをする機会と場の提供の橋渡し役によって、実施率の向上を期待しているところでございます。

ターゲット層の第一、20歳代から30歳代の女性の実施率が30%と一番低いというのが実態としてあり、理由として、「疲れてしまう」「無精である」「家事・子育てが忙しい」を挙げられております。これらの世代に、ママと子供のふれあいスポーツ教室や、男女の出会いをスポーツと合コンを組み合わせた婚活、そして、今、学校では学園祭ぐらいしか中々人が集まらないんですが、キャンパスレクリエーションで積極的に人と交流する場をつくったり、成人式にしてもスポーツイベント、ダーツみたいなものをやりながら、スポーツの出会いのきっかけづくりを考えるのはいかがかということが、一つ目です。

第二は、子供の体力低下と基本的動作が失われていることであります。私はよく野外活動をやらせていただいておりますが、躓くとか、咄嗟の対応が出来ない子供たちの怪我が増えてきております。室内遊びが多く、昔やった鬼ごっことか、ボール遊びという外遊びが減少している背景があるのではないかと思っております。これらは、子供の遊び場をまずつくり出していくことと、学校・地域・家庭が一体となった取り組みで、各国が皆一人一日毎日60分以上の運動をするということを推奨したいと思っているところでございます。核家族化した中で、小学生に欠けているのは三間(サンカン)だと言われておりまして、一つは時間。塾などがあって、今の子供は時間が本当になくなりました。二つ目は、空間です。遊び場としての河川敷やお宮という空間がなくなりました。三つ目は仲間です。気の置けない友人を中々持つことができなくなっております。そういう三間を持っていない子供と、三間をいっぱい持っているニューエルダー層と言いますか、60歳前後の方にスポーツを楽しみながら異世代とのコミュニケーションの場を作っていただく。特に、小学校の低学年、スポーツ嫌いがこの時期に始まってきます。そのときに体を動かすことで、新たな経験とか喜びを共有出来るきっかけになることを期待しているところであります。

第三は、働く世代への取り組みです。最近は職場が変わってきまして、パソコンやインターネット等便利な職場環境になってきました。その代償として、生身のコミュニケーションの難しさや体力低下が進んできております。学校を卒業すると、障害者だけではなく一般の人も、高校や大学を卒業するまで競技スポーツをやってきた人が継続することは、殆どなくなってきております。継続には限界があると思いますし、得意な人だけが楽しむスポーツでは、目指している実施率では限界があるのではないかと思っております。対応といたしましては、アクティビティというか、身体活動として自転車通勤をしてもらうとか、企業については、自転車通勤をする自転車の置き場のカバーはしてもらうとか、朝の体操の復活、気楽に楽しめる昼の軽スポーツの継続、子供も参加できるような職場運動会等の企画をしていただいて、心と体の健康と職場のコミュニケーション、そして、今、一番大きな課題になっておりますメンタルヘルスからも重要な取り組みになると思っておりますので、まずは、研修を企画していただいて、企業の厚生担当等を集めていただいて、これらを情報提供することによって、大胆な導入を進めていただきたいと思うわけです。

第四は、障害者への取り組みです。障害者の実施率は19.2%と低くて、70%への到達に向けてこの層の倍増というのは喫緊の課題で、可能性がある取り組みではないかと思います。来るべきパラリンピックに向けてチャレンジする素晴らしさの意識転換を進めると共に、身近なところで出来るスポーツを楽しむことが、幸せな人生を広げることにも繋がってきます。私は人権擁護委員もやっておりますが、11月7日には「障害者スポーツ人権教室」を翠町小学校で計画させてもらっております。車椅子バスケットの方に訪問していただいて、200名の生徒が一緒に楽しみながら、障害者スポーツを理解してもらいます。11月21日には、広島市の特別支援学校をフライングディスクの国体選手の方に訪問していただいて、生徒たちと一緒にフライングディスクをやっていただきます。チャンピオンスポーツに非常に近いものを見ながら、スポーツに興味を持ってもらったり、人生の目標の中にそういうものを組み入れるきっかけにしていただきたいと思っているところでございます。さらに、障害者のスポーツを推進するとか、一般のスポーツの中に障害者の参加工夫をドンドン進めていただきたいと思いますし、公民館等スポーツ施設のバリアフリー改修に積極的に取り組まれますよう、注文を付けさせていただきたいと思います。

