ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 衛研ニュース > 生物科学部 > 感染症、食中毒等に関すること > 衛研ニュース/新型インフルエンザとは

本文

衛研ニュース/新型インフルエンザとは

ページ番号:0000000228 更新日:2007年11月7日更新 印刷ページ表示

新型インフルエンザとは

 インフルエンザはインフルエンザウイルスに感染することによっておこる急性の呼吸器系疾患です。

 インフルエンザウイルスは、ウイルス粒子を構成するタンパク質の抗原性の違いに基づきA型、B型、C型の3種類に分けられます。このうちインフエンザウイルスA型はヒトだけでなく、例えば、鳥や豚などの動物にも感染します。通常、鳥のインフルエンザウイルスはヒトには感染しませんが、豚は鳥とヒトのインフルエンザウイルスに感染します。同じ豚が同時に両方のウイルスに感染すると、豚の体内で鳥とヒトのウイルス遺伝子の一部が置き換わる現象が起きると、これまでヒトに感染しなかった鳥インフルエンザウイルスがヒトに感染するようになり、さらにヒトからヒトへと直接感染するようになると、新型インフルエンザが出現したことになります。

 平成15年(2003年)12月以降、ヒトには感染したことがない鳥インフルエンザウイルスのヒト感染例が報告されています。これまでのところ、ヒトからヒトへの感染はほとんど確認されていませんが、ヒトからヒトに感染しやすいウイルス(新型インフルエンザウイルス)へと変異し、世界的に流行する可能性があります。

インフルエンザウイルスの由来

 ヒトのインフルエンザウイルスは、カモなどの水鳥を自然宿主とする鳥型ウイルスに由来しています。自然界の鳥型ウイルスは弱毒型で、通常、鳥の腸管や呼吸器上皮での不顕性感染にとどまり、ウイルスは糞とともに環境中にばらまかれます。

 鳥型ウイルスのヒトへの感染はまれですが、現在流行しているヒトのインフルエンザウイルスは、鳥の腸内に感染する弱毒型ウイルスが様々な遺伝子変異によって、ヒトの呼吸器に感染するようになったと考えられています。

高病原性鳥インフルエンザ

 インフルエンザウイルスA型は、ウイルス表面にある2種類の突起(HAとNA)の抗原性によりHAはH1~H16、NAはN1~N9に分けられ、亜型分類はHとNの組み合わせで表されます。現在、ヒトのなかではH1およびH3亜型が流行しています。

 弱毒型鳥インフルエンザウイルスの中でもH5またはH7亜型ウイルスは、ニワトリの中で伝播流行すると遺伝子変異によって強毒型(高病原性)ウイルスに変化することがあります。この強毒型ウイルスは家禽に強い感染力を有し、全身感染を起こして発症するとほぼ100%が死亡します。これが高病原性鳥インフルエンザという鳥の伝染病で、かつて家禽ペストと呼ばれました。2003年に東アジアから始まったH5N1亜型高病原性鳥インフルエンザの流行は全世界に拡大しています。渡り鳥が世界中に広めたと言われていますが、それだけでは説明のできない部分もあり、貿易や密輸による広がりも考えられます。現在流行中のH5N1亜型ウイルスは特に病原性が強く、家禽以外にも多くの野鳥や、ネコ、トラ、ネズミ、イヌ、ブタなどの哺乳動物にも致死的な全身感染を引き起こしています。

高病原性鳥インフルエンザのヒトへの感染

 H5N1亜型の鳥インフルエンザウイルスがヒトに感染することはまれですが、これまでに世界中で300人以上の患者が確認されています。ヒトへの感染は病鳥や死鳥との濃厚接触が主原因と考えられています。感染した場合の潜伏期は2~8日で、不顕性感染はほとんどなく、感染するとほぼ100%が発病し、60%以上が死亡します。通常のインフルエンザ(H1N1亜型、H3N2亜型)は高齢者に多く発生していますが、高病原性鳥インフルエンザの患者や死亡者は小児や若年成人に多く発生しています。

 症状は、通常のインフルエンザ様症状(38℃以上の発熱、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛、上気道炎症状)に加え、下痢、重症肺炎、多臓器不全、出血傾向などがみられます。

新型インフルエンザの発生

 インフルエンザウイルスの遺伝子変異は、その複製回数に比例するといわれており、鳥での伝播やヒトへの感染を繰り返しているとヒト型に変異する可能性が高くなります。ウイルスがヒト型に変異すれば上気道だけでなく全身の組織に感染し重症化する恐れがあります。

 今までに大流行したヒトのインフルエンザ(スペイン風邪、アジア風邪、香港風邪)は、弱毒型鳥インフエンザ由来のウイルスにもかかわらず大きな被害が発生しました。強毒型ウイルスによるインフルエンザの流行はこれまで人類が経験したことがありません。新型インフルエンザの流行は、単なる健康問題に止まらず、社会活動・社会機能への影響が強大で、今までの世界恐慌をはるかに上回る経済的な混乱が起こる恐れもあります。

 新型インフルエンザ大流行はいつか必ず起こるものとして、地球全体の危機管理問題として様々な準備が進められています。国、地方自治体は流行の段階・規模に対応する事前準備と流行時の行動計画を策定し、いろいろなシナリオに基づいた訓練を繰り返し実施しておくことが重要となります。