本文
ず~っと遠いとおい昔から、人々は食べ物の保存や加工にいろいろ工夫してきました。例えば、お肉やお魚の燻製や塩づけ、ごはんを黄色くする「サフラン」、梅干に入れる「しその葉」、豆腐を作るための「にがり」、コンニャクを作るための「消石灰」が使われたりしてきました。
この豆腐やコンニャクは中国から伝えられて1000年以上経っているといわれています。このように、食べ物を作ったり、加工したり、保存するときに使う調味料、保存料、着色料などを食品添加物といい、昔から身近に使われてきました。
食品添加物は加工食品に重要な役割を果たしており、その歴史は、人間の食文化の歴史といっても過言ではありません。 現在、使われている食品添加物には、植物の実や花などから取り出した天然ものと、化学的に合成されたものがあります。
合成食品添加物の始まりは、1851年、酢酸とアルコールから果実香料として合成された酢酸エステルと言われており、これが第1回ロンドン万国博覧会に出品されました。
その後、相次いで、タール色素、サッカリンが合成され、1912年には、ビタミンB1が発見され、これを契機に高純度のビタミン類が化学合成され、酸化防止剤、栄養強化剤として利用されるようになりました。
日本では、1948年、食品衛生法が施行され、食品添加物として食品に使用しても良い化学合成品60種類が決められました。
これまで、世界では、使ってはいけない添加物(ネガティブリスト)は決まっていましたが、使っても良い添加物(ポジティブリスト)を決めたのは日本が初めてでした。当時の日本の食品添加物に対する考え方はもっとも進んでいたと言えます。
食品添加物が化学合成により、多く作られるようになり、食品の保存性が向上し、多様な食感を味わうことができるようになるなど、人々は豊かな食文化を享受することができるようになりました。
一方、粉ミルクの品質保持剤として加えた「リン酸ナトリウム」中に不純物として含まれていた猛毒のヒ素による健康被害(1955年)、発ガン性の疑いから人工甘味料チクロの使用禁止(1969年)、発ガン性の疑いから豆腐や魚肉ソーセージ、麺類の殺菌剤として使われてきたAF-2の使用禁止(1974年)など、悲しい出来事もありました。
このようなことも、食品添加物に対する安全性への不安を払拭しきれない原因の一つとなっていると思われますが、食品添加物は、マウスなどの動物実験で発ガン性、催奇形性、毒性等の安全性を確かめられたものが使用されています。
食品衛生法第10条に基づき、厚生労働大臣が定めたもので、サッカリン、ソルビン酸、着色料など
赤色系食色素サンプル
オレンジ、黄色、青色系色素サンプル
平成7年の法改正の際、わが国においてすでに使用され、長い食経験があるものについて、例外的に指定を受けることなく使用・販売が認められたもので、タンニン、ダイズサポニンなど
動植物から得られる天然の物質で、食品に香りを付ける目的で使用されるもので、カンゾウ、ミョウガなど
一般に飲食に供されている物であって、添加物として使用されているもので、野菜ジュース、卵白など
食品の内容を明示するため、一般的には、食品が入っている容器・包装の裏面に、名称、原材料名、内容量、賞味期限、保存方法、製造者の順に表示されています。
【表示例】
【説明】
食品中に含まれている食品添加物を測るためには色々な方法が用いられますが、ここでは、飴玉中の食色素の検査について紹介します。
1.試料(飴玉)を細かく砕いて均一にします。
2.試料の重量を天秤で正確に測ります。
3.試薬を入れて、振とう機で攪拌し、含まれている食色素を抽出します。
4.ろ過して固形分を除きます。
5.試薬を入れ、クロマト管に流し込み精製します。
6.ロータリーエバポレーターで濃縮乾固します。
7.1mlに定容します。
8.高速液体クロマトグラフで定性します。
9.結果
飴玉の色は緑ですが、検査の結果、青色1号と黄色4号の食色素が検出されました。
本市では、約50種類の添加物について検査をしています。最近5年間(平成18~22年度)では、964検体の収去食品に対して 4,785項目の行政検査を実施しました。
その結果、カラースプレー・漬物中の食色素、岩海苔・水煮れんこんの二酸化硫黄(漂白剤)など4件の表示違反がありました。このような基準違反があった場合、被収去者(事業者)が不利益を伴うなど社会的影響が大きいことから、現在、収去食品の検査については、精確な検査を行うためのGLP(業務管理基準)が定められています。
今後、輸入食品の益々の増加に伴い、食品添加物の種類も多くなることから、より迅速・精確な検査を行って、市民の食の安全・安心を確保してまいります。
【食品添加物検査項目数(平成18~22年度)】