そして、最後は高齢者への取り組みです。70歳以上の男性と60から70代の女性の実施率が顕著に下がっております。平均的に72%、70%を超えているわけですが、それが65.5%に下がってきております。原因はいろいろあると思います。私なりに考えてみると、スポーツは真面目に取り組むものだというイメージが非常に強くて、遊ぶとか楽しむことが少なくなって、長続きしなくなっている気がします。私はスポーツジムに行っていまして、今、スポーツジムは高齢者の集まりだと思っていたんですが、最近ちょっと模様替えになっておりまして、子供がすごく増えだしました。スポーツジムで子供の教室が凄く広がってきました。高齢者は確かに多く、ダンスを踊って汗を流しながらダイエットをする人等来ておりますが、筋トレをやる人はインストラクターが「5キロですよ」と言うと、5キロで始めるんですが、目標に向かって真剣に取り組む姿勢から、すぐ6キロ、7キロになって肩が痛くなるとか何とかで、それが一つの縁の切れ目になって、高齢者の姿がすっとなくなっていくのが現状であります。そういう面では、もう少し楽しむ、遊ぶという視点を持った文化が必要になってくる気がします。先程杉野さんからグラウンド・ゴルフ大会700人の話が出ましたが、市長様も、時にはちょっと顔を出していただいて、スポーツジムに行くようなタイツをはいて、ちょっと派手にしていただいて。スポーツはスポーツを楽しむと言うよりも、粋な生き方として楽しむことも必要だと思いますから、市長様から率先していただければと思っているわけです。そのためには、多様な生涯スポーツ財を我々も開発しなければと思っております。以前、広島発のエスキーテニスがありましたが、最近ではガンバルーンと言うボールゲームがあります。常に個性的で新しい取り組みを生み出して、自由に選択してもらう環境をつくり出すことが必要だという気がいたします。

最後に、広島の街のあちこちでスポーツを楽しむ市民の姿が見られ、楽しい歓声が聞こえるのが「平和な街」で、2020年東京から広島に多くの観光客が来られたときに、広島の公園の近くでグラウンド・ゴルフやエスキーテニス等やっておられる姿を見て、旅行者が広島をモデルにしたくなるような街づくりを進めることが、我々のオリンピック・パラリンピックのレガシーとして定着させたいという気でおります。よろしくお願いします。

司会

ありがとうございました。

それでは、市長からコメントをお願いします。

市長

総合的にスポーツ・レクリエーションというものを捉えて、提案いただいたと思ってまして。スポーツ・レクリエーションの切り口から今の問題を見たときには、提言された問題意識、或いは解決策はあるかなという思いでいるんですけども、まちづくりをやろうという立場で見たときには、スポーツ・レクリエーションもまちづくりをやっていく上での一つの重要な素材でありますけど、それを中心にまちづくりということまでは、中々いく道具ではないという部分もあるんですね。

まず、私自身のスポーツのまちづくりの基本的な認識でいきますと、戦後からつい最近まで相当の期間、いわゆる復興型の経済姿勢とかを勉強すると、頑張ってしっかりやれば豊かな世界になるんだということを基本的な生き様にして、トレーニングされた方々60,70,80ぐらいの方ですね。そういった方にとってのスポーツ感は、今からレジャーですからと言われて、急に「はい、レジャーですか」とはならんと思うんです。そういう中で、スポーツ振興の取り組みをやってきたのが日本ですけどもね。いわゆるハングリー国家におけるスポーツのあり方をやってきたが、どうもうまくいかないと。豊かになった国家におけるスポーツをどう考えるかというところで、スポーツ・レクリエーションになったという認識なんですね。最先端の技量を磨くスポーツも残し、裾野を広げるためにレクリエーションという「楽しみ、喜び、体を動かす」という意味でのスポーツ。スポーツという言葉に日本語の訳をあててないから、極めてぬえ的な言葉使ってるんですけども、多分、戦後間もない頃のオリンピックとかを目指す前位のところの話は、いわゆる運動とか、とりわけ競技の技術力を高める。そのために運動量をどうとか施設群とかいうことで、多くの方の水準を高めるとやった。

だけど、競技・運動だけでいくと、皆が豊かな世界になってきた中で、もう一つは、経済社会の中で、学校時代はスポーツしてもいいけど、社会に出たら「運動・競技やったんだから、おまえ仕事しろ。家庭どころじゃない」「もっと企業戦士になって働け」とやったから、その年代のスポーツ普及はなくて、専門家とかプロしか出来なかった。ところが、都市部を中心にそういったことをやってしまうと、体力低下とかいろいろな健康問題、メンタルな問題になることから、もう少し休養を兼ねる、気晴らしを兼ねる意味での体を動かすこともやっていいんじゃないかと。そして、その心と体の調和を、或いは職場も機能化する上で、職場での運動会なんてナンセンスだと止めていったんですよ、無駄だと言って。それが別の意味で、コミュニティを分断して都市化して、どうも良くないということも言われたので、それらを改めて統合し直してスポーツ・レクリエーションを、それぞれの目的に即して振興してみましょうと。

そして、障害者の方についても自らの機能や運動力をアップするためのスポーツを同時にやると。そのためには、バリアフリーの施設も早急に整備しないといけない。バリアフリー化は障害者のためだけでなく、高齢者など多くの機能低下した方々に有利だから、惜しまずに政策重視してお金を投じましょういうモードに漸く来てるんですね。

これが可能な都市がどれほどあるかというと、高度に企業社会が組み合わさって動いてる東京とか大阪は中々出来ないから、そういう政策を縫って、民間のスポーツ施設が金をとってやるということで、「国家が言うんだから、ビジネスエリアが出来た」と言って入り始めたというふうに見てるわけです。広島の場合は、そこまで都市化してない。田舎の部分があるから、スポーツとレクリエーション両方を大事にした政策をやりましょうというのは、今ここで頑張れば、最適モデルが出来るかもわからないぐらいのつもりなんです。

