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WHO(世界保健機関)は罹患後症状について、「post COVID-19 condition(long COVID)」として、「新型コロナウイルスに罹患した人に見られ、少なくとも2か月以上持続し、他の疾患による症状として説明がつかないものである。通常はCOVID-19の発症から3ヵ月経った時点にもみられる」と定義しています。
令和4年度の厚生労働科学研究では、研究機関や自治体と連携し、発生頻度や症状、経過などについて大規模な住民調査を行いました。その結果、感染された方が罹患後症状を有した割合は、感染されていない方が何らかの症状を有した割合よりも2~3倍高かった、という知見が得られました。一方で、罹患後症状が感染者のうちどれくらいの頻度で発生するかについては、研究によりその定義の方法や調査手法が異なり一概に比較することが困難であること、症状がある人のほうが調査に回答する割合が高くなる回答バイアスが生じうるなど調査には限界があることから、明確には分かっていません。
なお、WHOは、これまでの研究によるとCOVID-19感染者の約10~20%に罹患後症状が発生するとしています。
(参考)
罹患後症状に関する研究について<外部リンク>(厚生労働省ホームページ)
Coronavirus disease (COVID-19): Post COVID-19 condition (WHO)<外部リンク>(WHOホームページ)
後遺症の主な症状として、疲労感や倦怠感、息苦しさ、嗅覚・味覚障害、関節痛、筋肉痛、咳、息切れなどが報告されています。
また、令和5年2月に実施された広島県の調査<外部リンク>では 、回答のあった県内の感染者727人中、27.7%が後遺症を感じており、そのうちの30%が、社会生活への影響があると回答しています。
これまでの知見等によると、罹患後症状の多くは、時間経過とともに改善することが多いと報告されています。一方、症状が残存する方も一定程度いるという結果等も得られています。
罹患後症状に特化した治療方法はなく、国内外で研究が進められています。一方で、罹患後症状の多くは、時間経過とともに改善することが多く、その過程で、各症状に応じた対症療法(症状を和らげる治療:咳に対して咳止め薬を処方する等)が行われることもあります。
また、症状が改善せずに持続する場合には、他の疾患による症状の可能性もありますので、かかりつけ医等や地域の医療機関にご相談下さい。厚生労働省では、罹患後症状の診療について取りまとめた「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(第3.0版)」<外部リンク>(厚生労働省ホームページ)を公開しています。
新型コロナウイルス感染症の後遺症が疑われる場合は、かかりつけ医または「後遺症の診療医療機関リスト [PDFファイル/233KB]※」にある医療機関にご相談ください。
※ 後遺症診療医療機関リストは、広島市医師会が会員医療機関に調査し、作成されたものです。
各医療機関は対応する診療科目が限定されている場合や、予約制の場合もありますので、まずはお問合せの上、受診してください。
広島県ホームページには広島県が作成した「新型コロナ罹患後症状に悩む方の診療をしている医療機関」<外部リンク>が掲載されています。
また、新型コロナ罹患後症状による障害の状態が一定基準に該当すれば身体障害者手帳の交付の対象となります〈内部リンク〉。
厚生労働省から、新型コロナウイルス感染症の羅患後症状に関する資料が示されていますので、参考としてください。
令和5年10月20日に「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(第3.0版)」<外部リンク>(厚生労働省ホームページ)が更新されました。