だから、職場、広島における企業群は、ワーク・ライフ・バランスと言いますけども、適度に仕事をすることと、家庭生活をママさんだけじゃなくて、お父さんもやる。そういった生活時間を過ごすときに、地域のレクリエーションなどの中で、運動を取り込んで、それを皆でやって汗を流すと。そういうまちの活動に参加することを、企業としてもオーケーする。単なる労務管理としてではなく、企業群の特性として認めてあげるということをやらないと。多分、企業担当者に「自転車通勤をしましょう」とか、「体を動かしましょう」とか、「職場の運動会やりましょう」と言ったって聞かないです。経営者層クラスが、この地域はそういうふうにするほうがええんじゃと。平和の街広島はそういうことをやる企業群でいっぱいなんだという状況をつくり上げることをやっていかないと。担当者レベルでやったって、「上がどう言うかわかりませんから」、「わかりましたけど、頑張りましょう」といつまで経っても合い言葉で終わっちゃうと思うんですね。

だから、そういうことをするための足がかりがどこにあるかという目線で、いただいた提言を大事にしたいと思うんですね。価値観を変えたことがいいですねというモデルをこの市域、或いは広域都市圏の中でどこか見せてあげてやれんかなと思って。いきなりすべてできませんが、今言われた理想が現実になるためにも、スポーツとレクリエーション、この幅、全部を目標に何となく取り込んでいって、それぞれやってきたので、もう一回整理して役割分担をもう一回見直してやるということをやりたいなという思いでありまして、今日のお話を聞いて、益々これらの問題を総合的に解決するためには、一個一個丁寧に序列化して、問題がどこにあるかということもう一遍よく発掘して、誰がどう協力すればできるかということも、しっかり分析しなきゃいかんというような思いであります。個別の答えにならんのですけどね。

司会

ありがとうございました。

続きまして、広島市スポーツ協会白雲次長様、佐伯区スポーツセンター館長の舘野様、お願いします。

広島市スポーツ協会事務局事業担当次長

よろしくお願いいたします。

まず、当協会の概要ですけども、お手元のプロフィールという冊子を1枚めくっていただきまして、当協会は昭和12年、広島市体育協会として設立されております。その法人格の一つとしまして、平成14年にスポーツセンター等の管理運営を広島市から委託しておりました財団法人広島市スポーツ事業団と統合して、「財団法人広島スポーツ協会」の名称に変更となっております。平成23年公益財団法人に移行しまして、現在に至っております。広島市のスポーツ振興計画の具現化に向けて、地域スポーツの振興と競技力の向上を二つの大きな柱として取り組んでおります。プロフィールには本協会の事業計画、機構図などを掲載しておりますので、後ほどお時間がありますときにご覧いただければと思います。

次に、本協会の主な取り組み状況でございます。一つ目は、スポーツセンター等でのスポーツスクール事業を初めとする健康体力づくりに関するプログラムの提供。二つ目は、地域団体の自主的、主体的かつ継続的活動を支援するために、地域スポーツ振興コーディネーター等によります小学校区の体育協会を対象としました健康体づくりの啓発活動、或いはウォーキングを題材にしまして、一週間に一回以上の運動週間を目標としましょうという「ワンスポ事業」を実施しております。三つ目は、区役所健康長寿課等と協会の地域スポーツ振興コーディネーターが連携させていただいて、メタボ対策や介護予防に関する事業の運動指導を支援させていただいております。四つ目は、区役所地域起こし推進課と連携させていただきまして、各区に拠点を置くトップスポーツチームを日本リーグ等の会場で応援する「区応援隊」の編成、応援の実施ということを主に取り組んでおります。

これまでも本日参加の皆さんからもございましたけれども、健康体力づくりに興味関心を持ち、実践されている市民の方々、非常にいらっしゃる一方で、スポーツに無関心な層もあると。スポーツに無関心な層へ積極的にアプローチして、スポーツの実施率をさらに向上させるというお話が先程からも出てますけども、健康寿命の延伸に代表されるような地域の課題解決に向けて、スポーツを通じて取り組んでいくことが重要と考えております。取り組みを行う中では、当協会が管理運営しておりますスポーツセンターでプログラムを用意して待っているだけでは、スポーツ振興計画に掲げられている数値目標に近づくのは、中々難しいと考えておりまして、地域に出向いた取り組みが必要になると考えております。

こうした中で、広島市が行われております「高齢者いきいき活動ポイント事業」は、地域へ我々が出て行って、地域の方、特に高齢者の方のスポーツ振興をしていく上で、新たな付加価値を持ったアイテムとなっておりまして、地域の高齢者の方が家にずっといるんじゃなくて、外に出ていって活動をするというような形のものになっていると認識をしております。高齢者いきいき活動ポイント事業に関する当協会の取組み、特に、スポーツセンターでの様子を、佐伯区スポーツセンター館長の舘野から報告させていただきます。

広島市スポーツ協会佐伯区スポーツセンター館長

それでは、現場でのお話ということで簡単に報告をさせていただきます。

スポーツセンター等で、具体的にこの事業をどのようにするか決定したのが、8月下旬ぎりぎりになってしまいましたので、準備等でバタバタしたんですけども、9月に入ってから多くの方にご利用いただいております。印象としましても、9月、10月新規の70歳以上のお客様が確実に増えております。9月25日から10月1日の一週間の間だけですけれども、どれぐらいの方がこのポイントを利用されているか調査しました。8区のスポーツセンター、クアハウス、広域公園等地区施設におきまして、総数4,596人の方に利用をいただいております。多いスポーツセンターで1,000人ちょっと、少ないところでも300人ちょっとという数字として具体的に上がっております。スポーツセンターとしては、「ポイントいっぱいになったから、もう行かん」ということではなく、いかにその後も健康づくりのために、スポーツセンターに来てよかったねということで、継続して来てもらって利用していただけるかということが、今後の課題になるのかなと思っております。いきいき活動ポイント事業については、以上でございます。

広島市スポーツ協会事務局事業担当次長

高齢者いきいき活動ポイント事業は、名のとおり高齢者の方対象の事業ということですが、そのまま高齢者だけでなくて若い年代へも対応を考えていって、スポーツの実施率を上げていくことが必要ではないかと認識はしております。実施率を上げるという意味から申しますと、幼児期からカープやサンフレッチェ広島に代表されるようなプロスポーツ、或いは国際大会誘致等によるトップスポーツを直接観戦する機会を設ける。それから、トップス広島さんとか、出来るだけそういう観戦機会も増やす取り組みをして、いかに子供時代にスポーツを嫌いにならないかが、後のスポーツ活動を継続させること、自分のライフステージに合ったスポーツの取り組み方に影響してくると考えております。

こうした全体の取り組みをしていく上で、今日、お集まりのスポーツ関係団体はもちろんのこと、保健医療関係でありますとか、介護予防関係、子育て支援関係、或いは大学、観光推進関係など、スポーツ関係団体以外との全市的な連携体制は強化していく必要があると思っております。スポーツには多様な価値があるという認識の下、いろいろ取り組みを行うことは、非常に大切だなと思っております。

以上です。

司会

ありがとうございました。

それでは、市長からコメントをお願いします。

市長

今まで私が申し上げた問題が、実はこの協会にすべて集約されてまして、資料を見ていただいてもわかるんですけど、名称変更と意義のところに、全部書いてあるんですよね。「本来、スポーツとは、体を動かすという人間の本源的な要求に応える。」これ一つです。それから、「ともに、心身両面に渡る健康保持、増進に資する。」これ一つ。一方で、「競技力向上のため、人間の可能性の極限を追求するという意義」。実はこの順番が逆になってまして。本来スポーツは、人間の可能性の極限を追求するというぐらいの言葉で輸入して、訳さずにほっといて、これだけだとスポーツというのは、技能向上。健康保持、増進。最後は体を動かして人間の本源的な要求に応えると。こういう順番なんですね。だから、こういうことをやること。そして、市民がボランティアとしてスポーツ活動を支援することにより喜びを見い出すと。スポーツって凄いものなんだ、だから振興せないかん、さぼっちゃいかんよという説明にして、それを運営する団体がバラバラだったので、公益法人の整理のときに一本化するというので、わかったと、行政でクシャッとした。そして、この法人は市のいろいろな施設群もまとめて管理しましょう、管理しながら今言ったようなことをやる。その心は、「総合型地域スポーツクラブ」、こういうのをやってくれといった、そういう形で国も支援するようにしたから、地方も頑張ってくれ、わかりましたとやったわけです。ですから、皆さん方の取り組み、いろいろそれぞれの分野でやっていたのを、統合してやるというところまでの発想はよかったんですけども、さて統合した後に個別の問題、処方箋をどう講じるかというときに、議論が噛み合わんのですね。こうしたらええじゃないかと言ったら、自分のところはこうやりますと。こう言えば、私はこうですと。とにかくみんな仲良くしましょうや、ええことしましょうやと言って、問題はドンドン広がるけれども、分析はドンドン深まるけれども、具体的な対策を皆で一緒になってどうするという体制が、今ないんですよ。ここが、スポーツ行政の今の一番の難点。

国はスポーツ庁をつくりましたよ。だけど、問題を整理して地方に投げるだけで、受けてちゃんと処理する地方行政が出来ていないんですよ。問題がドンドン先走りしてね。だから、出していただいた問題を、今、持ってるこのツール、道具を使って一個一個、着実に解決することをやっていきたいんですね。それをやらんかったら、何年経っても同じ議論をしながら、ちょっとずつしかやらないですよ。加速度的にやるためには、これはレクリエーションという取り組みをやるんだから、レクリエーションという視点でそれどうしましょう。これはトップアスリートがやるという取り組みだから、レクリエーションとどう関連させる。障害者の方に機能アップだけども、これはお年寄りとか機能不全の方に役立つから、力を入れてやりましょう。それを皆にわかってもらってね。何のために自分らここへ参加して、どこに影響するんだということをわかってもらうようにして、そこに効率的な行政支援をやる。必要なところは民間の援助も商売になるところは入れていく。こういう感じでやりたいんです。何でもかんでも行政でやってくださいというのは、うまくいかなくなってしまってるんですね。この組織が実はすべて象徴していると思ってまして。そんな中で、今、まちづくりということを言いましたので、私はポイント事業なんかも、自らが出ていってコミュニティをやる。自分の健康に役立つんだから、ポイント事業こういうところを使うんはええじゃないか。判こを押すのも大変だろうから、こういうところがうまくかんでやるということをやりました。これは、この目的の中で喜びを見い出すスポーツとか、ボランティアとしてスポーツ活動を支援することは喜びだということに着目してやった。もっとドンドン本来のトップアスリートをやるというようなところについても関心持ってる方いっぱいおられます。これについての評価がどうなっていくかとか。

そして、レクリエーションとスポーツの間で地域ごとに取り組みをやって、全国大会のときは支援するけれども、まだ予選だったら、そんな御褒美あげられんから支援しないみたいな体系もあったりとかね。障害者については、それは特別に支援するとかありますが、そういうのも全体で整理するべきだと思うんですね。本当に全体として盛り上げていくために、薄くても広くやる支援というのはあったっていいかもということですよ。

だから、問題意識があるはずなのに、今までの体系は崩さずに少しだけ直してくださいという問題意識から、このスポーツ・レクリエーションを広島市でもっと本当にいろいろな意味で、「多様化する市民のスポーツニーズに的確に応えるように組み替えをやる」と資料に書いてあるんですけどね。法人作ったって書いてあるんだけど、看板に終わってるというのが、問題意識でありまして、何かやりたいとこう思っています。やるまでもうちょい時間ください。すぐに効果があるわけじゃないですけど、言われた問題を少しずつ解決しながら、そこに向かうという気持ちで臨んでいるということをわかってください。

司会

最後に、広島トップスポーツクラブネットワーク会長の河邉様、お願いいたします。

特定非営利活動法人広島トップスポーツクラブネットワーク会長

改めましてトップス広島の河邉でございます。よろしくお願いします。

私どもは、現役のトップアスリートを抱えておりますので、私どもなりの御提言ができればと思っております。

初めに、トップス広島につきまして、簡単に御紹介をさせていただきます。皆さんのお手元にリーフレットを御用意させていただきましたが、1枚めくっていただきまして、まず、トップス広島には、所属しているメンバーが9チームクラブあります。御承知かと思いますが、実は私どものメンバーは、日本の各競技団体のトップリーグに参戦していたチームが入会の資格要件となっておりまして、今、大変皆さん方に御支援いただいておりますドラゴンフライズはまだ入ってないんですが、将来的にいろいろ考えていきたいと思います。

立ち上げの背景・目的は、その右側にトップス広島のあゆみと記しておりますが、平成11年にサッカーJリーグの100年構想として、サッカー、バレーボール、バスケットボール、ハンドボールの4団体が連携いたしまして、地域のスポーツ振興に乗り出しました。地域密着型のスポーツ振興のモデル地区として、全国の都市の中から広島が選ばれまして、トップス広島が誕生しております。

目指す姿といたしましては、左のほうに書いてございますが、「オール広島・オールスポーツ」の実現に向けまして、スポーツの振興、子供たちの心と体の健全な育成、まちづくりの推進の3本柱で現在も活動を続けております。

活動の風景につきまして、リーフレット最後のぺージに少し写真をつけておりますので、また後でご覧いただければと思います。

それでは具体的な活動の内容を少しお話したいと思いますが、お配りしております平成28年度事業報告書をご覧いただければと思います。事業名のところの上から四つ目、Doスポーツ指導者招聘事業について、御紹介いたします。これは広島市の教育委員会と共に、平成13年からやっております事業でございます。広島市内の小学校に出向きまして、体育の授業など5,6年生を中心に直接現役の選手が指導を行って、スポーツの楽しさや喜びを感じていただける活動で、昨年は、82校へ現役の選手323名を派遣しました。参加していただきました子供たちは、6,137名でございまして、こういう活動を毎年継続しておるところでございます。この事業は、校長先生といろいろなお話しをする機会があるんですが、「Doスポーツのある日には、朝から子供たちがトップアスリートと会えると大変そわそわとして、生き生きと目を輝かせて、いつも楽しみにしております」と当日も、また「大変子供からも喜ばれて感謝をしております」というお便りもいただいております。それ以外にいろいろな活動をやっておりますが、今日は時間の関係で、御紹介はこの1件にさせていただきます。お時間がございましたら、御一読いただければ幸いでございます。

それでは、意見、提案ということで、二点ばかりお話させていただければと思います。私どもスポーツ振興計画を拝見しまして、大変素晴らしい内容にまとめられております。ただ、これをいかに実行して、結果に結び付けるかということが大変だと思うんですが、やはり地道な身近な活動の積み重ねしかないと、私は思っております。

一点目ですが、スポーツ振興をしていく上で、大変大切なことは、私は市民の多くの方々がスポーツと接する機会を持つことが、まずスタートだと思います。特に、各競技種目の中で、日本リーグなどトップレベルの試合をぜひ観戦していただきたいと思うんです。それは本当の意味のスポーツの素晴らしさを肌で感じていただく機会でもございまして、スポーツを始める動機付けにも繋がるのではないかと、私は思っております。また、スポーツを通しまして、子供たちの心と体を育む環境整備が重要だと思っております。トップス広島で活躍している各種目のトップレベルのチームは、政令指定都市で広島市しかありません。そういう非常に大きな財産を広島市は持っておりますので、ぜひDoスポーツの素晴らしさを持って、トップアスリートとの交流をドンドン重ねていくことで、子供たちはスポーツの楽しさを体験出来、機会を増やす取り組みによって、子供たちの目的であったり、目標であったり、そういうことが育まれていくだろうと思っております。それから、子供のスポーツ教室などに帯同されておられます多くの皆さんも、一緒にスポーツを楽しむ環境づくりを推進していただければということで御提言いたします。と申しますのは、私は出身の母体がコカコーラでございまして、ホッケーを学生のときからしていたのですが、それはともかくとしまして、実は岐阜県各務原市に素晴らしいホッケー文化が育っているまちがあります。そこは、スポ少からユース、ジュニア、大学、それから社会人、ソニーが長い間、女子のホッケーを牽引してくれていますが、アテネの大会以降大体、日本代表の選手の半分以上がソニーの選手です。そういうことで、小学校の頃から子供たちはホッケーをやってオリンピックに行こうという目標が非常に明確なんですね。小学校、中学校、高校、大学、大学も東海女子がありますので、そこも大変強い大学です。最終的にソニーに入ってオリンピックに行く。その各務原市では、お母さんたちが子供を連れて来ておられるんですが、連れて来てるだけではおもしろくない、「折角の機会だから、私たちもホッケーをやろう」ということで、現在、小さい各務原市で、ママさんのチームが3チーム出来ております。子供を連れて来て、自分たちもホッケーを楽しみながら、チームごとで試合をしながら、一緒になってやっている状況、非常にそういう意味では小さなまちですが、スポーツの文化を作っているように私は思います。

それから、二点目は、ぜひ市長さんにお願いしたいんですが、ジュニア選手の競技力を向上させていくためには、指導者が絶対的です。従いまして、指導者の確保・育成が大変重要でございます。広島は残念ながら、えひめ国体の内容をご覧いただければわかりますが、スポ少からユース、ジュニア、すべてのスポーツ競技力のレベルが低下しております。全国トップレベルのスポーツ実績のある学生を教員に、或いは職員に定期的、計画的、継続的に採用することによって、モデル校を作っていただき、地道ではございますが、それぞれ競技の種目を育て、波及させて広島全体の教育の向上を図っていただくことが急務ではないかと思います。お隣島根県の奥出雲町に横田という地域がございまして、ここも小さな数千人のまちなんですが、ホッケーの文化を育てております。今回の国体で、少年男子は優勝、少年女子は準優勝しました。成年男子は3位になりました。成年女子は私ども女子の方が優勝しまして、島根県は総合が607点だと思います。ホッケーだけで170点、この小さなまちで稼いでおります。ここの素晴らしい点は、小学校、中学校、高校、それから高校からいろいろな大学に行って経験を積んで、或いは日の丸を背負って地元出身者が横田に帰ってくるんですね。小学校、中学校、高校とホッケー部は皆地元で育って、大学で活躍した方が教職員として採用されます。従って、一貫した循環型の体制ができておりまして、この横田地区からもオリンピックにずっと出ております、選手らが。そういうことがとても子供たちに夢とか、目標になっていると思いますので、御紹介しておきます。

それから、これは最後に、特に松井市長様にお願いしたいんですが、実は私も日本代表の選手を連れまして、オリンピックに行かせていただいたり、或いは国際大会に帯同した経験があるんですが、特に、アメリカですとかオーストラリア、ヨーロッパですと、ドイツ、フランス、そういう国では国そのものの国の力の中に経済力と同等に、スポーツを通して国もまた強くしていくという文化があります。ヘッドコーチや団長さんと話して、いろいろなことをお聞きする中で、私はオリンピックで学んだのは、そういうことです。先程市長もおっしゃいましたが、日本はスポーツ庁をつくって、鈴木大地さんが長となっていますが、世界のそういうスポーツの力で国を大きく支えていこうという考え方と全くレベルが違います。隣の韓国にしても、中国にしても、国立のナショナルトレーニングセンターを主要な都市では置いております。日本は御承知のとおり、東京都北区赤羽にナショナルセンターがございます。もちろん医科学センターも併設しておりますが、私はやはり日本の主要な都市にスポーツナショナルセンターをぜひ設置していただき、地域の非常に可能性のある子供たち、或いは子供たちだけでなく、スポーツを楽しむ人たちにとって、そういう施設は大きな柱になるし、波及の効果も十分あると思いますし、そういった意味で、機会がございましたらその辺のお話をしていただければありがたいなと思います。

以上でございます。

司会

ありがとうございました。

市長

トップアスリートの養成ということで、先程言った中で、スポーツ振興の原点なんですよ、これはね。日本の場合は、オリンピックとか何か考えてやらないかんとハングリー型でやってきて、ふり返って世界を見ると、ハングリー型でやってるスポーツでうまく成功したら年金まで与えて、生涯面倒見るから頑張れというような凄い国から、それとは関係なくむしろスポーツを産業として、育成できるだけの基盤を持ってる、つまり自分たちの国でこのスポーツに関する基本ルールを設定して世界でやってもらったら、それに必要なツールとかいろいろなものも世界に供給できるアングロサクソン系のスポーツありますよ。そのときの基準も自分たちがつくってやってる。そして、外交とか何かの部分でも、その国が主導して世界をコントロールするというところがあるんです。それを一部真似したのが日本柔道ですけどね。結局、お株とられてしまいましたよ。本当に日本は世界のことを学んで一生懸命やってますが、まだまだ道半ばというふうに思っていいと思うんですね。

そして、言われたような大型の施設も企業化できるとか、世界とこうして産業として取り組むというところまで決断が出来れば、各都市もやるでしょうし、製造業じゃなくてサービス産業的なものの中で、スポーツ産業というものを一定程度世界に浸透させるんだという国家としての決断が出来れば、もっと大型の投資が出来るんですけれども、それもやらないといかんいうのがわかったと。しかし、それ以上に貿易立国を維持しないとやっていけないというのがあって、問題意識はわかったとしても、いきなりシフト出来ないのが今の現状だと思っています。

だから、理解できないわけじゃなくて、理解した上で我が国の国力とか、地の利、例えばスポーツ振興に資するためにいろいろ呼んでくると言いますけど、ファーイーストと言われるように、ヨーロッパから見たら大陸の端なんですよ。来るだけで莫大な法外な旅費がかかって、大陸だったら車でヒョイヒョイと行って隣の国でスポーツやって帰れるんですけど、日本は出来ないんです。仕掛けからして大変な中で、ヨーロッパでやってることをすぐ真似して「ええですな」と言ったって、日本海を埋めて陸地にすれば出来るけど、それにしたって中々出来んのですよ。

そういうことの問題意識を置きながら、しかし、ここまでいろいろな問題提起されてやるという、この整理をやりましょうと本当に言いたいんですね。それぞれの視点でよくしなきゃいかん。したい。その知恵は世界中に溢れてるし、一部ちょっとずつ皆取り込んどるけども、その取り込み度合いと自分たちの立ち位置というのを、お互いに認識することなく、「わしゃやってくれ、わしゃやってくれ」ということをやって、皆抱えて、どれも中途半端なんですよ、私から言わせればね。だけど、フルにそういう問題をちょっとずつ解決してる都市は政令市の中でも我が市、トップレベルのチームを擁してるのはうちしかないと言われてるんですよ。だったら、これをどう生かすか。

今言われたように小さなまちでホッケー選手を養成して、それを売り込んで、そして循環型にすると。一つのスポーツで頑張ろうというのは出来んことではないもしれません。しかし、広島は政令指定都市なので、特定の分だけというのは出来ないんです。もう既に、スポーツドンドン拡大してるから、どれも配慮しなきゃいけない。その配慮したときに、例えば市内、広域都市にも広げていいんですよ。小学校中学校どれくらいあって、その中で校長先生とかよくよく選考させて、どういうスポーツに力を入れる学校にしますとかということですね。そして、それから中学校、高校、一連の育てる技量を高めるためのスポーツにも力入れますと。そして、その先にはプロ集団があるわけですから、あなた方の利益を少し還元してこれを育てるほうにちょっと投資しませんかと。そして、それをやるということで行政もお金出しませんかと。それをやるスポーツ振興基金なんかをうまく使うとか。そうしないと、財源確保出来ないといくら言ったってできないんでね。

だから、これだけプロスポーツがあるのであれば、スポンサーやってる企業群ともう一遍、循環型のスポーツ体系、資質がある人を育てる小中高をどういうふうにするか。既存の学校でもそれをやっていきたいという学校があったら、そこと連携を深めてスポーツ進学校を作り上げていいじゃないですか。もっとポジティブに言いたいんですよ。伝統校があればそれを使う、ゆとり豊かさを感じるレクリエーション・スポーツを広く地域でやる。それから、尖がったスポーツ振興と平たく誰もが参加できるようなのを役割分担して、私はここをやるんだという明確な意識を持ちたいんですね。そして、我が市はそれのどこにどう支援しています、この仕掛けはどうしますというふうにしたい。

とりわけ文科省のことで気付いたのは、今までは、スポーツを尖がらそうじゃなくて、仲良くする方でいってますから。学校の先生が部活に全部ついていく、素人でもいいからやりなさいと。真面目な先生ですから、自分はやったことないけど、それについていくだけで、生徒は伸びませんというようなこともあるんで。先生を雇うとなると、ある地域だと学校出てスポーツやって、ある意味その地域では非常にステータスが上がってるから、その先生を優先して採用してもいいかもわかりませんが、そこへ行ってないところで先生雇うと、スポーツだけじゃ教員費出してもったいないから、やっぱりちゃんとした選考基準でスポーツをできる人を雇うと。部活の指導員みたいな外枠で専門の方と先生をコンビで組ませて、定員の枠外でつけてはどうかということを、文科省も言い始めて、今年の4月から規則変えてやりました。まさに、問題意識は国も持ってるんですね。

本当にスポーツをしっかりやれる方、例えば、トップスの中で選手とまではいかないけど専門の技量がある方をグループ化して派遣していただいて、部活の指導員をやっていただくようなことをやるのもどうかなと思ったりしまして、まだまだどういう仕掛けにしたらいいかわかりませんが、うちの方でそういう仕掛けをやりますと言ってみれば、結構、運用なんかでうまくいくんじゃないかという気もしてるんですね。その先生が育てて、最後トップアスリートにするという意識がないと育て方違いますもんね。単に普通よりいいというだけじゃいかんし、トレーニングして伸びるようにして、早くからトップアスリートと接点持たすように、いろいろな仕掛けをして、刺激して褒めてあげてやる気になって、全国大会出すとか。そういうところまで全部スケジュール管理しなきゃいかんと思うんですよ、多分先生はね。学校の先生の片手間じゃ無理だと思ったりもしましてね。

問題意識は、皆さんのお話聞いてると、すごく充実したんですけれど、ちょっと解決までにもう少しお時間いただきたいと思います。

以上です。

司会

ありがとうございました。

皆さんから御意見、すべて終了しました。午後4時まで時間の許す限り、意見交換をと考えておりましたが、4時を少し過ぎましたので、最後どうしても御意見とかございましたら、よろしいでしょうか。

それでは、最後に市長から、全体を通してのコメントをいただければと思います。

市長

貴重な時間を頂戴してお話を聞き、ある意味で私の思いの丈を言わせていただきまして、ありがとうございました。

お話を聞き、また意見を言う中で、改めて自分自身確認したことは、このスポーツ・レクリエーション活動を地域で振興していく、効果的に推進していくためには、まずもってこのスポーツ・レクリエーションに関係する皆さんの熱い情熱ですね、想いというのが土台にあって、それを行政としてどう受けとめるか、そして、皆さんと一緒になって振興策に知恵を出すという、この作業をしっかりやっていかないといかんなと思うんですね。

問題意識はあるけれども、誰かやるべきでやってほしい。しかし、出来ませんということを繰り返すと、欲求不満のフラストレーションが溜まると思うんですね。だから、この問題意識を一つでも、二つでも確実に解決するための具体的方策を編み出すために、もう一遍しっかり協力していくということをやらせてください。

私自身一人では足りませんからね。担当の職員もいますので、思いの丈をぶつけていただいて、しっかりやるということだと思います。その際、自分の行政手法とすれば、目指す市の像をちゃんとしないといけないと思うんです。東京みたいな大都市じゃない中都市ですけども、ここで皆がいいなと思うのは、仕事とか家庭に割り振る時間、働き方とかを仕事だけやっとけばいいということを我が市は狙ってるのではなくて、多くの方が両方、知事も言ってるんですけどね。職場と家庭生活をバランスよくやれるということを狙う、それに向けて関係者がちょっとずつ調整するというまちにしていきたい。そういう環境を作るということを別途必ずやることを前提に、その中で「スポーツというものを、こういうふうに位置付けるんです」という話ができるようにしたいんです。部分解決じゃなくて、全体解決を図るようにしたいと思います。

そして、そのときにやる要素は今あるこの仕掛けを、全面グシャグシャにするんじゃなくて、少しずつ玉突きで改善して、より良い方向に持っていくために、それぞれの組織でどういうふうに調整するかを皆にお願いしたいなと思うんです。一カ所だけでは到底直らないということですよね。それが大きな問題意識です。

それと同時に、もう一つは、人間は多種多様、個人の資質から言って障害者の方から健常者、肉体的にも精神的にもいろいろありますけれども、そういう多くの方にスポーツ・レクリエーションに触れて、それを「いいもんだ」と思ってもらうようにするということをベースにしながら、スポーツというものを例えば、他の国とか他の人と競うという競技、或いは競争社会がある中での重要なツールとしてやってるという世界は、現にヨーロッパでもあるわけですよね。それに負けんぐらい、ハングリーな地域じゃないけども、豊かになってるけれども、そういうのを余裕を持ってやれる部分があるまちにもしたいんです。それが、このスポーツ王国だというふうに思っています。

行政だけじゃなくて、既にそういうことを思っていただいている企業の方の理解をもっと深めて、新たな企業利益と共に、地域還元と言うんだから、育てるところには、「もうちょい支援してください、行政もさせますから」と。ずっと育てて、また戻ってくるぐらいの、そういう選手層を育て広げるという取り組み、一個一個のイベントでお客を集めることも重要ですけど、その中で、例えば上がる収益も次の投資に回すように少し余裕出してくれとかいう話も、もっと正面からやるのはどうかなと思ったわけであります。すぐに出来ることではないですけれども、我々すべてがそういうふうに思ってましてね。この地域で企業活動をするときには、そうやらないかんのですよということを、行政がジワジワとやりながら、財源確保みたいなこともやると。

そして、皆さんの地域活動については、財源は細ってるという別の面がありますから、町内会、自治会などへの支援の仕方を組み替える中で、或いは新しいポイント制事業などを導入したときに、それらに関わるコストをうまく落とすような工夫をして、財源に余り悩まされることのない仕掛けを少しずつ導入していくこともやれんかなと思っています。

具体的なことを言える資料が今ありませんが、そういう方向性を維持しながら、今ある我が市のスポーツ・レクリエーションの強みを生かしながら、もう一つ、今までの問題をちょっとずつ解決していい状況に持っていくということ、この決意はこの話を通じてしっかりさせていただきましたので、それに向けて、しっかり汗流したいと思いますんでね。皆さん方の御協力を改めてお願いして、私の挨拶といたします。ありがとうございました。

司会

本日は、長時間にわたり、皆さんありがとうございました。

我々行政と皆さんとの相互連携・協力で、市民の皆さんにスポーツができる喜びを、皆さんと共に提供出来ればなというふうに思っております。

それでは、これを持ちまして、本日の「市政車座談義」を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

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